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公益財団法人豊田理化学研究所
会社概要

将来が期待される若手研究者に最大5年間で1億円の研究費を助成初年度の「ライジングフェロー」助成研究者3名が決定

【人を育てる】「ライジングフェロー」と【分野を育てる】「スカラー共同研究」で先端研究を後押し

公益財団法人豊田理化学研究所

公益財団法人豊田理化学研究所(理事長:豊田章男、以下「当財団」)は、近年、「先端研究分野で新たな豊田佐吉、豊田喜一郎を生み出す」を合言葉に、若手研究者の育成に注力しています。このたび、将来が期待される若手研究者に、2024年度から最大5年間で1億円の研究費を助成する「ライジングフェロー」制度の、初年度の助成研究者3名が決まりました。「ライジングフェロー」は、将来有望な研究者(「人」)を育てる助成です。研究内容のみならず、先端研究分野を世界的に牽引していくことが期待される人物面も重視して選考します。これと並行して、当財団は、従来の研究助成制度「豊田理研スカラー」の経験者の中から、異分野の研究者とチームで研究に取り組む「スカラー共同研究」を昨年から開始し、選考を経て今年度から10チームが研究に取り組んでいます。「スカラー共同研究」は「研究分野」を育てる助成です。当財団は、これらの「人」と「分野」を育てる2つの助成制度で、先端研究を後押しします。


2024年度に助成を開始するライジングフェローについて、2023年2月1日~4月10日にかけて募集を行いました。過去の豊田理研スカラー経験者の中から66名の応募があり、フェロー選考委員会による、書類選考、面接選考の結果、3名をライジングフェローと決定しました。


【フェロー選考委員会】

 川合 眞紀(委員長)  自然科学研究機構 機構長

 樽茶 清悟  理化学研究所 創発物性科学研究センター グループディレクター

 藤田 誠  東京大学 卓越教授

 松本 洋一郎  外務大臣科学技術顧問(外務省参与)

 渡辺 芳人  分子科学研究所 所長



●「ライジングフェロー」について

 ライジングフェロー制度は、過去に豊田理研スカラー採択の実績がある者の中から、活発な研究活動を実施している新進気鋭の研究者が、将来、一流研究者として活躍することを期待して、5年間で最大1億円の大型の助成を行います。特長は、研究内容のみならず、先端研究分野を世界的に牽引していくことが期待される人物面も重視して選考する点です。選考においてはダイバーシティも考慮します。


●「豊田理研スカラー」について

 所属大学の推薦を受けた若手教員の中から、当所が設定した研究分野で、独創性の高い研究に意欲的に取り組む研究者に対し、研究費用の一部を助成すると共に、新分野創生に向けた継続的な共同研究の機会を提供する。2023年度の募集分野・課題は、(1) 物質・材料科学、(2) 基礎工学・複合工学(環境・医療・電子・情報・システム工学 等)、(3) (1)(2)に資する生命科学。助成金額は年間100万円。助成期間は1年(4月1日~翌年3月31日)助成件数は年間45名程度。次回の募集は2023年11月頃を予定。本制度は2011年に開始し、2023年度までの累計396名が「スカラーコミュニティー」を形成している。


●「スカラー共同研究」について

 ライジングフェローが研究者の「人」の育成を図ることを特長とすることに対して、スカラー共同研究制度は先端的な「研究分野」を育てることを特長とする。「豊田理研スカラー」が集う「異分野若手交流会」を契機に、スカラー間で生まれた異分野間の共同研究を助成する。Phase1は10チーム以内、1年間で1チームあたり年間200万円の助成。Phase2は3チーム以内、2年間で1チームあたり年間600万円の助成。Phase3は1チーム以内、3年間で1チームあたり2,000万円の助成を行う。各Phaseで評価を行い、勝ち抜け方式で次のPhaseに進む。スカラーが新規に他のチームに加わることや、敗退したスカラーが生き残ったチームに加わることも可能。2023年4月から最初のPhase1の助成が始まっており、Phase2 の募集は、2023年10月を予定。


●豊田理化学研究所について

 公益財団法人豊田理化学研究所は、豊田佐吉の長男でトヨタ自動車の創業者である豊田喜一郎により、1940年9月、東京都芝区西芝浦に設立。設立の趣旨は、わが国独自の科学技術の振興開発を図り、学術・産業の発展に貢献すること。1961年、名古屋市の豊田中央研究所内に移転し、1980年には豊田中央研究所とともに現在の長久手市に移転。2011年に公益財団法人に移行し現在に至る。豊田喜一郎の長男豊田章一郎は、1974年から半世紀近くにわたって理事長を務め、日本の科学技術の発展のため力を注ぐと共に、近年は特に若手研究者の育成にも尽力してきたが2023年2月逝去。その想いを引継ぎ、本年6月30日付けで豊田章男(トヨタ自動車会長)が理事長に就任。


法人名称:公益財団法人豊田理化学研究所

代表者  :理事長 豊田章男

    :所長   玉尾皓平

設立    :1940年9月

所在地  :〒480-1192 愛知県長久手市横道41番地の1

電話    :0561-63-6141

E-mail  : riken@toyotariken.jp

ホームページ: https://www.toyotariken.jp/



●2024年度「ライジングフェロー」の詳細(50音順)

【1人目】

・氏名:大野 真之 (おおの さねゆき) (35歳)

・現所属(学位)

 東北大学 多元物質科学研究所 准教授

 九州大学 大学院工学研究院 応用化学部門 客員准教授

 (Ph.D :California Institute of Technology, Materials Science)


・主な経歴:

 2012 慶應義塾大学理工学部物質情報工学科卒

 2012 California Institute of Technology, Research assistant

 2015 Northwestern University, Visiting scholar

 2017 California Institute of Technology, Materials Science, Ph.D. 取得

 2017 Justus Liebig University Gießen, Scientific researcher

 2019 Justus Liebig University Gießen, Humboldt research fellow

 2020 九州大学 大学院工学研究院 応用化学部門 助教

 2023 九州大学 大学院工学研究院 応用化学部門 客員准教授

 2023 東北大学 多元物質科学研究所 准教授


・研究テーマ:

 アニオンの複合化で拓く固体イオニクスのフロンティア


・研究の概要:

 高イオン伝導性無機固体材料は、燃料電池や次世代蓄電デバイスをはじめとする未来技術の中核を成す。しかし、固体内でまるで液体のように振る舞うイオンの実現は容易ではない。本研究は、無機物質内のイオンダイナミクス掌握を究極の目的として掲げ、アニオンの複合化による探索領域の拡張と新たな自由度を利用した材料設計指針の確立を目指す。

 我々は固体内部でイオンが動く固体イオニクス材料の研究を、新たな材料設計指針の探索を軸に展開してきた。アニオン副格子の無秩序化や化学ポテンシャルの揺らぎ、格子振動の変化とイオン伝導度の相関など、材料科学や固体物理に立脚する固体イオニクス材料の研究を世に出してきた。酸化物や硫化物、ハロゲン化物と多岐にわたる材料群を扱ってきたが、これらの融合がイオンダイナミクスに大きな影響を及ぼし得ることが分かってきた。

 従来の固体イオニクス材料研究は物質の骨格を1種類のアニオンが成す化合物がその主な舞台であった。本研究では複数アニオンの併用という新しい潮流を取り入れて広大な物質空間を創出し、固体イオニクスの新たなフロンティアを形成する。具体的には、「新奇材料探索」、「設計指針確立への基盤形成」、「電子輸送との協奏」を三つの柱として、結晶構造-組成-格子振動-イオン輸送相関を駆使した研究を展開する。体系的な物質探索と新たな自由度を生かした設計指針の確立で、未来技術の実現を目指す。


・本人コメント:

 このたびは豊田理研ライジングフェローの一期生として採択頂き、大変光栄なことで身が引き締まる思いです。採択通知を国際学会中に受け取り、最初は喜びと興奮で、その後は背後の責任と重圧から、しばし講演内容が耳に入らなくなったほどです。私はこれまで材料や現象のより深い理解に重きを置いて研究を展開してきました。本研究では、まだ見ぬ物質の創出に、もう一つの軸足を置きます。新たな挑戦を前に、今は心が躍っています。


・選考理由:

 高イオン伝導性無機固体材料は、燃料電池や次世代蓄電デバイスの対象として実用的な見地からも重要な材料である。大野氏は、イオン伝導体を対象に、これまで酸化物や硫化物、ハロゲン化物などの研究を通じ、イオンダイナミクスにはこれら材料系の融合が鍵となることを見出してきた。今回の提案は複数のアニオンを共存させることで、物質設計の自由度を向上させ、新規固体イオニクス材料の新たな展開を狙うものである。Naイオン伝導固体電解質の探索を行う中、ハロゲン系元素を骨格に有するシステムで高いイオン伝導度を実現したことを契機に、骨格を形成するカチオンとアニオンの双方に効果的な自由度を持たせることで、従来の材料設計を超える材料の創出を狙うという挑戦的な課題を、高く評価した。



【2人目】

・氏名:後藤 佑樹 (ゴトウ ユウキ) (42歳)

・現所属(学位)

 東京大学 大学院理学系研究科 化学専攻 准教授

 (博士(工学) 東京大学)


・主な経歴

 2003 京都大学工学部工業化学科 卒

 2005 京都大学 大学院工学研究科合成・生物化学専攻 修士課程修了

 2008 東京大学 大学院工学系研究科先端学際工学専攻 博士課程修了 博士(工学)

 2008 Research Associate, University of Illinois at Urbana-Champaign

 2009 東京大学 先端科学技術研究センター 助教

 2010 東京大学大学院理学系研究科 化学専攻 助教

 2011 科学技術振興機構 さきがけ研究員 兼任(~2015年)

 2016 東京大学 大学院理学系研究科 化学専攻 准教授


・研究テーマ

 ハイブリッド擬天然物ペプチド戦略の推進


・研究の概要

 強い生物活性を発揮する天然物ペプチド類には、非タンパク質性の特徴的な局所骨格を持つものが多い。しかし、各クラスの生合成経路が特定の局所骨格の構築に特化する形で進化してきたため、個々の化合物に含まれる特殊骨格のバリエーションは大きく制限されている。

 そこで本研究では、異なる局所骨格の生産に携わる酵素群の共働利用を可能とする試験管内人工生合成系を構築する。これにより、自然界にはない組み合わせで複数の局所骨格を有する人工分子(ハイブリッド型擬天然物ペプチド)の酵素合成を実現する。さらに、試験管内分子選択法による迅速スクリーニングを行うことで、望みの標的タンパク質に作用する人工生物活性分子の創製にも取り組む。一連の研究を通じて、必要な効能と必要な物性のペプチド薬剤を自在に生み出す方法論の確立を目指す。


・本人コメント:

 歴史ある豊田理化学研究所の新たな取り組みとして創設されたばかりのライジングフェローに採択され、頂いたチャンスに感謝するとともに、重責を感じております。「役にたつオリジナル化合物を創り出したい!」という自分の興味に基づく研究を進めつつ、その過程を学生さん達と楽しむことで、次世代の研究者の育成にも貢献できたらと考えております。


・選考理由

 生理活性を有する環状ペプチド(非天然アミノ酸を含む)の合成と、得られたペプチドの酵素による翻訳後修飾の組み合わせにより、無数のライブラリを作成し、創薬へとつなげる提案である。翻訳後修飾の際に異なる生合成回路にある天然化合物局所骨格を大環状ペプチド骨格上に配置し、自然界にはないハイブリッド型の擬天然物創薬ライブラリをつくることを特徴としている。ハイブリッド化により中分子領域化合物の新しい化学スペースを開拓できること、さらには複数の作用機序の同時発現が期待できることなど、従来の網羅的に数で勝負する創薬ライブラリ設計とは一線を画す魅力的な提案がなされている。また、ライブラリ研究にとどまらず、局所構造がもたらす作用機序の解明にも取り組むなど、意欲的、挑戦的な提案であり、成果が期待される。



【3人目】

・氏名:朴 昭映 (パク ソヤン)(44歳)


・現所属(学位)

 大阪大学 免疫学フロンティア研究センター 特任准教授

 (博士(理学) 京都大学)


・主な経歴:

 1998 韓国 梨花女子大学 自然科学部卒

 2005 韓国 科学技術院大学大学院 化学科修士課程修了

 2009 京都大学 大学院 理学研究科博士課程修了

 2009 京都大学 大学院 理学研究科 博士研究員

 2010 JSPS 外国人特別研究員

 2012 京都大学 大学院 理学研究科 助教

 2021 大阪大学 免疫学フロンティア研究センター 特任准教授

 2021 大阪大学 微生物病研究所 兼任教員(兼任)

 2022 京都大学 高等研究院物質-細胞統合システム拠点(iCeMs) 客員准教授(兼任)


・研究テーマ:

 生体分子アンサンブルによる機能性核酸の開発と創薬基盤プラットフォームの構築


・研究の概要:

 核酸医薬は、遺伝子発現の直接制御を可能とする分子標的薬であり、抗体医薬のように高い標的選択性を持ちながらも低分子医薬のように低コストで化学合成が可能であるという大きな優位性を有するバイオ医薬品として注目されている。しかし、核酸医薬として機能する核酸オリゴマーは、生体内の酵素によって容易に分解されるため不安定であり、標的とする臓器まで運ぶのが難しいことが問題である。本研究では、核酸にアミノ酸や脂肪酸を組み合わせた新しいバイオアンサンブル分子を開発し、この問題の解決を目指す。具体的には、miRNAやアプタマーの塩基配列にアミノ酸や脂肪酸を導入した分子のライブラリを構築し、miRNA基盤抗炎症剤や、抗がん剤など新規核酸医薬の開発を行う。

 本研究で確立する技術では、核酸塩基特有の相補性と優れた自己組織化能力を利用したbottom-up手法により、生体分子を1塩基・1残基レベルで精密制御できることが大きな特長である。本研究による成果を通じて革新的医薬品を創出するための基盤技術を確立し、日本の創薬力の強化と、それによる国際社会への大きな貢献が期待される。


・本人コメント:

 この度、豊田理研ライジングフェローにご採択いただき非常に光栄に存じます。選考委員の先生方と今まで一緒に研究を行ってくれた学生のみなさんに感謝いたします。研究者として研究を行うことは、人生を、そして、世の中を豊かにすることだと思います。私が開発した分子が、学術的な進歩を生み出すだけでなく、さらに実用的な応用として社会に貢献できるようにがんばって参ります。


・選考理由:

 核酸骨格をベースに、アミノ酸や生理活性物質を側鎖として結合することによって、標的とする患部に特異的に作用する分子標的医薬品の開発を提案するものであって、核酸や生理活性化合物が有する標的蛋白質の特異的認識などが期待される。一方で、ライブラリ構築によって、簡単には予想できない薬理作用の発見にも繋がる可能性がある提案である。

 さまざまな種類の生体モノマーを連結させ、多様な中分子ライブラリをつくるという着想自体は、過去に類例がいくつか報告されているが、朴氏の提案では標的タンパクが明確に示されており、標的に合わせたハイブリッド型化合物の分子設計が提案されている点が評価できる。

 朴氏が背景となる分野に精通し、豊富な知識と経験を有することが感じられ、より創薬に踏み込んだ中分子ライブラリ設計となっている。概念や方法論というより結果勝負の提案であるが、決してにわか提案ではなく、過去から今日まで果敢に挑戦しているテーマであり、提案者の意欲(元気)と信念を感じる。朴氏には、外国から日本へ来て研究活動を行う女性研究者として、さらに世界へと活躍の場を拡げていくことも期待する。

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会社概要

公益財団法人豊田理化学研究所RSS
URL
https://www.toyotariken.jp/
業種
財団法人・社団法人・宗教法人
本社所在地
愛知県長久手市横道41−1 0561-63-6141
電話番号
0561-63-6141
代表者名
豊田章男
上場
未上場
資本金
-
設立
1940年09月
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