フィリップス、トリトン・コレクション財団所蔵作品のイブニング・セールを開催
レジェの《Le 14 juillet》、推定価格1,500万~2,000万ドル
フィリップスは著名なトリトン・コレクション財団から30点の作品を出品するイブニング・セールを11月14日に開催することを2023年10月4日にニューヨークで発表しました。パブロ・ピカソの《Femme en corset lisant un livre》(1914-1917年)、ジョルジュ・ブラックの《La bouteille de Bass》(1911-1912年頃)、ジョアン・ミッチェルの《Untitled》(1954年頃)など、印象派から近代、戦後美術のムーブメントを決定づけた作品が勢揃いします。さらに、フェルナン・レジェの《Le 14 juillet》(1912-1913年)も同セールに出品します。この作品は、「Fumées sur les toits」(1911-1912年)シリーズから、最近発見された完成作品が裏面に描かれています。トリトン・コレクション財団は、美術品購入の際の鋭い審美眼で高い評価を得ています。今回出品される作品群は、トリトン・コレクション財団の品質、重要性、希少性を反映したものであり、コレクション全体にも呼応しています。「アヴァン・ギャルドを生きる:トリトン・コレクション財団」では、ほとんどオークションには出品されたことのない、市場に初めて出回る作品が集結します。ニューヨークでの展覧会とオークションに先立き、パリ、香港、ロサンゼルスで実施される巡回展示は、これらの素晴らしい作品が初めて一堂に会し、一般公開される機会となります。
トリトン・コレクション財団は、19世紀、20世紀、21世紀を代表するアーティストの前衛的で優れた作品群を集めることに尽力してきました。1990年代後半には、19世紀末のアーティストに焦点を移し、やがてキュビスムのアーティストも加わりました。20世紀の変わり目に活躍したアーティストの作品収集に約10年を費やした後、前衛美術を経て国際的な戦後美術の領域に入ります。1870年から1970年までの国際的な前衛芸術家に焦点を当てながら、充実した、かつ高度にキュレーションされたコレクションを生み出しました。創設者たちは、一貫した統一性を保つために、美術史、アーティスト、ムーブメントについて時間をかけてリサーチを行い、コレクションのためにどのような作品を入手したいかを見極めました。美術品は、コレクションの需要に見合うよう、質の高いもの、あるいは極めて希少なものである必要がありました。そして、できる限り多くの作品を一般公開することを使命とし、作品は世界中の美術館に長期および短期で貸し出されました。今回のセールは財団にとって非常に刺激的な瞬間であり、新しい世代の舵取りが先頭に立ち、財団が次の段階に入ることを告げるものになります。彼らは、次の前衛芸術家へのコミットメントを深め、コレクションの作品を世界と共有することを目指しています。
トリトン・コレクション財団のキースジャン・コーディア氏は、次のように述べています。「トリトン・コレクション財団の過去30年間の使命は、伝統的なムーブメントの境界を打ち破り、世界の新しい見方を模索した様々な時代のパイオニアや『イノベーター』たちによる作品群を集めることでした。私たちの両親は、そのコレクションをより多くの人々と分かち合うことに専念しました。彼らは、自分たちが選んだ作品に細心の注意を払い、誇りを持っています。コレクションの質や水準に合わない作品は決して加えず、この世に存在するであろうユニークな作品を常に待ち望んでいました。私たちの役割は、常に進化し続けるコレクションの素晴らしい作品の一時的な請負人となることです。私たちの願いは、これらの作品が一般の人々の芸術に対する理解と鑑賞に貢献し続けることのできるコレクションに収まることです。今、私たちは未来に目を向け、前向きな思考によって自らの視野を広げる機会を待ち望んでいます。私たちは、私たちの両親がこの素晴らしいコレクションと共に歩んできたように、新たな収集の旅を味わうことを楽しみにしています。このような経験が、コレクションを思い出深く、楽しいものにしています。コレクションは世代を超えて常に進化し続けるべきものであり、私たち自身も親として、次の世代に同じようなことを期待しています。」
フィリップスの米州社長、ジャン=ポール・エンゲレン氏は次のように述べています。「トリトン・コレクション財団が過去30年にわたり示してきた収集に対する見識と献身は、言い尽くすことができません。彼らは、自らの仕事と使命に真に情熱を注いだときに達成できることを示す金字塔のような存在です。ミーティ・ハイデンと私、そしてフィリップスの全チームは、これらの素晴らしい美術品の競売を任されたことを光栄に思うと同時に、史上初めて一堂に展示する機会を得たことを嬉しく思います。この展覧会は、コレクターや愛好家の方々にとって、トリトン・コレクション財団のクオリティを象徴する素晴らしい作品を一堂にご覧いただける、一生に一度の機会となるでしょう。」
キュビスムの傑作
フィリップスは、フェルナン・レジェの両面キャンバスをオークションに出品することを光栄に思います。2つの作品によって構成されるこの絵は、表面にフランスの国祭日をキュビスム的に解釈した《Le 14 juillet》、裏面に新たに発見された《Fumées sur les toits》シリーズの作品が描かれています。
Fernand Léger
Le 14 juillet, 1912-1913
Estimate $15 - 20 million
表面
Fernand Léger
from the series Fumées sur les toits, 1911-1912
Estimate $15 - 20 million
裏面
2枚目の絵は、修復不可能なほど傷んでいると思われ、何年もの間、裏面に隠されていました。しかし、保存修復師たちの懸命な努力により、トリトン・コレクション財団は裏面の絵を修復することができ、昨年、オランダのクレラー・ミュラー美術館で史上初めて展示されました。長い間埋もれていたこの作品は、レジェのアトリエの窓から見えるパリの屋根の景色から生まれた「Fumées sur les toits」シリーズに属するもの。噴煙、煙突、ノートルダム大聖堂の塔は、レジェのキュビスム絵画をより抽象的で色彩豊かな方向へと導くインスピレーションになりました。
この作品にまつわるストーリーは、今年11月にニューヨークのフィリップスで開催されるオークションに出品される、トリトン・コレクション財団の各作品が持つ素晴らしい出所を示す好例です。対象物とその周囲の空間をほとんど区別することなく、画面を交差する平面に分断するトリトン・コレクション財団所蔵のブラックの《La Bouteille de Bass》は、ピカソとブラックが最も緊密な共同作業を行っていた時期の傑作です。ブラックは「二人の登山家がロープでつながれているようだ」とその時期を形容しています。タイトに凝縮された短い筆致と、緩やかで光り輝く筆致が対比される、驚くほど多彩な折れ線状の筆致によって構築されたこの作品では、タイトルのオブジェがそれを取り囲む空間に溶け込んでいくように、表面全体が非常に生き生きとしています。この時期のブラックとピカソの静物画で繰り返し描かれる題材であるバスのボトルは、文字表現によって見分けられるようになり、構図を観察可能な世界に引き戻し、絵画的要素を読み解く鍵となります。
Georges Braque
La bouteille de Bass, c. 1911-1912
Estimate $7 - 10 million
第一次世界大戦が勃発し、多くの芸術家の移住により、このような共同作業と創造的な交流の精神は自然に終わりを告げましたが、ピカソはこの経験を第一次世界大戦後の絵画制作に生かし、新たな個人的、職業的な機会によって、キュビスムの実験により遊び心を加えました。トリトン・コレクション財団に収蔵されているピカソの《Femme en corset lisant un livre》(1914-1917年)は、ブラックの初期の作品と対をなす見事な作品で、戦前の数年間における先鋭的な実験の集中的な時期に得られた経験を体現しています。平坦化された絵画空間、複雑な画面構成、色彩と模様の遊び心のいずれも、この重要な時期に
おけるピカソのスタイルの進化を示しています。
Pablo Picasso
Femme en corset lisant un livre,
1914-1917
Estimate $15 - 20 million
戦後美術のアイコン
抽象表現主義画家ジョアン・ミッチェルの初期作品《Untitled》(1954年頃)は、アーティスト・エステートから直接トリトン・コレクション財団に寄贈されたものです。この印象的な大型のキャンバス作品は、1950年代初頭のミッチェルの画風が、より幾何学的でデ・クーニングにインスパイアされた美学から、鮮やかな色彩と大胆な筆致による成熟した構図へと変化していく過程を記録しています。その中間地点に位置する《Untitled》は、彼女自身を確立し始めた作品でもあります。素早くエネルギッシュな筆致は上向きの動きが強く、黒、石板色、コンクリート・グレー、茶色を基調とし、赤、紫、黄色の鮮やかな色彩が混ざり合った色彩は、ミッチェルが過ごした1950年代のニューヨークを体現しています。
Jean Dubuffet
Inspecteurs Sinoque et Dingue, 1967
Estimate $4,000,000 - 6,000,000
Joan Mitchell
Untitled, c. 1954
Estimate $7,000,000 - 10,000,000
彼女のモダニズムの先達たちと同様に、ミッチェルも《Untitled》の中で近代都市の色彩とエネルギーを取り上げています。実際、彼女のパレットは、キュビスム画家のパリを想起させると同時に、抽象表現主義画家としての彼女自身のニューヨークを象徴しています。
印象派とナビ派
「アヴァン・ギャルドを生きる:トリトン・コレクション財団」は、特異な印象派画家エドガー・ドガに始まる美術史の革新の糸をたどっています。同世代の画家たちの戸外制作傾向に批判的だったドガは、色彩、光、日常的な観察といった印象派の価値観を室内の情景に応用しています。1894年頃の《Le petit déjeuner après le bain》はその好例です。ドガが捉えたのは、風呂上がりに体を乾かす女性の、親密で一見自然な光景。裸の女性の背中の傾斜と、低い位置で結んだ赤いお団子の髪は、ドガの象徴的なダンサーの姿を思い起こさせます。この作品はコレクションの中でも特に人気があり、アムステルダムのゴッホ美術館に長期貸与されています。
Émile Bernard
Paysage de Bretagne (Paysageavec deux Bretonnes et vache), 1892
Estimate $1,500,000 - 2,500,000
Edgar Degas
Le petit déjeuner après le bain, c. 1894
Estimate $2,500,000 - 3,500,000
また、トリトン・コレクション財団は、近年オークションに出品され始めたエミール・ベルナールやポール・セリュジエなどのナビ派の画家たちの作品の中でも、特に優れた出所と高い意匠性を持つ作品を収蔵しています。セリュジエの《La Cueillette des pommes》は、画家が初めて寓意的な主題に取り組んだ作品。リンゴを収穫するブルトン人の女性を描いたこの作品は、「知識の木」の寓意でもあります。この作品は、ゴッホ美術館に長期貸与されていたヴュイヤールの《Le Cantique des cantiques》、モーリス・ドニの《La vendange mystique》とともに、過去20年間に世界各地で開催された展覧会に出品されています。
オークション実施日: 2023年11月14日
場所:432 Park Avenue, New York, NY
詳細はこちらから
https://www.phillips.com/auctions/auction/NY011123
フィリップスについて
フィリップス:世界中の好奇心と冒険心が、アート、デザイン、高級品と結びつき、インスピレーションを与えてくれる場所です。20・21世紀の作品を売買するグローバルなプラットフォームとして、フィリップスは近・現代アート、デザイン、写真、エディション、時計、ジュエリーの分野において専門知識を提供しています。オークションと展覧会は主にニューヨーク、ロンドン、ジュネーヴ、香港で開催され、更に、ヨーロッパ、アメリカ、東京を含むアジア各地に代表オフィスが置かれています。フィリップスでは、即時購入できる作品とあわせて、ライブ及びオンラインオークションを定期的に開催しています。また、プライベートセール、鑑定、査定、ファイナンシャルプランニングに関するサポート含め、収集に関する幅広いサービスとアドバイスも提供しています。詳細につきましては、ホームページをご覧ください。
※エスティメイトには、落札手数料は含まれていません。最終的な価格は、ハンマープライスと落札手数料となります。
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