【インフラ非破壊検査】コンクリートの配筋状況を迅速診断するハンディサイズの鉄筋スキャナを開発!(阪大・産研)

高速・正確な診断でインフラ劣化の重大事故を防ぐ

大阪大学 産業科学研究所

 大阪大学 産業科学研究所の千葉大地(ちば・だいち)教授と協栄産業株式会社らによる研究グループは、千葉教授が独自に開発した「永久磁石法」という手法を活用し、コンクリートに埋設された鉄筋を、一度のスキャンで面的に可視化・マッピングできるハンディな鉄筋スキャナを開発しました。

 詳細については、1月28日(水)に開催される「大阪大学 産業科学研究所・工学研究科 定例記者発表」の場で発表いたします。同日は、工学研究科による「生成AIとデジタル技術による“次世代海事ものづくり”への挑戦」の発表も予定されています。(一般の方はご参加いただけません)

コンクリート製インフラを非破壊・高速・正確に診断!ハンディサイズの鉄筋スキャナを開発

産業科学研究所 界面量子科学研究分野

千葉 大地 (ちば だいち) 教授

(専門領域:スピントロニクス、磁気センサ)

千葉大地教授(大阪大・産研)

YouTubeにて本技術の紹介動画を公開しています(※音が出ます)

研究成果のポイント

  • コンクリート内部の配筋状況を、モップ掛けのようになぞるだけで非破壊・高速・正確にマッピングできる、重量約2.5kgのハンディな鉄筋スキャナを開発。

  • 現在主流の電磁波レーダーを用いた非破壊鉄筋探査装置は、複数回スキャンを必要とする上、水中探査ができないという弱点を有するが、本製品はこれらの課題に対応可能な「永久磁石法(※1)」を用いている。

  • 今後は現地調査やモニター企業のフィードバックを元に量産販売への準備を進めるほか、独自技術である永久磁石法の特長を活かし、道路陥没など事故の予防に貢献する技術開発を目指す。

完成したハンディ鉄筋スキャナのプロトタイプ

概要

 大阪大学 産業科学研究所の千葉大地(ちば・だいち)教授と協栄産業株式会社らによる研究グループは、千葉教授が独自に開発した「永久磁石法」という手法を活用し、コンクリートに埋設された鉄筋を、一度のスキャンで面的に可視化・マッピングできるハンディな鉄筋スキャナを開発しました。

 本記者発表では、開発したハンディ鉄筋スキャナのプロトタイプの初公開および実機を用いたデモンストレーションを行います。

研究の内容

 日本には、高度経済成長期に建設されたコンクリート製インフラが多く、橋梁やトンネル、水道管などで老朽化が進んでいます。コンクリートはひび割れや中性化、鉄筋腐食などで劣化しやすく、その進行が目に見えにくいため、近年、これらの問題が表面化する事故が相次いで発生しています。未然に防ぐためには、構造物の劣化状況を正確かつ効率的に把握する技術が不可欠です。

 コンクリートの非破壊鉄筋探査装置としては、電磁波レーダーが広く普及しています。しかし、面的に内部の状況を把握するには、何度もスキャンを繰り返す必要があります。また、コンクリートの湿潤状況や漏水は電磁波の伝搬や反射を妨げ、計測結果に影響を及ぼすほか、水中での探査は困難です。

 このような課題を解決するため、千葉教授はNEDOの実施する「官民による若手研究者発掘支援事業」のマッチングサポートフェーズにおいて、永久磁石法を確立しました。その後、同 共同研究フェーズ(※2)において、 協栄産業株式会社と共同で、製品化を念頭に鉄筋スキャナの開発に着手しました。今回完成したプロトタイプは、ハンディサイズ(約2.5 kg)でありながら、多数のセンサを集積化したモジュールを内蔵することにより、一度のスキャンで面的に配筋状況を可視化することが可能となりました。まるでモップ掛けのようにコンクリート壁をなぞるだけで、素早く、大面積の点検が可能となります。

 今後、研究グループは引き続き「住民と育む未来型知的インフラ創造拠点(※3)」などとも連携し、各所での現場調査を進めていきます。同時に、1年以内に製品プロトタイプを完成させ、現場調査やモニターユーザー企業からのフィードバックを集めながら2年以内の量産販売を目指します。

 永久磁石法は、電磁波レーダーではほぼ不可能であった水中での鉄筋探査を可能とするため、近年多発する水道管の老朽化による道路の陥没事故などの予防保全における活躍も期待できます。千葉教授は今後、インフラ点検保守を進める企業等とも連携し、水中での探査技術の開発を進める予定です。そのための新しい計測原理、および鉄筋の腐食状況の把握が可能な技術の開拓に向けて、引き続きチャレンジを続けていきます。

※1 永久磁石法
1個の永久磁石と2個(一対)の磁気センサーの組み合わせからなるセンサーモジュールを用いた非破壊鉄筋探査手法。鉄筋に永久磁石を近づけると、永久磁石からの漏れ磁束を鉄筋が吸い込む性質により、永久磁石周囲の磁界が変化する。この磁界の変化を磁気センサーで観測することにより、コンクリート内に埋設された鉄筋の有無や埋設の深さ、太さなどを測定する手法。鉄筋が近づくことによる磁界の変化に違いが生じる位置に磁気センサーを二対配置している。両者の出力の差分をとり、増幅することにより、高感度にシグナルを検出することが可能となる。

※2 共同研究フェーズ

事 業 名:官民による若手研究者発掘支援事業/共同研究フェーズ/永久磁石と磁気センサを用いた新規非破壊鉄筋計測システムの創出
事業期間:2023年度~2025年度
事業概要:https://www.nedo.go.jp/activities/ZZJP_100166.html
なお、本研究の一部は、大阪大学産業科学研究所の山下勝氏、冨田哲夫氏、宮村信代氏の協力を得て行われました。

※3 住民と育む未来型知的インフラ創造拠点

大阪大学産業科学研究所の関谷毅教授をプロジェクトリーダーとし、国立研究開発法人科学技術振興機構「共創の場形成支援プログラム【地域共創分野】(本格型)」発足に伴い、2023年4月に大阪大学先導的学際研究機構に設置。

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会社概要

大阪大学 産業科学研究所

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URL
https://www.sanken.osaka-u.ac.jp/
業種
教育・学習支援業
本社所在地
茨木市美穂ヶ丘 8-1 産業科学研究所
電話番号
06-6879-8524
代表者名
黒田 俊一
上場
-
資本金
-
設立
1939年11月