株式会社Jizoku、衛星データ解析技術を用いた水田モニタリングの実証実験の第一段階を完了
高品質なカーボンクレジットの創出を目指す。
株式会社Jizoku(本社:東京都国立市、代表取締役:片岡慶一郎、以下、Jizoku)は、農業分野でのカーボンクレジットの創出支援を行っており、その品質向上に向けた取り組みを進めています。この度、株式会社Archeda(本社:東京都千代田区、代表取締役:津村 洸匡、以下、Archeda(読み:アルケダ))の協力の下、衛星データを活用した水田のモニタリングの実証実験を実施しました。
また、「高品質なカーボンクレジットとは?-中干し期間の延長の取り組み例を元に–」と題して、以下の通りオンラインセミナーを開催いたします。
高品質なカーボンクレジットを購入したい、カーボンクレジットの品質の確認の仕方がわからないといった方は是非ご参加ください。
以下が登録リンクとなります。
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■実証実験の背景
Jizokuは設立当初から一般社団法人Coと連携し、J-クレジット制度を活用した水田における中干し期間の延長によるカーボンクレジットの創出に取り組んでまいりました。
中干しとは、水稲栽培において通常6月から7月にかけて行われる、稲の根張りをよくするために水田から水を抜き、田面を乾燥させるものです。この中干しの取り組み期間を直近2年の平均日数よりも7日間延長することで、通常よりも水と反応して発生するメタンガスの量が抑制され、その削減量をカーボンクレジットとして創出することができます。
取り組みを推進するにあたり、J-クレジットの創出における課題が浮き彫りになりました。
課題は以下の2つです。
①モニタリング方法の信頼性の低さ
②農家の方の負担の重さ
以下でそれぞれ説明します。
①モニタリング方法の信頼性の低さについて
グリーンウォッシュへの警戒心が強まる現在、カーボンクレジットの品質にも注目が集まるようになっております。
例えば、過去には森林由来のカーボンクレジットが、実際には炭素削減効果がほとんどないことが判明し、創出企業や購入企業が批判にさらされるという事態が起きています。
品質について論じる際、ポイントとなるのが創出対象の取り組みがきちんと実施されていることをどのように確認するか、ということです。
弊社では、J-クレジット制度の「水稲栽培における中干し期間の延長」(AG-005)という方法論に基づいて、温室効果ガス削減に取り組んでいます。この方法論では、中干しを実施していることを写真や水管理システムのデータで証明する必要があります。
水管理システムを導入している農家はまだ少ないため、通常は写真による確認が行われます。この方法論では、以下の資料の提出が求められています。
・中干しの開始日に、閉じた取水口を撮影した写真及び開いた排水口を撮影した写真。
・中干しの終了日に、開いた取水口を撮影した写真又は閉じた排水口を撮影した写真。ただし、出穂によって中干しの終期を定める場合は、出穂の状態を撮影した写真。
参考:取水口を撮影した写真
これらの要件は、農家の方々の負担と信頼性の両面から検討されたものであると推察されますが、これだけでは以下の懸念が残ってしまう可能性があります。
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中干しが適切に行われていない可能性
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中干し延長期間中に水張りが行われ、田面の乾燥状態が維持されない可能性。
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中干し開始日、終了日が実態と異なる可能性。
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証拠の偽造の可能性
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写真の日付や位置情報の加工が行われる可能性。
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クレジットの創出対象の水田と異なる水田の写真を提出される可能性。
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これらのリスクにより、メタンガスの削減効果を実態よりも過少/過大評価し、カーボンクレジットが創出される可能性があります。
②農家の方の負担の重さ
弊社では、前項で述べた写真などの証拠データを、実際に取り組みを実施する農家の方から提供いただいております。
日々忙しい農作業の中で、それぞれの水田に設置されている取水口の開閉前後の写真を撮ることは、程度の差はありますが、負担の増加となる可能性があります。
また、写真撮影による証跡のみでカーボンクレジットの信頼性を高めようとした場合、一回当たりの撮影枚数の増加や、撮影頻度の増加など農家の方の負担増加につながりかねない施策となってしまうため、難しいと考えています。
■今回の実証実験について
目的
衛星データを活用した水田のモニタリングを実施することで、中干し延長の取り組みの実施有無を面的に把握し、高品質なカーボンクレジットの創出や農家の方の手間の削減につなげます。
方法
千葉県柏市の水田130haを対象に、中干し延長が行われる6月後半から7月にかけて以下の調査を実施しました。
・人工衛星による観測
・現場での実地調査(写真撮影)
上記の調査で得られたデータを元に、 衛星データの解析を実施し、現地調査(写真)との比較を行うことで中干し延長実施有無の面的な把握が可能かどうか検証しました。
結果
現地調査(写真)と衛星データの解析結果との比較を例を用いて説明します。
【例1】
上記の図1は中干し終了直後に行った現地調査の結果ですが、この写真では土壌表面は乾いているように見えます。
図2は図1と同じ水田の衛星解析結果ですが、これより確かに撮影場所の土壌表面は乾いているが、水田の大部分には水が入っていることが読み取れます。
これより、衛星データの解析結果を用いることで中干し状態を面的に把握できることが示唆されました。
また、水田の一部を撮影した写真からだけでは、中干し状態の判断が難しい場合もあることがわかります。
今後の課題
・現地調査において、写真撮影時の高さや角度が統一できておらず、一部使うことのできない写真があったため、現地調査の方法についてアップデートを行う必要があります。
・衛星データには若干の位置ずれが存在しているため、隣り合った圃場の情報が混入している可能性があり、今後の改善が必要です。
■今後の展望
今回の実証実験の結果を受け、ドローン等を活用した現地調査の効率化や、機械学習を活用した中干し実施有無の判定モデルの確立とその精度の向上に取り組み、信頼性の高いクレジットの創出に取り組んでまいります。
また、「高品質なカーボンクレジットとは?-中干し期間の延長の取り組み例を元に–」と題して、以下の通りオンラインセミナーを開催いたします。
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以下が登録リンクとなります。
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株式会社Jizokuと株式会社Archedaは、双方の技術力と知見を結集し、今後も持続可能な社会の発展に寄与してまいります。
◆Jizoku会社概要
社名:株式会社Jizoku
設立:2024年6月
代表者:代表取締役 片岡 慶一郎
所在地:東京都国立市東1-20-12
事業内容:一次産業におけるカーボンクレジットの創出支援事業
ウェブサイト: https://jizoku-inc.com
◆Archeda会社概要
社名:株式会社Archeda(アルケダ)
設立:2022年09月
代表者:代表取締役 津村 洸匡
所在地:東京都千代田区霞が関3-2-5 霞が関ビルディング36F
事業内容:衛星データを活用した自然環境の解析事業、カーボンクレジットのモニタリング解析事業
ウェブサイト:https://archeda.inc
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