福山市の医療法人 徹慈会 堀病院が診断の難しい“めまい”“ふらつき”を専門に診断・治療を行う「めまいセンター」を開設。
〜昨年度はめまい・ふらつき疾患の病名診断率100%を達成〜
医療法人 徹慈会 堀病院(院長:宇高 毅)では、耳鼻咽喉科で、持続性の“めまい”や“ふらつき”を専門に診断・治療する「めまいセンター」を設置しています。1年間で3,250人(新規患者750人、再来患者 延べ2,500人)が本センターを受診し、検査の結果、めまい・ふらつきの原因疾患として、良性発作性頭位めまい症(BPPV)が235人(31.3%)と最も多く、めまいの代表とされるメニエール病が96人(12.8%)、前庭性片頭痛が42人(5.6%)、前庭神経炎が14人(1.9%)でした。これまでは“めまい症”に分類されていた持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)は58人(7.7%)、心因性めまいは62人(8.3%)と以外に多いことがわかります。そのほか耳以外の原因では、脳循環不全が67人(8.9%)、椎骨脳底動脈循環不全が14人(1.9%)、起立性調節障害が71人(9.5%)などでした。特殊なものとして、脳梗塞や出血が明らかになった人が4人、小脳炎が3人、聴神経腫瘍が2人いらっしゃいました。センターの目標に掲げた病名診断率100%は達成されております。
「めまいセンター」設置の意義・ポイント・背景
めまいを訴える人の数は、厚生省の国民生活基礎調査によると、約240万人にのぼっています。このような「めまい」の原因としては、内耳の平衡器官、視力、筋肉などの機能低下、認知能力の低下、循環障害、脳障害、精神障害などの様々な要因が挙げられており、その病態も非常に複雑です。「めまいセンター」では、各患者さんの平衡障害の原因を種々の検査によって明らかにして、その原因に応じた処方を行い、自宅でも継続して実践できるようにリハビリの指導を行います。現代のストレス社会において、めまいや平衡障害は社会的な問題になっていることから、その診断予防に貢献することが期待されます。
ただ、めまいの原因は多岐に渡るため、これの病態を診療科を横断して正確に判断できる医師は非常に少数であるため、一部のめまい患者は長期に渡ってふらつきやめまいが治らず、多くの医療機関を転々とされる方、いわゆる「めまい難民」が多い病気と推察されます。そこで我々は、めまいの世界的権威であり、広島県で唯一の「日本めまい平衡医学会専門会員」である工田昌也先生を当院にお迎えして、専門的にめまい診断を行えるめまいセンターを立ち上げることとなりました。また当院所属の言語聴覚士に平衡機能検査技術講習会を受講させ、各種検査の精度をより高めるような努力も行なっております。
工田 昌也(めまいセンター センター長)
昭和57年広島大学医学部卒。
昭和60年広島大学医学部大学院卒。
昭和63年スウェーデン、カロリンスカ研究所大学院卒。
広島大学講師、診療准教授を経て、令和5年4月より堀病院「めまいセンター」のセンター長に就任。
医学博士(広島大学、カロリンスカ研究所)。Barany Society会員(平成元年-)。The Prosper Meniere Society 会員(昭和63年-)。日本めまい平衡医学会専門会員(平成7年-)、相談医(平成23年-)、参与。
めまいセンターの1年間の総括
堀病院「めまいセンター」では、平衡障害の原因を明らかにして、その原因別の治療法を提供するために、2023年4月から「めまいセンター」を開設しています。検査内容として聴力検査、各種平衡機能検査、心理テスト、MRIなどの画像検査を行い、必要に応じて他科と連携しながら、脈波、心電図、呼吸機能、視力検査などを行っております。治療の内容としては内服治療の他、前庭リハビリテーション、栄養指導などから構成されています。
2023年4月3日に『めまいセンター』を開設して、1年間で3,250人(新規患者750人、再来患者 延べ2,500人)の患者様に来院いただきました。月別の患者数では新規患者数は60人前後で推移していますが、再来患者数は徐々に増加しております。
新規患者様の年齢は9~99歳(平均57.2±18.4歳)、男性は12~99歳(平均58.4±18.2歳)、女性は9~97歳(平均56.7±18.4歳)で男性、女性ともに40~70歳代が中心で、70歳代が最多でした。
男女比では男性242人、女性508人で女性が男性の約2.1倍でした。
新規患者様の病名では、良性発作性頭位めまい症(BPPV)が235人(31.3%)と最も多く、めまいの代表とされるメニエール病96人(12.8%)、前庭性片頭痛42人(5.6%)、前庭神経炎14人(1.9%)でした。これまでは、めまい症に分類されていた持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)58人(7.7%)、心因性めまい62人(8.3%)と以外に多いことがわかります。そのほか、耳以外の原因では、脳循環不全67人(8.9%)、椎骨脳底動脈循環不全14人(1.9%)、起立性調節障害71人(9.5%)などでした。特殊なものとして、脳梗塞や出血が明らかになった人が4人、小脳炎が3人、聴神経腫瘍が2人いらっしゃいました。今のところ、センターの目標に掲げた病名診断率100%は達成されております。
来院のきっかけですが、最多は、以前に当病院にかかったことがあるのが34%と最多で、次にネットやホームページを見た(21%)、知人、家族の紹介など(15%)で、特殊なきっかけでは4月下旬に発行されたタウン誌を見てという方々が5月、6月に多くいらっしゃいました。他医療機関からの紹介は23%で、中でも耳鼻科以外の内科の先生方からの紹介が多くなってきています。
めまいセンターではめまいを正しく診断し、患者様と二人三脚で一緒にめまいを治していくことを目指しております。それに加えて、診療の実態を皆様にこうして報告するとともに、めまいセンターで得られた知見を積極的に学会でも発表するようにしています。2023年度は、第82回日本めまい平衡医学会で、広島市立大学の常盤達司先生との共同研究を報告しました。またこの4月20日には広島県耳鼻咽喉科総会で、めまいセンターの診療報告を発表しました。2024年度においても、これまで同様、病名診断率100%を維持するだけでなく、すべての患者様のめまいが治るよう、『正しい診断、適切な治療でめまいは治る』を目標に頑張っていきますので、『めまいセンター』をこれからもどうぞよろしくお願いいたします。
「めまいセンター」について
お問い合わせ:医療法人徹慈会 堀病院 耳鼻咽喉科外来(TEL 084-926-3387)
診察費用(初診):3割負担の場合で約5000円程度
<企業情報>
医療法人徹慈会 堀病院
広島県福山市にある耳鼻咽喉科を中心とした病院。
眼科、内科、形成外科、皮膚科、整形外科、小児科、アレルギー科、接骨院を併設しており、同市内に分院を5つ運営している。
<取材の問い合わせ先>
メール:a-yamamoto@hori.or.jp
電話:080-4781-6588 (医療法人徹慈会 広報 山本まで)
<関連リンク>
医療法人徹慈会 堀病院: https://hori.or.jp
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