社会保障経済研究所:2025年以降への提言 Vol.1
社会保障経済研究所ディスカッションペーパー/2024年12月25日
社会保障経済研究所(代表:石川和男、以下IIGSSP)は、2025年以降へのAIを含むデジタルイノベーション加速時代においてますます重要性を増すエネルギーの『大量・安価・安定』な供給態勢を構築するため、以下の提言を公表いたします。
国際的な産業競争力の強化 と 地域経済の基盤強化へ
エネルギー価格の低廉安定化のための原子力最大活用を
エネルギー資源の大部分を輸入に依存せざるを得ない日本は、これまでも国を挙げてエネルギー価格の安定化・上昇抑制に努めてきました。しかし、国際情勢の不安定性の継続、2011年の東日本大震災(311震災)による福島第一原子力発電所事故以降のエネルギー分野の状況変化、DXの進展、世界的なエネルギー資源供給制約の高まり、資材調達コストの上昇、円安などにより、ガソリンや電気、ガス料金の高止まり傾向が続いています。
大都市圏を中心として、イノベーションの進展により電力需要が反転急増し、『大量・安価・安定』な電力供給へのニーズが再び高まっています。とは言え、311震災以降の原子力発電所再稼働を進めない規制行政や政治状況が続けば、今後ますます、経済成長率を大きく超えるエネルギー価格上昇が進むでしょう。政府はエネルギー価格補助によって消費者負担を抑える施策を打ってきましたが、これは「焼け石に水」で、持続可能ではありません。
その克服策として最も合理的なのが、既設原子力発電所を再稼働させることです。これはおカネのかからない経済対策でもあります。原子力を最大限活用することで、化石燃料輸入量とその費用が大幅に削減されます。その分の国富を国内投融資に回すことで、地域経済や雇用情勢を好転させることができます。
また、既設原子力発電所のフル活用とともに、その廃炉後を見越して、新技術導入を伴った原子力発電所の新増設が必要になります。今後当面は、いわゆる『脱炭素』推進のための化石燃料の使用合理化・削減を進めていかなければなりませんので、それを補完するためにも、短・中期的には原子力発電施設の新増設の具体化が必須になるはずです。
<提 言>
原子力規制行政の改革 ~ 原子力規制委員会設置法の改正
今の異常かつ過剰な原子力規制を合理的な規制に改正する ーーー 311震災後に設置された原子力規制委員会が、その「独立」性に偏執するあまり、政治が口を出せないほど「孤立」している。
原子力事業は国策であるため、その安全性の確保や事業の帰趨は、最終的には国政の責任下にあります。原子力事業の存廃等に関して政治判断が入ることのできない今の原子力規制行政を見直し、政治責任において原子力政策を進められるよう、原子力規制を巡るルールを早期に是正すべきである。
そのため、原子力規制委員会の在り方について、国家行政組織法第3条に基づく三条委員会であることを廃し、新たに原子力規制担当大臣を設置することで、政治の最終責任において安全規制等を執り行うようにすべきである。
「地元同意」ではなく「国政判断」とすべき
原子力発電所の再稼働や新増設に関する、いわゆる「地元同意」は、法律事項ではなく、立地道県と原子力事業者の間の“協定”である。今の実態は、原子力規制委員会が『稼働許可』を出したとしても、立地道県の知事が事実上の許可権を握っているに等しい。国策である原子力事業は一の道県政の範疇で収まるものではない。
再稼働や新増設に係る最終判断は、「道県知事の責任にしてしまう今の運用」を改めるべきであり、そのためにも、内閣総理大臣が判断するよう法整備すべきである。
原子力発電所の新増設を進め始めるべき
『大量・安価・安定』な電力供給へのニーズの高まりに対して、既設原子力発電所のフル活用とともに、その廃炉後を見越して、新技術導入を伴った原子力発電所の新増設が必要となる。
そのため、原子力発電所の新増設に向けて、具体的な検討を始めるべきである。
社会保障経済研究所(代表:石川和男)
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