日本初!低軌道衛星通信を活用した外航船員向け洋上リアルタイムオンライン総合医療サービス「(仮)Maritime Smart Care360」実証実験を開始
八馬汽船株式会社と、航行中の船員の健康管理向上に向けたトライアル契約を締結
株式会社Kirarin(本社:東京都中央区、代表取締役:村上誠治)と、八馬汽船株式会社(本社:神戸市中央区、代表取締役社長:篠崎宏次)は、サービストライアル契約を締結しました。2025年2月下旬より、日本とオーストラリアを結ぶ航路において、外航船員向け統合型健康管理プラットフォーム「(仮)Maritime Smart Care360」の実証実験を、日本で初めて開始します。※
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※自社調べ 2025年1月 低軌道衛星を利用した日本国内の外航船員向け統合型健康管理プラットフォーム実証実験において
【実証実験実施の背景】
①背景
海運業界では、安全運航の確保や運営コスト削減に加え、船員の労働環境の改善が喫緊の課題となっています。長期間船上で過ごす船員のメンタルヘルスケアや、LGBTQ+に関する課題は、国際的なコンプライアンスの観点からも労働環境改善の最重要課題と位置付けられています。船員の心理的負担を軽減し、多様性を尊重する環境の整備が求められる中、医療支援の充実はその実現に不可欠な要素となっています。
八馬汽船株式会社の参加経緯
八馬汽船株式会社は、日本郵船グループに属し、外航海運業および船舶管理業務を行う企業です。同社は、2023年2月1日に「健康企業宣言」を行い、従業員の100%健康診断受診、ウォーキングキャンペーンや健康セミナーの実施など、オフィス環境の整備とあわせた積極的な健康増進施策を展開してきました。その結果、2024年4月2日に健康優良企業「銀の認定」を取得し、従業員の健康を通じた「安全運航」の実現に取り組んでいます。今回の実証実験も、その一環として、船員の健康管理の向上を目指したものです。
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②洋上医療の課題
外航船に乗務する船員は、航海中の通信環境が限られているため、陸上のように医療へのアクセスが困難な環境にあります。そのため、無線通信を利用した医療助言が医師によるアドバイスを受ける手段として活用されています。洋上現場では以下の課題が存在していました。
· 限定的な医療アクセス
無線医療機関へのアクセスが極めて限定的であり、陸上と比較して処置対応、必要な専門医に相談するまでの時間が極めて長い。
· コミュニケーションの制約
無線通信を通じた医療助言では、医師が限られた情報(口頭説明や静止画)から判断を下さなければならず、症状の詳細や緊急度を正確に伝えることが難しく、適切な助言が得られにくい。
· 衛生管理者への過度な負担
船内の衛生管理者が船員の健康状態を把握し、適切な対応を行う負担が大きい。医療知識が限られる中、より精度の高い判断が求められ精神的・肉体的な負担が増大。
· 言語・文化の壁
外国籍船員の場合、母国語での相談が難しく、医師との意思疎通が十分に図れないことがある。また、医療通訳や機械翻訳を介しても専門用語やニュアンスが正確に伝わらないケースが発生。
· 症状の客観的判断が困難
体調不良を感じた際に、船員自身が判断に迷い、相談のタイミングを逃すことがある。早期に健康リスクを検知する仕組みが必要。
· 軽度症状時の医療相談ハードルの高さ
洋上では医療のリソースが限られているため、緊急時や重症時には医師への相談が行われるものの、軽度の症状では相談をためらう傾向がある。陸上であれば日常的に近くの医療機関で受診できる症状でも、洋上では医療アクセスが制限されているため、早期に病変リスクを察知する健康相談が難しいのが現状。このような課題を解決するため、「(仮)Maritime Smart Care360」は、低軌道衛星通信を活用したリアルタイムのオンライン医療相談サービスを提供し、船員の健康管理を大幅に向上させることを目指します。
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【(仮)Maritime Smart Care360概要】
本サービスは、船員の健康状態を24時間体制でモニタリングし、陸上のような医療相談環境を目指すための統合型健康管理プラットフォームです。
【(仮)Maritime Smart Care360ポイント】
①オンライン医療相談(リアルタイムビデオ通信)
• 24時間365日の対応体制
船上においても、専門医による迅速な医療助言が可能。
• 300名以上の医師ネットワーク
内科、外科、皮膚科、婦人科、歯科、精神科など20以上の診療科目をカバー。
• 多言語対応
日本語、英語、中国語など、外国籍船員にも母国語で対応可能。
②船内セルフ検査との連携
「セルフ・ドクター」機器を活用した指頭採血検査を導入し、オンライン医療相談と連携することで、より精度の高い健康管理と早期リスク検知を実現します。事前に血液検査データを取得することで、症状が進行する前に適切な対応を講じることができ、オンライン医療相談と統合することで、医師がより的確なアドバイスを提供可能。
指頭採血による検査システム「セルフ・ドクター」機器を用いた健康チェック。
精度の高い健康リスク判定血液検査データとオンライン医療相談の結果を統合し、早期リスク検知
③指頭セルフ採血による出航直前血液検査
乗船直前に指頭セルフ採血による血液検査を実施し健康状態を把握することにより、洋上での健康ケア・食事メニュー改善に役立てることが出来ます。
【経営課題解決への貢献】
「(仮)Maritime Smart Care360」の導入により、以下のような経営面でのメリットが期待されます。
· 船員の健康維持による労働生産性向上
· 病欠・離職率の低下による人材確保の安定化(船員交代数削減)
· 緊急医療対応コストの削減(緊急寄港削減)
· 船内衛生管理者の負担軽減による業務効率向上
· SDGs 3(すべての人に健康と福祉を)、5(ジェンダー平等)、8(働きがいも経済成長も)
達成に寄与し、企業の社会的責任(CSR)向上
【実証実験の概要】
実証実験航路:日本~オーストラリア間の2航路で実施されます。
対象船舶数:2隻
対象船員数:40名(健康管理データのサンプル収集目的)
期間:2025年2月下旬から4月中旬まで
方法:
・リアルタイムビデオ通話によるオンライン医療相談の実施。
・出航直前血液検査(指頭セルフ採血)
・定期的なセルフ検査とデジタルデータの取得。
・メンタルヘルスチェックのためのオンラインカウンセリング実施。
評価指標:医療相談件数、症状の早期発見率、メンタルヘルス改善度、事故リスク低減効果。
データ活用:取得データを健康管理のベンチマークとし、サービス改善や他航路への展開計画に反映。
【今後の展開】
本実証実験で得られた知見をもとに、以下のステップでサービスの本格展開を進めてまいります。
• システムの改善および運用体制の最適化を実施。
• 他航路や他船主企業への横展開を促進し、より多くの船員が利用可能な体制を構築。
• 医療機関、保険会社、政府機関との連携を深め、海運業界全体の医療支援モデルの確立。
八馬汽船株式会社 取締役船員管理部長 加藤潔一氏のコメント
外航船においては、航海中に病人や怪我人が発生しても、航海の長さ、航行区域、さらに通信環境の制限により、陸上の医師からの助言を十分に得ることが困難でした。本サービスは航海中であっても、医師がリアルタイムのビデオ通信により直接状況を確認することができ、状況に応じた適切な助言を提供できる点が大きなアドバンテージです。今回のトライアルを通じて、将来的には本サービスを進化させ、陸上で体調が悪い時には通院するように、海上においてもいつでもどこでも相談できる環境が構築されることを期待します。
【提携6社の役割と連携体制】
本プロジェクトは、以下の6社が専門分野の知見を結集し、洋上での包括的な健康管理システムを構築しています。
海運業界における外航船員の健康管理を支援するため、株式会社Kirarinを含む6社は、日本初となる低軌道衛星を活用した外航船船員向けの統合型健康管理プラットフォーム「(仮)Maritime Smart Care360」を構築。
株式会社Kirarin(プロジェクト統括・サービス運営)
株式会社デルタバイオメディカル(遠隔医療・検査サービス支援)
YOKUMIRU株式会社(24時間365日オンライン医療相談)
株式会社ジョーズコーポレーション(外国人船員向け多言語医療相談)
ジャパン・メディカル・リーフ株式会社(指頭採血セルフ検査・キット提供)
https://www.jmleaf.co.jp/company.html
株式会社マクロ・ビオ(高感度簡易定量検査機器提供)
【会社概要】
■株式会社Kirarin(設立令和2年6月)
代表者:代表取締役 村上誠治
本社住所:東京都中央区銀座7−13−6サガミビル2階
事業内容:・オンライン医療サービス企画事業・建物管理事業(清掃管理)・消毒サービス事業 (LNG船・特殊清掃・消毒用サニテーション)
■八馬汽船株式会社(設立1925年1月(創業1878年))
代表者:代表取締役社長 篠崎宏次
本社住所:神戸市中央区京町74番地京町74番ビル7階
事業内容:・船舶運航事業・船舶管理事業
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