高校生が「友人への寄り添い方」を学ぶ こどもの自殺対策の推進に向けたワークショップを全国初開催しました
こども家庭庁は、「こどもの自殺対策の推進に向けたデジタル広報啓発事業」の一環として、初めて高校生を対象にしたワークショップを長野日本大学高等学校(長野県長野市)にて、1月17日に開催しました。
■実施概要
本ワークショップは、自殺につながるような深刻な悩みについて学び、悩みを持つ友人にどのようなサポートができるかを理解することを目的に、長野日本大学高等学校の探求創造学科1年生34名に対して実施しました。
前半は、 NPO法人第3の家族 代表 奥村春香さんと、NPO法人Light Ring. 代表理事 石井綾華さんから、こどもが持つ深刻な悩みの現状と、友人を支えるためのコミュニケーション方法について講義を行いました。後半は、グループに分かれ、同NPO法人らと共同で企画したカードゲームを活用したワークを行い、深刻な悩みを持つ友人に寄り添うサポートを考え、発表を通して学びを深めました。
■実施の背景
令和2年以降、小中高生の自殺者数は高止まりを続け、令和6年は527人(暫定値)と過去最多となっており、喫緊の課題となっています。こども家庭庁では、今年度から「こどもの自殺対策の推進に向けたデジタル広報啓発事業」を開始し、こどもの自殺対策に関わる有識者とともに、どのような対象にどのような広報が必要か、検討を重ねてきました(有識者の一覧は後述)。
初年度の取組として、本ワークショップに加えて、大人を対象とした深刻な悩みを持つこどもの変化への気づき方と気づいた際のサポート方法を学ぶ講演会や、幅広い世代に対するこどもの自殺に関する全国的な意識調査を行い、今後のこどもの自殺対策における広報啓発の方向性を検証することとしています。
長野県は、”子どもの自殺ゼロ”を掲げ、『子どもの自殺危機対応チーム』の取組が全国のモデルケースとされるなど、積極的な取組を行っていることから、本ワークショップと講演会の開催地として選ばれました。
■ワークショップの様子
ワークショップ前半は、奥村さん、石井さんより、深刻な悩みを持つこどもの声や、友人を支えるためのコミュニケーション方法についてお話しいただきました。
奥村さんは、こどもの自殺が増加している現状や、自身のNPOに寄せられている深刻な悩みを持つこどものリアルな声について紹介し、「悩みを持っていなさそうな子に見えても悩みがあるかも」と語りかけました。
また、石井さんは聴くことが大事なコミュニケーションであることや、担任の先生やカウンセラーにつないでも良いことを述べ、「相手に気に掛けていると伝えることが大切」と、 寄り添うことの重要性を訴えました。
後半は、NPOと共同企画したカードゲームを行いました。
ゲームは、悩み役とサポーター役、観察役の3役に分かれて実施。悩みが書かれた「お悩みカード」と、その悩みによって自分がどのような状況になっているかを示す「状態カード」を悩み役が引いてサポーター役に提示します。サポーター役は、悩みの内容や相手の性格などを考慮しながら、適切なサポートについて相談し、「サポートカード」から3つのサポートを選択。悩み役とサポーター役それぞれが選んだ「サポートカード」を照らし合わせながら互いの意見を交換しました。
生徒らは、自分と友人との間で感情や考え方に違いがあることを体感し、深刻な悩みを持つ友人の気持ちを想像することの難しさや、話を聴くこと・寄り添うことの重要性について理解を深めました。
■参加した生徒の感想
生徒①
「自分だったらこうしてほしいって思うことは、相手にとっては、してほしいと思わないこともある、と思うので、そういった意見の違いが難しかった。自分ができることを探して、アドバイスやサポートをしていけたらと思う。」
生徒②
「明るい人でも、何考えているかわからない人でも、きっと一人一人に悩みごとはあると思った。
自分にとって小さいことでも相手にとってはとても重要なことかもしれないので、相談されたときは全力で聴きたい。」
また、当日行われたワークショップの様子は、同席したイラストレーターによって、状況を絵や文字で可視化するグラフィックレコーディングによって記録され、完成図は学校側にも後日共有されました。
■ワークショップ概要
開催日時 |
令和7年1月17日(金)8:45~10:25 |
会場 |
学校法人長野日本大学学園 長野日本大学高等学校 (長野県長野市大字東和田253-3) |
プログラム |
・挨拶 ・講義「こどもが持つ深い悩みと、友人を支えるためのコミュニケーション方法について」 ・グループワーク ・発表 |
■講師紹介
講師 石井綾華氏(NPO法人Light Ring. 代表理事)
精神保健福祉士。平成24年にNPO法人化。NHK総合「日曜討論」等のメディア出演多数。こども家庭庁「こどもの自殺対策デジタル広報啓発事業」検討委員などを歴任。日本質的心理学会「国際フロンティア奨励賞」を受賞。10~20代を中心としたゲートキーパーの養成および支援を全国で唯一実施。行政との連携を通じ、子ども若者の自殺予防の最前線で尽力している。
講師 奥村春香氏(NPO法人第3の家族 代表)
弟の自死をきっかけに活動を始める。LINE株式会社Product Designerを経て、学生時代から続けていた第3の家族を令和5年にNPO法人化。Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2023。グッドデザイン・ニューホープ賞最優秀賞、法政大学理系同窓会成績優秀者など数々の受賞歴をもつ。
有識者検討会委員(敬称略・団体名順)
NPO法人あなたのいばしょ 理事長 根岸督和
NPO法人OVA 代表理事 伊藤次郎
NPO法人Light Ring. 代表理事 石井綾華
NPO法人自殺対策支援センターライフリンク 情報デザイングループリーダー 鈴木洋平
一般社団法人いのち支える自殺対策推進センター(JSCP) 広報室長 山寺香
株式会社官民連携事業研究所 代表取締役 鷲見英利
株式会社大広WEDO チームリーダー 谷本卓哉
日本放送協会 大阪放送局 ディレクター 後藤怜亜
報道におかれましては、WHO(世界保健機関)発行の『自殺予防を推進するためにメディア関係者に知ってもらいたい基礎知識2023年版』を踏まえた対応をお願い申し上げます。
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