日本産科婦人科学会、妊婦と医療従事者に向けて「母子免疫」の重要性を伝える啓発動画3本を制作・公開

RSウイルス感染症・百日咳における妊娠中のワクチン接種をわかりやすく解説。専門医・医療者・妊婦が連携し、母子の命を守る未来へ。

公益社団法人 日本産科婦人科学会(理事長:加藤聖子、以下「JSOG」)は、妊婦とその家族、ならびに医療従事者に向けて、「母子免疫(マターナル・イミュニゼーション)」の重要性を伝える啓発動画3本を制作いたしました。本動画は、母子の命を守る手段として注目される妊娠中のワクチン接種について、正しい知識と理解を広げることを目的とし、アニメーションおよび医師による解説を通じてやさしく丁寧に構成されています。

【動画掲載ページ】
日本産科婦人科学会 女性を脅かす感染症:https://www.jsog.or.jp/citizen/7042/

AMED研究開発課題「ライフコース予防接種時代のワクチンの有効性と安全性評価に関する研究(課題番号 JP 25fk0108710)」の支援を受けています。

背景

RSウイルスと百日咳、そのリスクと母子を守る新しい手段「母子免疫」

妊娠中や乳児期の赤ちゃんは、免疫機能が未成熟なため、感染症に対する抵抗力が弱く、重症化しやすい傾向があります。特に生後まもない赤ちゃんにとって、RSウイルス感染症や百日咳は命に関わる重大なリスクとなり得ます。

RSウイルス感染症は、2歳までにほぼすべての子どもが感染するウイルス感染症であり、風邪に似た症状から始まりますが、乳児では肺炎や細気管支炎などの重症化を引き起こすことがあります。とくに生後6か月未満の乳児は重症化のリスクが高く、日本では毎年約10万人以上の乳幼児がRSウイルスで医療機関を受診しています。

一方、百日咳は激しい咳発作が長期間(時に100日以上)続く細菌感染症であり、成人では軽症で済むことが多いものの、乳児に感染すると無呼吸や脳症など、生命に関わる重篤な合併症を引き起こすことがあります。国内では年間数千人の報告があり、特に生後3か月未満の赤ちゃんが予防接種を受けられる前に感染するケースが多く、感染源の約半数は母親であるとされています。

こうした背景を受け、近年注目されているのが「母子免疫(マターナル・イミュニゼーション)」です。これは、妊娠中に母親がワクチンを接種することで、胎盤を通して赤ちゃんに抗体が移行し、生後すぐから感染症への防御力を獲得できるという仕組みです。

概要

妊婦さん・医療従事者、それぞれに届けたい啓発動画を制作

今回制作された3本の啓発動画は、対象ごとに異なる視点と構成で制作され、妊婦さんとその家族、ならびに医療従事者それぞれに必要な情報が届くよう配慮されています。

  • 妊婦とその家族向け(アニメーション):
    母子免疫のしくみや意義を視覚的にわかりやすく紹介し、家族全体で理解を深められる構成。

  • 医療従事者向け(専門医出演):
    RSウイルス感染症・百日咳それぞれについて、専門医が科学的根拠に基づき詳しく解説し、臨床現場での説明支援に役立つ内容。

これらの動画は、医療機関の待合室モニター、妊婦健診の説明補助、院内研修、学会での教材など、さまざまな医療現場での活用が想定されています。

【妊婦さん向け】

タイトル:知ってる!?母子免疫ワクチン

URL https://vimeo.com/1075880639/b6428cca58?share=copy

妊婦がワクチンを接種することで、母体の抗体が胎児に移行し、生まれてすぐの赤ちゃんを感染症から守る「母子免疫」のしくみを、アニメーションを通じてやさしく解説。医師との対話の重要性や家族の理解と支援の大切さを描いており、安心して予防接種を選択するための第一歩を支援します。

<制作スタッフ>

制作:株式会社ナチュラルパラドクス 宇都宮 秀男、三宅 麻美子、株式会社kushami 飯嶋 健司

ディレクター:香取 徹 

編集:株式会社ピクトロジー よしつぐ峻平

【医療従事者向け:RSウイルス感染症】

タイトル:RSウイルスに対する予防法と母子免疫ワクチン

URL https://vimeo.com/1075880553/8acae4c300?share=copy

RSウイルスの流行状況と重症化リスク、母子免疫ワクチンの有効性・安全性について、日本大学医学部 小児科学系小児科学分野 主任教授 森岡一朗先生が解説。外来診療などの現場で妊婦に説明する際のポイントや、対話の工夫についても実践的に紹介します。

<解説>

日本大学医学部 小児科学系小児科学分野 主任教授 森岡 一朗 先生

<制作スタッフ>

制作:株式会社ナチュラルパラドクス 宇都宮 秀男、三宅 麻美子、株式会社kushami 飯嶋 健司

撮影:岸田 浩和

編集:山岡弥生

【医療従事者向け:百日咳】

タイトル:百日咳に対する予防法と母子免疫ワクチン

URL https://vimeo.com/1075880727/e52ec1a041?share=copy

百日咳の感染動向と、現在の国内における予防接種の状況について、医療法人自然堂 峯小児科 理事長 峯眞人先生が解説。米国における母子免疫ワクチンの導入状況や日本国内における母子免疫ワクチンの承認についても触れています。

<解説>

出演:医療法人自然堂 峯小児科 理事長 峯 眞人 先生

<制作スタッフ>

制作:株式会社ナチュラルパラドクス 宇都宮 秀男、三宅 麻美子、株式会社kushami 飯嶋 健司

撮影:岸田 浩和

編集:山岡弥生

動画活用について

3本の動画はJSOG公式ウェブサイトにて公開しています。公開後は、QRコード付きリーフレットなども展開し、現場での情報提供に役立てていただく予定です。

また、本動画は、以下のような場面での活用が期待されています:

  • 妊婦健診時の説明補助やワクチンカウンセリング

  • 医療機関の待合室モニター上映

  • 看護師・助産師・医師向けの院内研修資料

  • 学会や講演会での啓発教材

日本産科婦人科学会 女性を脅かす感染症:https://www.jsog.or.jp/citizen/7042/ 

公益社団法人 日本産科婦人科学会コメント

「妊娠中のワクチン接種は、生まれてくる赤ちゃんを感染症から守るという大きな意義があります。近年では、母子免疫の有効性や安全性が多くの研究で示されており、国内外でその普及が進んでいます。それでもなお、『妊娠中にワクチンを打って大丈夫なのか』と不安を抱える妊婦さんや、『どう説明すれば伝わるのか』と悩む医療者の声を耳にします。だからこそ、私たち産婦人科医が、科学的根拠に基づいた正しい情報を伝え、妊婦さんとそのご家族に安心して選んでいただける環境を整えることが大切です。今回の動画が、妊婦さんやご家族、医療従事者をつなぎ、母子の健康を守る一歩となることを願っています。」

公益社団法人 日本産科婦人科学会について

公益社団法人 日本産科婦人科学会(Japan Society of Obstetrics and Gynecology:JSOG)は、1899年の設立以来、日本における産婦人科領域の学術的発展と医療水準の向上、ならびに母子の健康の維持・増進を目的として活動している学術団体です。全国の産婦人科医・研究者を会員とし、診療ガイドラインの整備、専門医制度の運営、教育研修の実施、疫学調査や国際連携、政策提言などを通じて、女性のライフステージに寄り添った医療の発展に寄与しています。また、近年では母子保健に関わる啓発活動にも注力し、妊娠・出産に関する正しい知識の普及と、社会的理解の促進を目指しています。

所在地:〒104-0031 東京都中央区京橋2丁目2番8号

代表者:理事長 加藤 聖子

設立:1899年(1901年 学会創立、2011年 公益社団法人化)

会員数:およそ16,000名(産婦人科専門医、関連医療者を含む)

公式サイト:https://www.jsog.or.jp/

本件に関するお問い合わせ先

公益社団法人 日本産科婦人科学会 感染対策連携委員会

広報担当:飯嶋(代行:株式会社kushami)

Mail:jsog@kushami.jp

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ビジネスカテゴリ
医療・病院出産・育児
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会社概要

URL
https://www.jsog.or.jp/
業種
財団法人・社団法人・宗教法人
本社所在地
東京都中央区京橋2丁目2番8号
電話番号
-
代表者名
加藤聖子
上場
未上場
資本金
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設立
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