農地をもっと効率的に「農地集約プログラム」参加市町村を募集

マッチングアルゴリズムで“耕したい”と“耕したくない”をつなぐ──市町村と挑む農地集約の社会実験

東北学院大学 黒阪研究室

東北学院大学の黒阪健吾研究室では、農地集約プログラム(以下「本プログラム」)を実施する市町村を公募します。本プログラムは、農家の耕作意向をWebアプリケーションで収集し、マッチングアルゴリズムを用いることで効率的な農地集約案を作成する取り組みです。本事業ではプログラムの効果をより客観的に検証するため、ランダム化比較実験(Randomized Controlled Trial:RCT)という実験手法を用いて、プログラム実施地区と非実施地区における農地利用の変化を比較分析いたします。

研究の背景

日本農業最大の問題点は、農家の耕作地が複数箇所に分散する、いわゆる「分散錯圃」(ぶんさんさくほ)にあります。農家の作業時間の10〜15%が圃場間の移動に割かれるという事例研究もあるなど、農家は自身の耕作地を集約して移動時間を短縮するインセンティブを持ちます。

しかしながら、わが国では農業所得の不安定さや農地の資産保有意識などにより、農地の取引が活発に行われているとは言い難い状況にあります。また、農地の貸し借りの調整も人の手で行われているという技術的な制約などから、農地の集約・集積はなかなか進んでいません。

このような分散作圃の解決を目的として、東北学院大学黒阪研究室では農家の耕作意向情報(「耕作したい農地」はどこか、「耕作したくない農地」はどこか)を専用Webアプリを通じて収集し、「耕作したい農地」と「耕作したくない農地」をマッチングさせる農地集約システムの開発を進めてきました。

農地集約システムの概要

農地集約システムは、PCやモバイル端末を⽤いて農家から耕作地に対する選好情報を収集し、これらの選好情報とマッチング理論に基づいたアルゴリズムを⽤いることで、農家が納得できる農地の集約案を⾃動的に作成するものです。この集約案をたたき台とすることで、市町村が地域計画を作成する⼿間を⼤幅に短縮するほか、話し合いだけでは気付くことが難しい潜在的な農地交換の可能性を発⾒できる画期的なツールです。(特許出願中 出願番号:2023-080941)

これまでの成果

これまで2022年度から2024年度にかけて実証実験を行い、直近の2024年9月3日~2025年2月7日に岩手県盛岡市で31軒の農家、2304筆の農地を対象とした実証実験には16軒の農家が参加しました。

2024年度の岩手県盛岡市における実証実験の主な成果

  1. 農地の交換: 新たに「耕作したい」農地と今後は「耕作したくない」農地の意向が14組マッチング

  2. 圃場の分散解消: 平均中心距離(圃場の分散の度合)が最大12.3%減少

  3. 農地集約の進展: 平均団地面積(ひとかたまりと見なせる農地の平均的な大きさ)が最大11.4%増加

  4. 参加農家が入力した耕作意向の実現: 

    • 「耕作したい」農地の入手率 9.7%(最大100%)

    • 「耕作したくない」農地の放出率 18.4%(最大100%)

2024年度に岩手県盛岡市で行った実証事業の詳細については、2025年3月31日付の東北学院大学プレスリリースをご参照ください。また、これまで2024年度の盛岡市での実験を含む4つの実証実験を実施しており、計135件の耕作意向がマッチングし、その中には実際に耕作権の交換に至った事例もあります。各実証事業の詳しい情報につきましては、当研究室のウェブサイトをご覧ください。

(リンク)

産官学連携による農地集約の実証実験(東北学院大学)

農地集約プログラムー事例・実績(東北学院大学黒阪研究室)

今回の実証事業について

今回の実証事業は、この農地集約システムを使用して農地集約事業を行う農地集約プログラムが分散錯圃の解決にどの程度有効であるのか、農家の生産活動にどのような影響を与えるのかについて、全国の市町村を対象とした大規模な検証を行うものです。

実証事業は市町村単位で行い、ランダム化比較実験(RCT)と呼ばれる実験手法を用います。これは、参加市町村にプログラムを実施する候補を2地区挙げていただき、当研究室においてそのうち1つを実施地区(処置群)、残り1地区を非実施地区(対照群)としてランダムに選定するものです。そのうえで、実施地区と非実施地区の事業実施前後における農地利用の変化を比較いたします。

応募方法

実証事業に参加を希望する方は、研究室のWebサイトに掲載された公募要項をご覧のうえ、同サイトの電子申請フォームよりお申し込みください。また、ご質問や詳細をお知りになりたい場合は個別Web相談会を開催可能ですので、希望される方は同サイトの予約フォームからお申し込みください。

(リンク)

農地集約プログラムーRCT公募(東北学院大学黒阪研究室)

ポイント

  • 応募は市町村が行うこと

  • 対象は米を生産している農地であること

  • 市町村は2つの地区を候補として応募し、当研究室がランダムに選ぶ一方の地区で事業実施すること

  • 事業費は不要となること(大学が費用負担)

  • 応募締切は6/6(金)17時

  • 応募は研究室のWebウェブサイトの電子申請フォームから

  • 個別Web相談会を開催可能であり、希望者はWebサイトの予約フォームから

公募スケジュール

  • 申請受付:2025年4月25日~6月6日

  • Web相談会:2025年5月8日〜6月5日(指定日程)

  • 審査期間:2025年6月中旬

  • 採択通知:2025年6月下旬(電子メールにて通知)

  • 共同研究契約締結:2025年7月下旬

  • 事業開始:2025年8月以降

本事業を通じて、各市町村における農地活用の実態に合わせた新たな施策の可能性を探ることができると考えております。下記の「プレスリリース添付資料.pdf」にあります公募要項をご覧の上、奮ってご応募いただきますようお願い申し上げます。

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会社概要

東北学院大学 黒阪研究室

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URL
https://www.nouchimatching.com/
業種
教育・学習支援業
本社所在地
宮城県仙台市青葉区土樋1丁目3−1 東北学院大学
電話番号
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代表者名
黒阪 健吾
上場
未上場
資本金
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設立
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