オランダ代表団が大阪万博で最先端統合フォトニクス技術を紹介、日本とのパートナーシップを推進

【オランダ・アイントホーフェン 2025年5月28日】2025年5月21日から28日にかけて開催された大阪万博および国際会議で、オランダはディープテックおよびデジタル化分野における最先端の技術革新を紹介し、日本の関係企業や組織との連携を強めました。オランダ・ディープテック代表団の一員として、フォトニックチップ産業の成長促進機関であるPhotonDelta(フォトンデルタ)が、オランダを代表するフォトニクス集積回路(PIC)のエコシステムを世界に向けて発信しました。

このミッションは、日本との技術協力に取り組むオランダの姿勢を示すもので、22日にはオランダ国王ウィレム=アレクサンダー陛下も会場となったヒルトン大阪を訪問しました。これは、ディープテック分野におけるイノベーションの推進において、国際協力の重要性を強く示すものです。
オランダは、PIC分野における世界的な先駆者として高く評価されており、InP(リン化インジウム)、SiN(窒化シリコン)、Al₂O₃(酸化アルミニウム)といった素材を使うファウンドリーサービスから、先進的なパッケージング技術、さらにデータ通信、テレコム、センシング、医療、量子技術といった最先端アプリケーションに至るまで、高度に統合されたバリューチェーンを備えています。
この分野の成長を後押ししているのが、オランダの国家成長基金の支援を受けるフォトンデルタです。同組織は、欧州のフォトニックチップ産業の拡大において中核的な役割を果たしており、PIC技術の産業化、次世代の人材やスタートアップの育成、実用的なアプリケーションの開発、そして国境を越えた市場の連携を推進しています。

5月21日、フォトンデルタは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)とパートナーシップ協定を締結しました。この連携は、両組織およびそれぞれのエコシステムに利益をもたらすとともに、持続可能な社会の実現に必要な技術開発を可能にする見通しです。
5月22日、フォトンデルタを含むオランダ代表団は「HTDXカンファレンス」に参加し、日本の関係者とともに、エネルギー、モビリティ、医療、安全保障といったグローバルな課題解決におけるディープテックの役割について意見交換を行いました。フォトンデルタのエコシステムからは、Aluvia Photonics、Astrape Networks、Demcon、NXP Semiconductors、SuperLight Photonicsの企業に加え、アイントホーフェン工科大学およびトゥウェンテ大学といった有力な学術パートナーも参加しました。
Astrape NetworksのCEO、フランチェスコ・ペソラーノ氏は、「日本はフォトニクス分野の世界的リーダーであり、今回のミッションは、専門知識の共有や市場開拓、長期的な連携強化につながる貴重な機会でした」とコメントしています。
Aluvia PhotonicsのCEO、スティーブ・ストフェルス氏は、「アジア市場にはデータ通信およびテレコム分野で大きな成長機会があると見ています。特にシンガポールと日本は戦略的な拠点です。今回のミッションを通じて、現地のエコシステムやキープレイヤーとつながることができ、国際展開の加速に弾みがつきました」と述べています。
また、SuperLight Photonicsのビジネス開発マネージャー、イェルン・ビスターボス氏は「大阪で国王陛下に当社の技術を紹介できたことは大変光栄でした。日本企業との連携にも大きな可能性を感じています」と語りました。
HTDXの討議において、フォトンデルタのCEOであるエールコ・ブリンクホフ氏は、オランダと日本はフォトニックチップのバリューチェーンにおいて補完的な強みを持つと強調します。

ブリンクホフ氏は日本の関係者に対し、「フォトンデルタは、日本との関係強化に力を入れています。NEDOとのパートナーシップは、フォトニックチップ技術の分野における両国の連携をさらに深めるための力強い出発点です。今回の訪問と、昨年11月の訪問の成果を踏まえ、私たちはすでにNTT、富士通、デクセリアルズ、大日本印刷、スルガ精機、浜松ホトニクス、巴川製紙所など、日本企業との間に有望なつながりを感じています。両国が連携することで、コスト削減や市場投入までの時間短縮が可能になり、異種統合という課題にも対応できます。その結果、より小型で高性能なシステムを実現し、未来の幅広いアプリケーションに貢献できます。競争ではなく共創によって、グローバルに拡張可能なフォトニクス産業をともに築いていきましょう」と、呼びかけました。
5月23日、オランダ代表団はケンブリッジ・イノベーション・センター(CIC)で開催されたワーキングセッションに参加しました。本セッションには、NFIA(オランダ経済省 企業誘致局)、BOM(ブラバント開発公社)、日本の経済産業省(METI)、NEDO、NTT、巴川製紙所、富士通、産業技術総合研究所(AIST)、日本貿易振興機構(JETRO)などが参加し、オランダと日本のハイテク・イノベーションエコシステムの橋渡しに向けた具体的なステップを協議しました。
フォトンデルタとそのパートナーは、日本の企業や研究機関との連携を積極的に模索しています。主な関心分野は、フォトニックチップ関連企業、大学、研究開発機関(RTO)とのパートナーシップに加え、データ通信、センシング、医療、LiDAR、量子技術などの分野での連携です。さらに、異種統合技術、CPO(Co-Packaged Optics)の実装、ベンチャーキャピタルとの協業による欧州市場展開にも高い関心を寄せています。
PhotonDelta(フォトンデルタ)について
フォトンデルタは、フォトニックチップの設計・開発・製造に至るバリューチェーン全体を支援する非営利組織です。オランダおよび欧州のフォトニックチップ産業と、その技術の可能性や利点を世界に広め、より良い社会の実現に貢献する革新的なソリューションの創出に取り組んでいます。
同組織は、スタートアップ支援、新たなアプリケーションの創出、インフラ整備や人材の育成にも注力。総額11億ユーロ(約1800億円)におよぶオランダ政府からの支援を活用し、フォトニックチップ産業の加速的な発展を牽引する存在となっています。
お問い合わせ先
Florian Federer(フローリアン・フェデラー)
florian@photondelta.com
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