【長崎・小浜】2025年9月14日(日)より展覧会「プロジェッティスタ城谷耕生-イタリアから雲仙小浜へ ひとりのデザイナーの軌跡」が開催
会期:2025年9月14日〜11月2日(土日・祝日のみ開場)/ 会場:KO-SHA 他(長崎県雲仙市小浜町)/ 入場料:無料

「プロジェッティスタ城谷耕生展」について
2025年9月14日(日)より、ながさきピース文化祭2025の一環として、展覧会「プロジェッティスタ城谷耕生—イタリアから雲仙小浜へ ひとりのデザイナーの軌跡」を開催します。本展は、2024年に東京ミッドタウン・デザインハブで開催された企画展「PROGETTAZIONE (プロジェッタツィオーネ) イタリアから日本へ 明日を耕す控えめな創造力」を引き継ぎ、城谷耕生の地元・長崎県雲仙市小浜町で、その作品と活動により深く焦点を当てた内容となります。
デザイナー城谷耕生(1968-2020)の創造活動の根幹には、現代の商業主義的なデザインとは一線を画す、イタリアンデザイン初期の思想と実践(プロジェッタツィオーネ)がありました。それは、社会性と倫理性に富み、企業の利益よりも共同体のための創造と市民全般への教育を使命としていました。この思想をイタリアで学んだ城谷は、帰国後、故郷の小浜町に拠点を定め、九州各地の伝統工芸職人たちとの共同作業や地元小浜の刈水地区の地域づくりなどにおいて貴重な仕事を残しています。本展は、彼の業績を振り返り軌跡を辿りながら、これからの社会における、生き抜く力としての創造力の方向性を問い直すものです。
ながさきピース文化祭2025:https://bunkasai2025.nagasaki-tabinet.com/


イタリアのデザインというと、今では「ミラノデザインウィーク」を思い浮かべる方がほとんどでしょう。毎春開催される世界最大規模のデザインの祭典が象徴するのは、消費主義の一端を担う現代のデザインの典型的な姿ですが、ミラノには、それとは似て非なる「もう一つのデザイン」(当時はそれを「プロジェッタツィオーネ」と呼びました)が、第二次大戦後に花開いていた歴史があります。1990年代の大半をミラノで過ごした城谷耕生は、特にイタリア時代の後半にイタリアンデザインの基礎を作った巨匠数人と密接な協働関係を持つことになり、そこで商業主義のデザインではなく、人間性や倫理観を大事にし、企業の儲けよりも社会と人間の生活の改善を本当に目指した「もう一つのデザイン(プロジェッタツィオーネ)」を身につけて帰り、それを祖国日本で花開かせた、恐らく唯一の日本人デザイナーです。
生憎城谷は2020年12月に52歳という若さで他界しましたが、我々は、城谷が日本に持ち帰った「もう一つのデザイン(プロジェッタツィオーネ)」の中に、環境も社会も人々の精神も危機的な状況にある現代社会が必要とする価値観や方法論が沢山詰まっていることに注目し、観客の皆さんとともに改めて彼の足跡を辿り直してみたく思いました。
雲仙市小浜町出身で、2002年に帰国後小浜を拠点に活動した城谷の仕事は、昨年の春に東京六本木のミッドタウン・デザインハブで開催された展覧会「PROGETTAZIONE—イタリアから日本へ明日を耕す控えめな創造力」(2024.3.22-5.6)の第一部でも既に紹介しておりますが、今回は、特に彼の業績を成果物としての製品たちよりも、そこに至るプロセスに注目し、彼がどういう形で作り手(職人、職工)の創造力を鍛えようとしたか、という、城谷の教育者としての側面に特にフォーカスして展示を作っております。
会場は、雲仙市小浜の中にある以下の3ヶ所です。城谷のイタリア時代を語る第1部「イタリア青年時代」、九州各地および韓国扶余で行った伝統工芸の職人たちへの教育活動を語る第2部「職人を育てる教育者としてのプロジェッティスタ」、そして城谷自身のものづくりの繊細さを語る第3部「かたちのクオリティ」をおさめるメイン会場は、シロタニ木工のショールームでもあるKO-SHA。そして、アシスタントには「残業するのはプロじゃない」と言うのが口癖で、いつも夕日を見ながらアペリティフを楽しんでいた城谷の生活哲学を知って頂くために、KO-SHAからすぐそばの海辺にある城谷の元スタジオを、使われていたままの状態でご覧頂けます。さらに、2012年から城谷が始めた、小浜の中の過疎地である刈水地区における、デザインを介して地域と関わる活動を語る第4部「生活環境のプロジェッタツィオーネ」の展示は、刈水地区の中心に城谷が2013年に開店したショップ兼カフェ刈水庵とその向かいのギャラリースペースにおいてご覧頂けます。
過去開催実績:東京ミッドタウン・デザインハブ第107回企画展 PROGETTAZIONE (プロジェッタツィオーネ) イタリアから日本へ 明日を耕す控えめな創造力



東京ミッドタウン・デザインハブ 第107回企画展
「PROGETTAZIONE (プロジェッタツィオーネ) イタリアから日本へ 明日を耕す控えめな創造力」
会期:2024年3月22日(金)〜5月6日(月祝)11:00~19:00 会期中無休・入場無料
主催:東京ミッドタウン・デザインハブ 共催:「PROGETTAZIONE」展実行委員会
運営:公益財団法人日本デザイン振興会
プロジェッタツィオーネ( Progettazione =「プロジェクトを考えて 実践すること」)とは、英語の「Design」という用語が一般的でなかった第二次大戦後のイタリアで円熟したデザイン哲学・方法論です。それは、消費主義社会において企業の利益を追求するためのデザインとは異なり、社会性のある創造と市民全般への教育を使命とする倫理性に富んだものでした。二部構成の本展は、第一部で1990年代のイタリアでprogettazioneの巨匠 アキッレ・カスティリオーニ、エンツォ・マーリらから直接学び、それを故郷である長崎県小浜町に忠実に移植し開花させた城谷耕生氏の仕事と暮らしを通して、progettazione の核心である「控えめな創造力」を紐解きます。第二部では、地域に生きる人間や自然を中心に据えて創造力を発揮する愛知県常滑市、奈良県生駒市、石川県奥能登、福井県福井市の4組の活動に注目。時代と場所を超え progettazione と本質的な相似形を持つ彼らの活動を通して、これから私たちの生きる時代に求められている創造力の在り方について考えます。
(デザインハブwebより)https://www.designhub.jp/exhibitions/progettazione2024
「城谷耕生(しろたにこうせい)」について

1968年長崎県雲仙市小浜町生まれ。1991年イタリアに渡り翌年からミラノに長期滞在。イタリア滞在の終盤に、エンツォ・マーリらイタリアンデザインの巨匠数人と密接に協働する機会を得て、第二次世界大戦後イタリアに花開いた、社会性、倫理性を重視するデザイン(プロジェッタツィオーネ)の根本的な態度と方法論を身につけて2002年に帰国。その後、雲仙市小浜町にSTUDIO SHIROTANIを開設し、デザインや設計の仕事とともに、唐津、小石原、波佐見、別府など九州の伝統工芸の産地の職人たちの創造力の根本的な活性化にも尽力した。佐賀大学、佐賀県立有田窯業大学校、福岡デザイン専門学校などで講師を務めた他、海外(イタリア)での授業、講演経験もあった。イタリアGRANDESIGN最優秀賞、グッドデザイン賞ほか受賞。作品は東京国立近代美術館、長崎県美術館などに収蔵されている。
Studio Shirotani:https://studioshirotani.com/
長崎県雲仙市小浜町について

長崎県雲仙市小浜町は、雲仙・普賢岳を擁する島原半島の西部に位置する、海と山に囲まれた温泉街である。橘湾沿いに湧き出る小浜温泉は日本一の熱量を誇り、町に約30カ所ある源泉からは、温度100度の湯が一日に15,000トン湧き出している。生前の城谷は、橘湾に沈む夕陽を背景に、ゲストや仲間たちと共に温泉蒸し料理を味わい、湯につかり、誰よりも小浜を楽しんでいた。また、城谷の活動に共感し近年デザイナーや職人、料理人などクリエイティブな人材が多数移住してきている。
会場:刈水庵について

城谷は、2012年に小浜で過疎の進む刈水地区をエコヴィレッジと仮想するワークショップ(刈水エコヴィレッジ構想)を実施した。その成果の発表後、高まる地元住民の期待に応える形で、同地区内の大工の棟梁の元屋敷を改装して刈水庵というショップ兼喫茶店を2013年に開店した。一階ショップでは、国内外の工芸家の作品、世界各地の雑貨、さらには刈水庵を運営するスタジオシロタニでデザインした小物などを販売。二階が喫茶スペースで、海と山に囲まれた落ち着いた空間の中でコーヒーやハーブティーを楽しめる。同店は、城谷の逝去後、現在も元の姿のまま運営されている。
刈水庵:https://www.karimizuan.com
会期
2025年9月14日(日)~11月2日(日)土日・祝のみ開場 11:00-17:00
9月/14(日)、15(月祝)、20(土)、21(日)、23(火祝)、27(土)、28(日)
10月/4(土)、5(日)、11(土)、12(日)、13(月祝)、18(土)、19(日)、25(土)、26(日)
11月/1(土)、2(日)
全18日間
会場
・KO-SHA(〒854-0515 長崎県雲仙市小浜町北野739 シロタニ木工敷地内)
・元Studio Shirotani(〒854-0515 長崎県雲仙市小浜町北野739 シロタニ木工敷地奥)
・刈水庵(〒854-0514 長崎県雲仙市小浜町北本町1011)
(長崎空港から車で1時間/JR諫早駅からバスで1時間)
入場料
無料
トークイベント
「城谷耕生の実践と夢の彼方」
9月14日(日)13:30〜17:30/会場:小浜公会堂
登壇者:原田祐馬(UMA/design farm)、山藤旅聞(新渡戸文化中学校・高等学校)、 今井浩恵(SHIRO)、堀田新五郎(翠山大学設立準備会)、吉田田タカシ(アトリエe.f.t.) ほか
「伝統って何だろう?」
10月12日(日)17:30〜19:30/会場:小浜公会堂
登壇者:池田美奈子(編集者)、多木陽介(批評家)、田代かおる(ライター)、山﨑超崇(目白工作) ほか
「小浜/刈水の未来」
11月2日(日)15:00〜17:00/会場:小浜公会堂
登壇者:坂本大祐(オフィスキャンプ)、古庄悠泰(景色デザイン室) ほか
*要予約、詳細は後日、展覧会公式SNSにて発信します。
SNS一覧
X : https://x.com/koseishirotani
instagram : https://www.instagram.com/progettista.koseishirotani/
note : https://note.com/koseishirotani
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展覧会実行委員会

多木陽介(本展実行委員長、批評家、アーティスト)
批評家、アーティスト。1988年に渡伊、現在ローマ在住。演劇活動や写真を中心とした展覧会を各地で催す経験を経て、現在は多様な次元の環境(自然環境、社会環境、精神環境)においてエコロジーを進める人々を扱った研究を展開。芸術活動、文化的な主題の展覧会のキュレーションおよび会場構成、講演、そして執筆と、多様な方法で生命をすべての中心においた人間の活動の哲学を探究する。

田代かおる(キュレーター)
ライター、キュレーター。イタリア、ミラノを拠点にデザイン・建築について取材執筆を行う。主要テーマの一つは、エンツォ・マーリとの対話から読み解く持続可能なデザイン哲学。2018年より日本に拠点を置き、デザイン展キュレーションを手がける。近年の展覧会に「リサーチ! プロセスを魅せるデザイン」展(ATELIER MUJI GINZA)など。多摩美術大学非常勤講師。

坂本大祐(デザイナー)
デザイナー。大阪狭山市生まれ、2006年奈良県東吉野村に移住。2015年国、県、村の事業としてコワーキング施設「オフィスキャンプ東吉野」を企画、デザインし、運営も受託。開業後、同施設で出会った仲間とデザインファーム(同)オフィスキャンプを設立。2018年ローカルエリアのコワーキング運営者と(一社)ローカルコワークアソシエーションを設立、全国のコワーキング施設の開業をサポートしている。

古庄悠泰(グラフィックデザイナー)
グラフィックデザイナー。1989年福岡県糸島市生まれ。九州大学芸術工学部工業設計学科卒業後、長崎県雲仙市小浜町のデザイン事務所Studio Shirotani勤務を経て、2016年同町にて景色デザイン室を設立。長崎県内を中心に、旅館・製造業・農業・飲食店・クリニック・神社・個人作家など様々な分野のグラフィックデザインに取り組む。共著に『おもしろい地域には、おもしろいデザイナーがいる:地域×デザインの実践』。
図録販売情報
展覧会公式図録
価格=2000円(税込)(予定)
120ページ/フルカラー(予定)
*会場、オンラインにて販売予定。
*詳細は後日、展覧会公式SNSにて発信します。
主催:文化庁、厚生労働省、長崎県、第40回国民文化祭、第25回全国障害者芸術・文化祭長崎県実行委員会、雲仙市、ながさきピース文化祭2025雲仙市実行委員会、プロジェッティスタ城谷耕生展実行委員会
協力:刈水庵、有限会社シロタニ木工、Studio Shirotani
問い合わせ先:progettista.koseishirotani@gmail.com
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