Chart、宇宙探査機「ヒレロボット」の開発を開始
災害現場から宇宙探査までを想定した実証研究を本格化

Chart株式会社(本社:埼玉県川越市)は、水陸両用移動ロボット「ヒレロボット」を開発しています。「ヒレロボット」は、ヒレを用いた独自の移動機構により、水中・陸上の両方をシームレスに移動できます。
従来の多くの水陸両用ロボットは、水中ではスクリューやフィン、陸上では車輪や歩行といった具合に異なる移動形態に切り替える必要がありました。
しかし本機体「ヒレロボット」は一種類のヒレ状アクチュエータで推進をまかなうため、モード切替なしに連続した走破が可能です。この機構により、一つの機体で様々な現場環境に柔軟に対応できることが特長です。
現在は全長約30cmの小型モデルを開発済みで、今後はより大型のモデルの開発を目指し、長時間探査・災害救助などへの応用を計画しています。
「ヒレロボット」の技術的特徴


本ロボットは「ヒレ」による独自の推進機構を備え、水中・陸上を問わず多様な現場環境での活躍を想定しています。
水中での推進性能
柔軟なヒレの波打つ動きによって、水中でも安定した推進力を発生させることが可能です。
スクリューのような回転機構を使わず、流体の中を滑らかに進むため、濁流・浮遊物・障害物が存在する水中環境でも推進力が失われにくく、かつ障害物との接触による故障リスクが低減されます。
また、水中からそのまま陸上へと移行する連続的な移動も実現します。
無線+内蔵バッテリー駆動で高い機動自由度
内部バッテリーによる完全独立電源と無線通信により、ケーブルを引きずる必要がなく、入り組んだ空間や障害物の多い現場でも自在に動き回れます。
配線に絡まる心配がないため、複雑な配管・瓦礫下での安定した遠隔操作が可能です。
多様な地形適応性
「ヒレ」を波打たせる独自の移動機構により、氷上・砂地・泥濘地・瓦礫上・配管内部など、従来の車輪・クローラ型では困難な環境下でも安定して移動できます。
特に、地形が急激に変化する災害現場などでは、臨機応変にその場の環境に適応して踏破を継続できます。
「ヒレロボット」の活用イメージ
①宇宙探査用途(未知環境適応型ローバー)

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エウロパ・エンケラドスなど氷下海洋探査
氷・水・岩場が混在する極限環境下での地質・生命痕跡探査用途へ応用。 -
火星地下空洞・溶岩管探査
狭い場所で、水分・粉塵が存在する地下空洞探査ミッションに活用。 -
月面基地周辺の安全確認
足を取られやすい、柔らかいレゴリス堆積地などでの自立探査。
②被災地での瓦礫下状況の確認・生存者探索・安全確認

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災害現場初動の状況把握
地震・爆発事故・津波などで倒壊・浸水した現場に即座に投入。瓦礫の隙間や浸水エリアに入り込み、人が踏み込む前の安全確認や二次災害リスク(崩落・ガス漏れなど)の評価。 -
瓦礫内部の生存者探索
狭隘部へ進入できる小型性を活かし、生存空間の有無や声・動き・体温等のセンサ搭載による生存者検出補助。 -
二次災害予防の遠隔確認
余震後の不安定な建物内部・危険物質流出現場に対し、救助隊の投入前に先行調査役として利用。
③水中資源探査・調査での活用

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水中資源マッピングの効率化
水中資源の位置情報のマッピングを低予算、高精度で探査。 -
ダム・堤体内部調査
通常アクセス困難な貯水池内部・水中構造物・排水ゲート部点検に活用。
④ 高放射線・高温等、極限環境での遠隔計測

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原子力施設の廃炉現場点検
燃料デブリ調査・高線量エリア内の視認・表面温度分布計測。 -
火山火口縁の状況観測
高温・有毒火山ガスエリア周縁部での地質活動モニタリング。
協賛について
現在、本ロボットのさらなる大型化・耐環境性能向上・搭載センサーの拡充を目的とした開発資金の一部を、協賛にて募集しております。
ご支援いただいた資金は、現場導入実証実験や耐久試験などに活用されます。
協賛 [https://chart-inc.com/contact]
ヒレロボット開発部門責任者コメント
取締役 宇井 瞭介
昨今、倉庫内の物資運搬や飲食店での配膳、ドローンによる空中輸送など、移動ロボットの活躍の幅が広がっています。
しかしその多くは特定の場所での移動に最適化されていることが多く、例えば陸上から水中へシームレスに移動可能なロボットなど、複数の場所で移動可能なロボットはほとんど開発されていません。
一方で、環境の生態観察や災害対応、宇宙探査などのより高度なミッションの実現には、異なる環境を横断して運用可能なロボットが求められます。
このような背景を受け、我々は生物模倣、つまり実際の生物の動きを参考にすることで、陸上や水中を問わず幅広いフィールドで運用可能なロボットを開発いたしました。
この「ヒレロボット」によって移動ロボットにおける新たな領域を開拓することを目指し、今後も開発を進めてまいります。
Chartについて
Chartは、スペースバルーンの開発と運用を手掛けるとともに、ロケット開発も推進しています。同社は、人類の未来に貢献することを目指し、2024年に設立されました。
法人概要
社名 :Chart株式会社
代表 :松井 宏平
所在地:埼玉県川越市三久保町15-2
設立 :2024年9月
事業 :宇宙開発及び人類に関する投資と研究
本件に関するお問い合わせ
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