高齢化の解は「地域社会の力」にあり

ソウル城東区と東京目黒区のフレイル予防ハイブリッドモデル

DYPHI Inc.

急速に高齢化が進む都市型自治体として、韓国・ソウルの城東区と日本・東京の目黒区は共通しています。人口規模や都市構造は類似していますが、両地域はそれぞれ独自のアプローチで高齢者の健康的な老後を支援し、「フレイル(Frailty)」予防という共通の課題に創造的に取り組んでいます。

フレイルとは、加齢に伴い身体機能が低下し、病気や障害への脆弱性が増す状態を指します。ただし、早期に発見し、適切な介入を行うことで、その進行を抑え、健康な老後を維持することが期待できます。

最近、両地域のフレイル予防現場を視察したところ、技術インフラや住民組織、評価の仕組みにおいて、それぞれ明確な違いがあることが分かりました。中でも、評価方法とその後の支援のあり方には、城東区と目黒区で大きな違いが見られます。


■ ソウル市城東区:ICTとデータに基づく精密なフレイル予防

・科学とICTで支える、地域主導の高齢者ケア

市城東区では、「地域で健康に老いる(aging in place)」という理念のもと、独自の「城東型高齢者統合ケア」体制を展開しています。
その中心となるのが、2023年から町単位で設置が進められているスマートヘルスケアセンターです。
このセンターでは、筋力トレーニング、認知トレーニング、栄養教育などを通じて、身体・認知・社会的側面を一体的にサポートしています。

写真提供:ソウル特別市ソンドン区高齢者福祉館
https://youtu.be/R-N8SJ3h87k

・測って動かす:フレイル予防の一体型モデル

特に注目されるのは、高齢者の身体機能を、国際標準のSPPB(Short Physical Performance Battery)に基づいて全自動で評価している点です。
評価には、AndanteFitという測定機器が使われており、歩行速度、椅子立ち上がり(5回)、バランステストの各項目を、標準プロトコルに従って自動的に測定します。その結果は、個別の運動指導プランの作成だけでなく、介入効果を可視化する指標としても活用されています。

その後、国家資格を持つ運動指導士が、週2回・全12週間にわたってスマート運動機器を活用した筋力強化プログラムを実施します。

・評価から支援へ:つながる地域ケアのプロセス

プログラム終了時には再評価を行い、自主トレーニングへの移行や継続的な参加の可否を判断します。
また、老後準備教育や口腔ケア、孤立死予防といった福祉サービスとも連携し、科学的な評価と支援が一体となった地域ヘルスケアモデルが展開されています。


■ 東京の目黒区:住民と地域が築く生活密着型の予防モデル

・寄り添う支援:フレイルサポーターがつなぐ地域の力

一方、目黒区では、「地域包括ケアシステム」に基づき、住民が主導するフレイル予防の取り組みが活発に行われています。中核を担うのは、東京大学高齢社会総合研究機構と連携して育成された「フレイルサポーター」です。
彼らは地域の高齢者を対象に、簡易体力測定と質問票による「フレイルチェック会」を定期的に開催し、身近な予防活動を支えています。

写真提供:目黒区/イッツ・コミュニケーションズ
https://youtu.be/ZLqaTKQF7ns

・評価から地域へ:目黒式“つながる”予防モデル

目黒区でのフレイル評価は、全自動測定機器を使わず、ふくらはぎ周囲径の計測や、体重減少・疲労感・外出頻度などを問う質問票を用いた、簡易的な方法が中心です。
評価後は、フレイルサポーターが結果を分かりやすく説明し、生活改善のアドバイスを行うとともに、地域活動への参加にもつなげています。

・予防を伝える言葉:「フレイル」が選ばれた理由

「フレイル(Frailty)」という言葉は、日本では「老衰」や「虚弱」といった漢字表現が重度の衰えを連想させるため、予防の観点からカタカナ表記が採用されています。
韓国においても、フレイルが“回復可能な状態”であることを重視し、より適切な代替表現の導入が一部の専門家の間で検討されています。

・暮らしの中で続ける:目黒区の多彩な予防活動

目黒区ではこのほかにも、日常生活に密着したさまざまな予防活動が展開されています。
たとえば、独自開発の「目黒タオル体操」や膝痛予防教室、オンライン運動プログラム、口腔・栄養支援活動などが挙げられます。
また、孤立死防止を目的とした安全機器の配布も行われており、地域に根ざした健康づくりが着実に進められています。


■ テクノロジーと地域社会の融合:未来へつなぐハイブリッドモデル

・科学と地域の“いいとこ取り”:ハイブリッド型モデルの可能性

先端技術の活用、そして相互扶助に根ざした地域共同体の力。これら対照的な2つのアプローチは、超高齢社会に直面する両国の人口構造を象徴しているとも言えるでしょう。

城東区は、全自動測定と定量データに基づいた科学的な評価と介入を推進し、目黒区は、住民主体の簡易評価と地域活動を通じて持続可能な予防体制を構築しています。こうしたモデルが相互補完的に広がっていけば、スマート技術と地域のつながりを融合させた 「ハイブリッド型フレイル予防モデル」 が新たな解として定着する可能性があります。

・ローカルから世界へ:高齢社会に挑む都市のヒント

本取り組みは、単なる都市政策にとどまらず、超高齢社会に向き合う世界各地の都市に対して、実践的かつ創造的なヒントを提供するローカル・イノベーションの好例といえるでしょう。
今後、ソウルの城東区と東京の目黒区がそれぞれの知見を共有し、連携を深めることで、こうした取り組みが国や地域を超えて広がっていく可能性が期待されます。


目黒区介護保険課介護予防係 目黒区上目黒2-19-15

電話 03-5722-9608

城東区庁 高齢者福祉チーム 城東區 鼓山子路 270

電話 +82-2-2286-5869

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会社概要

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業種
医療・福祉
本社所在地
25, Beobwon-ro 11-gil, Songpa-gu, Seoul, Korea A-509
電話番号
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代表者名
Seongjun Yoon
上場
未上場
資本金
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設立
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