京大発ベンチャー(株)TSK、サムスンディスプレイと青色有機EL材料の共同開発へ
鉄触媒を用いた次世代有機ELディスプレイ材料で、資源課題と環境負荷の両立解決を目指す
京都大学発ベンチャーの株式会社TSK(本社:京都府精華町、代表取締役社長:孫 恩喆)は、サムスンディスプレイ社(Samsung Display Co., Ltd.)と共同で、青色有機ELディスプレイ材料の開発を本格的に推進します。
TSKが得意とする“鉄触媒”技術がサムスンディスプレイに高く評価され、両社と韓国の大学教授による共同研究論文が、国際学術誌『Communications Materials』に掲載されました。
サムスンディスプレイが共同開発パートナーとしてベンチャー企業を選定するのは、今回が初の事例となります。
■希少資源「パラジウム」に代わる鉄の可能性
TSKは、京都大学発のベンチャー企業で、鉄触媒を用いた機能性材料の開発を進めています。
有機EL材料の合成には、これまで主にパラジウム触媒が使用されてきましたが、パラジウムは主な原産国がロシアと南アフリカで希少性が高い金属です。調達不安やコスト高の懸念に加え、精錬時の環境汚染も問題視されており、持続可能性の面で多くの課題が指摘されています。
TSKでは、パラジウムの代替として、地球上に豊富に存在する「鉄」を触媒とした環境負荷の低い独自の化学プロセスを確立しました。
反応工程の大幅な簡略化(省工程合成)が見通せる他、これまでパラジウムでは合成が困難だった分子構造の構築も可能となります。
すでに、有機EL材料の主要構造として有望なオリジナル化合物の合成に成功しており、既存品を上回る性能評価を得ています。
■今回の共同開発の狙い
サムスンディスプレイとTSKは、ディスプレイの中でも実現が難しいとされる「青色有機EL」の高効率・長寿命化を目指します。
鉄触媒を用いた化合物の研究開発・最適な素材探索などを強化、よりサステナブルで高性能なディスプレイ材料の実用化を加速させます。
【株式会社TSKについて】
TSKは京都大学発のベンチャー企業として、鉄触媒を用いた有機合成技術をベースに、機能性材料の研究開発を行っています。
レアメタルに依存した従来反応における触媒の置き換えや、鉄触媒を活用して合成する新規材料を提供。資源・環境面の課題を解決し、持続可能な化学産業の実現に貢献していきます。
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