越前海岸から、風景と人をつなぐデザインを。ノカテが2025年度「グッドデザイン・ベスト100」と「グッドフォーカス賞 [地域社会デザイン]」を受賞



合同会社ノカテ(福井県福井市)が越前海岸で取り組む「水仙産地の風景をつなぐプロジェクト」が、2025年度「グッドデザイン・ベスト100」および「グッドフォーカス賞[地域社会デザイン]」(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)を受賞しました。
福井県の代表的な景勝地・越前海岸は、冬でも雪が少なく、水はけのよい地形を生かした日本有数の水仙産地です。冬の日本海を背に咲く白い水仙は、この地の象徴的な風景であり、人々の暮らしを支えてきました。
そんな水仙産地のひとつである福井市居倉町を拠点に、ノカテは2020年より活動を開始しました。「いつか、どこかで、誰かの糧。」をコンセプトに、越前海岸で育まれた知恵や経験に学びながら、水仙の栽培・販売や宿の運営、公共サインの制作などを通じて、地域の景観と人の営みを未来へとつなぐ活動を続けています。
2025年度のグッドデザイン賞には、日本水仙の新しい楽しみ方を提案する「SUISEN Bouquet(スイセンブーケ)」、水仙産地の風景を伝える宿「点景」、地域の物語を共有する文化的景観の発信などの取り組みを「水仙産地の風景をつなぐプロジェクト」としてエントリーし、これまでの活動全体を包括的に審査いただきました。その結果、地域とともに歩むデザイナーの姿が、地域デザインにおける新しい可能性を示すものとして高く評価され、このたびの受賞に至りました。
「グッドフォーカス賞[地域社会デザイン]」は、2025年度に選ばれたすべてのグッドデザイン賞受賞対象の中から、地域社会の持続的発展や経済の活性化に特に寄与すると認められるデザインに贈られる特別賞です。
ノカテは、今回の受賞をこれからの活動の糧とし、産地の新しい営みと、その先にある風景をこれからもつくり続けていきます。
自然環境と人の暮らしが生み出す
越前海岸の水仙産地の風景を未来へつなぐプロジェクト
【プロジェクト概要】
地域に関わる人々の多様な営みを重ね、水仙産地の風景を未来につなぐ取り組み。重要文化的景観に選定された水仙畑が広がる越前海岸にて、日本水仙の価値を捉え直した新しい“なりわい”の実践、交流・関係人口創出のための拠点運営、地域の営みを記録し文化的景観を伝えるデザインや活動を展開。多様な人々が風景の担い手となる未来を目指す。
【デザイナー】
髙橋要、加藤洋、髙野麻実、田中宏幸、中川奈保、吉鶴かのこ、藤川明宏

産地と共生する独自企画 「SUISEN Bouquet」の販売
人手がまわらなくなった水仙畑を借り受け、近隣農家に学びながら水仙の栽培に取り組んでいます。そこで収穫した水仙を使用し、花と軸だけを束ねた「SUISEN Bouquet(スイセンブーケ)」を商品化。自社ECサイトや都市部でのPOP UPで販売しています。水仙の新たな楽しみ方を提案し、近年は独自の仕様のまま生花店への卸販売も開始。収穫や出荷にかかる作業負担を軽減することで短期アルバイトの雇用を生み、産地の交流人口を拡大するきっかけになっています。

暮らしの風景とつながる 一棟貸しの宿「点景」を運営
2024年秋、かつて旅館の社員寮として使われていた築約100年の空き家を改修し、一棟貸しの宿「点景」を開業しました。日本海や居倉町の集落の屋根並みを見渡す大きなガラス窓を設け、宿泊の希望者には集落ガイドツアーを実施。地域の景観や文化を伝えています。また、地域内外の人が気軽に立ち寄ることができるマーケットや体験イベントを企画・運営。地域の中に新しい交流をつくる取り組みに挑戦しています。

風景と人の営みを手がかりに 地域の物語を共有する取り組み
自然環境や時代の変化に適応しながら、しなやかに日々の営みを重ねてきた居倉町。その“いま”の風景や暮らしを文章や写真、イラストで記録する冊子『ノカテ03』を制作しました。また、越前海岸沿いの水仙畑の景観が2021年に国の重要文化的景観に選定されたことを契機に行政と連携。地域の歴史や文化を伝えるガイドマップや、地域内の案内看板を制作し、文化的景観への理解と共感の輪を広げています。

【グッドデザイン賞審査委員による評価コメント】
越前海岸の水仙産地を、風景と暮らしを含めて未来へつなぐ活動。従来の規格にとらわれずブーケ販売など新しい“なりわい”を提案し、文化的景観を記録し伝える姿勢も印象的だった。地域に寄り添いながら産地を軸に活動するデザイナーの関わり方は、今後の地域デザインの新しい可能性を示している。 https://www.g-mark.org/gallery/winners/27803

今年も水仙の開花シーズン(12月〜3月頃)に、「SUISEN Bouquet」の予約販売に加え、福井県内外でPOP UP出店を予定しています。また、一棟貸しの宿「点景」では、通常の宿泊に加えて、越前海岸の水仙を使ったブーケづくりのワークショップやマーケットイベントを開催予定です。
詳細は後日、ノカテのInstagramなどでお知らせいたします。
ノカテ
「いつか、どこかで、誰かの糧。」をコンセプトに、2020年より福井市居倉町の水仙産地を拠点に活動を開始。福井県内在住3名、県外在住3名の6人チームで、年齢も職業も異なるメンバーが、それぞれの視点と専門性を持ち寄り、企画・デザイン・設計・運営に取り組んでいます。
髙橋 要|代表社員
加藤 洋|コミュニケーションプランニング
髙野麻実|建築・設計
田中宏幸|建築・設計
中川奈保|企画・広報
吉鶴かのこ|グラフィックデザイン・イラストレーション
合同会社ノカテ 〒910-3555 福井県福井市居倉町38-2
ウェブサイト https://www.nokate.jp/
Instagram https://www.instagram.com/nokate_jp
本件に関するお問い合わせ先 合同会社ノカテ 髙橋要
E-mail:nokate.fukui@gmail.com
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