デロリアンの夢、25年越しに実現―ゴミ分別不要で航空燃料SAFになる革新技術で新会社設立

25年の実績を持つ水素ガス化技術で、太陽光パネル・災害瓦礫・下水汚泥を資源化。約30トンの廃棄物から、約6,000Lの航空燃料SAF生成

エナウム株式会社

世界最高水準の水素濃度60%、コンテナサイズでオンサイト処理を実現

エナウム株式会社(本社:千葉県木更津市、代表取締役CEO:早川 昇)は、2025年10月16日に設立されました。当社は、25年にわたる研究開発実績を持つ株式会社マイクロ・エナジー のWTE(Waste to Energy)技術を基盤に、廃棄物を水素由来エネルギーや持続可能な航空燃料(SAF)に変換する革新的なガス化システムの本格的な事業展開を開始します。

分別が不要で、廃プラスチック、都市ゴミ、災害瓦礫、太陽光パネル、下水汚泥、森林バークなど、あらゆる廃棄物を混合投入できる独自技術により、従来の焼却処理に代わる次世代の廃棄物処理・エネルギー創出ソリューションを提供します。この技術は、世界最高水準の水素濃度60%を実現し、発電効率30~40%(SOFC型燃料電池では55~60%)と、従来の焼却システム(10~15%)を大きく上回ります。地域分散型エネルギーシステムとして日本全国への展開を目指します。

40feets コンテナタイプ WTEシステム

社会課題を解決する革新技術の事業化急務で深刻化する廃棄物処理問題と脱炭素対応

日本は現在、複数の深刻な廃棄物処理課題に直面しています。2030年代には太陽光パネルの大量廃棄時代を迎え、年間80万トン規模の処理が必要となる見込みです。また、能登半島地震をはじめとする災害により発生する大量の瓦礫処理、自治体の財政を圧迫する下水汚泥処理費用、そして年間4,000万トンを超える一般廃棄物の処理など、従来の焼却処理だけでは対応しきれない状況が続いています。

同時に、航空業界では2050年カーボンニュートラル達成に向け、SAF(持続可能な航空燃料)の需要が急増しています。国際航空運送協会(IATA)は、2030年までに航空燃料の10%をSAFに置き換える目標を掲げていますが、日本国内でのSAF製造体制は大きく遅れているのが現状です。

WTE技術が実現する5つの革新的価値

エナウムのWTE技術は、これらの社会課題を同時に解決する革新的なソリューションです。

1. 分別不要の混合投入処理

廃プラスチック、都市ゴミ、基板、海水に浸かった木材、釘が混入した木材まで、分別することなく混合処理が可能です。これにより、従来必要だった分別作業のコストと時間を大幅に削減できます。

2. 環境に優しい無害化処理

高温無酸素雰囲気でガス化するため、ダイオキシンや有害物質の発生がありません。測定結果では、ダイオキシン濃度0.000091 ng-TEQ/m³Nと、環境基準を大きく下回る安全性を実証しています。

3. SAF製造に最適なガス組成

世界最高水準の水素濃度60%、CO濃度30%という理想的なガス組成を実現。Fischer-Tropsch(FT)合成に最適な水素とCOの比率2:1を達成し、高品質なSAFの製造が可能です。タール含有量も14mg/Nm³以下と、従来技術(2,000~12,000mg/Nm³)と比較して圧倒的に低く、長期連続運転を実現しています。

4. 小型・オンサイト処理の実現

40フィートコンテナサイズ(1~10トン/日処理能力)で設備を構築できるため、廃棄物発生現場でのオンサイト処理が可能です。広域運搬コストを削減し、地域完結型の循環システムを構築できます。

5. 高効率エネルギー変換

10トンの都市ゴミから、約11,000Nm³の合成ガス(発熱量24,000Mcal)を生成し、10.6MWhの発電が可能です。これは490世帯分の1日の電力使用量に相当します。また、WTL(Waste to Liquid)プロセスでは、同量の廃棄物から2,000リットルのBTL合成燃料を創出できます。


25年の実績と公的機関による技術認証政府系補助事業採択

当社の基盤技術であるマイクロエナジー社のWTEシステムは、2003年から2014年にかけて、経済産業省NEDO、環境省、農林水産省、防衛省からの補助事業に採択されています。

特に2009年から2015年にかけて徳島県那賀町で実施された2トン/日実証設備では、30時間連続運転において安定した高濃度水素ガス(約60%)の生成を実証しました。この実証実験により、1トンのバイオマスから安定して約1,100Nm³のガスを生成でき、その60%が水素ガスで占められることが科学的に証明されています。

BTL燃料の性能は軽油と同等

製造されたBTL(Biomass to Liquid)燃料は、独立行政法人交通安全環境研究所における2013年から2015年の長期検証試験において、軽油相当の性能が確認されています。セタン指数が高く着火性に優れ、硫黄分がゼロでSOx(硫黄酸化物)を排出しないクリーンな燃料です。低位発熱量43.0~43.1 MJ/kgと軽油(43.3 MJ/kg)とほぼ同等で、実用性の高さが実証されています。

特許取得の二段ガス化システム

エナウムの二段ガス化炉システムは特許を取得しており(特許第7401148号)、技術的な独自性と優位性が法的に保護されています。この技術は、世界のトップレベル企業と比較しても、不活性な窒素濃度が圧倒的に低く(5%未満)、水素とCOの合計が90%以上という、他に類を見ない高性能を実現しています。


具体的な適用例と経済効果

太陽光パネルリサイクル事業

2030年代に本格化する太陽光パネルの大量廃棄問題に対し、エナウムのWTEシステムは画期的な解決策を提供します。従来の処理では、アルミフレーム、ガラス、シリコンセル、樹脂などを分離する複雑な工程が必要でしたが、当社の技術では混合投入が可能です。

処理コストを大幅に削減しながらエネルギーを創出できます。さらに、灰分から希少金属やガラスを回収することで、都市鉱山としての価値も生み出します。

災害瓦礫の迅速処理

能登半島地震のような大規模災害時には、混合廃棄物の迅速な処理が復興の鍵となります。エナウムの40フィートコンテナシステムは、分別作業なしで木材(釘入り・海水浸漬済み含む)、廃プラスチック、コンクリート片などを混合処理できます。

被災地に複数のシステムを配置することで、広域運搬のコストと時間を削減し、同時に発電によって復興現場に電力を供給することが可能です。

下水処理場のコスト削減と自立化

全国の下水処理場が抱える汚泥処理費用の負担を、エネルギー創出によって軽減します。含水率80%の下水汚泥でも、炭素化前処理によって効率的にガス化できます。

中規模処理場(汚泥発生量50トン/日)では、処理費用を削減しながら約52.8MWhの発電が可能となり、処理場の電力自給率を大幅に向上させることができます。さらに、発電した電力を売電することで、新たな収益源を創出します。

森林バークからSAF製造

林業から発生する樹皮(バーク)は、年間約200万トンが発生していますが、その大部分が未利用のまま廃棄されています。エナウムのシステムでは、このバークからSAFを製造することで、林業の新たな収益源を創出します。

1日10トンのバーク処理で約2,000リットルのSAFを製造でき、地域の林業振興と航空業界の脱炭素化を同時に実現します。


カーボンクレジット創出で収益性を向上

エナウムのWTEシステムは、廃棄物処理による温室効果ガス削減効果を数値化し、カーボンクレジットとして販売することが可能です。

従来の焼却処理と比較して、CO2排出量を約60%削減できるため、J-クレジット制度や国際的なカーボンクレジット市場において、大きな価値を生み出します。処理事業者は、処理費用の収入に加えて、クレジット販売による追加収益を得ることができ、事業の収益性を大幅に向上させることが可能です。


事業展開計画

2025年度:モデルケース構築

初年度は、全国3~5箇所で実証的な商用システムを導入します。太陽光パネルリサイクル事業者、下水処理場、林業事業者などと協力し、それぞれの分野でのモデルケースを確立します。

2026年度:地域展開加速

10~20箇所への導入を目標に、地方自治体や民間事業者との提携を拡大します。特に、災害時の緊急対応体制として、各地方ブロックに移動式システムを配備する計画を進めます。

2027年度以降:全国ネットワーク構築

年間50箇所以上の導入を目指し、日本全国に地域分散型エネルギーネットワークを構築します。SAF製造プラントの本格稼働を開始し、国内航空会社への供給体制を確立します。

海外展開の視野

アジア太平洋地域を中心に、廃棄物処理とエネルギー問題を抱える新興国への技術輸出を検討しています。特に、インドネシア、ベトナム、フィリピンなどの島嶼国において、小型分散型システムの需要が高まっています。


代表メッセージ

エナウム株式会社 代表取締役CEO 早川 昇

「映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のデロリアンが、バナナの皮やウイスキーでタイムトラベルできたように、私たちは廃棄物からクリーンなエネルギーを生み出す夢の技術を現実のものにします。

株式会社マイクロ・エナジーが、25年という長い年月をかけて磨き上げてきたこの技術を、今こそ社会実装すべき時が来たと確信しています。2025年は、日本の脱炭素化にとって極めて重要な年です。航空業界のSAF需要の急増、太陽光パネルの大量廃棄時代の到来、そして頻発する災害による瓦礫処理の課題。これらすべてに対して、私たちの技術は明確な解決策を提供できます。

エナウムは、単なる廃棄物処理製造装置メーカーではありません。私たちは、資源循環型社会の実現と地域のエネルギー自立を支援する、社会インフラ企業を目指します。全国の自治体、事業者の皆様と協力し、日本が世界に誇れる循環型エネルギーシステムを構築してまいります。」


会社概要

会社名: エナウム株式会社(ENAUM Co., Ltd.)
 設立: 2025年10月16日
本社所在地: 〒292-0825 千葉県木更津市八幡台4-4-7
 代表者: 代表取締役CEO 早川 昇
 事業内容: 廃棄物ガス化システムの開発・製造・販売、SAF製造、水素エネルギー事業、カーボンクレジット事業
ウェブサイト: https://enaum.jp/


経営陣

早川 昇(代表取締役/CEO)
新会社の設立を主導し、事業運営・マーケティング・グローバル企業との事業提携交渉を推進

橋本 芳郎(最高技術責任者/CTO)
WTE技術の開発者。株式会社マイクロ・エナジー 代表取締役。 25年間の開発実績を持つ、システムの心臓部を支えるWTE技術の第一人者

深萱 正人(最高価値責任者/CVO)
FT合成・触媒技術の専門家で、技術の開発・実用化と産学連携ネットワークを担当

長谷川 透(最高財務責任者/CFO)
エネルギー事業開発と資金調達を主導し、エグジット戦略を推進する財務のスペシャリスト


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会社概要

エナウム株式会社

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業種
製造業
本社所在地
木更津市八幡台4-4-7
電話番号
050-3390-8166
代表者名
早川 昇
上場
未上場
資本金
-
設立
2025年10月