自己脂肪由来神経前駆幹細胞の静脈投与で安全性を検証【国内臨床研究を開始】
自己脂肪由来細胞を用いた低侵襲アプローチとして、安全性と疼痛軽減の探索的評価を実施「対症療法」が中心となる神経損傷、脊髄損傷、脳の機能障害などが原因で起こる慢性的な痛みに朗報
医療法人香華会 リボーンクリニック本院(所在地:福岡県福岡市、院長:坂口 尚)は、既存の薬物
療法で十分な改善が得られない神経障害性疼痛を対象として、患者自身の脂肪組織由来「神経前駆幹細胞」を静脈投与する再生医療等臨床研究を開始いたしました。
本研究は、再生医療等安全性確保法に基づく第二種再生医療等提供計画として厚生労働省へ提出され、jRCT(日本臨床試験登録)に登録されています

・公開日:令和7年12月12日
・jRCT ID:jRCTb070250113
https://jrct.mhlw.go.jp/latest-detail/jRCTb070250113
■ 背景:患者数推計600万人:対症療法中心の現状と限界―神経障害性疼痛に求められる新たな選択肢
神経障害性疼痛は、神経損傷や脊髄・脳の機能障害などを原因として生じる慢性疼痛であり、国内の患者数は約600万人と推計されています。
現在の治療は鎮痛薬、抗うつ薬、抗てんかん薬などによる「対症療法が中心」ですが、効果が不十分な場合や副作用によって治療の継続が困難なケースも少なくありません。
結果として、痛みが長期化し、睡眠・就労・日常生活動作(ADL)に影響を及ぼすなど、患者の生活の質(QOL)に大きな負担がかっているケースが課題となっています。
このような背景から、既存治療を補完し得る新たなアプローチとして、根本的な治療法の確立が課題となっていました。
■ 本研究の特徴
1.自己脂肪由来「神経前駆幹細胞」を使用
患者自身の脂肪組織から採取した幹細胞を、特定条件下で培養し、神経系への分化能を有する神経前駆幹細胞を作製します。
これにより、以下のような作用が期待されます。
• 炎症部位への集積(ホーミング)
• 抗炎症作用
• 神経修復・再生の促進
2.低侵襲な「静脈投与」
細胞は一般的な点滴と同様に静脈内投与され、外科的手技や局所注射を伴わないため、患者負担の少ない方法です。
3.自己細胞・遺伝子導入なしの培養工程
自己細胞を用い、遺伝子改変を行わない培養方法を採用しており、拒絶反応や遺伝子関連リスクを最小限に抑えています。
■ 臨床研究概要
• 研究名称
自己脂肪組織由来神経前駆幹細胞を用いた神経障害性疼痛に対する静脈投与による安全性の検証
• 再生医療等の区分:第二種再生医療等
• 対象疾患:神経障害性疼痛(既存治療で改善が認められない症例)
• 目的:安全性の確認(主目的)および疼痛軽減効果の探索的評価
• 実施医療機関:医療法人香華会 リボーンクリニック本院
• jRCT登録番号:jRCTb070250113
https://jrct.mhlw.go.jp/latest-detail/jRCTb070250113
■ 今後の展望
本研究により安全性が確認された場合、神経障害性疼痛に対する新たな再生医療アプローチの実装可能性を検討するための基盤データとなることが期待されます。あわせて、疼痛指標の推移や生活への影響などを探索的に評価し、臨床現場での意思決定に資する知見の整理を進めます。
今後は、自己脂肪由来神経前駆幹細胞の静脈投与に関する安全性について、該臨床研究計画書に基づき確認を行います。その結果を報告書として厚生局へ提出し、受理され次第、通常の治療計画書の審査へと進みます。
治療計画書が厚生局により受理されましたら、より多くの方に対して、自己脂肪由来神経前駆幹細胞の静脈投与による治療を提供できる体制が整う予定です。
また、当院において脊髄損傷における治療計画が受理されている「NGP-1細胞」治療は、今回の臨床研究で加工される「自己脂肪由来「神経前駆幹細胞」と同じ加工技術を取り入れています。医療法人香華会 リボーンクリニック本院は、関連法令および研究倫理を遵守し、被験者保護を最優先に、品質管理・安全管理体制の下で新しい治療を研究を通じて行ってまいります。
■ 実施医療機関 概要
• 名称:医療法人香華会 リボーンクリニック本院
• 所在地:〒813-0017 福岡県福岡市東区香椎照葉3-4-10
• 院長:坂口 尚
• TEL:092-707-6310
• E-mail:rebornclinic.k@gmail.comL
• Web site:https://syucell.com/fukuoka/


※NGP-1細胞とは、脂肪由来の間葉系幹細胞(MSC)を特殊な技術と専用培地を用いて神経幹細胞(NSC)へと高効率に分化誘導した細胞です。神経系疾患の再生医療への応用を目指して開発されたもので従来のMSCよりも外胚葉系(神経系)への分化が明確にシフトするといった特徴を持ちます。次世代の幹細胞技術として注目されています。
※本リリースは研究開始(または実施)に関する情報提供を目的とするもので治療効果や有効性を保証するものではありません。研究内容は、倫理審査およびjRCT登録情報に基づき適切に実施いたします。
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