支える経験が就労意欲のカギ - キャリカ代表理事、7/31講演 -

184人調査で判明、『支えられるだけでなく支える』経験が就労意欲を高める

一般社団法人キャリカ

一般社団法人キャリカは、埼玉県草加市・東京都足立区で障害福祉サービスを提供し、関係性・役割・貢献経験を重視した障害者雇用モデルを推進し、就労意欲の向上に向けた取り組みを行っています。

ジョブサポーター研修に登壇

令和8年年7月31日「令和8年度 埼玉県ジョブサポーター研修ベーシックコース」において、代表が講師として登壇することをお知らせいたします。本研修は、就労支援機関や企業等で障害者雇用に携わる担当者を対象としたオンライン研修です。松岡は「社会福祉制度に関する理解」を担当し、障害者雇用の現場で必要となる福祉制度の基礎に加え、本人の働く力を支えるために、制度・生活・地域資源をどのように結びつけて考えるかをお伝えします。
開催日:令和8年7月31日
形式:リアルタイム形式のオンライン研修
対象:就労支援機関、障害者雇用に携わる担当者
参加費:無料
担当講義:「社会福祉制度に関する理解」
主催:埼玉県・埼玉県障害者雇用総合サポートセンター 障害者職場定着支援業務部門

URL:https://www.pref.saitama.lg.jp/a0816/syougai-map/sonotanojigyou.html

 研修チラシ

障害者雇用の拡大が求められる一方で、企業現場では、採用後の定着支援や、本人が安心して働き続けられる環境づくりが課題となっています。

障害者雇用における職場定着支援のイメージ

2026年7月1日から、民間企業の障害者法定雇用率は2.5%から2.7%へ引き上げられました。障害者雇用の拡大が求められるなか、採用だけでなく、就職後の定着や働き続けるための環境づくりが、これまで以上に重要になっています。しかしながら、精神障害のある方の安定した働き方や就労意欲の向上につながりにくいことが課題となっています。

キャリカでは、精神障害のある方の就労意欲を、本人の努力や意志の強さだけで捉えるのではなく、家族、支援者、仲間、職場、地域との関係性の中で育まれるものとして考えています。特に、「支えられる経験」だけでなく、「自分も誰かを支える経験」「役に立てたと感じる経験」が、就労意欲や職業生活の質を支える重要な要素になると考えています。

本研修では、松岡がこれまで取り組んできた「働く精神障害者の職業生活の質に関する研究」の知見も踏まえ、障害者雇用における職場定着と就労意欲を支える環境づくりについて解説します。

独自調査から見えた、精神障害者雇用における課題

松岡は、企業で働く精神障害のある方184人を対象に、職業生活の質、生活背景、つながり、余暇、ソーシャルサポートについて調査を行いました。
本調査は2015年に実施し、2017年に学会発表したものです。最新調査ではありませんが、精神障害者雇用における「働き続けるための支援」を考えるうえで、現在の実践にもつながる示唆があります。

調査では、回答者の平均年齢は38.9歳で、30代の働き盛りの世代が中心でした。雇用形態はパートタイムが70.3%と最も多く、正社員は3.3%にとどまりました。平均労働時間は1日6時間、週4.6日、週27.9時間でした。離職回数は平均4.2回であり、働き始めることだけでなく、働き続けることに大きな難しさがあることが示されました。

また、休日における人との関わりを見ると、「一人で過ごす」と回答した人が41.3%と最も多く、一方で「仕事関係の人と過ごす」と回答した人は0%でした。この結果から、働いている精神障害のある方であっても、職場外で人とのつながりを持ちにくい状況があることがうかがえます。

さらに、余暇の過ごし方と抑うつ感との関係を分析したところ、統計的に有意差が確認されました。一人で過ごす人は、そうでない人に比べて抑うつ感が高い傾向が見られました(Z=2.94、p<.01)。一方、友人と過ごす人は、そうでない人に比べて抑うつ感が低い傾向が見られました(Z=2.936、p<.01)。この結果から、精神障害のある方の職業生活を支えるうえでは、職場での支援だけでなく、休日や余暇における人とのつながり、孤立を防ぐ関係づくりも重要であることが示唆されます。

「支えられる」だけでなく「支える」経験が就労意欲を育てる

また本調査では、職場におけるソーシャルサポートと内発的動機づけ、つまり就労意欲との関係も確認しました。その結果、「相談できる」「励まされる」といった情緒的サポートを受けている人は、そうでない人よりも内発的動機づけが高い傾向が見られました。

統計的な有意差が示されたのは、「相談できる」「励まされる」といった情緒的サポートを受けることでした(t=2.38, df=169.4, p<.05)。また、自分自身も誰かの相談にのる、励ますといった情緒的サポートを提供することについても、有意差が示されました(t=2.30, df=73.8, p<.05)。

この結果から、情緒的サポートを受けることに加え、本人自身が誰かを支える経験を持つことが、内発的動機づけを高める可能性が示唆されました。

特に、職場で同僚の「相談にのる」「励ます」といった提供型の情緒的サポートは、他者に良い影響を与えているという実感につながります。これは、自分が職場環境の中に関係性と役割を持ち、貢献経験を得ているという感覚でもあります。

つまり、精神障害のある方にとって、職場で一方的に支えられるだけではなく、「自分も誰かの役に立てた」と感じられる経験を持つことが、自信の回復や就労意欲の形成につながる可能性があります。

ただし、すべての方がすぐに職場で誰かを支える立場になれるわけではありません。まずは、本人が安心して相談できる環境、失敗しても立て直せる関係、できていることを確認し合える職場づくりが重要です。

就労意欲と各ソーシャルサポート比較

企業で取り組める具体的な工夫

そこで精神障害のある方の雇用において、企業では次のような工夫が考えられます。

・入社時に丁寧なオリエンテーションを行う
・相談窓口を一本化する
・OJTで業務を段階的に覚えられるようにする
・困ったときに早めに相談できる関係をつくる
・本人を一方的に評価するのではなく、できている点を確認する
・支援機関と連携し、職場だけで抱え込まない
・本人が小さな役割を持てる場面をつくる
・「ありがとう」「助かった」と伝わる機会を増やす

もちろん障害者雇用では、採用した後にすべてを職場内で解決しようとするのではなく、就職前からつながっていた支援機関や地域資源と連携しながら、本人の生活全体を支える視点も必要です。

精神障害のある方の就労支援では、「本人に働く意欲があるかどうか」だけが問われがちです。
しかし、障害あるなしに関わらず、就労意欲は本人の中だけで自然に育つものではありません。安心できる関係、期待される役割、そして「自分も誰かの役に立てた」という経験の中で、少しずつ育まれていくものだと考えています。

今回の研修では、「社会福祉制度の基礎」を整理するとともに、制度を単なる知識として理解するのではなく、本人の職業生活、地域資源、職場環境をつなぐためにどう活用するかをお伝えします。

今後の展望

キャリカでは現在、足立区と草加市を中心に20箇所以上の協力企業と連携し、精神障害のある方が地域の中で働く経験、役割を持つ経験、人との関係性を育む機会づくりに取り組んでいます。

今後は、地域企業、行政、医療機関、相談支援機関、教育機関との連携をさらに広げ、就職前・職場内・就職後を切れ目なくつなぐ支援体制づくりを進めてまいります。

キャリカでは、3年後までに協力企業を40箇所に広げることを目指し、障害がある人が特別な存在としてではなく、地域の中で当たり前に働き、役割を持ち、支え合える社会づくりに貢献してまいります。

また、企業向けの障害者雇用相談、支援機関向け研修、地域連携の取り組みを通じて、精神障害のある方が安心して働き続けられる環境づくりを進めてまいります。

企業研修担当者様の問い合わせ先

精神障害者雇用、職場定着支援、支援機関との連携、企業向け研修及び報道に関するご相談は、下記までお問い合わせください。

Email:info@careco.or.jp

参考文献

松岡広樹・八重田淳「働く精神障害者の職業生活の質(QWL)に関する研究」
日本リハビリテーション連携科学学会第18回大会プログラム・抄録集 p.54, 2017年3月

法人概要

法人名:一般社団法人キャリカ
設立:2017年1月
代表理事:松岡広樹

事業所所在地:

・キャリカ草加:埼玉県草加市中央1-1-12松ロイヤルビル4階/5階 TEL 048(954)7670

・キャリカあだち:東京都足立区千住1-11-2Jプロ北千住ビル6階A TEL 03(6806)2616
事業内容:就労移行支援、自立訓練(生活訓練)、就労定着支援、就労選択支援

筆者 松岡 広樹(まつおか ひろき)

ソーシャルワーカーとして長年、就労支援業務に従事してきました。そこで感じることは、福祉分野は未だに根拠に基づいた実践は少なく、支援者の思いでの実践が多い現状があることです。科学的根拠に基づいた仕事が当たり前になる中、福祉の実践でも時代に合わせ変化が求められています。根拠に基づいた実践を行い、障害がある方が安心し、一人一人の夢が叶えられる事業所を目指して参りたいと思います。


現職:一般社団法人キャリカ代表理事

   立正大学特任准教授
資格:社会福祉士/精神保健福祉士

受賞:茗渓会賞

場所:日本女子大学

このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります

メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。

すべての画像


会社概要

一般社団法人キャリカ

0フォロワー

RSS
URL
https://www.careco.or.jp/index.html
業種
医療・福祉
本社所在地
埼玉県草加市中央1-1-12 松ロイヤルビル4階
電話番号
048-954-7670
代表者名
松岡広樹
上場
未上場
資本金
-
設立
2017年01月