【4人に1人】給食指導のあり方が一因で離職を検討。保育園・幼稚園の勤務経験者100名調査で25.0%
自由回答には「無理やり食べさせているにもかかわらず、保護者への連絡では『完食』と伝えていた。保護者が喜ぶのでそうなる構造になっていた」との声も。
給食指導の専門メディア『きゅうけん|月刊給食指導研修資料』を運営する株式会社日本教育資料(本社:東京都品川区、代表取締役:山口健太)は、保育園・幼稚園での勤務経験がある100名を対象に「給食指導の本音アンケート」を実施しました。
その結果、園の給食指導の方針が一因で退職した、または退職を真剣に考えたことがある人が25.0%(25名)にのぼり、うち15.0%(全体の15名)は実際に退職していたことがわかりました。
また、月給が1万円高い「完食指導重視の園」と、月給が1万円低い「完食指導なしの園」の二択では、99.0%(99名)が給与の低い後者を選ぶと回答しました。
これまで主に「子どもの食育」の文脈で語られてきた給食指導は、職員の定着と採用にも関わっている可能性が浮かび上がりました。
なお自由回答からは、無理な指導が行われる背景に、人員配置や園の方針、職場の風土といった環境要因があることもうかがえます。個々の職員の資質に原因を求められる問題ではないというのが、当社の見方です。
調査の背景
保育・幼児教育の現場では、人材の確保と定着が課題となっています。こども家庭庁「保育士の有効求人倍率の推移(全国)」(厚生労働省「職業安定業務統計」をもとに作成)によれば、令和8年1月時点の保育士の有効求人倍率は全国平均3.88倍で、全職種平均の1.27倍と比べて高い水準で推移しています。
また、同社が2025年に教員・保育者114名に実施した調査では、82%以上(114名中94名)が「好き嫌いが多い、偏食の子どもへの指導」に苦労していると回答しており、現場の負担は継続的に確認されてきました。一方で、それが職員自身の進退にどう影響しているかを直接尋ねた調査は、当社が確認した範囲では見当たりません。今回はその点に絞って実態を尋ねました。
調査結果のポイント
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給食指導を一因に離職・離職検討は25.0%(実際に退職した人は15.0%)
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月給1万円の差より「完食指導なし」を選ぶ人が99.0%
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求人票への方針明記で、92.0%が「応募意欲が高まる」と回答
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自由回答には、園の方針と現場運用の乖離を示す記述が多数
※本調査の回答者は無作為抽出ではありません。結果の読み取りにあたっては、末尾の「調査の限界について」を必ずご参照ください。
(1)25.0%が、給食指導を一因に園を離れた・離れようとした
Q2. 園の「給食指導の方針」が原因で、退職や転職をしたことはありますか(単一回答)

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退職は考えなかった75.0%(75名)
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実際に退職した(複合的な理由だが、給食指導も一因)13.0%(13名)
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退職を真剣に考えたが、踏みとどまった10.0%(10名)
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実際に退職した(給食指導が主な理由)2.0%(2名)
離職・離職検討の経験者は合計25.0%(25名)、このうち実際に退職に至った人は15.0%(全体の15名)でした。
(2)月給1万円を下げてでも、99.0%が「完食指導のない園」を選ぶ
Q3. 転職活動中で以下の2園から内定が出た場合、どちらを選びますか(単一回答)
A園:月給24万円/完食が目標・厳しいマナー指導重視
B園:月給23万円/完食指導なし・楽しい雰囲気重視 ※その他の条件(立地・勤務時間)は同一と仮定

・月1万円安くても、間違いなく「B園」を選ぶ78.0%(78名)
・どちらかといえば「B園」を選ぶ21.0%(21名)
・どちらかといえば「A園」を選ぶ1.0%(1名)
・月1万円高くても、間違いなく「A園」を選ぶ0.0%(0名)
B園を選ぶ人は合計99.0%(99名)でした。
(3)求人票に方針を明記すると、92.0%が「応募意欲が高まる」と回答
Q4. もし求人票に「当園は完食指導を行いません。子どもも保育士も、笑顔で食べられる楽しい食事時間を大切にします」と書いてあったら、応募意欲はどう変化しますか(単一回答)

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非常に高まる(この園で働きたいと強く思う)59.0%(59名)
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やや高まる33.0%(33名)
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変わらない7.0%(7名)
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下がる(しっかり指導したいので合わない)1.0%(1名)
「非常に高まる」「やや高まる」の合計は92.0%(92名)。給食指導の方針を対外的に明示することが、採用広報として機能する可能性が示唆されました。
(4)自由回答に寄せられた現場の声(有効回答66件より抜粋)
「実習のとき(2歳児・秋)、もうすぐほぼ完食というところで『トマト一口は食べて』と担当保育士が食べさせると、今まで食べた全てのものを吐いてしまった。その一口がなければ美味しくお腹も満たされたのに、と残念に思いました」 (保育士・実習時の経験)
「食べた子の名前をつけた残食の写真を毎日撮らされた」 (保育士)
「無理やり食べさせているにもかかわらず、保護者への連絡では『完食』と伝えていた。保護者が喜ぶのでそうなる構造になっていた」 (保育士)
「職員会議では『完食を強制していません。フルーツのタイミングも子どもに任せています』と言う上司が、給食の時間になると『全部食べてからね』と子どもの意思に反する指導をしていた」 (保育士)
「園内研修で『無理やり食べさせることは良くない』と全員で学んだが、独自のスタイルを変えず無理やり食べさせる保育者がいる」 (保育士)
※自由回答は、回答者本人の記憶に基づく記述です。当社が個別の事実関係を確認したものではありません。また、特定の施設や個人を批判する目的で掲載するものではありません。
自由回答からは、問題が個々の職員の資質にとどまらず、園の方針と現場運用の乖離に根ざしていることが読み取れます。「方針は正しくても現場に浸透しない」という趣旨の回答が複数寄せられました。同時に「おかしいと思っても言えなかった」という、職員自身が声を上げられない状況を示す記述も目立ちました。

■考察|山口健太(株式会社日本教育資料 代表取締役/『きゅうけん』編集長|月刊給食指導研修資料)
「給食指導のやり方は、これまで『保育者一人ひとりの問題』として語られることが多かったように思います。しかし、園としての方針が決まっていない、言葉になっていないと、現場でおかしなことが起きても『それは違うと思います』と言い辛くなるはずです。実際に自由回答では、この『言えなかった』というものが含まれています。
今回の調査は、無作為に選んだ方に聞いたものではありません。ですから、この数字がそのまま全国の保育現場の姿だとは言い切れないと冷静に受け止めています。ただ、給食の時間は毎日のことであり、働く人の進退にまで関わっている。この論点自体が、これまでほとんど表に出てこなかったのではないでしょうか。
方針を決めて、言葉にして、園のなかで共有する。これは子どもが安心して食べられる時間を守ると同時に、働く人が迷わずに済む環境をつくることでもあります。お金をかけずにできる施策の1つでもあるので、多くの園にとって現実的な一歩になるはずです」
調査概要
・調査名:保育園・幼稚園勤務経験者100名「給食指導の本音アンケート」
・調査対象:保育園・幼稚園での勤務経験がある方
・有効回答数:100名
・回答者の内訳:現在現場で働いている保育士・教諭67.0%(67名)/理事長・園長・管理職 17.0%(17名)/過去に現場で働いていた(離職中・転職済み)16.0%(16名)
・調査期間:2026年1月23日〜2月5日
・調査方法:インターネット調査
・回答者の募集方法:『きゅうけん|月刊給食指導研修資料』の読者を中心にSNS等で呼びかけ
・調査主体:株式会社日本教育資料
・調査報告書全文掲載先:https://kyushoku.kyo-shi.co.jp/research/
調査の限界について
本調査は、報道・引用にあたって以下の点にご留意いただく必要があります。
・無作為抽出ではありません。回答者は『きゅうけん|月刊給食指導研修資料』の呼びかけに応じた方々であり、給食指導に関心の高い層が多く含まれている可能性があります。本調査の数値は、全国の保育・幼児教育現場全体の実態を示すものではありません。
・設問の文言が回答に影響した可能性があります。特にQ3・Q4は、選択肢に「厳しい」「楽しい」「笑顔で食べられる」といった評価を含む語を用いています。読者・記者の皆さまがご自身で判断できるよう、設問文を掲載しています。
・サンプル数は100名です。属性別の内訳を論じるには十分な数ではありません。
本調査と当社事業の関係について
本調査は、当社が運営するメディア『きゅうけん|月刊給食指導研修資料』の 読者・関係者を対象に、現場の実感を把握する目的で実施したものです。 調査の企画・設問設計・集計はすべて当社が単独で行っており、外部からの 資金提供や第三者機関による監修は受けていません。
また、本リリースで紹介する書籍『いちばんやさしい 保育者のための「食べない子」サポートBOOK』の著者は、当社代表取締役の山口健太本人です(版元は中央法規出版)。本調査と同じ問題意識に立ち、現場での具体的な対応をまとめた書籍です。以上の関係をあらかじめ開示いたします。
※本調査結果を引用・転載される際は「株式会社日本教育資料調べ」と明記ください。
■ 関連情報を無料で公開しています
給食指導に関する資料を『きゅうけん|月刊給食指導研修資料』では毎月無料で公開しています。1枚の図解にまとめており、印刷・回覧・配布も全て自由にお使いいただけます。園内研修や職員会議の資料としてご活用いただけます。

▼『きゅうけん|月刊給食指導研修資料』
https://kyushoku.kyo-shi.co.jp/
また、本調査で見えた課題への具体的な対応をまとめた書籍を刊行しています。

『いちばんやさしい 保育者のための「食べない子」サポートBOOK ―偏食・少食のお悩み解決!』
山口健太 著/中央法規出版/2026年6月19日発売/176ページ/定価2,200円(税込)/ISBN978-4-8243-0475-9
声かけ・盛り付け・環境づくりなど、明日から実践できる工夫を紹介。「言い換え一覧」を収録し、園全体(チーム)で支えるための指針を提案しています。
■ 今後の予定
当社は2026年4月、幼保施設に子どもを通わせる保護者350名を対象としたインターネット調査(非確率抽出)も実施しています。同調査では、回答した保護者350名のうち54.9%が「園を選ぶ際、給食で完食を強制しないかを事前に知りたい」と回答しました。
職員側・保護者側の双方が、園の給食指導の方針を判断材料にしている可能性があります。この結果を踏まえた取り組みを、今後発表する予定です。
■ 会社概要
社名:株式会社日本教育資料
所在地:東京都品川区
代表者:代表取締役 山口健太
事業内容:教育・メディア・研修
運営媒体:『きゅうけん|月刊給食指導研修資料』
URL:https://kyushoku.kyo-shi.co.jp/
『きゅうけん|月刊給食指導研修資料』は、給食指導に関する情報を毎月1枚の図解資料にまとめて無料公開しているメディアです。教育関係者向けの研修講師依頼も受けており、これまで延べ1万人以上に実施しています。
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