津久井やまゆり園の事件について(声明文)
全日本自閉症支援者協会
津久井やまゆり園の事件について(声明文)
平成28年7月26日に、神奈川県にある「津久井やまゆり園」において、元職員が多くの利用者を刃物で襲うという想像を絶する悲惨な事件が起こりました。
今回の事件により、障害のある方19人の尊い命が奪われ、26人が重軽傷を負うという国内の殺人事件で戦後最悪の犠牲者を出す事件となりました。
亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、ご遺族の皆様方に謹んでお悔やみを申し上げます。
また、重軽傷を負われた方々の一刻も早いご回復をお祈り申し上げます。
事件が発生して本日で1週間が経ちますが、利用者の方々は、いまだに恐怖と不安の中で、暮らしておられると思います。
利用者の方々をはじめ職員の方々も含めた心のケアをして頂くように、関係する皆様方には心よりお願い致します。
今回の事件の詳細については、十分に把握できない状況ですが、警察の被疑者への取り調べやメディアを通じた情報によれば、被疑者は、「障害者はいないほうがいい」、「障害者は生きていてもしょうがない」などと、障害のある人たち、とりわけ重度自閉症の人たちをはじめとした重複障害の人たちに対する極端な差別的かつヘイト的言動を繰り返していたと伝えられています。
今から77年前の1939年から1941年にかけて、障害者や難病者が「生きるに値しない生命」として、約7万人を抹殺したナチス・ドイツの「優生思想」を被疑者の言動から思い起こします。
国連で2006年に採択された「障害者権利条約」では、「障害のある人が他の人と平等に、住みたい場所に住み、受けたい教育を受け、地域社会におけるサービスを利用できるように、障害のある人の自立した生活と地域社会への包括」について定めています。
障害のある人たちが私たちと共に生活し、育ち合う「共生社会」の実現が日本においても主流となっています。私たちは、今回の事件を契機に障害のある人たちの暮らしの環境に管理体制が強化され、地域での普通の暮らしの実現を阻害するような影響を与えないかと危惧しています。少なくとも今回の事件を知って、「私も被害を受けるのではないか」と不安の中で暮らしておられる多くの障害のある人たちがおられるのではないかと苦慮しています。
私たちは、今回の事件による障害のある人に対するヘイト的差別言動や偏見を乗り越えるためには、政府の責任において法整備も含め国民ぐるみの運動にしていく必要があります。協会としても障害のある人たちと共に生きる地域社会の実現のために、あらゆる社会分野において、障害のある人を排除しない取り組みを進めていきたいと思います。
そして、障害のある人に対する地域社会での理解の広がりの中で、障害のある人の地域社会での安心・安全な暮らしの環境の実現に寄与したいと思います。
平成28年8月2日
全日本自閉症支援者協会
会長 松上 利男
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