【ニュースレター】9月1日(日)は「防災の日」〜農作業事故を防ぐためにテクノロジーができること〜

産業別死亡事故は「農業」が圧倒的1位!その背景は?

笑農和は、富山発のアグリテックを推進するスタートアップ企業で、主に「スマート水田」分野を展開しています。今回は、防災の日をきっかけに、「見過ごされてきた農作業中の死亡事故」について、問題提起すると共にテクノロジーによる解決策をご提案したいと考え、ニュースレターを配信する運びとなりました。
株式会社笑農和:https://enowa.jp

農林水産省の発表によると、平成29年の農作業事故死亡者数は 304 人※1。この数字を農業就業者10万人当たりに換算すると、死亡者数は16.7人となり、過去最高を記録した前年よりさらに増え、最多を更新しました。さらに産業別の死亡者数では、農業が圧倒的に1位となっています。ニュースレターではその背景に迫ります。
■9月1日(日)は防災の日
9月1日は関東大震災が発生した日であるとともに、暦の上では二百十日に当たり、台風シーズンを迎える時期でもあり、また、昭和34(1959)年9月26日の「伊勢湾台風」によって、戦後最大の被害を被ったことが契機となって、地震や風水害等に対する心構え等を育成するため、防災の日が創設されました。
政府、地方公共団体など関係諸機関はもとより、広く国民の一人一人が台風、高潮、津波、地震などの災害について、認識を深め、これに対処する心がまえを準備しようというのが、『防災の日』創設のねらいです。(東京消防庁のHPより)
  • 産業別死亡事故は「農業」が圧倒的1位!その背景は?
 

▶農業の死亡事故発生件数は建築業の2倍!
グラフを見ると、高所での作業など危険なシーンが多い建設業界に比べても、農業の死亡事故発生件数は2倍以上。
全産業の平均と比べると約9倍と、農作業時の危険性の高さが浮き彫りとなっています。
          

 

 

​▶死亡者の約80%が65歳以上
農作業死亡事故の発生状況を見ると、65歳以上が約80%、80歳以上が約40%を占めており、農業就業者の高齢化が死亡 事故増加の引き金となっていることが伺えます。

 

さらに事故の内訳を見ると、機械作業に関わる事故は69%、施設作業に関わる事故は4%、機械・施設以外の作業に係る事故は26%となっています。


 

▶熱中症や用水路での事故も見逃せない

死亡事故のうち、もっとも多いのは機械作業中の事故ですが、それ以外に「熱中症」や「農業用水路での事故」も無視できません。農林水産省によれば、毎年20人前後が農作業中の熱中症で亡くなっています。また、NHKが平成27〜29年に用水路での死亡故事が多かった15の都道府県で独自調査した記録によれば※2、2018年の死亡者は少なくとも154人、ケガをした人含めると、約2,000人にのぼります。この中には台風や大雨時の農作業中に用水路に転落した人も含まれると予想されます。
 
  • 農作業の事故防止に役立つ「paditch(パディッチ)のご紹介

笑農和が開発した「paditch」は、米農家が一番負担に感じている作業である水管理を自動化するスマート水田サービス。主な機能は、以下の6つです。

✅ 水温・水位を自動で管理できる
✅ スマートフォンやPCで、水門を遠隔開閉できる
✅ タイマーで自動開閉ができる
✅ 全体開閉・個別開閉・エリア開閉ができる
✅ 減水や何かが詰まったときにアラートを発する
✅ クラウドで管理されており、データが蓄積できる



自宅にいながら水管理が完了! 熱中症対策や台風時の事故防止に


水門を自動開閉できる「paditch」は、自宅にいながらでも水量や水温の調整が可能。タイマー機能を使えば、寝ている間に水管理が完了します。台風や大雨の日でも、遠隔で水管理を行うことができます。
水田に行く頻度を大幅に減らし、農作業中の危険なシーンを避けることができるため、熱中症対策や農作業中の事故防止に効果を発揮します。
               
  • そもそも、農作業中の事故はなぜ起きるのか? 専門家に直撃!

  
一般社団法人日本農業情報システム協会(JAISA) 代表理事/
スマートアグリコンサルタンツ合同会社 CEO 渡邊 智之さん
<プロフィール>
農業コンサルタント2008年より、大手IT企業にてスマート農業関連ソリューションの創造に関わったのち、農林水産省に入省。スマート農業の普及促進を担当する。2014年、スマート農業の普及拡大や次世代農業人材育成などを目的とした「日本農業情報システム協会(JAISA)」を設立し、代表理事に就任。著書に「スマート農業のすすめ~次世代農業人【スマートファーマー】の心得~」(産業開発機構株式会社)がある。

農業従事者の経験を持ち、長年、農業の普及促進に携わってきた渡邊さんによると、農作業中の死亡事故が多い原因は、主に以下の3つとのこと。
1人で作業しているため、事故があっても気づかれない
農機具の多くは「安全対策」が二の次になっている
③農家の「安全管理」に対する義務感が薄い
「すべてに通じるのは、農業が個人経営であり『経営』の意識が低いことです。企業であれば社員を守るのは当然であり、安全管理を第一に考えるはずですよね」(渡邊さん)

テクノロジーは、農作業事故を防ぐ「救世主」になる
「農業界では作業の効率化だけでなく、事故を防ぐ目的でもテクノロジーをどんどん活用していくべきです。血圧、心拍数、体温といったバイタルサインの変動を検知するバイタルセンシングやドローンを使えば、農作物だけでなく『人も観察する』ことができます。例えば、paditchにセンサーを搭載、ドローンを併用して人の動きを検知し、paditch経由で通信ができるようになれば、農作業時の死亡事故の減少に大きく寄与するでしょう」(渡邊さん)

paditch」を利用している富山県の米農家「サンライス青木」様の声

「スマート農業を推進しようという富山県の取り組みが発端で、paditchを6台導入しています。1日1回、水門の開閉を自動で行っていて、深夜や早朝になる場合はタイマーを活用しています。導入以降、現場に行く回数が大幅に減りましたし、深夜や早朝作業がなくなったのは非常にありがたいです。水田の面積が大きければ大きいほど、導入する価値が高まるでしょう。今後は、このようなスマート水田が主流になっていくと思います」(青木さん)
 
  • 現代の農業が抱える「働き方」と「事業継承」の闇
農作業中の死亡事故に関連して、現代の農業が抱える「働き方」と「事業継承」の課題も浮き彫りになっています。

▶高齢化により、大量離農時代が到来
2017年から、団塊の世代と呼ばれる70歳を迎え高齢となった農業従事者が次々に離農を始める「大量離農時代」が到来。農業の人手不足は深刻な事態に陥っています。平成22年に約261万人だった農業就業人口は、平成30年には約175万人に激減、今後もさらなる人口減が予想されます※3。農業就業人口のうち、65歳以上が68%を占めており、平均年齢は66.8歳です。


 

▶農業従事者は「長時間労働」が常態化
農業従事者の働き方で、もっとも問題視されているのが現場で働く人々に労働時間の規制が適用されないこと。彼らには残業の概念がなく、長時間労働が常態化しやすい。加えて、「努力が報われない」環境も新規就農者の参入を阻害する要素。流通システム上、どんなに質の良いものを作っても価格は一律のまま変わらない。これでは、農業に対する意欲が失われてしまう一方です。(渡邊さん)
 

▶事業継承するタイミングが遅すぎる
農業においては、父親が亡くなったタイミングで息子に事業継承されるケースが一般的ですが、技術が明文化されていない状態で引き継ぐため、以前と同じように経営できるはずもなく、品質がガタ落ちし、結果的に離農するという問題が生じています。これも農業界の由々しき問題の一つでしょう。(渡邊さん)
                       
  • 2019年はスマート農業元年 伸長するアグリテックとは
2019年は「スマート農業元年」と呼ばれており、関連技術が出そろい、今こそ成功事例を作っていくことが求められています。農林水産省が発表した平成31年度予算の概算要求額によれば※4、「スマート農業加速化実証プロジェクト」が新規事業として掲げられており、50億円もの予算が計上されています。このプロジェクトを通してスマート農業の浸透を図り、2025年までには農業従事者のほぼすべてがデータを活用した農業を実践することを政策目標にしているとのこと。今後、大量離農時代が進むにつれて、スマート農業が急激に普及していくことは間違いありません。
 
  • 米の味がマズなる!? 地球温暖化と稲作の関係性 ▶気温上昇により、米の収量が低下する
農研機構が調査した「気候変動が世界の主要穀物の収量に及ぼす影響予測」によれば※5、気温上昇が3.2度を超えると、米の収量増加が停滞し始めることがわかっています。また、豪雨、熱波、大寒波など異常気象も増えており、勘と経験に頼ったこれまでの手法では品質を保てないという課題も出てきています。これらの問題をクリアし、お米の味を守っていくためにもテクノロジーを駆使したスマート水田に期待が寄せられています。
 
  • 8/1に事務所リニューアル。アグリテック勉強会も積極開催

8月1日(木)、笑農和は富山県滑川市内の新事務所に移転いたしました。事務所内には、農家同士のネットワーキングや相談等に活用できるコミュニケーションスペースを完備。また、富山県内を中心に農家向けのイベントやスマート農業関連の勉強会を積極的に開催し、アグリテックの加速に貢献してまいります。

※1農林水産省 平成 29 年に発生した農作業死亡事故の概要より http://www.maff.go.jp/j/press/seisan/sizai/attach/pdf/190128-1.pdf
農林水産省 平成29年2月1日安全対策についてよりhttp://www.maff.go.jp/j/seisan/sien/sizai/s_kikaika/anzen/attach/pdf/2017_spring_suisin-5.pdf
※2 2019年7月29日 NHK 身近に潜む危険 用水路事故 https://www.nhk.or.jp/ohayou/digest/2019/07/0729.html
※3 農林水産省「農業就業人口及び基幹的農業従事者数」より http://www.maff.go.jp/j/tokei/sihyo/data/08.html
※4 農林水産省 平成31年度農林水産予算概算要求の概要について http://www.maff.go.jp/j/budget/180831.html
※5 農研機構 プレスリリース (研究成果) 温暖化の進行で世界の穀物収量の伸びは鈍化するより https://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/press/laboratory/niaes/077072.html
  • 【株式会社笑農和からのメッセージ】
株式会社笑農和は、“IT農業を通じて笑顔の人の和を創り社会に貢献する”を企業理念に、テクノロジーを活用した次世代スマート水田の実現に向けpaditchを開発・運営しています。
「水稲」においては、種まき、育苗、耕起、代掻き、田植え、草刈、収穫では、農機の発達により機械化が進んできました。しかし、最も時間がかかり管理期間も4~5か月と長い「水管理」だけはアナログなままでした。そこで弊社では、2017年5月から「水田で時間を取られる水の管理作業を、大幅に簡易化できる」 水稲農家向け水位調整サービス「paditch」の運用を開始、現在までに導入数は全国100件を超えるなど順調に数を伸ばしています。
2019年、北陸エリアでは初となるベンチャー・キャピタルより大型資金調達を実施し、「paditch gate02+」を発表、これにより水門の遠隔開閉、タイマー自動開閉、全体開閉、個別開閉、エリア開閉などが可能となりました。アラート機能も備え、クラウドで管理されているため、スマホなどからの操作やデータの参照ができます。水管理時間の大幅削減に加え、技術継承の分野では、IoTデータ蓄積技術が貢献、耕作地の大規模化対策に対しては、IoT遠隔制御技術が役立ち、異常気象への対策としてはAI未来予測などが対応します。それにより、品質低下が懸念されているコメの品質を未来ずっと維持していくことに寄与していきます。
この技術は農作物の栽培だけではなく、人命救助にも一役をかっています。特に大雨や水害時など、用水路での事故が多く多発しますが、その一因としては、農家が水門管理途中に転落したケースが見受けられます。富山では2008~17年度に起きた農業用水路での死亡事故は191件に上るなど大きな問題となっていますが、水門をITシステムで遠隔管理することでそういった事故を防ぐことが可能です。
パディッチは現在の農業が抱える問題に対して、未来を見据えた最適なソリューションを提案していきます。今後も技術開発・革新を進め、IT、IoT、AI、ロボットを活用し、次世代の農業を創り上げていきます。日本の問題を解決するだけではなく、将来は世界を視野に、グローバル化が進む農業、世界的な食糧不足、地球環境の保全などに取り組んでいきます。

【会社概要】

名称:株式会社 笑農和
設立:平成25年2月14日
代表取締役:下村 豪徳
所在地:〒936-0053 富山県滑川市上小泉1797-1
電話:076-482-3998
Fax:076-482-3991
 
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