特集:書き損じハガキで被災地に笑顔を届ける「ハガキ大作戦」が今週末よりスタート
書き損じハガキを集めて換金し、被災地の子どもたちへ花火を贈り続けている復興支援団体を特集する。
夏の風物詩でもある"花火"を届け続けている復興支援団体がいる。「日常の不要なものを支援に繋げたい」という主宰団体の強い意思から始まったこのプロジェクトは、今も全国の子供たちを笑顔にしている。
- 不要なものを支援に変える。
大作戦とは言っても、内容はいたってシンプル。全国の賛同者から書き損じハガキを集め、それをTeam-Kが取りまとめて郵便局へ持ち込み手数料を除いた額面の切手を受け取る。そしてそれを換金し、その資金で花火を購入して全国の被災地の子供たちへ届けるというものだ。
今年も、7月28日(土)から全国各地に花火を届け始めるという。
この7年間Team-Kが最も訪問している宮城県南三陸町からスタートする。仮設住宅が出来上がる前から、住民たちと交流を続けてきた。
団体の母体は社会人のメンバーと学生だ。彼らはあくまで仕事の合間や休日を利用して活動している”任意団体”だが、行動力と発想力で周囲を巻き込み、そして賛同者を増やし続けて活動してきた立派な組織である。その組織力は法人格以上のものといって良いだろう。このハガキ大作戦もその成果が大きく出ている。
まず驚かされたのが、毎年集まるその書き損じハガキの枚数である。
2015年:7,000枚
2016年:14,000枚
2017年:22,000枚
こんなに多くの書き損じハガキが全国から集まり、昨年は全国に2,000セット以上の手持ち花火がこどもたちへプレゼントされた。義援金や物資・ボランティアといった様々な支援方法があるなか、こういった形で被災地と寄り添うTeam-Kについて、代表理事の石原さんに話を伺った。
- 身近なものから誰でも支援に参加できる形を模索していた
そこで思いついたのが書き損じハガキ。年賀状という気持ちを伝える素晴らしい文化とツールが日本にはある。でも、僕や実家の家を見渡すと結構書き損じハガキがあったことがヒントになりました。これなら多くのご家庭に眠っている可能性もあるし、参加しやすい。「花火」という多くの方が子供の頃にやったであろう"夏の象徴"である楽しい思い出の形に姿を変えることができれば、多くの方々の賛同を得られるのではないかと思ったのが始まりです。
- 活動の輪は地道に大きな輪へと発展
現地に行くための交通費も宿泊費も自費である。運営していくための資金は、後述するブース出展会場で募っているくらいだ。そのため、組織としてのサスティナビリティは他団体と比べたら大変だろうし難しいことが容易に想像がつく。
しかし、このハガキ大作戦を含めたTeam-Kの活動は、ひとつのボランティア団体の活動におさまらなかった。
昨年、タリーズコーヒージャパンが全面協力をし、タリーズコーヒ全店舗(一部店舗を除く)で書き損じハガキの受付が実施されたのである。つまり、Team-Kの活動に、大企業が賛同したということである。当然、活動の認知が全国的に一気に広まり、結果的に多くの花火を昨年も被災地に届けることができたという。
- 今年のハガキ大作戦について
しかし、来年も実施される可能性が高いことから、もし自宅に眠る書き損じハガキがある方はとっておくことを勧める。例年年明けからゴールデンウィークにかけて募集が行われており、今年も5月末まで募集されていたので、詳しい情報はTeam-Kの公式ホームページをご覧いただきたい。(www.vteamk.com)
なお、今年集まった書き損じハガキの枚数は現時点で9,000枚を超えており、前述のとおり、今週末から花火を届け始めるという。既に発表されている花火提供先は下記の通りである。
07月28日(土)宮城県南三陸町志津川夏祭り・花火大会
08月05日(日)宮城県南三陸町歌津夏祭り・花火大会(https://utatsu-matsuri.net/supporter/)
08月11日(土)大阪府高槻市キャンプイベント(詳細は後日更新)
Team-Kは、全国の賛同者や協力者に「現地の雰囲気を伝えたい」という意思から、上記イベントなどの生配信を行っている。昨年も、配信中に南三陸町長やミュージシャンのBEGINが登場するなど、Team-Kにゆかりのある人たちも続々と登場するので、今年も楽しみにしたいところである。今年の配信予定についてはTeam-K公式ツイッターをご覧いただきたい。(https://twitter.com/vteamk)
- ハガキ大作戦を通して想うこと
安斎さん:2015年から続いているハガキ大作戦。毎年、全国各地からたくさんのハガキを預かり、手持ち花火のプレゼントや打ち上げ花火の協賛をさせていただいています。これまで続けてこられたのも、ハガキを託していただいた皆様、ハガキ回収ポストを設置してくださっている皆様や、各イベントで花火の提供を円滑にしてくださる皆様のおかげで、たくさんの笑顔につながっています。本当にありがとうございます。
各イベントでハガキを直接預けてくださる方は、みなさん素敵な笑顔で手渡してくださいます。提供者一人ひとりの笑顔が、このハガキ大作戦をとおして、花火となって、たくさんの方々に伝わる『笑顔のリレー』になっていると感じています。
本来、ハガキというものは、文字や絵、写真とともに様々な思いを届けるものだと思います。このハガキ大作戦を通して「忘れてないよ!」「ともにがんばろう!」「つながってるよ!」という託してくれた方々の思いもしっかりと込められています。
全国各地で自然災害による大変な思いをされている方がいらっしゃいます。直接的な支援ではありませんが、様々な繋がりを感じ、笑顔になれるハガキ大作戦が少しでも「心の癒し」になれるよう、これからもこの活動を通して出会った方々、全国の"ハガキ仲間"と共に歩んでいきます。
2017年のハガキ大作戦のPR動画には、東北出身のモデル岩根沙恵子さんも登場した。
岩根沙恵子さん(https://www.instagram.com/saemiltiii/?hl=ja)
- もうひとつの継続した支援の形〜九州応援米〜
伊勢丹や三越といった百貨店で販売されているような高級なお米を販売する株式会社農樹(ノウジュ)との共同復興支援企画だ。
「高級米」を販売していくうえでは、通常のお米以上に形状やサイズなど様々な厳しい審査が存在する。それに無事通過したお米だけが市場に出回るわけだが、農樹にとって、その審査に落ちてしまったお米の活用法に困っていた。
ちょうど同じころ、Team-Kは支援方法の一つとして「お米を被災地に届けたい」と思っていたという。そのタイミングで、Tema-Kの代表理事を務める石原さんと農樹の代表取締役社長を務める中津隈さんが出会った。初めて出会った場所は、東北でのフェス会場だったという二人は、すぐに意気投合したという。
大企業であればお米を寄付することは珍しいことではない。しかし、Team-Kや農樹はただ寄付するというわけではなく、多くの方々を巻き込みながら支援したいと考えていた。つまり、巻き込むことで一人でも多くの方に被災地に関心を持ってもらいたいと考えていたのだ。
最終的に、百貨店に並ぶにはサイズ・形状の審査でダメだった「味もおいしさもそのままな農樹のお米」を1袋600g500円で販売し、1袋売上につき1kgのお米を被災地に届けるというスキームを完成させた。
既に、過去1,400袋以上の購入があったため、東日本大震災の被災地には、なんと1.4トン以上のお米を寄付してきたTeam-Kと農樹。
現在は熊本地震の被災地への寄付を前提とした販売を実施しているが、先日の西日本豪雨を受け、Team-Kのツイッターでは西日本エリアへの寄付が発表された。
*農樹 公式サイトhttp://nohju.jp
- Team-Kについて
団体名の由来については、震災後に複数名で現地を訪れた際、ボランティアセンターで"団体扱い"となりその場で団体名を求められたため、その日限りのつもりで思いついた名前を今日に至るまで使用しているというのだ。
復興支援に積極的なパンク・ラウドシーンのバンドのファンであれば、Team-Kのことを知っている人も多いのではないだろうか。Team-Kは1年間をとおして、様々な音楽イベントでブースを出展し、被災地の今を発信し続け、身近に出来る復興支援活動を提供している。
これまでも日本を代表するロックフェスである「SUMMER SONIC」や「SATANIC CARNIVAL」「ARABAKI ROCK FEST」「AIR JAM」「氣志團万博」などでブースを出展すれば、多くの方がブースを訪れ、著名なアーティストもブースを訪れるほど参加者との接点やアーティストとの繋がりも強い。
Team-Kに賛同する人たちはロックファンだけではない。
人気アイドルグループ「嵐」が宮城県で開催した復興支援ライブでもブースを出展したり、AKBメンバーが出演するイベントにもブースを出してきた。同じ千葉県出身でもあるヴィジュアル系ロックバンド「X JAPAN」のライブやメンバーでもある故hideさんのイベントでもたびたびブースを出展している。これらいずれも、主催者側に活動内容や趣旨が伝わりやすく明確で、熱量のあるTeam-Kのメッセージをアーティストや主催者側が受けとめてくれるからこそ実現しているのだろうが、こういった活動により支援の輪を広げてきたことが素晴らしいではないか。
「ジャンルを超えた層に活動を届け支援の輪を広げていきたい」という趣旨そのままに、多くの人たちの賛同をもらいながら活動を継続している団体であるが、ブース出展がメインの活動ではない。Team-Kは一年を通して様々な活動をこの6〜7年継続している。
東日本大震災直後は毎週のように瓦礫撤去を行い、仮設住宅の清掃から交流会、被災した保育施設の運動会支援、少年野球チームとの対戦相手までしてきた。
現地の人たちが少しでも笑顔になってくれるならと、形にこだわらず色々なアプローチを続けてきたという。被災地の子供たちと野球を通してコミュニケーションがうまれ、野球が終われば一緒にご飯を食べる。そんな付き合い方をもう4年以上続けているという。
- 春夏秋冬、活動を止めない”絆”
代表理事の石原さんは「皆それぞれ仕事をしているあるので、活発に活動するということが出来ない。だからこそ、できる範囲の活動を続けるしかない。そのなかでTeam-Kの組織力を活かすべきときは団体名を全面に出して活動を推進していったりする。その時間や手間やお金がないときは、いち個人として活動をすることもある」と話す。日々、そういった考えをもって被災地支援活動を継続しているという。そんな彼らの一年間は下記のようである。
●1〜3月:仮設住宅での交流会
新年を迎えると、東北を中心に活動してきたTeam-Kはやはり東北へ赴く。震災直後は、仮設住宅で一緒にお茶をしながら当時の話を聞いたり話をする姿を見て涙を流したという。月日が経ち、今はとにかく「楽しい時間を一緒に過ごす」という考えに変わってきたという。
<被災者とボランティア>という関係性を超えた関係に築きあげた彼らと現地の方々が触れ合う交流会も不定期で開催しているという。お互いに流れた月日の中で変わったことなどを楽しそうに話す姿が印象的である。
●4〜6月:各地での支援活動
熊本地震や大阪北部地震、西日本を襲った豪雨被害でもTeam-Kは現地を訪れ、積極的な活動をしている。こうした災害の時、独自で活動を始める団体も多い中、こうした際は地元で立ち上がるボランティアセンターにお世話になるという。その理由について、代表理事の石原さんに話を聞いた。
石原さん:やはり、自らも被災しながら運営にあたる地元ボランティアセンターの邪魔をしたくないし、まずはとにかく力になりたいんですよね。マンパワーが必要なときに独自であちこちにボランティアへ行く人が増えてしまうと、渋滞が発生したり、地域住民の不平等・不満を生み、ボランティアセンターにも迷惑がかかる。そういった光景を過去の災害で何度も見てきました。少し落ち着いてきたら、市町村の窓口に連絡をして、物資を極力平等になるよう数量を調整して一軒一軒に届けてたり、仮設住宅での交流会をしたり、細く長い支援をしています。僕らはおおきな団体ではないので、身の丈にあった支援をしていくということが大切だと思っています。大阪北部地震発生後も、Team-Kとしてではなく、個人として4回ほど活動させていただきましたが、まだまだ支援の輪が必要になります。いかに参加しやすい雰囲気を作るか、興味関心をもっていただくか。そのために団体として何ができるかということを日々模索しながら活動しています。
Team-KはTwitterを通して日々防災・減災情報を発信している。ほぼ毎日、何かしらのニュースを発信している意図はなにか?その思いについても石原さんに聞いてみた。
石原さん:防災・減災のニュースを取り上げるということは、自分自身や身の回りの防災を考えるきっかけに直結すると考えています。たとえば、少し大きな地震が発生した時、対処法をツイートしたりします。もちろん、それは本当にその場で身の危険を感じた人はツイートを見る暇はありません。
しかし、近くでその地震を感じた人にとって、これまでリアリティのなかったことが突然我が身になって考え始めるわけです。その時どのような行動をするべきかということをその瞬間に考えるようになり、そこで学ぶきっかけになるのです。そういった形で、日々の備えの参考にしてほしいという気持ちから発信を継続しています。実際に日々のツイートが参考になったとか、為になったというお言葉をたくさんいただけるので、これからも極力ツイートするよう心がけていきます。
●7〜9月:ハガキ大作戦
*内容は上記に掲載しているため、ここでは割愛させていただく。
●10〜12月:クリスマス大作戦
毎年、ハガキ大作戦と同じくらい定番化しているTeam-Kの活動が「クリスマス大作戦」である。全国の賛同者からお菓子を募り、東北や九州にお菓子のプレゼントを届けている。
毎年この時期を楽しみにしている子供達のために、仕事の合間をぬって届けているという。東日本大震災のとき幼稚園だった子供達も、今では中学生になっている。
「もしかしたら、当時のことはあまり記憶がないのかもしれない。それでも、こうしてお菓子やおもちゃをもらったこと、楽しく過ごした時間がちょっとでも記憶に残ってくれたら嬉しい」とTeam-Kは話す。
- 被災地を愛し、地元「木更津市」を愛するTeam-K
石原さん:とにかく木更津市ってシャッター街っていわれるくらい元気がなかったんですよ。特に駅前なんかはひどくて。当時はなんとかして地元を盛り上げたい、若者に誇りを持ってもらいたい、そういった気持ちがとても強かったんですよね。もう日に日にその思いも強くなっていきまして・・・。
その気持ちを誰かに伝えたい、誰かと何かをしたい、そう思ったときに、やっぱり音楽だったんですよね。なかでも、健さん(横山健さん)が小さい頃から大好きだったので。その思いをメールという形でぎゅっと詰め込んで。なるべく伝わるようにとロジカルに(笑)
半年以上経過したあとだったんですかね?健さんが社長を務めるピザオブデスレコーズからご連絡をいただきまして。それで開催が決まったんですよ。嬉しかったですね。まさか、という感じ。当日は物資を集めたり様々な関連企業様のご好意で色々な催しも展開出来ました。いつかまた地元で同じようなイベントをやりたいなって思っています。
- 街を綺麗にするということ
石原さん:自分たちの街、木更津が大好きなんですよね。みんな。子供達にもずっと好きでいてほしいし、誇りを持てるような街であり続けてほしいと心から思っています。そのために、"今"僕たちができることをやるだけですね。
そう語る石原さんはいつも笑顔だ。これからもTeam-Kは全国各地に様々な形で笑顔を届けてくれるだろう。そう信じてやまない。
まずは、今週末からハガキ大作戦。
これからの活動にも注目したい。
テキスト:村石 隆二(フリーライター)
取材協力:Team-K
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