治験参加患者の服薬コンプライアンス向上を担う治験管理アプリ「ミライク・スタディ・コンシェルジュ」をBuzzreachが開発
治験コーディネーター(CRC)の治験業務負担をバーチャルCRC機能で軽減!
■ 治験参加者の脱落によるリスク
治験では患者さんの協力が必要不可欠です。厚生労働省への新薬承認申請に有効なデータを集めるために、決められた治験薬の適切な用法用量の服用が必要とされています。しかし、登録した治験参加患者の4人に1人が治験参加後に脱落(治験中止症例)している実態が明らかになっています(2017年3月29日 薬事日報 https://www.yakuji.co.jp/entry57222.html)。何十億円もかけて医薬品を開発し治験を行ったとしても、治験参加者が脱落することによって有効データが集まらない場合、治験そのものが中止になってしまう可能性があります。
当初の計画通りに治験を進めるためには、参加者の脱落を未然に防がなくてはなりません。本アプリでは、アラート等のお知らせによる服薬コンプライアンス向上(服薬忘れや飲みすぎの防止)だけではなく、治験コーディネーターを中心とする治験スタッフ側、業界初の試みとなる製薬企業側からのメッセージ機能を備えることで治験参加患者への心理的負担を防ぐと同時に、治験参加意識の維持や医療機関や治験スタッフとの密な関係性維持を実現します。
■ 治験コーディネーター(CRC)の不足と取り巻く実情
世界一とも言われる日本の治験データ品質。これを支えるのが治験市場の最前線で働く治験コーディネーター(CRC)です。しかしながら、昨今、CRCの人材不足が顕在化しています。医療機関内でも看護師などに比べて、まだまだ評価や認知度が低く、将来のキャリアパスが描きづらいという悲観的な課題が存在しています(2017年7月28日 薬事日報https://www.yakuji.co.jp/entry59489.html )。多くのCRCは女性ですが、彼女たちがいなくなったら、新たな治療法を必要とする患者さんに新薬が届くスピードが遅れてしまいます。業務量も増えており、家庭と仕事のバランスを取ることも困難な実情があります。このような現状を当社のアプリがもつ「バーチャルCRC的機能」で少しでも解消することで、業務負荷を軽減してまいります。そして、1日でも早く新薬を必要とする患者さんに医薬品を届けることができる世の中を目指します。
■ 治験管理アプリの特徴
治験管理アプリは治験コーディネーターの業務をサポートし、治験参加患者と医療機関、製薬企業(治験依頼企業)を繋ぐアプリです。現在は参加者が来院した時にのみ確認している飲み忘れや飲みすぎ(服薬コンプライアンス)を、アプリのプッシュ通知やアラート機能を用いることで事前・個別に治験参加患者に知らせることができます。また、治験管理アプリには治験スタッフ側からのお知らせ機能を設けているので、現在は医療機関や治験コーディネーターが電話などで行っている身体の異常の有無や来院日の調整などをアプリ上で完結させることもできます。これらの機能以外にも、事前に次回検査時の持ち物や検査内容などの事務的な連絡も行うことができるため、医療機関や治験コーディネーター側の業務の負担が大きく軽減されます。
さらに、業界初となる試みとして治験を実施する製薬企業(治験依頼者)がアプリを通じて、製薬業界のレギュレーションを遵守し、個人を特定しない形で治験参加患者に対して『ありがとう』のメッセージを伝えることができる『サンキューレター機能』も搭載。治験参加同意時、参加中、終了時などに直接的に製薬企業からの感謝を伝えることが可能です。これは製薬企業の掲げるペイシェントセントリシティの一環として、製薬企業と患者さんをつなぐ初の架け橋機能となるものです。費用については、製薬企業の治験1プロジェクト当たり、月額20万円~で提供予定です。
治験参加患者も本アプリを利用することで、自分の疾患の改善状況や治験の進捗を知ることができる上、遠い存在だった製薬企業からのメッセージを受け取ることによる心理的ストレスを減らすことができます。
本アプリは患者さん自身のデバイスにダウンロードして利用するため、製薬企業側のコスト削減、患者さん側の治験用のデバイスを持ち歩く直接的なストレスもありません。
さらに、昨今注目される基本来院を必要としないバーチャル治験・在宅治験でも治験コーディネーターの代わりや、患者さんのサポート、治験スタッフ側と患者さんとの架け橋を果たす役割も想定しています。そして今後は本アプリで、治験参加後も継続して利用ができるよう、患者さん自身の疾患管理・診療記録など、健康状況を管理することのできるようなバージョンアップをしていく予定です。
■ 治験管理アプリの主な機能について
- 進捗情報の視覚化と共有:患者さんの最新情報のサマリ画面。
- カレンダー:治験来院予定の入力確認、服薬状況の表示/入力、アラート機能、治験外でかかる他院・他科での検診スケジュールも入力可能。
- 疾患情報:製薬企業作成(または保有)または一般疫学情報などの疾患情報に関するウェブ情報。
- 服薬ガイド:疾患情報に伴う、疾患関連服薬ガイド情報。
- ライブラリ:治験参加カードなど、治験に関わる全ての患者さん向けPDF資料を保管、閲覧。
- 掲示板:製薬企業、CRC、PI、コメディカルスタッフが患者さん向けに書き込みを行う掲示板。特に製薬企業から患者さんへ『ありがとう』の気持ちを伝えるサンキューメッセージ機能がメイン。
- メッセージ:主にCRCから患者さん向けにのみ発信が可能なメッセージ機能。
- プッシュ通知:服薬、来院、メッセージなどの状況に応じて、アプリを閉じていてもプッシュ通知を受け取る機能。
- 薬剤写真アップロード:薬剤を摂取した後に、薬剤の減った状態をスマホのカメラで撮影し、アップロードしておく機能。
- 検診結果写真アップロード:検診結果を受け取った後に、結果をスマホのカメラで撮影し、患者さんの任意で記録保管用にアップロード、時系列で管理確認する機能。
- リワード機能:アプリ継続利用・服薬コンプライアンス向上・治験参加意識維持継続を目的とした動機付け機能。
- バーチャルCRC機能:CRCに代わって、患者さんのサポートし、CRCの負担を減らす機能。
■ 企業治験以外の臨床研究全般にも応用
製薬企業が実施する企業治験はもちろんターゲットですが、医師や医療機関が主導で実施される臨床研究全般にも応用していく方針です。企業治験以外の多くの臨床研究では、予算の関係から治験コーディネター(CRC)のサポートを導入できないプロジェクトも多くあります。本アプリはこのような患者さんのサポートは必要ではあるが予算の関係から手厚い患者サポートが導入できないプロジェクトに適応できるよう、費用形態含めて設計しております。
■ 株式会社Buzzreach 代表取締役 猪川 崇輝からのコメント
日本の治験コーディネーター(CRC)の治験実施の品質は高く、グローバルから見ても価値があります。この品質が高いことが日本の治験の品質を担保しているといっても過言ではありません。しかし、現在CRCの人手不足、働く環境の問題により、治験患者のサポートが万全にできていない一面もあります。
そんな中、今回のアプリはCRCの業務負荷を軽減し、さらには日本の治験水準を担保するためのサポートができるものにしたいと考えています。そして、今まで身近ではなかった治験という選択肢を選択してくれた患者さんに対して、このアプリを通し、CRCだけでなく、医師、依頼者である製薬企業とつながることで安心して治験に参加できる環境を作ることに寄与したいと思います。
既に大手製薬企業での導入も決まっているため、製薬企業はもちろんのこと、実際に現場で働くCRC、患者さんからも声を聞き、より良いものに仕上げていきます。また、基本、患者さんは治験終了後も継続して病気と付き合っていくことになるため、参加してくれた治験での関係にとどまらず、本アプリを通じ、継続してコミュニケーションをとる環境を作ることで生涯を通して我々が出来得る『治療のサポート』をして行きます。患者さんへの治療に対するより良い選択肢の提供や健康寿命をを豊かにするサービスを提供することで、自身の持つ疾患や対策への理解を深めていただき、治療の最適化をすることによる医療費の削減、医師の負担の軽減に貢献し、本当に治療が必要な方が必要な治療を受けられる環境を作っていきます。
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