海上建築スタートアップN-ARK|ナークが始動
気候変動により深刻化する海面上昇の課題解決を海上建築実現により目指す
▼N-ARKウェブサイト
https://www.n-ark.jp
▼プレスリリースダウンロード
https://prtimes.jp/a/?f=d88405-20211029-6060a4e62134ef13628d247dbc09ab23.pdf
日本では水害がここ数年で激化し令和元年には台風、集中豪雨により約2兆1,500億円の被害となり、その浸水面積は約8億平方メートルとなりました。毎年の台風と豪雨だけでなく海面も上昇しており2030年までにも東京湾、大阪湾、伊勢湾周辺で大きな水没のリスクが予測されています。N-ARKは、近代建築が取り組んでこなかった「塩」に対して活用方法や防御方法を様々な要素技術を組み合わせながら「海上建築」という形でプロトタイプしていきます。その第一弾としては、海水を直接の栄養源として栽培できる海水農業技術と海水農業を成立させる循環型の環境を作り出すフローティング建築技術を組み合わせた海上ファーム「Green Ocean|グリーンオーシャン」のプロトタイプを2022年に実現するために推進していきます。N-ARKとはARK(箱舟)をn倍する事で様々な利用転用ができるコンセプトです。グリーンオーシャンから始まり、n倍する事で海中環境を回復させる沿岸地域開発から、2050年までに2億人を超える気候難民の受け入れまで応用できる「海上不動産」の実現に取り組んでいきます。
[社会課題]
1.海面上昇と水害
2018年、2019年の日本の水害被害額は、全国で約1兆4,050億円と約2兆1,500億円に登り、2年連続で1年間の津波以外の水害被害額が統計開始以来最大となりました[1]。この様な規模の自然災害は世界中で巻き起こっており、海面上昇で影響を受ける世界人口は今世紀末までに2億8000万人に登ると予測されています[2]。沿岸都市部では台風、水害、塩害による被害も深刻化していきます。
引用1:農林水産省|令和元年度の災害からの復旧・復興
https://www.maff.go.jp/j/wpaper/w_maff/r1/r1_h/trend/part1/chap5/c5_1_00.html
引用2:AFP通信|温暖化による「水没難民」は2億8000万人に
https://www.afpbb.com/articles/-/3246019
2.東京での影響
Co2削減対策が進まないまま2030年を迎えると、日本全国で600万人もの人が浸水や冠水の影響を受ける可能性があることがわかりました。東京では、台風に伴う高潮などによって生じる極端な海面上昇で、約83万5,000人(23区の人口の9%)が浸水・冠水の影響を受けGDPでの被害規模は約7.5兆円にも登ります[3]。
引用3:2030年のアジア7都市における極端な海面上昇の経済的影響予測
https://www.greenpeace.org/static/planet4-japan-stateless/2021/09/928f1ca2-20210624_final_report_sealevelrise_jpn.pdf
参考1:海岸の現状と課題 - 国土交通省
https://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/kaigan_hozen/01/pdf/s02-2.pdf
3.天災による農地災害
2018年、2019年の日本の水害被害額は、全国で約1兆4,050億円と約2兆1,500億円に登り、2年連続で1年間の津波以外の水害被害額が統計開始以来最大となりました。2019年の被害額中、農地に関係のある農林水産被害額は3,446億円」(2兆1,500億円の15%)。近年10年(2010~2019年)合計で5兆4102億円[4](1年平均5,410億円規模 農地被害15%換算で1年平均被害額811.5億円)となり、今後も増加傾向が予測されています。
引用4: 農林水産省|過去10年の農林水産関係被害額
https://www.maff.go.jp/j/wpaper/w_maff/r1/r1_h/trend/part1/chap5/c5_1_00.html
[ビジョン]
Reinventing architecture by the ocean.
海から建築を再発明する
N-ARK|ナークは、海から建築を再発明し気候変動に取り組むアーキテックスタートアップです。
気候変動時代に地上での生活が脅かされる中で、近代建築で最も苦手としていた海に適応する建築と耐塩性技術を融合させたArktecture(Ark+Technology+Culture)を研究開発し、海面上昇や水害塩害問題に取り組みます。
[ファーストステップは海上ファーム]
N-ARKは、株式会社CULTIVERA|カルティベラ(本社:沖縄県国頭郡、代表取締役:豊永翔平)とのパートナーシップにおいて、海水を栄養源として栽培ができる海水農業技術と、育成環境を実現する耐塩建築を融合させた海上ファーム「Green Ocean|グリーンオーシャン」のプロトタイプ建設をファーストステップとして実証実験していきます。
グリーンオーシャン|耐塩建築技術
グリーンオーシャンを沿岸部に浮かべると、海の上下空間に二つのグリーンを生み出します。海上には塩性農業技術を活用し、食糧生産を目的としたファームが生み出すグリーン。もう一つは海面下の藻類等の栽培によって海中環境改善を目的としたグリーン。建材は間伐材を使用し、木材ジョイントは耐塩性を考慮したカーボンジョイントを採用予定。浮体設備には、特殊塗膜による浮力を増加を想定しています。特徴的な屋根の形状は、雨水を効率的に取り込むためです。雨水と海水を混ぜ合わせる事でph調整と稀釈率調整を行い、塩性農業の肥料となります。室内温度は、気温が安定している冷たい海水を利用し、ファーム内の空調として利用する循環的なシステム環境する事で、グリーンオーシャンは「地球の絆創膏」の様な役割を持ちます。
グリーンオーシャン|海水農業技術
海水農業技術を研究開発するパートナースタートアップ「カルティベラ」は、三重県で10000m2まで拡大している農業法人「ポモナファーム」で栽培、販売、運営もしています。その基礎技術となっているのが湿度管理で栽培する技術「モイスカルチャー」。5mm程の特殊繊維で自然の土壌の表層約15cmを再現する技術で、特殊繊維によって水を水分気化し、植物に水分枯渇ストレスをかけながら育てる事で、糖度やビタミンが強化された野菜を栽培する事ができます。モイスカルチャーで使用する水は従来の灌漑農法の10分の1で済み、水が豊富でない土地でも応用可能な栽培技術です。
https://pomonafarm.jp/
海水農業は、アルカリ性の海水と酸性の雨水を混ぜ合わせ中和し、品種に合わせて多様な種類の根を育成する事で地中と空中の水分と養分が吸収出来る特殊な栽培をします。その結果、海水に含まめるミネラルと栄養素を活用できる機能性野菜に成長します。※共同特許申請予定。
海中環境改善
植物プランクトンや海藻の光合成による基礎生産は浅い海(干潟・磯・浜)で生態系を循環させていますが、環境悪化によりこの基礎生産量が減少し、漁業にも影響を与えています。グリーンオーシャン海面下で藻類などを栽培し、海中環境改善をしていきます。※構想段階
[なぜ海上ファームなのか?]
降水量と水害は過去40年で1.7倍の規模になっています。気候変動が加速する今後10年での災害規模の拡大率を1.7倍とすると被害規模額は10年で9兆1,973億円(1年平均9,197億円)となります。9兆1,973億円に令和元年に起きた農林水害被害率15%を割り当てると、今後10年での被害額は推定1兆3,796億円となります。N-ARKはこの内15%の被害規模である2,065億円|486.45㎢を減災目標として事業を推進していきます[5]。
引用5:農林水産省|過去10年の農林水産関係被害額
https://www.maff.go.jp/j/wpaper/w_maff/r1/r1_h/trend/part1/chap5/c5_1_00.html
算出根拠
TAM:
2010~2019年農林水産関係被害額[※1]: 5兆4,102億円[※2] 2020~2029年農林水産関係被害額予想:5兆4,102億円 × 今後10年での災害予測値1.7倍 = 9兆1,973億円[※2]
SAM:
2019年の農林水産被害額3,446億円(全体2兆1,500億円の内、農地被害比率は15%)[※3] 2020~2029年農林水産関係被害額予想額:9兆1,973億円 × 農地被害比率:15% = 農林水産被害:1兆3,796億円 10年間の農地被害面積合計:1908.71km2 × 今後10年での災害予測値:1.7倍 = 3,243km2
SOM:
減災目標額:1兆3,796億円 × 15%(目標数値)= 2,065億円
減災目標面積:3,243km2 × 15% = 486.45km2
※1:農林水産省|過去10年の農林水産関係被害額 ※2:農林水産省|1時間降水量80mm以上の年間発生率 ※3:農林水産省|令和元(2019)年度の主な自然災害による農林 水産関係の被害額
[パートナー企業]
カルティベラ
三重県多気町に10,000平米の農業法人ポモナファームを運営する豊永翔平のアグリテックR&D会社。海水農業技術と作物種類開発を担当する。
https://www.oist.jp/ja/news-center/news/2021/3/23/36042
豊永翔平
1989年愛知県生まれ。早稲田大学考古学研究室にてカンボジアの遺跡発掘、景観・文化保存の活動に携わる。その際、アジア各国で目にした文化遺産の周りに起こる環境破壊や、産業の欠如から起こる若者の都市への一極集中に疑問を覚え、地域の基盤産業を作るべく環境保全と両立する農産業の可能性を探る。2016年にCultivera LLCを設立。独自特許技術のMoiscultureをプラットフォームに様々な農業技術の研究開発を行いながら、自身でも三重県多気町にて農業法人PomonaFarmの運営を行っている。
[メンバー]
田崎 有城|代表取締役 / 総合プロデューサー
ビジュアルデザインスタジオWOW勤務時に公共施設やアートパビリオンなど建築プロジェクトを担当。2018年株式会社KANDO設立。同時にリアルテックファンドメンバーとしても多数のテックベンチャーと並走しながら総合的なハンズオン支援を行う。
http://kando.vision/
https://www.realtech.holdings/
塩浦 政也|建築設計技術開発担当
日建設計で東京スカイツリータウン等の設計業務に携わった後、2013年に「空間における人々の活動)が社会を切り拓く」というコンセプトを掲げた領域横断型のデザインチームNADを立ち上げイノベーション案件を創出。2018年「Scape」起業。
https://renoveru.co.jp/blog/3958/
木下 明|取締役 / パブリックリレーション担当
リクルート在籍11年の間に営業、0→1(新規事業開発)、1→100(事業開発)を経験。合わせて社外でベンチャー事業戦略サポート、プロダクト開発等担当。2016年にMONOLITH起業。複数の企業の事業開発コンサルティングを行う。
https://www.mnlth.jp/
永田 宙郷|素材開発担当
金沢21世紀美術館(非常勤)、デザインプロデュース事務所等を経て、 TIMELESSを設立。国内各地の伝統工芸から先端技術まで幅広いブランディングや事業開発を手掛ける。全国の作り手が集う「ててて商談会」を共同主宰し、アジア有数のデザインイベント「DESIGNART」の共同発起人を務める。
https://nagataokisato.themedia.jp/
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