ひきこもる本人や家族の思いを広く社会に伝えるため、当事者たちが企画から制作までを本格的に担う、ひきこもり家族会の情報誌『たびだち』が通算100号を迎えました。
●ひきこもり家族会が発信する情報誌 「たびだち」とは
日本各地には、ひきこもる人の家族の会(家族会)が存在します。
KHJは「日本で唯一の全国組織の家族会(当事者団体)」であり、1999年より20年以上、ひきこもる本人、その家族が社会的に孤立しないように全国39都道府県56の地域の家族会とネットワークを組んで、活動しています。
ひきこもる人のご家族が、これまで世間に出せなかった想いを家族会に来て、共有することで「同じような悩みを抱えている人がいる。私は、ひとりじゃない。ここに私の居場所がある」と思えるようになり、1人で悩みを抱え続けてきた親御さんたちも元気になってゆきます。
「ひきこもり」は特別な人の話ではありません。
コロナ禍の今、誰もが何歳からでも、ひきこもる可能性があります。
だからこそ、ひきこもりの人が生きやすい社会は、「すべての人にとって生きやすい社会」になるのではないでしょうか?
私たち家族会が発信する情報誌『たびだち』は「ひきこもり」という言葉の社会的認知が低い頃から、ひきこもる心情や要因、特性、関わり方などについて、当事者の視点から俯瞰的に発信し続けている、日本でも類を見ない「ひきこもり情報誌」です。
どの記事をとっても、著者や取材対象者が日々感じている息遣いや真剣な眼差し、本音が伝わってきて、「なんとなく」や「ごまかし」のような軽さは感じられません。
ひきこもりを扱った雑誌で、このような「総合誌」という形態の雑誌は日本でも唯一と言えます。
そんな『たびだち』も、2001年3月に創刊されて以来、このたび通算100号の発刊を迎えることができました。
※2年前の川崎カリタス通り魔事件、元農林水産事務次官長男殺害事件をきっかけに、会員向け機関紙から一般向けの情報誌にリニューアルするべく、第91号から編集長にジャーナリストの池上正樹を迎え、編集部を組織し、現在の編集体制に至っています。
コロナが人を分断していく中「ひきこもり」や「8050問題」「老老介護」など多様な悩みを抱える家族が増えています。『たびだち』はそんな多様な悩みを抱える当事者・家族たちのニーズに応えるべく今後も質の高い情報を伝えてまいります。そして「すべての人にとって生きやすい社会」の実現を目指し、今後も発刊を続けてまいります。
【『たびだち』概要ページ】https://www.khj-h.com/papers/our-newspaper/
【『たびだち』冊子版購入ページ】https://forms.gle/jWGmAc9cMtaxKpHw9
【『たびだち』PDF版購入ページ】https://khj.thebase.in/
★たびだち編集部では、編集メンバーを随時募集しています! 編集会議(オンライン) 見学も歓迎! 詳細は、お問合せ先まで。
●本誌の特徴
特徴1 ひきこもりのことを多角的に発信 日本でも類を見ない「ひきこもり総合誌」。
『たびだち』では「8050問題」などの「ひきこもり」諸問題について、制作に関わる本人や家族の視点から家族会の豊富な知見やノウハウを読者に伝えています。ひきこもり当事者や家族によるタレントや政治家へのインタビュー、学者やジャーナリストによるひきこもり諸問題の解説など、新聞やニュースでは入手できない『たびだち』ならではの貴重な情報や専門性の高い情報も多く掲載されています。
NHKドラマの『こもりびと』に出演された武田鉄矢さんと、全国の本人や家族をオンラインでつなぎ、96号特集座談会が行われた。
特徴2 創刊以来当事者・家族の生の声を発信し続ける。
『たびだち』の大きな特徴は、ひきこもり本人や家族の生の声が誌面の多くの場所で生き、掲載されている点にあります。ひきこもる人とその周辺の人々が何を考え、どう生きてきたのか?これからどのように生きていきたいのか?など、思いや苦悩、喜びなどをストレートに語った生の声は、「ひきこもり」を理解するための最大の情報と言ってもよいでしょう。それらは時として専門家の知見やノウハウを上回るインパクトを読者に与えます。この生の声は、記事という形態のみならず、写真や絵、創作物といった表現の形をとることもあります。
特徴3 ひきこもりには多様な表現がある。
私たちは、『たびだち』の誌面が多様であることを重要視しています。
『たびだち』は、『たびだち』を読んだ人が、どのような生き方をしていけばよいのかを考えるうえで、気づきを得てほしいと願って作られています。それぞれ1人ひとりの途のりや生き方が違うように、『たびだち』もまた自分と異なる考えにも寛容であることを大切にしています。そこに優劣はありません。
それぞれが得意にしている「多様な表現」こそが、『たびだち』を支える重要な柱の1つなのです。
『たびだち』により多様な形で伝えられる知見や情報が、「ひきこもる人にとって生きやすい社会」すなわち「すべての人が生きやすい社会」を指し示す羅針盤になると、私たちは確信しています。
●情報誌名「たびだち」にこめられた想い
情報誌である『たびだち』の名前に用いられている言葉「たび」は「他火」とも表され、困難な旅程のなかで、 自分とは違う場所に生きる人(他)の火(生活や命の源)にあずかってひとときを過ごすこと、あるいはそれを分け合うことだという説があります。私たち『たびだち』編集部は、小誌のページを開いていただいた「たびびと」にとって、『たびだち』がその先の人生の旅程へのためのひとときの逗留の場となることを願っています。
●編集員紹介
プロフィール
編集長 池上 正樹 (いけがみ まさき)
ジャーナリスト/KHJ全国ひきこもり家族会連合会理事。
25年にわたり数千人の「ひきこもり」当事者とやりとりしてきた。
NHK『クローズアップ現代+』『あさイチ』はじめ、テレビやラジオに多数出演。
NHKドラマ「ひきこもり先生」「こもりびと」等の監修も務める。
著書は『ルポ「8050問題」~高齢親子“ひきこもり死”の現場から』等
編集員 石井 英資 (いしい えいすけ)
1982年生まれ。大学院在学中の2007年にひきこもり、その後中退して2014年頃まで6年半ひきこもり続けた。趣味はゲーム全般、ひきこもり時はネットとゲームに大いに救われた。
編集員 瀧本 裕喜(たきもと ひろき)
18歳から7年間、家族とも顔を合わせず、自分の部屋にひきこもる。長い長い自問自答の日々の末、夢の中での理想の自分との対話により、ひきこもり生活に終止符をうつ。現在は、ライター兼カウンセラーとして活躍している。
★ 上記の他にも、全国各地の「ひきこもり等の生きづらさを抱えた本人、その家族、支援者」が垣根を超えて編集会議(オンライン)を通じて、企画立案から出版まで携わっています。
●ある編集員体験記
【書くことで、自分自身を見つめ直せた】
『たびだち』との出会いは、「当事者手記を書いたらどうですか?」と編集者に誘われたことがはじまりでした。書くことで、自分自身を見つめ直せました。書けるところは、自己理解が深まっているところ。モヤモヤして、言語化できないところは、理解が浅いところ。時系列が明確に言えないところは、ひきこもっていた時期。
【記者として心がけていること】
記者として取材をするときは、5W1Hの質問にとらわれないように心がけています。
「なぜひきこもったんですか?」と、ひきこもり当事者に質問をしても、答えらない人が多いからです。
その質問に的確に答えられる人は、自己分析ができて、自己理解が深い人だからです。
【編集者のメッセージに励まされて】
記事を書けば書くほど、未熟なところが浮き彫りになり、落ち込むことがあります。
しかし編集者のメッセージに励まされて、赤入れの原稿と向き合えるようになりました。
推敲を重ねれば重ねるほど、余分なものが削ぎ落とされて、言葉が結晶化されていきます。
僕は、書くことを通じて、心を深く掘り下げられるようになりました。
★ 編集部では、随時、編集員を募集しています。 編集会議の見学も歓迎! 詳細は、お問合せ先まで。
【団体概要について】
特定非営利活動法人 KHJ全国ひきこもり家族会連合会
(KHJは、K:家族、H:ひきこもり、J:ジャパンの頭文字)
当法人は、ひきこもる本人と家族が集う唯一の全国組織として、社会的孤立を防ぐために、全国約3000家族がネットワークを組んで活動している。
制度の狭間で取りこぼされてきた「ひきこもり」本人や家族の心情に寄り添い、「甘え」「怠け」といった偏見や誤解、ひきこもることが問題であるかのような差別をなくし、安心してつながれるような社会をつくるため、当事者家族の声を発信している。
また、全国の家族会が連携し、行政に働きかけながら、誰もが排除されずに悩みを相談できて、つながりを持続できる、そんな希望の感じられる「地域共生社会」を目指している。
活動開始年 1999年
共同代表 伊藤正俊、中垣内正和
事業内容
・「家族会」における取り組みやピアサポート活動を支援する活動。
・ひきこもりへの社会的理解と地域連携、官民連携を促進する活動。
・KHJジャーナル「たびだち」(情報誌)発行、出版。
・ひきこもりの実態に関する調査研究活動。
・ひきこもり支援への提言を行う活動。
所在地: 〒170-0002 東京都豊島区巣鴨3-16-12-301
TEL : 03-5944-5250 (事務局対応時間 平日13時~19時、土日祝休業)
FAX : 03-5944-5290
MAIL: info@khj-h.com URL : https://www.khj-h.com/
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