中小規模の製造業のDX課題を解決する「DX工場」2月17日オープン 広島工業大学濱崎 利彦教授と製造ライン最適化・デジタルツインの実証実験を開始
実証実験の結果をロールモデルとして全国の工場に展開予定
東洋電装株式会社(本社:広島県広島市、代表取締役:桑原弘明)は、全国の中小規模の工場の製造ラインが抱えるDX課題を解決すべく、可部事業所(以下、DX工場)を2022年2月17日(木)にオープンしました。マスカスタマイゼーション(※1)とデジタルツイン(※2)の実証実験を学校法人鶴学園 広島工業大学 情報学部 濱崎 利彦教授と共同でおこない、その結果を自社事業の開発に活用していくことはもちろん、同じ課題に悩む全国の工場にも順次展開していく予定です。
【東洋電装株式会社Webサイト:https://t-denso.com】
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DX工場は、当社の主力商品である産業用機械の制御盤の製造ラインにおいて、工場内のセンサーや各種タグ、システム、手作業等の工程のデジタルトランスフォーメーションをおこなうことで、小ロットの製品も大量ロットの製品も、同一ラインでの製造を可能にします。これまで小ロットの製品は大量ロットの製品に比べ、コストが高く、納期も長くなりがちでしたが、DX化を図ることで、短納期、低コストでの提供が可能になります。
DX工場では、 FRICS Fabと名付けた、DXを推進していくうえでの当社基準を設け、仮設構築と検証、改善を繰り返していく予定です。 FRICSはそれぞれ、フレキシビリティ(柔軟な対応、Flexibility)、リライアビリティ(信頼性、Reliability)、イノベーション(技術革新、Innovation)、コンシダレーション(考慮・思いやり、Consideration)、サスティナビリティ(持続性、Sustainability)の5要素の頭文字をとっており、営業、設計、製造、検査の各事業プロセスにおいてデジタル化が実現できているか?
これらの要素と照らし合わせ事業にフィードバックをおこない、デジタルトランスフォーメーションを達成させていく予定です。
※1 マスカスタマイゼーション:多数や大量を意味する「マスプロダクション」と、特注を意味する「カスタマイゼーション」を合わせた言葉で、製造業では、小ロットの製品は大量ロットの製品に比べて、ニーズがある一方、個別に一品一様の対応が必要になるので納期が長く、コストが高くなりがちになる傾向がある。
※2 デジタルツイン:現実空間やオフラインの情報をIoTで収集し、双子のようにコンピュータやデジタルデバイス上のオンライン空間で再現する技術。
- 広島工業大学 情報学部 濱崎 利彦 教授との実証実験について
国内の中小企業や工場を中心とした製造現場では、大資本の大手企業が大量ロットの製品を中心に対応する一方、小ロットの所謂一品一様の製品を職人や現場の属人的なノウハウで対応し、リソース不足、ノウハウやナレッジの共有、引き継ぎが課題になっています。この課題を解決することにより、工場内の製造ラインが比較的少ない中小規模の工場でも、大量生産の製造はもちろん、小ロットの一品一様と言われるような製品の製造も、大量ロットの製品と大きな遜色のない納期、価格でかつ、同一の生産ラインの納品が可能になり、逆に一品一様中心の製造ラインと平行して大量ロットの製品の製造を可能にすることを見込んでいます。
造ラインでは、加工・組み立て・配線等の作業プロセスをスタッフと高度な知識や技術を持つエキスパートスタッフが各工程で必要に応じて作業を担当し、制作物や工程に合わせて担当を割り振られ、製造時間やコストもそれに大きく左右されます。実証実験ではこれらのプロセスのデータを収集・見える化し、複雑に絡み合うこの一連のプロセスを最適に組み換え、スタッフとエキスパートスタッフの人員配置も従来の工程では見られなかった順番で、最短・最適価格での製造の実現を可能にします。
くわえて、マスカスタマイゼーション課題に対しシステム化・デジタル化を進めることで、製造工程やプロセスの最適化をコンピューター上で組み上げ、それが実際の現場にも反映されるデジタルツインの実現も可能になります。生産ラインのエミュレーション改善やフィードバックのスピードアップ、経営戦略検討によるプライオリティの設定などを仮想空間にて進めることができ、スタッフ等の人的リソース、材料や物資等の物的リソースの配置も簡単におこなうことができます。
実際に工場内でネットワークカメラシステムと解析ツールを導入しており、分析ソフトを介して作業の細分化や動線分析、さらにシステム・設備の見直しを行っています。現時点で動線分析により、無駄な動線を設備の見直しをおこない、特定作業の所要時間を35.6%ムダ削減することができました。データの抽出と分析・改善を繰り返すことで、明確な数値の共有を通じてスタッフの意識改善が連鎖し、社内変革とデジタルトランスフォーメーションを実現していきます。
今後DX工場では、製造現場のDX化を推進することで、一品一様の製造を中心におこなっている中小規模の工場の人手不足の解消、担当のレベル差による不良品の低減による品質向上・コスト削減を実現していきます。
DX工場での実証実験について、外部からの協力や参加は広く受け付けており、広島工業大学以外にも実証実験を共同でおこなう企業・団体も本日から開始します。これらの実証実験や製造現場のDX化を通して、製造業の技術的イノベーションに寄与してまいります。
マスカスタマイゼーション・デジタルツインの実証実験をおこなうことで、制御盤以外を製造している他の工場にもそのノウハウを提供し、国内の製造現場のDX化を推し進めていきます。
- 学校法人鶴学園 広島工業大学 情報学部 濱﨑 利彦 教授
1984年広島大学大学院工学研究科材料工学専攻・博士課程終了後、 東芝総合研究所VLSI研究所を経て、 1991年~2001年Burr Brown Inc. (本社アリゾナ州)及び2001年~2010年Texas Instruments Inc.(本社テキサス州)の日本法人において、開発本部長、テクノロジーセンター長を歴任。 オーディオ/イメージング半導体の設計部隊をリードすると同時に、製品開発・量産・品管プロセスフローの統合基幹業務(ERP)システムへの組込みを推進し、ハイエンド製品とハイボリューム製品を協調させた技術管理(MOT)手法を実現。2004年にTexas Instruments Fellow Award受章。
2010年より鶴学園 広島工業大学情報学部教授、IoT技術研究センター長(2018年設置)としてグローバルな視点から「ものづくり」を担うエンジニアの教育と指導に取り組む。
博士(工学)、メイドイン広島IoT協議会顧問、 IEEE・電子情報通信学会シニア会員
- 可部事業所 概要
名称:可部事業所
住所:〒731-0223 広島市安佐北区可部南3丁目6番18号
敷地面積: 1634.33㎡
操業開始: 2022年2月17日
生産品目: 制御盤、動力盤、配電盤、他
従業員: 約30名
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