【20代〜40代男女1万人に聞く、生理の悩み実態調査】 女性の85%が生理の悩みを抱え、働く女性の78%が職場の理解を求めている
働く女性80%が生理の症状で仕事で困った経験があり、仕事のパフォーマンスは2割低下 / 生理や生理前症状によるパフォーマンス低下を月に1日減らせれば、年間2,602億円相当の経済価値に
- 働く女性の生理の悩み 7割の女性が「仕事上で困ったことがある」
●20代〜40代の女性4,418人の85.0%が生理の悩み「あり」。「腹痛」ほか「イライラ」「気分の落ち込み」など心身に影響あり。
●20代〜40代の働く女性1,200人のうち2割は「有給の生理休暇制度」があるが、利用しているのはそのうちの約2割にとどまる。
●働く女性の80.0%が仕事上で生理で「困った経験」あり。77.6%が「職場の上司や同僚に生理に関する理解を深めてほしい」。
●普段の仕事パフォーマンスを100とすると、生理中の仕事パフォーマンスは平均で80.2となり、約20ポイントも低下する結果に。
- いまだに「がまん」や「あきらめ」がはびこる生理対策。方法がわからず対策していない人も
●生理の症状と栄養状態、6割が「関連ある」と認識。しかし、生理の対策として「食事」を工夫しているのは15.1%しかいない。
婦人科医・小林浩先生 「生理リテラシーを高めて、セルフマネジメントに取り組みましょう」
・「生理の症状は我慢する」という悪循環を断ち切るために、生理に関するリテラシーを高めましょう。
・自分の心と体にきちんと向き合うセルフマネジメントを始めましょう。まずは食習慣の見直しから始めてみましょう。
- 改善の余地がある「職場での生理」 社会全体での理解が広がることで大きな社会経済効果も
・月経随伴症状によるパフォーマンス低下を、1カ月に1日減らすと、年間2,602億円もの経済価値が生じることに。
・月経随伴症状による社会経済的損失 年間約1兆1,913億円と推定。
- コラム 「男女1万人調査から見えてきた! 生理に関する男女間ギャップ」
●生理の話題、女性の7割は男女に関係なく気軽に話せるが男性の4割はいまだに話せない。
●女性の41%が悩む生理中の眠気、理解している男性は18%しかいない… などなど
<「生理の悩み実態調査」調査概要> ■実施時期:2021年9月22日(水)~9月24日(金) ■調査手法:インターネット調査 ■調査対象: (1)全国の20代〜40代男女10,000人(性年代別の人口構成比で割り付け)(1p図1図2および4pコラム) (2)3カ月以内に定期的に生理がある20~40代の働く女性 1,200人(各年代400人) ★構成比(%)は小数第2位以下を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります。 |
- 生理に関する現状の課題
生理がある20代〜40代女性の85%が生理の悩みを感じている
20代〜40代の女性4,902人の中から、「この3カ月に生理があった」と回答した4,418人に聞きました。生理前や生理中の症状で悩みを感じるかと聞くと、85.0%が「悩みがある」と答えています[図1]。また、生理前や生理中に感じる症状は、「イライラ」(52.4%)、「下腹部の痛み」(49.7%)、「眠気」(41.4%)のほか、「肌トラブル」(35.4%)や「気分の落ち込み」(33.0%)など、体にも心にも影響を及ぼしています[図2]。
働く女性の実態 生理に関する職場の制度、利用する女性は2割しかいない
働く女性の7割が職場の理解を求めている多くの女性が生理の症状で悩んでいる中、働く女性はどのように対応しているのか、調査対象者の中から働く女性1,200人に聞いてみました。生理に関する職場の制度について聞くと、2割は「有給の生理休暇制度」(22.2%)があると答えていますが、そのうち、制度を実際に利用しているのは2割(21.4%)しかいませんでした[図3]。
また、生理の症状や悩みによって、働く女性の8割が「困った経験がある」と答え[図4]、8割近くが「職場の上司や同僚に生理に関する理解を深めてほしい」(77.6%)と望んでいます[図5]。
働く女性の8割が生理で困った経験あり、生理中の仕事のパフォーマンスは普段より2割もダウン
生理で悩む働く女性の職場環境はまだまだ厳しく、仕事のパフォーマンスにも影響しそうです。普段の仕事中のパフォーマンスを100とした場合、生理の症状があるときのパフォーマンスを聞くと、平均で80.2となり、20ポイントも低下していることがわかりました[図6]。
生理の症状は、イライラや痛みなど自分自身をつらくさせるだけでなく、仕事のパフォーマンスにも大きなマイナスとなっています。
- 働く女性の生理への対策
生理の症状に対して3割は何もしないまま… 理由は「がまん」「わからない」「あきらめ」
生理の症状があるとき、3割は「対策をしない」(28.8%)と答え、しない理由は「がまんできる」(41.9%)、「対策がわからない」(25.7%)、「仕方がない」(25.1%)が多くなっています[図7]。対策している人でも、「鎮痛剤」(64.9%)、「睡眠や休息」(44.0%)、「体を温める」(42.3%)などの対処が多く、根本的な解決に取り組んでいる人は少ないようです[図8]。
生理の症状は栄養状態と「関連あり」。
でも、生理の対策として食の工夫をしている人は15%しかいない
最後に、生理の症状と栄養状態について聞くと、6割が「関連があると思う」(59.3%)と答えています[図9]。しかし、図8の通り、生理への対策をしている人で「食事の見直しや効果がありそうな食品の摂取」を実践しているのは15.1%しかいませんでした。
専門家の意見① 婦人科医の視点から 婦人科医・小林浩先生 ■「生理の症状は我慢する」という悪循環を断ち切るために、生理に関するリテラシーを高めましょう 「生理の症状には適切に対処しましょう」とよく言われますが、実は、何が適切なのかわからない方が多いのではないでしょうか。今回の調査では成人女性の85%が生理の悩みを抱えていますが、実は中高生でも8割は生理で悩んでいます*。「生理痛は我慢が当然」と思い込み、そのまま成人し子どもを持ち、自分の子どもにもそう教えてしまうという悪循環がおきています。海外のように生理痛やPMSの教育をしっかり行い、全体でリテラシーを高めていくことが重要だと思います。 日本子宮内膜症啓発会議(JECIE)配布資料「『月経トラブル』とのつきあい方」 http://www.jecie.jp/material/tokyo-ouen-a4/ ■自分の心と体にきちんと向き合う、セルフマネジメントを始め、生活習慣を見直しましょう 今回の調査でも、実践している対策として、市販の鎮痛剤の服用が最も多くなっています。これは症状を緩和する対症療法的なもので、痛みの原因への対策は行われていません。患者さんとお話をすると、自分の子宮や卵巣の異常が生理痛やPMSの原因と考え、自分の生活習慣やストレスによって、脳から卵巣への司令がおかしくなりトラブルが起きていることに気付いていない方が多いようです。それぞれの症状や生活環境によって対策は異なりますが、自分の体がどんな状態にあるのか、ストレスにはどうすれば対応できるのか、自分の体に向き合って理解するセルフマネジメントは、どなたにも有効な方法だと思います。自己流ではなく婦人科医にご相談いただくと、その人に合う具体的なアドバイスが差し上げられるのでより効果的ですね。婦人科の受診は思っているほど敷居は高くありませんので、気軽に利用していただきたいですね。 ■生理との関わりが深い栄養管理 食習慣を見直すセルフマネジメントは身近で取り組みやすいのでぜひ試していただきたいですね 生理と栄養状態は関連があることは何となく理解されているようですが、実践している人は少ないという結果でした。極端なダイエットで生理が止まるように、生理は体の変化が如実に表れます。体にとって食事や栄養はとても重要です。サプリメントなどの栄養成分は気にするのに食品や食事に関してはそれほど…、という方も少なくないようですが、食事や栄養を見直してみると、それまで手放せなかった生理痛鎮痛剤の服用頻度が減ったり、必要なくなったりします。ダイエットのみに気をとられずに、食事や栄養管理の見直しは、セルフマネジメントとしても身近で取り組みやすいので、ぜひやってみることをお勧めします。 |
小林 浩(こばやし・ひろし)先生 ミズクリニックメイワン院長 婦人科医
1980年、浜松医科大学医学部医学科卒業。奈良県立医科大学産婦人科教授を経て、2020年4月「ミズクリニックメイワン」(奈良県橿原市)院長に就任。一貫して大学病院で臨床、研究、教育を担当。奈良県立医科大学産婦人科教授時代に培った経験を基に、地域医療のために、産婦人科でお悩みの方に、安心を提供している。
https://www.mscl-mayone.com
- 生理の症状でのパフォーマンス低下を1カ月に1日減らすことができたとしたら… 年間約2,602億円相当の経済価値が期待
■月経随伴症状によるプレゼンティーイズムを1カ月に1日減らすと、年間2,602億円相当の経済価値に
従業員が出社していても、何らかの不調のためパフォーマンスが伴わない状況のことをプレゼンティーイズム※1と呼びます。 今回、20〜49歳女性のうち、月経随伴症状で症状のつらい日・不快な日は1カ月に生理前で平均3.06日、生理中で平均2.71日※2と想定していますが、これらを感じる頻度や症状のレベルを考え合わせ、就業上でパフォーマンスが低下する日数を2.12日/月と推定しました。出勤するが効率が低下する日数を1日減らすことができた時の経済価値を試算すると、年間2,602億円のプラスの経済価値が生じることが推定されました。
パフォーマンスの低下には、どうしても避け切れない身体的な諸症状もあれば、職場の環境など、さまざまな要因が考えられます。前述図3では、ほとんどの人は生理のつらい症状があるときでも休んでいないという実情も明らかになりました。つらい時には我慢せず休みを取得できる職場制度の整備や周囲のサポートで社会的ストレスを軽減すると同時に、身体的な面でのストレス軽減、すなわち、勤務中の症状緩和も重要な意味を持つと考えられます。これらのことからも、「働く女性が日々の働きや活動の効率を普段と比べて落ちないようにすること」の経済的効果は極めて大きいと考えられます。
※1:プレゼンティーイズムとは何らかの疾患や症状を抱えながら出勤し、体調不良があるまま働いている状態。WHOによるHPQ(Health and Work Performance Questionnaire)を用いて評価。
※2:「女性の健康に関するアンケート調査」(日経BP 総合研究所、2021年)同調査の20~49歳女性の結果を用いて算出している。
■月経随伴症状による社会経済的負担 年間約1兆1,913億円
今回は、2019年の経済産業省の「健康経営における女性の健康の取り組みについて」を参考に、(1)就業者の月経随伴症状によるプレゼンティーイズム(2)就業者が月経随伴症状によって活動を休むことによる所得損失(3)直接コスト(通院費、診察・検査費、処方箋薬費、OTC医薬品購入費)の三つの経済的コストから、「月経随伴症状による社会経済的影響」を算出したところ、(1)のプレゼンティーイズムによる損失は年間約5,516億円、(2)の所得損失は年間約5,190億円、(3)の直接コストは約1,207億円と推定され、月経随伴症状による社会的経済的負担は年間約1兆1,913億円と推定されました。
月経随伴症状による、社会的経済的負担(年間):約1兆1,913億円 (1)就業者の月経随伴症状によるプレゼンティーイズムによる経済損失:約5,516億円 (2)就業者が月経随伴症状によって活動を休むことによる所得損失:約5,190億円 (3)就業者の月経随伴症状による直接コスト(通院費、診察・検査費、処方箋薬費、OTC医薬品購入費):約1,207億 |
(2)「生理の悩み実態調査」(㈱明治、2021年)の結果を基に、一般労働者・パート別に、「毎月勤労統計」「労働力調査」等を用いて推計
(3)「健康経営における女性の健康の取り組みについて」(経済産業省、2019年)などを基に、人口変動等を考慮し推計
岡田正大(おかだ・まさひろ)先生 慶應義塾大学大学院経営管理研究科教授
1985年、早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。株式会社本田技研工業を経て、1993年修士(経営学/慶應義塾大学)取得。
Arthur D. Little(Japan)を経て、米国Muse Associates社フェロー。
1999年、Ph.D.(経営学/オハイオ州立大学)取得、慶應義塾大学大学院経営管理研究科専任講師に。助教授、准教授を経て現職。
現在、同校 Executive MBA課程 アカデミック ディレクター。
- コラム 「男女1万人調査から見えてきた!生理に関する男女間ギャップ」
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