NsPace(ナースペース)「みんなの訪問看護アワード ~つたえたい訪問看護の話」 第1回 受賞作品決定!表彰式を開催し、全国から訪問看護師が集結
訪問看護に携わる皆さまから寄せられたエピソードの中から、受賞エピソードを選出。2023年3月24日(金)、銀座にて表彰式を開催
2023年3月24日には、銀座 伊東屋 HandShake Lounge(東京都中央区)にて表彰式を開催。全国からエピソード投稿者をはじめとしたゲストの皆さまにお越しいただき、表彰・特別トークセッション・懇親会などを実施しました。訪問看護をテーマに活発な意見交換が行われる貴重な機会となりました。
■NsPace特別イベント 「みんなの訪問看護アワード ~つたえたい訪問看護の話」とは
訪問看護の現場では、日々さまざまなドラマが生まれています。利用者やその家族と在宅で向き合う訪問看護だからこその魅力や気づき、醍醐味があるはずです。しかし、訪問看護師が一人で利用者宅に訪れることが多い特性上、そのドラマが日の目を見ることは少ない現状があります。そこで、NsPaceでは訪問看護に携わる皆さまから「つたえたい訪問看護の話」を募集。表彰・記事コンテンツ化等を行うことで、訪問看護の魅力を広く発信します。なお、本イベントは今後も開催予定です。
<みんなの訪問看護アワード2023 概要>
訪問看護に携わっていること/NsPace会員であることを条件に、400文字以内で「訪問看護のつたえたい話」を募集。 ・募集期間: 2022年12月9日(金) ~ 2023年2月10日(金) ・受賞者/参加者への特典: 大賞(1名) 10万円分のグルメカードor旅行券 入賞(10名) 1万円分の図書カード 参加賞(抽選で100名) 500円分の図書カード ※大賞者・入賞者は、表彰式にご招待。エピソードをもとに漫画記事を制作し、NsPace上で公開。 ・表彰式: 2023年3月24日(金) (銀座 伊東屋 HandShake Lounge) ■特別審査員 公益財団法人日本訪問看護財団 常務理事 佐藤 美穂子氏 一般社団法人全国訪問看護事業協会 副会長 高砂 裕子氏 東京大学大学院医学系研究科 教授 山本 則子氏 東京医科歯科大学 国際健康推進医学 非常勤講師 長嶺 由衣子氏 医療法人社団プラタナス/株式会社メディヴァ 代表取締役 大石 佳能子氏 ■協賛 ・株式会社メディヴァ ・株式会社大塚製薬工場 ・ネスレ日本株式会社 ・株式会社エピグノ ・クラシコ株式会社 ・株式会社レスコ ・富士フイルムメディカル株式会社 ・メディバンクス株式会社 ■主催 帝人株式会社 |
■表彰 ~受賞者の皆さまへのトロフィー・記念品授与~
表彰式では、入賞、審査員特別賞、大賞の順にお一方ずつ審査員の先生方からトロフィー・記念品が授与されました。
全受賞エピソードについてはこちらをご参照ください。
・「つたえたい訪問看護の話 受賞エピソード発表!【みんなの訪問看護アワード】」(NsPace記事)
URL: https://www.ns-pace.com/article/category/feature/award2023-episode-1/
大賞を受賞したのは、公益社団法人 山梨県看護協会 ますほ訪問看護ステーションの石井 啓子さんです。
<大賞エピソード 「七夕の奇跡」>
昨年7月7日、山間地域の鈴木きくよさんの訪問に、笹の枝を持っていきました。きくよさんは転倒を機にベッド上の生活となりました。認知症もあり簡単なコミュニケーションがとれるような状態でしたが、気配りが細やかで、ケアの後は必ず精一杯の笑顔で「ありがとう」と言ってくれました。その日はケアの後、持ってきた笹の葉を見せ、「今日は七夕ですよ。何か願い事を書いてみますか?」と私の持っていたノートを差し出すと、しばらく考えた後、震える手でぺンを持ちノートに『喜代子さん ありがとう』と書いてくれました。喜代子さんはいつも一生懸命に介護してくれている1人娘さんです。ケア後娘さんにノートを切って渡すと娘さんは「え?字が書けるんだね」と涙を流しました。先日老衰により自宅で亡くなられたきくよさん。娘さんときくよさんの身体を綺麗にし、気に入っていた洋服に着替えてもらいながら、あんな事があったよね等思い出話をしていると、娘さんは「あの七夕の日は奇跡だったよね。お母さんが書いた最後の字だったし、ありがとうなんて書いてくれて…私の宝物です」と言ってくれました。私にとっても宝物のようなエピソードです。 |
(2023年2月投稿)
石井 啓子さんの受賞コメントを一部ご紹介します。
「今回の受賞について、所属しているますほ訪問看護ステーションのみんなや、エピソードに登場する利用者さんの娘さんも一緒になって喜んでくれました。エピソードの漫画化も楽しみにしてくれています。エピソードを通して、訪問看護という仕事のやりがいや魅力が少しでも伝わったらうれしく思います。これからも、日々真摯に一人ひとりの利用者さん・ご家族に向き合っていきたいと思います。」
「七夕の奇跡」を大賞作品に選出した理由について、特別審査員の佐藤 美穂子さんからのコメントもご紹介します。
「七夕の日に『短冊に願い事を書いてみては』と思いつかれたことがまず素晴らしいと思いました。そして、利用者さんの持てる力を引き出すように『願い事を書いてみますか?』と語り掛け、実際に『喜代子さん ありがとう』という文字になったこと。これは本当に奇跡だと思います。私たちは、グリーフケア(悲嘆へのケア)を遺族に対するケアととらえがちですが、実は看取りのプロセスが大切です。ご本人が『ちょっとした今』を残すことによって、悲嘆を乗り越えられる。そうした体験を記したこのエピソードは、本当に素晴らしいと思います。私たち訪問看護師がたくさんの看取りに立ち会っていくなかで、こうしたエピソードを知ることはとても大切だと考え、審査員一同で、『皆さまに一番つたえたい話』として選出させていただきました。」
■特別トークセッション ~エピソード内容や訪問看護の魅力について意見交換~
表彰後は、特別審査員の長嶺 由衣子さんと、受賞者3名による特別トークセッションを行いました。エピソード投稿のきっかけや訪問看護師になった経緯、訪問看護の魅力を伝えるためにどうすれば良いかなど、幅広いテーマについてディスカッションされました。
働くエリアも訪問看護師になった背景も異なる3名ですが、共通して利用者さんの日常や想いに寄り添える訪問看護に魅力を感じていることがわかりました。
審査員特別賞(「そうだ、訪看がある」)を受賞した梁井 史子さん(北海道)は、現在もリンパ浮腫とつきあい、抗がん剤と鎮痛剤を飲みながら訪問看護師を続けているとのこと 。利用者の立場になり、改めて訪問看護が「人生・環境を支えてくれるありがたい存在」だと感じたエピソードや、「一日でも長く訪問看護師を続けたい」という想いを語ってくださいました。
■懇親会 ~初対面でも意気投合~
式典の終了後は、審査員の先生方、エピソード投稿者の皆さま、協賛企業の皆さまなど、幅広い方々がご参加されての懇親会を開催しました。初対面の方々が多いはずが、あっという間に意気投合する様子も。普段は違う都道府県で訪問看護師として働く中で、担当エリアの広さや訪問時間・利用者さんの傾向の違いなど、地域差の話題でも盛り上がっていました。
大賞作品の漫画を描いていただく広田奈都美さん(漫画家/看護師)にも、懇親会中に漫画制作に関するお話を伺い、特別に制作中の「七夕の奇跡」の漫画下書きも一部お披露目されました。
広田 奈都美さんコメント
「『七夕の奇跡』の取材では、石井さんから利用者さんのかわいらしいエピソードをたくさん伺いました。そんなかわいらしさが伝わる漫画にしたいと思っています。」
大賞作品の漫画は、NsPace上で2023年4月18日(火)頃に公開予定です。
NsPace: https://www.ns-pace.com/
※公開日は、予告なく変更になる可能性があります。あらかじめご了承ください。
■審査員の先生方・受賞者の皆さまのご感想
「みんなの訪問看護アワード」や表彰式について、特別審査員の先生方や受賞者の皆さまに伺った感想を一部ご紹介します。
佐藤 美穂子さん(公益財団法人日本訪問看護財団 常務理事)
訪問看護の現場の皆さんの声を聞ける場を設けていただいたことに感謝しています。あまり自分のことを語らない奥ゆかしい訪問看護師さんも多いなか、今回のイベントは自分のことを語る良いきっかけになったのではないでしょうか。地域共生社会の実現が求められていますが、訪問看護は自身のライフステージに関わらず、看護師の資格を活かして地域に役立てるお仕事です。この表彰式で訪問看護師さんたちのお話を聞いていると、受け手・支え手に関係なく人生をともにしていくための道筋も見えてきて、とてもうれしく思っています。
高砂 裕子さん(一般社団法人全国訪問看護事業協会 副会長)
訪問看護は、日々の季節の移ろいを感じることができるほか、利用者さんやそのご家族との距離が近い魅力ある仕事です。「みんなの訪問看護アワード」は、そうした魅力や日々の訪問看護の実践について多くの方に知っていただく、とても素晴らしい機会です。受賞エピソードが多くの方に読まれることで、在宅で療養されている方に訪問看護の存在を知っていただくことや、「訪問看護師になりたい」と思う仲間が増えることを期待しています。そして、こうした取り組みが継続されることを願っています。
長嶺 由衣子さん(東京医科歯科大学国際健康推進医学 非常勤講師)
当初このイベントのお話を聞いたとき、素直に素晴らしい取り組みだと思いました。表彰式では、受賞者の方々からも「受賞が励みになった」「自分たちのやっていることに自信が持てた」という声が聞かれました。こうしたアプローチや応援は大事だと思います。皆さん本当は、お話ししたいエピソードがたくさんありますよね。それを言語化することで仕事の振り返りになり、表彰されるとより自信になる。そして、「訪問看護の魅力を伝える伝道師」として動こうという意識も生まれる。色々な意味で波及効果がある取り組みだと思います。
大石 佳能子さん(医療法人社団プラタナス/株式会社メディヴァ 代表取締役)
初開催ながら数多くのエピソードが投稿され、表彰式にも多くの方が集まって、素晴らしい成果が出ていると思います。また、表彰式には全国の中でも想いや技術がトップレベルの方々が集まりました。同じような部分で悩み、乗り越えようと頑張っている皆さんなので、初対面でも結束するのが早いですね。訪問看護というニッチな分野だからこその連帯感もあるように思います。全国に訪問看護師の知り合いがいる、離れていても仲間がいる。そのように業界を支え合っていけるネットワークや連帯感が生まれる予感がしました。
高倉 陽子さん(入賞者/神奈川県)
受賞のご連絡をいただいたときは、スタッフや所長をはじめとして、その場にいた全員が絶叫しました(笑)。エピソードの投稿内容も事前にみんなに相談していたので、周囲の支えがあったからこそとれた賞だと思っています。今後、エピソードを色々な方々に知っていただけることがうれしいですし、とても楽しみです。
服部 景子さん(入賞者/北海道)
全国各地で一生懸命勤務されている訪問看護師の皆さんと表彰式の場で出会い、お話しできたことをとても光栄に思っています。また皆さんとお会いできる日を楽しみにしています。エピソードの漫画化も、心待ちにしています。
<NsPace(ナースペース) メディア概要> 2021年に誕生した、訪問看護師や訪問看護事業者への情報提供に特化したウェブメディア(帝人株式会社運営)。オリジナル記事の配信やオンラインセミナーの開催、マニュアル・ツール類の提供等を行っている。URL: https://www.ns-pace.com/ |
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