「探究学習」のプロフェッショナルが教える、プロジェクト型学習のエッセンス──「すごい探究力」を身につける地味なテクニックを徹底解剖!
書籍『地味にすごい探究学習のはじめかた/すすめかた』を発売しました
滋賀県大津市で活動するマイクロベンチャー出版社・紫洲書院は、2024年4月19日に新刊『地味にすごい探究学習のはじめかた / すすめかた』を発売しました。本リリースでは、今回の新刊のご紹介をさせていただきます。
◾️ 探究学習の本質ってなんだろう?
2022年から日本全国で、「総合的な探究の時間」という新しい授業、通称「探究学習」がスタートしました。探究学習とは、生徒が自ら課題を見つけ、データを集め、まとめ、発表するという一連のプロセスを通して、主体的に学ぶ力を育むことを目的とした、これまでの学校教育とは一線を画す学習法です。
この数年間、各地域・学校でさまざまな探究学習の取り組みが行われ、卓越したプロジェクトも数多く生まれてきました。しかし、そうした華々しい成果の陰で、「探究の本質とは何か」という本質的な問いが置き去りにされてしまっているのではないか、そんな懸念の声も聞かれます。成果を上げることとは別に、「探究」というプロセスから誰もが習得できるエッセンスがあるはずです。そんな、地味だけど大事な探究のエッセンスに注目を促すために作成されたのが本書です。
◾️ 著者が設立した「インパクトラボ」とは?
2017年、本書の著者である上田隼也さんと戸簾隼人さんは、当時まだ注目度の低かった「SDGs(持続可能な開発目標)」をテーマに、学生主体のイベントやワークショップを開催する「Sustainable Week」という取り組みを始めました。この「SDGsの文化祭」とも言うべき活動は、設立当初、SDGsに取り組む日本初の学生団体として注目を集めました。
5年間の「Sustainable Week」での活動で培ったノウハウを活かし、上田さんと戸簾さんが立ち上げたのが、現在の活動拠点である一般社団法人「インパクトラボ」です。滋賀県草津市に本拠を置くインパクトラボは、SDGsと探究学習の分野で数々の実績を積み重ねてきました。例えば、国や地方自治体でSDGsへの関心が高まる中、琵琶湖を中心とした地域独自のSDGs「MLGs(マザーレイク・ゴールズ)」の策定にも深く関わっています。
さらに、インパクトラボは2022年の「探究学習」の本格導入に先立ち、早い段階からその指導方法の確立に尽力。SDGs=社会課題解決に関する豊富な知識とノウハウを活かしながら、「探究学習」の普及において指導的役割を担ってきました。
このように、インパクトラボは時代の潮流を捉えながら、SDGsと探究学習の分野で挑戦を続けています。「Sustainable Week」での経験を土台に、社会に新たな価値を提供し続けています。
◾️ 生徒にとって「使える・ためになる」書籍へ
本書『地味にすごい探究学習のはじめかた / すすめかた』は、学校で探究学習に取り組む誰もが、「探究のエッセンス」を意識しながらプロジェクトを進められるようになることを目的として執筆されました。著者自身が探究学習の黎明期から現場で積み重ねてきた経験をもとに、生徒たちが「探究ってなんだろう?」という本質的な問いに向き合い、本物の探究力を育むための考え方をまとめました。
本書は全5章で構成されています。
第1章「探究と "デアウ"」
探究学習にはじめて臨む人が知っておくべきことを解説します。著者自身が大学時代に参加した2つの探究的なプロジェクトでの経験をもとに、探究学習の目的とは何か、探究での「つまずき」が意味するものなどについて解説します。
第2章「探究を "ミツケル"」
「興味がある」だけではない、探究テーマの選び方のコツを紹介。探究をより意義深いものにするために、テーマ自体への関わりかたやチーム内での立ち回りかたなどについて伝えます。
第3章「探究を "ススメル"」
著者が制作した「SDGs表現論」という大学の講義を皮切りに、探究を「ゴール」ではなく「プロセス」重視で進めるためのマインドセットを提案。「完璧主義」から脱却し、スモールステップで前進する大切さを説きます。
第4章「探究の "キロク"」
立命館大学で開催されていた「Sustainable Week」という探究的プロジェクトに参加した学生へのインタビューを中心に構成。失敗や挫折も含めたリアルな経験を通して、プロジェクトの中でどのようにして役割やメンバーと向き合うべきかを考えます。
第5章「探究の "ミライ"」
生成AIを中心に、これからの時代の探究的な学びのあり方を展望します。データサイエンス研究科に通う現役の大学院生の知見から、AIリテラシーの重要性や、バーチャル空間を活用した新しい学び方の可能性についても言及します。
そのほか4つの「コラム」も収録。「サステナビリティ」の意味や、学生起業にまつわるエピソードなど、探究を「ホンモノ」にするための多様な示唆に富んでいます。
一人ひとりが探究と向き合い、「自分だけのやり方」を追求するためのヒントを提供します。ワークシートなども交えつつ、誰もが実践できる「地味だけどすごい」探究の姿に迫っていきます。
◾️「地味にすごい」探究学習を目指して
本書の中で、著者の上田隼也さんは次のように述べています。
「本書で紹介するのは、お行儀のよい一般論ではなく、私自身が生徒たちと二人三脚で探究を行い、そのプロセスを観察することで得られた、探究学習のエッセンスです。教科書には載っていない、先生もあまり教えてくれない、でも探究を進める上で欠かせない ' 生きた知識 ' とでもいうべきものを、私なりの言葉で伝えられればと思います。(中略)探究学習は、まだ大海原に漕ぎ出したばかりです。そのやり方については、この本を読んでいるあなた自身はもちろん、先生も、学校も、行政も、まだ誰も正解にたどり着けていません。もちろん私も、探究という名の大航海の途中です。
しかし、だからこそ、『探究とは何か?』と問いかけ、これを楽しみながら、ひとつでも自分にとって価値ある成功体験を得て、将来のチャンスをつかんでもらいたいと考えています。教科書通りの ' 正解 ' はないかもしれません。でも、自分なりの答えを見つけることはできるはずです。」(本書「はしがき」より抜粋)
必ずしも先生や教科書が教えてくれない、少しナナメから見た探究学習のコツ。それこそが成長をもたらす探究を作り出すための秘訣です。課題の発見から解決までのプロセスを丁寧に行う力を身につけることで、将来に通じる探究力を養う──そんな "すごい探究" への着実な道標として、本書を活用いただければ幸いです。
探究学習に悩む高校生・大学生、そして授業づくりに励む先生方に、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。「地味にすごい」探究学習の極意を、本書とともに学んでみてはいかがでしょうか。
◾️目次
第1章:探究と〝デアウ〟
「サステナビリティ」との出会い
はじめての探究で見えたもの
まだ誰も探究を知らない!
SDGsの文化祭 Sustainable Week
探究の「研究室」をつくる
探究学習=先生と共に学ぶこと
レジリエンス:「つまずき」との付き合いかた
学びは、まず一歩目を踏み出してから
軌道修正のテクニック: リフレクション
○ コラム:「サステナビリティ」って何だろう?
第2章 探究を〝ミツケル〟
「犬」をテーマに選んだ2つの探究
そもそも、「興味のあること」ってナニ?
サポートキャラになる、という選択
ルーブリックを知れば百戦危うからず
探究をハックして、将来につなげる
「手中の鳥」から、何ができるか
第3章 探究を〝ススメル〟
研究室の成果『SDGs表現論』
完璧よりも「できた!」を目指す
探究のスパイラルは嘘だった!?
数値目標を武器にしよう
素直にレールに乗る力
逃げるは恥だが役にたつ
○ コラム:「手触り感」のあるSDGsへ
第4章 探究の〝キロク〟
プロジェクトに挑戦した大学生たちの記録
ケース1: トラブルにめげずに、気持ちを維持してやり通す(豊田 真彩さん)
ケース2: 現在の自分のキャパを知っておくことの大切さ(中西 優奈さん)
ケース3:「キャラ」ではない自分を探す(亀石 弥都さん)
ケース4: 自分の思いだけでは、人は動いてくれない(馬場 亮輔さん)
ケース5: 自分軸が試される、プロジェクトの「引き継ぎ」(切田 澄礼さん)
インタビューを通して
○ コラム:「学生起業家 V.S. 学生投資家」イベントの構想
第5章:探究と〝ミライ〟
これからの探究のパーソナルトレーナー
AIネイティブ世代のリテラシー
AI時代に勉強はいらない?
AIとともに、より多くを学ぶ時代へ
AIによって、仕事は奪われる?
デジタルフレンドリーな若者たち
「デジタル保健室」:バーチャル・スクールへの道のり
「地味にすごい」ホンモノの探究を目指そう
○ コラム:若者だからできること
- おわりに
- 付録
◾️著者情報
上田 隼也
一般社団法人インパクトラボ 代表理事。熊本県益城町出身。立命館大学生命科学部卒業。大学在学中にSDGsの文化祭となる「Sustainable Week」を立ち上げ、後継団体としてインパクトラボを設立。滋賀県内外の高校にて、総合的な探究の時間の教員やアドバイザーを担う。著書に「SDGs表現論-プロジェクト・プラグマティズム・ジブンゴト-」(海竜社)がある。
戸簾 隼人
滋賀大学大学院データサイエンス研究科。滋賀県野洲市出身。立命館大学生命科学部卒業。「Sustainable Week」の初期メンバーとして所属し、後に上田氏らと共にインパクトラボを設立。大学院では、教育政策面での定性的な情報に適応可能な評価指標の作成や、観光政策面でのビッグデータやIoTを活用した自転車観光の安全性向上の仕組みを開発している。
【監修】山中 司
立命館大学生命科学部教授。慶應義塾大学卒業。慶應義塾大学大学院政策・メディア博士課程修了、博士(政策・メディア)。専門は、大学英語教育、言語論、言語哲学。主な著書に「自分を肯定して生きる-プラグマティックな生き方入門-」(海竜社)、「AI・機械翻訳と英語学習:教育実践から見えてきた未来」(朝日出版社)がある。
◾️ 書籍情報
タイトル:『地味にすごい探究学習のはじめかた / すすめかた』
著者:上田 隼也、戸簾 隼人
監修:山中 司 (立命館大学生命科学部教授)
発売日:2024年4月19日
刊行:紫洲書院
仕様:B6判/148ページ
ISBN:978-4-909896-14-8
定価:本体1,870円(税込)
一般社団法人インパクトラボ:https://impactlab.jp/
合同会社 紫洲書院:https://shidzu-shoin.com/
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