「人種差別的な職務質問をやめさせよう!訴訟」提訴のお知らせ
https://ledge.or.jp/
日本初(※1)の公共訴訟支援に特化した専門家団体「LEDGE(レッジ)」所属の弁護士・リサーチャー・キャンペーナーが参画する「人種差別的な職務質問をやめさせよう!訴訟」が2024年1月29日に東京地裁に提訴されましたのでお知らせします。
※1 日本国内における「公共訴訟支援に特化した専門家団体」として、2023年7月に弁護士による見解など自社調査した結果
訴訟の概要
1. 訴訟の提起を行った裁判所及び年月日
・裁判所 : 東京地方裁判所
・提起日 : 2024年1月29日
2. 訴訟を提起した原告(3名)
ゼイン氏
パキスタン生まれ、8歳で来日。13歳の時に家族とともに日本国籍を取得。日本での職務質問は合計15回程度。
2023年4月および9月に、自宅から外に出た際、警察官に職務質問をされ、日本国籍であることを伝えたが警察官は納得をせず、在留カードやパスポートの提示を求められた上、所持品検査を受けた。
モーリス氏
アフリカ系アメリカ人。日本に10年近く居住しており、永住者の在留資格を有し、日本国籍の家族たちとともに暮らす。日本での職務質問は合計16-17回程度。
2021年4月、自宅からバイクで出かけたところ、交通違反がないにもかかわらず、2人組の警察官に停止を命じられるとともに、職務質問を受ける。モーリス氏がスマートフォンで撮影を始めたところ職務質問は中断され、解放された。
マシュー氏
南太平洋諸島の国で生まれ、その後いくつかの国での居住を経て、2002年、日本国籍の配偶者との婚姻を契機に日本に移住、永住権取得。日本での職務質問は大小合わせると合計100回程度。1日のうちに2回職務質問に遭ったことも4度ある。
2021年10月、車の運転中すれ違ったパトカーがUターンして来て、サイレンを鳴らしながらマイクで停止を指示した。路肩に停車すると、警察官が運転免許証の提示を求めてきたため、同乗していたマシュー氏の妻が「交通違反をしましたか」と聞くと、警察官は「いえ」「この辺りで外国の方が運転しているのは珍しいですから」と答えた。
・弁護団
谷口太規(弁護士法人東京パブリック法律事務所)
浦城知子(信和法律事務所)
宮下 萌(弁護士法人戸野・田並・小佐田法律事務所東京オフィス)
西 愛礼(後藤・しんゆう法律事務所)
亀石倫子(法律事務所エクラうめだ)
井桁大介(宮村・井桁法律事務所)
戸田善恭(法律事務所LEDGE)
3. 訴訟を提起した相手方(被告)
・警察庁を所管する国、都警察を所管する東京都、県警察を所管する愛知県
4. 訴訟名及び請求の趣旨
・訴訟名 :人種差別的な職務質問をやめさせよう!訴訟|#STOPレイシャルプロファイリング
・請求の趣旨の概要 :
1. レイシャルプロファイリングによる差別的な職務質問についての国家賠償請求
2.レイシャルプロファイリングによる差別的な職務質問運用についての違法確認請求
3.レイシャルプロファイリングによる差別的な職務質問運用の是正について国の指揮監督義務があることの確認請求
5. 請求の法的根拠
警察による職務質問におけるレイシャルプロファイリングの運用(以下「本件運用」)およびこれに基づく職務質問が違憲・違法であると考える背景は以下です。
憲法違反
憲法14条は法の下の平等について定めており、「人種」による差別を明文で禁止しています。人種、国籍、肌の色等の要素は犯罪傾向を推認するものではありません。そのため、犯罪摘発のために外国人に見えるという外見的要素を考慮することについて合理性はありません。本件運用は、日本で暮らす外国ルーツの人々に日本で暮らしてはいけないかのように感じさせるものであり、差別意識を助長するという弊害をもたらします。
憲法13条後段は「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」と定めていますが、上記のとおり外国人のように見えるという外見を理由に行う職務質問には合理性等がなく、この憲法13条にも違反します。
国際条約違反
⑴人種差別撤廃条約
日本はあらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約(以下「人種差別撤廃条約」)に加入しており、同条約2条は、国及び公的機関に対し、人種差別をなくすよう求めています。
そして、人種差別撤廃委員会が出した「法執行機関職員による人種プロファイリングの防止及び撲滅に関する一般的勧告第36号(2020年)」にも、「人種プロファイリングは、人種差別的な事件や人種的偏見やステレオタイプを助長し、永続させる可能性のある行為であるため本条約の理念に反している。したがって、締約国は、人種プロファイリングが行われず、促進されないようにするために、政策、法律及び規制を見直す義務がある。締約国は、法律、政策及び制度を通じて差別を撤廃するための措置を積極的に講じる義務がある。」と明記されています。
⑵ 自由権規約違反
日本は市民的及び政治的権利に関する国際規約(以下「自由権規約」)を批准しています。
自由権規約26条は「すべての者は、法律の前に平等であり、いかなる差別もなしに法律による平等の保護を受ける権利を有する。このため、法律は、あらゆる差別を禁止し及び人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、出生又は他の地位等のいかなる理由による差別に対しても平等のかつ効果的な保護をすべての者に保障する」と定めており、レイシャルプロファイリングは、人種、国籍及び皮膚の色による差別に他ならず、同条に違反します。
【報道のお願い】
本件につき、広く報道をお願い頂きたくご協力をお願いします。
原告はいずれも顔を出しての(原告マシュー氏についてはマスク着用)取材対応可能です。
取材ご希望の方は、問い合わせ先までご連絡ください。
【CALL4ウェブサイトへの掲載】
本訴訟は、認定NPO法人CALL4のサポートを受け、CALL4ウェブサイトで訴訟費用のクラウドファンディングを実施しています。
訴状その他の訴訟資料や期日情報等も同ウェブサイトに随時掲載予定ですのでご参照ください。 https://www.call4.jp/info.php?type=items&id=I0000128
【LEDGEについて】
LEDGE(レッジ)は公共訴訟を中心としたソーシャルチェンジを促進するための専門家集団です。公共訴訟に必要なリソースを社会から集めて、より充実した効果的な公共訴訟を遂行するための様々なサポートをします。また公共訴訟が取り扱うイシューについての認知を上げ、世論を喚起し、行政・政治を動かしていくためのキャンペーンも展開していきます。
日本初のフルタイムで公共訴訟に専従する弁護士を擁する法律事務所LEDGEと連携し、その活動を支えています。
LEDGEは、Open Society Foundationsの2022-2024年の助成対象団体です。
詳細については下記リンクをご確認ください。
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