省エネ建築物の新築・改修に取り組むメリットを総合評価する12の指標についてZEB認証オフィス3棟での検証を実施
―投資回収年数が従来の5分の1に短縮―
株式会社NTTファシリティーズ(代表取締役社長:松原和彦、以下「NTTファシリティーズ」)とデロイト トーマツ グループのデロイト トーマツ コンサルティング合同会社(代表執行役社長:佐瀬真人、以下「デロイト トーマツ」)は共同で、省エネ建築物の新築・改修による効果を総合的に定量評価する指標を開発し、2023年12月に発表*しています。この度、自社ビルのZEB化に取り組んでいるダイダン株式会社(代表取締役社長:藤澤一郎、以下「ダイダン」)協力のもと、ダイダンが所有するZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)認証取得3棟(ZEB Ready1棟含む)において、本指標による定量評価ならびに定量評価結果の検証を行い、妥当性が確認されましたのでお知らせします。検証の結果、1,200m2程度のオフィスビルにおいて、エネルギー消費量の削減効果は建物全体で2.5百万円/年、光熱費以外のZEB導入による生産性向上等の効果であるNon-Energy Benefits(NEBs)は建物全体で11.2百万円/年と推計されました。エネルギー消費量のみの投資回収年数に比べ、NEBsを含めた投資回収年数は約1/5と推計されました。今後も本指標を用いた評価の社会浸透を進めることにより、ZEB等の省エネ建築物の新築・改修の投資判断を支援することで、企業や自治体の保有資産の脱炭素化に貢献していきます。
取り組みの背景・目的
NTTファシリティーズとデロイト トーマツは、2023年4月より省エネ建築物の新築・改修におけるエネルギー・光熱費削減以外の効果の定量評価手法の開発に取り組んでいます。エネルギー・光熱費削減以外の効果は、NEBsと呼称される効果であり、既報のとおり「健康増進」「知的生産性向上」等のNEBs における12の評価指標を示しました。
本取り組みでは、評価手法の妥当性を検証するため、NTTファシリティーズがZEB設計・監理したダイダンが所有するZEB 認証を取得したオフィス3棟(以下ZEBオフィス3棟)において、ZEB導入効果の評価を実施し、その評価の妥当性を検証、確認しました。ダイダンは、業界に先駆けて自社ビルのZEB化に取り組み、省エネ建築物の普及にむけた継続的な技術開発を行っており、ZEB導入効果の検証においては、検証に必要なデータの検討、収集を担当しました。
出典:ダイダン株式会社
“エネフィス九州” https://www.daidan.co.jp/tech/solution/enefis-kyusyu/
“エネフィス四国” https://www.daidan.co.jp/tech/solution/enefis-shikoku/
“エネフィス北海道” https://www.daidan.co.jp/tech/solution/enefis-hokkaido/
(参照2023年12月27日)
検証結果について
ダイダンが所有するZEBオフィス ビル3棟についてNEBsの評価手法における12の指標のうち、「健康増進」「生産性向上」「メンテナンス費削減」「炭素税等の軽減」「BCP/リスク回避」「離職率低下」「広告宣伝」の7指標について定量化を行い、対象の建物のNEBsを算定しました。
NEBs算定方法は、3ステップで構成されています。STEP1では公開情報(延べ床面積、主な設備などの竣工データベース等)をもとに算定、STEP2では内部情報(設備の運用時間・エネルギー削減量・メンテナンス頻度等の施設設備に関する情報、職種別在館者数の在館割合や残業時間・欠勤時間等の従業員に関する情報)及び社員への環境満足度アンケートにより算定を行いました。さらに、STEP3では施設設備の利用状況の確認や従業員へのヒアリングを実施し、建物利用者の生の声を確認して精緻化を図りました。
算定の結果、1,200m2程度のオフィスビルにおいて、エネルギー消費量の削減効果(EB)は建物全体で2.5百万円/年、光熱費以外のZEB導入による生産性向上等の効果であるNEBsは建物全体で11.2百万円/年と推計されました。エネルギー消費量のみの投資回収年数に比べ、NEBsを含めた投資回収年数は約1/5まで短縮され、ZEB導入の潜在的な効果を適切に算定でき、ZEBに取り組むメリットを定量的に評価しました。
今後の展望について
今後も、NTTファシリティーズとデロイト トーマツは、NTTファシリティーズが設計を手掛ける建築物を含め、さらに多くの建物においてNEBsの定量評価を行うことで知見を蓄積し、省エネ建築物におけるエネルギー・光熱費削減効果と環境負荷低減以外の価値であるNEBsをより精緻に定量評価することをめざします。この取り組みを通じて、ZEBをはじめとする省エネ建築物への投資促進を通じたカーボンニュートラルの貢献はもちろん、従業員のウェルビーイングの向上や、Scope3のCO2排出量削減にも貢献することをめざし、幅広いステークホルダーと連携し、地域社会全体での脱炭素化を推進していきます。
*省エネ建築物の新築・改修に取り組むメリットを総合評価する12の指標を共同開発
─「健康増進」「知的生産性向上」など、省エネ建築物の副次・間接・相乗的効果(NEBs)を定量化
https://www.ntt-f.co.jp/news/2023/20231211.html
(2023年12月11日)
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像