公共空間の景観デザインで注目の株式会社Tetor/風景工房、益城町震災記念公園をオープン。
熊本地震の被害から復興、いのちの記憶を継承。
公共空間の景観デザインをメインとする設計事務所Tetorと風景工房は、 2016年に発生した熊本地震で甚大な被害を受けた益城町の為に、その復興を記念した公園を作りました。モニュメントはプロダクトデザイナーの小宮山洋が手がけています。
いのちの記憶を継承し 未来へ足跡を刻む場
益城町震災記念公園は2016年3月に発生し、甚大な被害をもたらした熊本地震の震源地にあたる熊本県益城町に新設された公園です。この公園にこめた願いは2つあります。1つ目は熊本地震を後世に伝え、いのちの記憶を継承する場所となること。2つ目は市民が日常的に集い、憩う場所となることです。非日常と日常が裏表に体現したような場所です。
非日常の主役は公園の北西に配置された優しくも力強さをそなえたモニュメントです。モニュメントに向かって、プロムナードを配置していますが、これは隣接する復興まちづくりセンター「にじいろ」の内部にある記憶のプロムナードを延長したもので、地震発災以降の展示が、モニュメントまで連続する印象的なシークエンスを生み出しています。
日常の主役は人です。プロムナードで縁取られた芝生広場はにじいろの扉を開くと、同じレベルで繋がり、一体的な利用で伸びやかな利用が可能となります。西側には演奏やイベントブースとなる平場を配置しています。楕円形で柔らかな公園の形状は、訪れた人を優しく大らかに包み込み、色々なところに自分の居場所を見つけられるような仕掛けを施しています。非日常としていのちの記憶を継承し、日常的に使われることで益城町の未来を培っていく、そんな公園に育っていくことを願っています。
丁寧に地形を読み解く
公園の敷地は北から南に向かって5%に下っている特徴的な敷地です。丸い広場を切り取るプロムナードは、東側は4%の園路、西側は階段によって構成されていますが、それぞれ敷地の勾配との段差が常に変化しながら生じます。その高低差を解消する壁を外周に入れていますが、東側園路については、どこでもベンチとなるように高さを読み解き、調整しています。高低差は300mmから徐々に増えて、690mmになり、300mmの高低差を収束していきます。外側は逆に300mmから210mm、最終的には300mmに収束するように設定しています。
この複雑な高低差を曲線でつくりシンプルな造形とするためには、多くの職人の手が入っています。曲線でかつ高さも一律ではないこの壁を造作するために、コンクリートを曲線に打つために型枠を曲げ、石は台形に整え、場所によっては大きさも異なります。この多様な石は1枚1枚手作業で貼っています。また公園の主役の1つでもあるモニュメントは手作業で磨かれています。土木はシンブルで柔らかな造形にこそ、職人の技術の高さが見えます。私たちはこの空間を実現するにあたり、職人と多くの対話を重ねてきました。
力強く優しいモニュメント
震災記念公園のモニュメントには力強さと優しさを求めました。それは公園そのものが、震災の記憶を継承する場であるとともに、日常的に町民の方に使われる場所を目指したからです。記憶を継承するモニュメントとしての力強さと、日常的にそばにいても心地よい優しさ、その両面を実現しようとしました。
23本で構成された力強い柱
アルミの型押しにより成形された柱を大小様々な形状にし、23本を組み合わせることで、手を合わせるような形状として表現しました。23本としたのは、隣接する復興まちづくりセンター「にじいろ」が発災した2016年にちなんだ名称であることをヒントに、公園がオープンする2023年の23に合わせました。
梅の花をモチーフにした断面形状
断面を梅の花の形状をモチーフとした柔らかい曲線を採用することで優しさを表現しています。梅の花の形状を採用したのは、梅は益城町の町花であり、寒い時期にも咲く姿を震災から立ち上がる町の姿にも見立てたからです。表面は1つ1つ丁寧に職人の手による磨きを施しています。この磨きはモニュメント全体の柔らかさを一層引き立てるとともに、来訪者を映し出し、益城町の風景を映し出し、時間や季節によって緩やかに変化する情緒的な表情を生み出しています。
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