MeDiCUが中外製薬との業務提携を開始

MeDiCUが開発する世界最大規模の救急・集中治療のデータベース"OneICU"の活用により、急性疾患の治療薬開発を効率化

株式会社MeDiCU

世界最大規模の救急・集中治療のデータベース“OneICU”を提供する株式会社MeDiCU(本社:大阪府大阪市、代表取締役:木下 喬弘、以下「MeDiCU」)は、中外製薬株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長 CEO:奥田 修、以下「中外製薬」)とデータ活用に関する業務提携を開始いたしました。

 

新薬の開発から実用化に至るまでには膨大な時間とコストがかかり、そのプロセスの中で最も時間とコストを要する臨床試験の効率化は、創薬研究において大きな課題となっています。特に、病状が急速に変化していく救急疾患の治療薬開発では、適切な患者群を見つけることが困難な傾向にあり、臨床試験の進行の遅れによって開発プロセス全体が遅れるといった状況も珍しくありません。

 今回中外製薬が導入することになった“OneICU”は、日本全国の8つの大学病院や市中中核病院のICU(集中治療室)の患者から収集された約87,000症例の生体情報測定値を有する、世界最大規模の医療ビッグデータです(※)。1分に1回測定されたバイタルサイン情報に加え、 ICUでの治療介入に関する時系列データや、重症度スコア、退院時転帰など、これまで不可能に近いと考えられてきた多施設の情報を統合し構造化したデータベースとなっています。

“OneICU”の活用により、臨床試験の対象となる患者が多く搬送される医療機関の特徴を把握して、患者選定に活用できるほか、患者の病状がICU入室後にどのように変化していくか時系列で整理されたデータをもとに、最も効果的な投薬タイミングを事前に判断することを可能にするなど、臨床試験効率化への貢献が期待されます。

本提携を通じて、急性疾患の治療薬開発を効率化することによって、救急・集中治療の分野でこれまで治療が困難とされてきた疾患の治療法の確立に繋げ、より質の高い医療の実現を目指してまいります。

※:2025年3月時点

中外製薬株式会社 デジタルソリューション部 データサイエンスグループ 塚田啓介氏 コメント

医薬品開発では、適切な疾患ターゲットの選択や開発期間の短縮が課題となっています。これらの課題に対応するため、中外製薬ではデータサイエンスを活用した創薬アプローチに積極的に取り組んでいます。医薬品開発におけるデータ解析では、解析に用いるデータが研究課題に応えられるデータ項目を含んでいること、その質が高いことが非常に重要です。

この点において、MeDiCU社のデータは匿名性を担保しつつ、ICUで測定された1分ごとのバイタルサインなど、ユニークな時系列情報が整理されており、急性疾患に対する詳細な解析が実施可能と言えます。両社の協業により、急性疾患における医薬品開発の効率化を図ると共に、詳細なデータ分析に基づいた個別化医療の推進に向けた取り組みに貢献できるものと期待しております。

株式会社MeDiCU 代表取締役 木下喬弘 コメント

1分1秒ごとに病状が変化していく急性疾患の治療では、治療効果が最大化されるベストなタイミングで処置や投薬に踏み切ることが求められます。このためには、同じ疾患であっても診療経過によって異なる病態を正確に理解し、それぞれの患者にとって最適な個別化された治療を実現することが必要です。このように毎分ごとに病態が変化する急性疾患の治療薬開発に向けた臨床試験の設計は、慢性疾患と比較すると圧倒的に困難な傾向にあり、新薬の臨床開発のハードルが高くなっています。

“OneICU”は、多様な属性・病状のICU患者の生体情報測定値が分単位でデータベース化されています。今回の業務提携によって、中外製薬様の急性疾患分野における新薬開発の効率化、そして新薬を通して患者様一人ひとりにとって最適な治療の実現へと繋がると考えています。

■ 救急・集中治療のデータベース“OneICU”について

通常ICUの診療データは、病院ごとに異なる形式で記録されており、さらに分単位でどんどん蓄積されていく大量のデータを扱う必要があるため、これらを統合した大規模なデータベースの構築は不可能に近いと考えられてきました。MeDiCUが提供する“OneICU”は、その膨大な非構造化データ(=統一性のない医療データ)を自然言語処理や臨床現場に則したデータクリーニングの技術を用いて構造化したデータベースです。

日本全国の8つの大学病院や市中中核病院から集められた約87,000症例のICU患者のデータベースは、1分に1回測定されたバイタルサイン情報に加え、 ICUでの治療介入に関する時系列データや重症度スコア、退院時転帰など、合計約5億回の生体情報測定値を有しており、世界最大規模の ICU ビッグデータとなっています(※)。2025年中に33施設からデータ提供を受ける契約を締結しており、データ数は30万症例を超える見込みです。

 “OneICU”という名前に込められた「ひとつに統一されたシステムで日本の臨床現場を改善していくプロジェクトにしたい」という願いの通り、従来のデータベースでは実現不可能な現実の医療現場に即した AI 開発、そして医療データを活用した創薬研究を実現します。

※:2025年3月時点


日本全国の20病院で倫理審査が完了

“OneICU”は、関西医科大学を中心に行われている「生体情報を用いた急変イベント予測モデルの作成およびその有用性を検討する多施設後ろ向き研究」にも活用されています。この研究は、ICU患者の急変を早期に予測することを目指しており、MeDiCUもデータベースの構築や機械学習モデルの構築業務を受託しています。そして、研究に参加する全国20の大学病院や市中中核病院で“OneICU”へのデータ提供および研究への活用に関する倫理審査が完了しています。

「生体情報を用いた急変イベント予測モデルの作成およびその有用性を検討する多施設後ろ向き研究」参照

https://hp.kmu.ac.jp/takii/upload/2024015youhou_20240907.pdf

■中外製薬株式会社について

中外製薬は、抗体エンジニアリング技術をはじめとする独自の創薬技術基盤を強みとする、研究開発型の製薬企業です。ロシュ・グループの重要なメンバーであるとともに、東京証券取引所プライム市場の上場企業として、自主独立経営の下、アンメットメディカルニーズを満たす革新的な医薬品の創製に取り組んでいます。中外製薬に関するさらに詳しい情報は https://www.chugai-pharm.co.jp/ をご覧下さい。

■株式会社MeDiCUについて

日本の救急・集中治療の現場は、医療従事者の献身的な診療と看護によって支えられています。しかし少子高齢化が加速する中、10年・20年先の未来においても質の高い医療を確実に提供するためには、医療従事者の仕事を効率化するAI の開発が必要不可欠です。さらに一刻を争う救命・集中治療の現場では、より精度の高いAIが求められます。

 AIの活用により医療従事者の業務を効率化することは、地域の医療格差をなくし、公平な医療をすべての患者さんに対して提供すること、そして多くの命を救うことにもつながります。MeDiCUは、高精度の医療データ×AI開発で、すべての人が医療とテクノロジーの進歩の恩恵を受けられる未来を実現します。

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会社概要

株式会社MeDiCU

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URL
https://www.medicu.co.jp/
業種
情報通信
本社所在地
大阪府大阪市東成区東中本 1丁目15-23
電話番号
-
代表者名
木下(切通)喬弘
上場
未上場
資本金
-
設立
2023年09月