【調査】M&A買収経験者の47.3%が「経営理念・方針の策定と共有」をもっと早く取り組むべきだったと回答|中小企業M&A後の統合(PMI)実態調査2026
統合で最も苦労したのは「従業員のモチベーション維持」41.2%、財務・法務を上回る「人」の課題が浮き彫りに
イグナル・コンサルティング(三重県鈴鹿市、代表:林 早苗、中小企業診断士)は、M&Aによる企業・事業の買収を経験した、または検討中の中小企業の経営者・役員308名を対象に、M&A後の統合プロセス(PMI:Post Merger Integration)の実態について調査を実施しました。
中小企業のPMIは「半数の経営者が計画的に取り組めていない」「苦労の上位は財務・法務よりも『人』に関わる課題」「外部専門家への期待は経営計画の策定支援が最多」など、既存の政府系調査では明らかにされていない傾向が浮かび上がりました。

調査結果サマリー
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M&A買収経験者が振り返って「もっと早く取り組むべきだった」と感じる項目は、「経営理念・方針の策定と共有」が47.3%でトップ、次いで「従業員への説明・コミュニケーション」が39.4%と、ソフト面の課題が上位を占めた
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M&A後の統合で最も苦労したことは「従業員のモチベーション維持」(41.2%)、次いで「経営理念・方針の浸透」(34.1%)と、財務・法務よりも「人」に関わる課題が上位を占めた
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M&Aによる買収を経験した経営者の50.5%が「計画的・体系的に統合に取り組んだ」と回答した一方、残る49.5%は「個別対応」「現場任せ」「特に何もしていない」にとどまった
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外部専門家に期待する役割の最多は「統合後の経営計画・事業計画の策定支援」(45.1%)、次いで「統合プロセス全体の進捗モニタリング」(35.1%)
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各種補助金・助成金については「存在は知っているが使ったことはない」が43〜48%と最大ボリュームを占め、認知と活用の間にギャップが存在する
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PMI支援の情報源は「顧問税理士・会計士からの紹介」(38.0%)がトップ。中小企業診断士・社会保険労務士など組織・労務分野の専門家への直接的な情報経路は限定的
調査背景
中小企業のM&Aは年々増加しており、中小企業庁が「中小PMIガイドライン」(令和4年3月)を策定するなど、統合プロセスの重要性は政策レベルでも認識されています。一方で、現場の中小企業経営者がPMIにどのように取り組んでいるか、どの専門家を活用しているか、どこから情報を得ているかといった実態については、まとまったデータがほとんど公開されていません。
本調査では、政府系の既存調査(東京商工リサーチ、三菱UFJリサーチ&コンサルティング、日本商工会議所など)でカバーされていない領域として、(1)統合への取り組みスタンス、(2)「後から振り返って早く取り組むべきだった」と感じること、(3)外部専門家への期待役割と費用感、(4)情報収集源の4点を中心に、中小企業経営者の声を集計しました。
調査概要
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調査名称:中小企業M&A後の統合(PMI)実態調査2026
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調査対象:M&Aによる企業・事業の買収を経験した、または検討中の中小企業の経営者・役員
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有効回答数:308名(うち買収経験者188名、買収検討中120名)
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調査方法:インターネット調査(GMOリサーチ&AI株式会社のモニターパネル活用)
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調査時期:2026年4月
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調査設計・分析:イグナル・コンサルティング
※グラフの数値は小数点第1位までを表示しています。四捨五入の関係で合計が100%にならない場合があります。
※本調査結果を引用・転載される場合は「イグナル・コンサルティング調べ」と明記のうえ、下記リンクの設置をお願いいたします。
https://igunal.com/pmi-survey-2026/
調査結果
■ M&A後の統合・調整について、あてはまるものを選んでください。(買収経験者限定/単一回答、n=188)

M&Aによる買収を経験した中小企業経営者のうち、「計画を立てて意識的・体系的に統合に取り組んだ」と回答したのは50.5%にとどまりました。残る半数は、課題が出るたびに個別対応(33.5%)、現場任せ(5.9%)、特に何もしていない(10.1%)と回答しており、計画的・体系的なPMIに取り組めていない実態が明らかになりました。中小PMIガイドラインが推奨する「統合方針の事前策定」が、現場ではまだ浸透の途上にあることが示唆されます。
■ M&A後の統合・調整で、最も苦労した(苦労しそうな)ことを3つまで選んでください。(上位6項目、3つまで複数回答、n=308)

M&A後の統合で最も苦労したこと(または苦労しそうなこと)の上位は、「従業員のモチベーション維持」(41.2%)、「経営理念・方針の浸透」(34.1%)と、いずれも「人」に関わる課題が占めました。「キーパーソンの離職防止」(22.1%)も含めると、組織・人事領域の課題が上位を独占しています。一方、「財務状況の正確な把握」(12.3%)や「ITシステム統合」(6.2%)は相対的に下位にとどまり、PMIの実務的負荷は財務・システム面よりも組織マネジメント面に集中していることがわかります。
■ 統合・調整において「早く取り組んで正解だった(早くから取り組むべきだった)」と感じることをすべて選んでください。(買収経験者限定/複数回答、n=188)

実際に買収を経験した経営者が振り返って「もっと早く取り組むべきだった」と感じる項目は、「経営理念・方針の策定と共有」が47.3%でトップ、次いで「従業員への説明・コミュニケーション」が39.4%と、上位2項目はいずれもソフト面の課題です。前述の「苦労したこと」とも整合し、PMIの中核は数値や制度の調整ではなく、組織を動かすための言語化と対話にあることが示されています。なお「外部専門家への相談」(5.9%)、「補助金・助成金の情報収集」(5.3%)は下位にとどまり、外部リソースの活用が「後悔の対象」としてはまだ十分に意識されていない傾向もうかがえます。
■ M&Aによる買収後の統合・調整にあたって、外部の専門家を活用しましたか(活用する予定はありますか)。(複数回答、n=308)

外部専門家の活用は、顧問税理士・会計士(44.5%)が最多で、M&A仲介会社・FA(36.0%)、弁護士(25.3%)と続きました。一方、組織・労務領域や経営計画の策定支援を担う中小企業診断士・経営コンサルタント(19.8%)、社会保険労務士(14.6%)の活用は2割前後にとどまっています。前述の通りPMIの苦労は組織・人事領域に集中していますが、その領域を専門とする専門家の活用がまだ広がっていない構図が見て取れます。
■ M&A後の統合・調整の段階で、外部の専門家に期待したい(期待した)役割をすべて選んでください。(複数回答、n=308)

外部の専門家に期待する役割としては、「統合後の経営計画・事業計画の策定支援」(45.1%)がトップ、次いで「統合プロセス全体のスケジュール管理・進捗モニタリング」(35.1%)が続きました。「従業員の雇用条件・就業規則の統一支援」(28.9%)、「人事・労務制度の整備」(24.0%)といった人事・労務領域も2〜3割の経営者が期待しています。これらは、税理士・会計士・弁護士の通常の業務範囲を超えた、経営・組織コンサルティング領域の支援ニーズが存在することを示しています。
■ M&AやM&A後の統合・調整に活用できる公的支援制度について、あてはまるものをお選びください。(中小企業庁系/各単一回答、n=308)

■ M&AやM&A後の統合・調整に活用できる公的支援制度について、あてはまるものをお選びください。(厚労省系/各単一回答、n=308)

中小企業庁系・厚労省系のいずれの公的支援制度についても、「存在は知っているが、使用したことはない」が43〜48%と最大ボリュームを占めました。とくに厚労省系の助成金は活用率が15〜17%台にとどまっており、認知から活用までの間に大きなギャップがあります。事業承継・M&A補助金(活用27.3%)など中小企業庁系は比較的活用率が高い一方、組織・労務面で活用余地のある厚労省系助成金は、PMIの文脈でほとんど認識されていない可能性があります。
■ M&A後の統合支援(PMI支援)について、どこで情報を得ましたか(得ようとしましたか)。(複数回答、n=308)

PMI支援に関する情報源としては、「顧問税理士・会計士からの紹介」(38.0%)がトップで、「金融機関からの紹介」(26.9%)、「M&A仲介会社からの案内」(21.8%)と続きました。中小企業経営者がまず相談する相手は、すでに関係のある税理士・銀行・M&A仲介会社であり、ここがPMI支援への入口になっていることがわかります。「事業承継・引継ぎ支援センター」(13.3%)や「中小企業庁・よろず支援拠点」(12.7%)といった公的窓口、「インターネット検索・SNS」(12.3%)の利用は1割台にとどまり、能動的な情報探索よりも既存の関係性経由での情報流通が中心となっています。
■ 「PMI」という言葉・概念を知っていましたか。(単一回答、n=308)

「言葉も内容もよく知っていた」が45.5%、「言葉は聞いたことがあるが内容はよく知らなかった」が36.0%で、合わせて8割以上がPMIを何らかの形で認知していました。一方、「知らなかった(今回初めて知った)」も18.5%存在しています。次の設問で示すように、このPMI認知度の差は、外部専門家への相談意向に大きな違いとして表れています。
■ 今後、M&Aによる買収後の統合支援(PMI支援)の専門家に相談したいと思いますか。(PMI認知度別/単一回答、n=308)

PMIを「言葉も内容もよく知っていた」層では、「すでに相談している」「ぜひ相談したい」を合わせて60.0%が相談に前向きでした。一方、「知らなかった」層では「ぜひ相談したい」が0%、「相談したいと思わない」が40.4%に上り、相談意向に大きな差が見られます。PMIという概念の認知が、専門家の活用意向に直結していることがわかります。
考察
本調査からは、中小企業のPMIが「形式知化されていない属人的な営み」として行われている実態が浮かび上がります。半数の経営者が体系的なPMIに取り組めておらず、苦労の中心は財務・システム統合ではなく組織・人事領域に集中しています。買収経験者が振り返って「もっと早く取り組むべきだった」と感じるのも経営理念や従業員コミュニケーションといったソフト面の課題で、これらは外部の専門家からの構造的な支援が機能しやすい領域です。
一方で、外部専門家への期待は「経営計画の策定支援」「統合プロセスの進捗モニタリング」「人事・労務制度の整備」といった経営・組織コンサルティング領域に集中していますが、実際に活用されている専門家は税理士・会計士・M&A仲介・弁護士に偏っています。中小企業診断士や社会保険労務士など、組織・労務領域を担える専門家の活用は2割前後にとどまり、ニーズと供給のミスマッチが存在します。
また、公的支援制度(補助金・助成金)の認知と活用の間にも大きなギャップがあり、「知っているが使えていない」状態が4割以上を占めます。情報源の中心が顧問税理士・金融機関・M&A仲介に偏っていることを踏まえると、PMIの実務領域における中小企業診断士・社会保険労務士などの存在感を高めること、また経営者が能動的に情報を取りに行ける窓口を整備することが、ギャップ解消の鍵になりそうです。
当事務所の取り組み
イグナル・コンサルティングは、中小企業診断士として、中小企業の事業計画策定・補助金活用・経営力向上計画の策定など、PMIに関連する経営面の支援を行っています。本調査で明らかになった「経営計画の策定支援」「統合プロセスの進捗モニタリング」といったニーズに対し、診断士の立場から情報発信を続けてまいります。
本調査結果や中小企業のM&A・事業承継・PMIに関するお問い合わせは、以下からお気軽にご連絡ください。

事務所概要
事務所名:イグナル・コンサルティング
所在地:三重県鈴鹿市
代表者:林 早苗(中小企業診断士)
事業内容:補助金申請支援、経営コンサルティング、事業計画支援
Webサイト:https://igunal.com/
本調査結果を引用・転載される場合は、「イグナル・コンサルティング調べ」と出典を明記のうえ、引用元として以下のURLリンクの設置をお願いいたします。
引用元URL:https://igunal.com/pmi-survey-2026/
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