関東圏で初めて!FIGO国際産婦人科連合が先導する国際認証を取得
-神奈川県横浜市『よしかた産婦人科』が母子と家族を尊重し、安全かつ快適な出産ケアを実践する施設として「国際出産イニシアティブ」の認証を関東圏で初めて取得-
2025年3月、よしかた産婦人科(神奈川県横浜市、善方裕美院長)は国際出産イニシアティブ(International Childbirth Initiative:ICI)の施設として関東圏で初めて認証を取得した。本年、5月23日~25日に開催される第77回日本産科婦人科学会学術集会(於:岡山、学術集会長:増山寿)の特設ブースにて活動報告をおこなう予定。

国際出産イニシアティブ(International Childbirth Initiative:ICI)とは?

国際産婦人科連合 (FIGO)、国際助産師連盟(ICM)、国際小児科学会(IPA)、国際母子出産組織(IMBCO)、ホワイトリボン連盟(WRA)の5団体が2018年に創設した国際的な枠組み。
世界保健機関(WHO)のガイドライン「ポジティブな出産体験のための分娩期ケア」(2018年)に沿って「母子・家族を尊重した安全なケアを実現する12のステップ」が示されており、基本原則として「健康増進、病気や合併症の予防、適時の救急医療を確実にする」「ポジティブな出産体験を得られるよう、女性の主体性と選択を支える」「MotherBaby-Family:母子・家族をひとまとまりとして守る」ことにコミットしている分娩施設が対象となる。
現在、世界30か国以上で100以上の施設がICIに参加、12ステップは20か国語に翻訳され国際的な広がりを見せている。日本国内では、2024年10月に長野県で1施設、12月に愛知県で2施設が認証されており、それに続き関東圏では初めて、2025年3月によしかた産婦人科が認証された。ICI認証施設では妊産婦や家族のフィードバックを取り入れながら自己評価し、目標を決めてケアの改善に取り組んでおり、継続的なイニシアティブ実践をおこなっている。



ICI本部ウェブサイト(英語):http://icichildbirth.org/
ICI日本語事務局ウェブサイト:http://sites.google.com/view/ici-japan/
「育児不安」「乳幼児虐待」の予防は妊産婦と家族へのヘルスケアがカギとなる
厚生労働省の「子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について(第20次報告)」では、 死亡事例全体の44.6%を0歳の新生児が占めていたと報告されている。原因検証として47.3%に育児不安、授乳など養育方法がうまくできなかったことがあげられ、うつ病など母親自身の疾患による32.7%を上回っていた。分娩施設における母子と家族のケアが充分に施されることが求められており、出産ケアに関わるメンバーとして、医師、助産師のみならず、理学療法士、地域子育て支援者が協働して母子とその家族を守ることが重要である。
ICIでは、多職種スタッフで出産ケアの質の向上に取り組んでいることが認証の必須条件であり、よしかた産婦人科は専属の理学療法士が産前、入院中、産後にわたって母体の骨盤ケア、腰痛、恥骨痛などのケアにあたっている。そのほか、イニシアティブの骨格をなす「MotherBaby-Family:母子・家族をひとまとまりとして守る」という点において、よしかた産婦人科の妊婦健診では家族同伴での受診、出産時の家族立ち合いを推奨しており、カウンセリング外来も設置している。また、「産んだら終わり、ではない」産後の継続的なケアとして、母乳相談外来、育児支援施設「よしかたハウス」を設置し、NPO法人の育児支援団体、地域の産後ヘルパーと連携して、母子と家族の健やかな生活のためにサポートをおこなっていることも認証の後押しとなった。


ICIには「陣痛中に薬を使わずに安楽に過ごす方法や痛みを和らげるための方法を、安全な第一選択として提供することを推奨」と示されている
ICIが提唱するこの項目では、2018年のWHOガイドラインの内容に一歩踏み込んだ出産ケアが示されている。WHOガイドラインでは、痛みの緩和を目的とした硬膜外麻酔の使用は推奨されているが、これと同時に、呼吸法、音楽、マインドフルネスなどのリラクゼーション法、マッサージや温罨法(おんあんぽう)も有効な産痛緩和法として推奨されている。そして、一見相反する様に見えてしまうのが、硬膜外麻酔を使用している産婦へのオキシトシン製剤(陣痛促進剤)の使用は「推奨されない」と記されている点である。WHOガイドラインは自然陣痛による出産ケアが対象となっており、現在の日本で主流となっている、計画的に子宮収縮薬(陣痛促進剤)を使用して陣痛誘発をおこなったうえで硬膜外麻酔を使用する、いわゆる「無痛分娩:計画麻酔分娩」に対するエビデンスではない。ゆえに、日本における無痛分娩の一般的なイメージからは違和感を覚えるのかもしれない。では、なぜ日本の無痛分娩は計画麻酔分娩が主流なのか?これは分娩施設の置かれている環境が日本と海外(主に欧州)では違うということが背景にある。海外での分娩は集約化された大病院が担っており、24時間体制で産科医、麻酔科医、小児科医、助産師が配置され交代勤務をしている。分娩のスタートは陣痛発来(自然に始まる陣痛)であることが自明の理として一般的であり、自然陣痛の発来で入院した妊産婦に対するケアとして、WHOガイドラインとICIの文言が示されているのである。しかし、我が国の医療施設の配置は、分娩施設に限らず集約型ではないため、各々の施設ごとに自助努力が課されることとなる。
https://iris.who.int/bitstream/handle/10665/272447/WHO-RHR-18.12-jpn.pdf
(WHOガイドライン ポジティブな出産体験のための分娩期ケア日本語版)
https://iris.who.int/bitstream/handle/10665/260178/9789241550215-eng.pdf?sequence=1
(原著版)

2024年9月に厚生労働省で開かれた第4回「妊娠・出産・産後における妊産婦等の支援策等に関する検討会」では、日本の無痛分娩率の急激な上昇(東京28%、神奈川20%と特に首都圏が急上昇)が示されたが、照井克生:日本産科麻酔学会理事長は「無痛分娩の安全な提供体制がまだ構築途上であることに注意を促す」としている。
この集計では自然陣痛の発来を待たない「計画麻酔分娩」が大部分を占める可能性が高い。集約型でない日本の分娩施設では産科医、麻酔科医などの人員確保がままならない状況下で、安全面を確保するために「計画麻酔分娩」という選択をするしかない事情が存在し、WHOガイドラインの「ポジティブな出産体験のための分娩期ケア」からかけ離れてしまうのだ。硬膜外麻酔の使用は母子への重篤な合併症を想定する必要があり、急増する日本の無痛分娩管理において、安全体制は十分とは言い難い。照井理事長の発言にあるように、安全な無痛分娩の提供体制の構築が早急に進められることが望まれる。そして、それと同時にICIの提唱とWHOガイドラインに沿った「薬を使用しない陣痛緩和の方法」について軽視せず、薬剤と同様に有効性が高いエビデンスを有するものと再認識すべきである。
よしかた産婦人科院長善方裕美はICIが提唱する上記の一節は、「女性の脳内ホルモン分泌、すなわち分娩の内分泌学的な生理機能を守る」ことの大切さも意味するのではないかと考えている。ヒトにおける分娩の内分泌生理は未だに未解明な事象が多い。陣痛ホルモン「オキシトシン」は脳下垂体より分泌されることは分かっているが、分泌起点は不明である。つまり、自然の陣痛がいつ、どうして起こるの医学的に謎なのである。子宮口(赤ちゃんの出口)がたくさん開いても、赤ちゃんが下の方に降りてきたとしても、これらはもうすぐ陣痛が来る合図とは言えない。『お産は満月や大潮に多い』と言われるが、これもエビデンスのある話ではない。
オキシトシンは1906年にヒト下垂体後葉抽出物が哺乳類の子宮の収縮を誘発できることを観察して発見された。出産、授乳における役割に加え、近年は、ストレス、不安、対人関係の絆など、他の生理学的プロセスを調整することが知られ、アタッチメント(心地よい触れ合い)で分泌が促されることが分かっている。Kerstin Uvnäs-Mobergらは「陣痛および出産中に脳内に放出されるオキシトシンは神経内分泌機構に影響し、それによって母親の気分、行動、生理機能に良い影響を与える。合成オキシトシンの注入は、循環からのオキシトシンは血液脳関門を通過しないため、生理的陣痛および出産中に放出される内因性オキシトシンと同じ脳への有益な効果を生じない。これは、合成オキシトシン注入による陣痛では生理的陣痛および出産の適応効果が完全には再現されないことを意味している」とシステマティックレビューにて報告している。(Kerstin Uvnäs-Moberg et al; BMC Pregnancy Childbirth. 2019)
よしかた産婦人科では自然陣痛を待つことをポリシーとして、出産の進行過程において助産師が寄り添い、世界保健機関(WHO)のガイドライン「ポジティブな出産体験のための分娩期ケア」(2018年)に沿ってエビデンスのある出産時ケアと疼痛緩和の方法を実践し、妊産婦と家族とのShared decision making: SDM(協働意思決定)をおこなったうえで、麻酔薬などの薬剤投与を検討している。善方裕美院長は『お産現場に立つ者の使命として、現代医療によって母子の安全を守ると同時に、本来女性が持つホルモンの力を信じ、未知の内分泌生理に敬意を払うことが大切』と語る。

よしかた産婦人科
神奈川県横浜市港北区小机町2430
院長 善方裕美
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