Octopus Energyのソフトウェア基盤「Kraken」、親会社の影から独立へ

Kraken Technologies Japan合同会社

  • 複雑化する分散型エネルギー市場に対応

  • Krakenの成長:高い収益性と投資家評価

  • オペレーションの独立化とスピンアウト観測も

  • 成果と課題:コスト削減とシステム移行リスク

※本プレスリリースは2025年1月8日(現地時間)に英国・ロンドンで配信したプレスリリース(https://www.ft.com/content/475c7f16-a191-4524-97ef-c14307d9d24b)の抄訳です。

2025年1月8日 英国・ロンドン

英国で家庭向けガス・電力供給第2位の地位を誇るオクトパス・エナジー。同社の創業者グレッグ・ジャクソン氏は、「実のところ、私たち自身がKrakenというソフトウェアプラットフォームの“デモ顧客”なんです」と語る。

この「Kraken」は元々、オクトパス社内の業務効率化を目的に開発されたエネルギープラットフォームだが、現在では世界中のエネルギー企業にライセンス提供され、顧客管理、請求処理、太陽光発電、EV充電器、ヒートポンプの運用管理まで幅広くカバーする“エネルギーOS”として進化している。

すでにKrakenは日本やオーストラリアを含む各国で6,000万件以上のアカウントを管理しており、ジャクソン氏は「2027年までに1億件という目標は控えめすぎるかもしれない。近い将来に数千万件の追加が見込まれており、非常に順調です」と自信を見せる。

複雑化する分散型エネルギー市場に対応

再生可能エネルギーの普及により、電力供給は従来の集中型から分散型へと移行している。太陽光や風力、蓄電池などが地域ごとに配置される中で、需給バランスの最適化とコスト効率の向上が大きな課題となっている。

このような複雑性に対応するのがKrakenだ。リアルタイムデータ分析を活用し、電力価格の変動に合わせた最適な料金設計や、太陽光発電・EV充電・ヒートポンプの稼働制御などを支援する。

競合も同様の領域に注力しており、Ovo Energyの「Kaluza」は2024年6月、オーストラリアAGLから1.5億豪ドル(約9,400万米ドル)の出資を受けたほか、Centricaは翌7月にEnsekを買収した。

KaluzaのCEO、メリッサ・ガンダー氏は「日本市場への関心が高まっており、米国でも徐々に動きが出始めています。従来のテクノロジーでは将来のニーズに対応できません」とコメントしている。

Krakenの成長:高い収益性と投資家評価

Krakenは2023年4月期末時点で2,200万件超のアカウントを管理し、その半数以上が外部顧客向けだ。税引前利益は2,080万ポンドを記録し、これは親会社オクトパス全体の利益の約10%を占める。

成長性の高さから、2024年には企業評価額が90億ドルに到達。元米副大統領アル・ゴア氏のGeneration Investment Management、カナダ年金基金、さらにジョン・ケリー元米気候特使が共同議長を務めるGalvanize Climate Solutionsなど、名だたる投資家が出資を拡大した。

Galvanizeのベリー・マクスウェル氏は「オクトパスは高信頼かつ破壊的なブランドとして成長しており、Krakenはその基盤技術です」と評価している。

導入企業は、東京ガス(出資も実施)、Origin Energy(豪州)、EDF(英国)、Eon(同)、Eni傘下Plenitude(伊)など多国籍に広がる。今後は水道や送電ネットワークといったユーティリティ事業者への展開も視野に入れる。

オペレーションの独立化とスピンアウト観測も

Krakenは現在、オクトパス社からの独立色を強めており、BT(旧ブリティッシュ・テレコム)元CEOのギャビン・パターソン氏を会長に迎えたことで、将来的なスピンアウト(分社化)も取り沙汰されている。

ジャクソン氏は「オクトパスのイノベーションから多くを享受しているが、Krakenはすでにオペレーション上は独立しており、将来の展望についても柔軟に対応していきたい」と語る。

また、電力市場の地域分割や価格帯の再設計といった政策提言、電力需要と供給の調整を支える節電報酬プログラムの設計にも関与しており、プラットフォームにとどまらない多面的な存在へと進化している。

CEOのアミール・オラド氏は「たとえば“明日午後4時に食洗機を使ってください”といった、需要を誘導する精緻な仕組みが必要です」と説明。Krakenは1日に50億件のデータを処理し、1日数百回のシステムアップデートを行う「進化する生きたシステム」であることを強調する。

成果と課題:コスト削減とシステム移行リスク

Kraken導入によって、EDFはカスタマーレビューサイト「Trustpilot」の評価が向上したと報告。Plenitudeも「有望な成果が得られた」とコメントしている。

Origin Energyは2023年5月までに全顧客をKrakenに移行。2020〜2022年にはコスト削減を達成した一方で、2024年6月期には2億1,400万豪ドルのコスト増が発生した。ただし、これは生活費高騰や規制変更の影響であり、Kraken自体の問題ではないとしている。

一方、エネルギー業界における新システム導入には依然として慎重な姿勢も残る。UBSのトム・アレン氏は「新たな基幹システムへの移行には、技術・プロジェクト両面のリスクが伴うが、Krakenを選んでいる企業の質そのものが同社の信頼性を裏付けている」と指摘する。

ジャクソン氏は、「古いシステムは積み木のように積み重ねられた構造だが、Krakenのような統合型OSに移行することで、運用コストと業務負担が大幅に削減できる」と述べる。実際、同社によると、英国の競合他社に比べて顧客対応コストは40%も低いという。

Krakenについて

Krakenは、エネルギー業界のデジタル化と変革を実現する、世界で唯一の実績あるエンドツーエンドプラットフォームであり、DF Energy、E.ON Next、Octopus Energy、Origin Energy、東京ガスなど、世界のエネルギー大手が採用しています。

ロンドンとニューヨークに本社を置くKrakenは、6,000万件以上のアカウント、40GW以上の電力(洋上風力から大規模蓄電池まで)、そして25万台以上の消費者向けデバイス(電気自動車、充電ステーションなど)を管理しています。

当社のプラットフォームは、高度なデータ処理、AI(人工知能)、機械学習機能を備え、エネルギーサプライチェーンの大部分を自動化することで、卓越したサービスと効率性を実現します。この技術革新は、エネルギー業界のあり方を大きく変え、パートナー企業による新しいサービス開発を30倍に加速させ、顧客満足度ランキングで最高評価を獲得、運用コストを数億ドル単位で削減しています。

Krakenのクラウドベースのシステムは、お客様のニーズに合わせて柔軟に拡張でき、スムーズかつ迅速なシステム移行を実現。エネルギー事業だけでなく、水道事業など、幅広い分野で導入が進んでいます。

詳しくは、弊社ウェブサイトをご覧ください。https://kraken.tech/

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会社概要

Kraken Technologies Japan合同会社

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業種
情報通信
本社所在地
東京都港区六本木1−4−5 アークヒルズサウスタワー18F
電話番号
-
代表者名
Kiel Dolence
上場
未上場
資本金
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設立
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