慶應義塾大学、新たなるイノベーション創出手法「システミックデザイン」を活用した研究&社会実装に向けた活動を開始
活動の第一弾として、12月10日に「気候変動 × 都市」をテーマにシステミックデザインの手法を体験いただけるワークショップ型イベントを開催します。

慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュート(所在地:東京都港区、所長:中妻 照雄(経済学部 教授)、以下KGRI)は、新たなるイノベーション創出手法「システミックデザイン」の研究および社会実装のための組織「慶應システミックイノベーション・センター(Center for Systemic Design & Innovation, Keio)(仮称)」の設立に向けて活動を開始しました。本プロジェクトは、サービスデザイン/システミックデザインの第一人者であり、『システミックデザインの実践』の監訳も務めた慶應義塾大学経済学部・武山政直教授を中心に、一般社団法人デサイロが企画・運営面で協力。学術研究と社会実装を横断する研究・社会実装プラットフォームとして活動します。
また、活動開始にあたり、2025年12月10日(水)の14時より、イベント「『システミックデザイン』による新たなるビジネス機会の創出──『気候変動 × 都市』をテーマに考える」を開催します。
プロジェクト概要
地球温暖化の進行や国際情勢の不安定化など、私たちが直面する課題はより複雑化する一方、企業にも事業活動を通じた社会課題の解決が求められるようになってきました。
そうした背景のもと、慶應義塾大学ではいま注目を集めるイノベーション創出手法である「システミックデザイン」の方法論を活用し、社会性と経済性を両立する21世紀型企業へのシフトを支援する「慶應システミックイノベーション・センター(Center for Systemic Design & Innovation, Keio)」の設立に向けて活動を開始します。
「システミックデザイン」とは、複雑な社会システムや環境問題、組織の課題などに対して、関係性に着目して根本的な変革を目指す手法です。社会の課題が複雑化し、その解決のために多様なステークホルダーとの共創が求められる2020年代において、「デザイン思考」と「システム思考」を融合させた本手法への期待が寄せられています。
システミックデザインの手法には、「システムそのものを動かす、システムレベルでの変革を目指す」「複数の介入策を戦略的に構成するポートフォリオをつくり、多様なステークホルダーでの連携を促す」などの特徴があり、以下のような課題を抱える企業・行政関係者が取り入れるケースが出てきています。
● 企業経営において「社会性」と「経済性」の両立が求められるなかで、自社がどのような社会課題に今後対応していくべきか、中長期的なありたい姿を描けていない
● 自社のビジネスを循環(サーキュラー)型にシフトしたいが、その方法がわからない
● 「社会性」と「経済性」の両立というテーマを、研究企画におけるロードマップ策定や、研究開発に反映できていない
● 社会の課題が複雑化するなかで、従来のデザイン手法ではイノベーション創出に限界があると感じている
● 社外との共創やオープンイノベーションの仕組みを検討しているが、対象とすべき課題やプログラム設計に難しさを感じている
実際に本手法は、「フィリップス社による新興国ヘルスケア施設整備」、「国連開発機構(UNDP)とユニリーバ・パキスタンによるゼロプラスチック都市へのシステム変革プロジェクト」、「ノルウェーの省庁横断による、運転免許更新サービス改⾰プロジェクト」などで活用されており、国内においても2023年の『システミックデザインの実践』の翻訳書刊行以降、一部の製造業などで本手法の活用が始まっています。
本研究&社会実装活動では、サービスデザイン/システミックデザインの第一人者であり、『システミックデザインの実践』の監訳も務めた慶應義塾大学経済学部・武山政直教授を中心に、慶應義塾内外の研究者との連携によって、方法論の開発や企業向けのコンサルティングサービスの提供に取り組んでいきます。
その第一弾として、「システミックデザイン」手法を体験する1dayワークショップを開催します。システミックデザインについて学びたい、本活動の内容をより詳しく知りたい、今後の活動への参画を検討したいと思われるビジネスパーソンの参加をお待ちしております。
<今後の活動予定>
研究センター設立も視野に入れ、以下の3つの柱で活動を進めていきます。
1.研究
「システミックデザイン」の方法論開発
2.コンサルティング
「システミックデザイン」の手法を活用した企業・行政向けのコンサルティングサービスのご提供
3.社会発信
「システミックデザイン」に関する社会への啓蒙活動
<活動の3つの特徴>
1.世界的に注目を集める「システミックデザイン」の研究開発&社会実装
先述のように世界的に注目を集めるイノベーション創出手法「システミックデザイン」の方法論を活用することで、企業の課題解決に貢献します。
2.慶應の学知を集結し、課題解決に貢献
慶應義塾大学には、さまざまな産業分野における課題解決につながる研究に取り組む研究者が多数在籍しています。テーマに応じて最適な研究者の方が活動に参画します。
3.複数産業にまたがるマルチステークホルダーでの課題解決
複雑な課題の解決に取り組むためには、他産業のステークホルダーも含めた共創が欠かせません。本センターがハブとなりながら、そうした企業同士の共創を促進します。
<注力テーマ>
活動の第一弾では「気候変動 × 都市」をテーマに、新たなるビジネス機会の創出を目指します。都市をフィールドとして、以下のような産業に関わる方々の参画を目指しております。
● 不動産・建設
● エネルギー
● ヘルスケア
● モビリティ
● 食品・飲料
● ファッション
● 観光
● 小売
また、テーマに応じてさまざまな産業の方が参画できるコンソーシアム型の活動も視野に入れており、ご関心のある方々に追ってお知らせします。
<武山教授のコメント>
ビジネスや社会が直面する課題の複雑性が高まるなか、システム思考とデザイン思考を組み合わせた「システミックデザイン」への注目が高まっています。本手法では構造的に課題を理解し、複数の介入策を戦略的に構成するポートフォリオをつくり、その解決策を探っていきますが、ビジネスにおいて「社会性と経済性の両立」が求められる現代において、こうしたアプローチは、新たなる事業機会の創出に欠かせないと考えております。
また、今後設立を目指している「慶應システミックイノベーション・センター(Center for Systemic Design & Innovation, Keio)(仮称)」では、産業や企業間を超え、研究者も専門分野を超えてマルチステークホルダーでの共創に取り組んでいきたいと考えています。「システミックデザイン」をハブとした新たなる共創の場に、ぜひ参加いただければと思います。
■プロジェクト代表者 武山政直(たけやま・まさなお)
慶應義塾大学経済学部教授/デザインストラテジスト。慶應義塾大学経済学部卒業。Ph.D.(カリフォルニア大学)。慶應義塾大学環境情報学部助手、東京都市大学准教授を経て、慶應義塾大学経済学部准教授(2003)、同教授就任(2008)。経済地理学、マーケティング論、行動科学を応用したサービスデザイン手法の研究や産学共同プロジェクトを推進中。
Service Design Network 日本支部共同代表。ACTANT 共同創業者。
イベント情報
【ワークショップ】
『システミックデザイン』による新たなるビジネス機会の創出──『気候変動 × 都市』をテーマに考える

活動の第一弾として、イベント「『システミックデザイン』による新たなるビジネス機会の創出──『気候変動 × 都市』をテーマに考える」を12月10日に開催します。システミックデザインの手法を通じて「気候変動 × 都市」分野における課題の特定や介入点の特定、新しいソリューションについて検討していくワークショップです。
■日時:
2025年12月10日14:00-18:30(開場 13:30)
※最大19時程度まで延長する場合があります。
■会場:
慶應義塾大学 三田キャンパス 東館6階 G-Lab
アクセス:キャンパスマップはこちら(東館はキャンパスマップ⑬の建物です)
■対象:
・事業開発にシステミックデザインの手法を活かしたいと考えている新規事業開発、研究企画・開発部の方々
・会社の中長期的な方針に手法を活かしたい経営企画部の方々
・新たなるイノベーション手法の導入に関心のあるビジネスパーソン
・システミックデザインの手法を業務に活かしたいと考えている事業会社のデザイナー
■参加費:無料
■参加登録:
参加登録はこちら ※申込締切 2025年12月3日
※1社様につき最大2-3名程度までのお申込みでお願いいたします。
■プログラム:
14:00-14:20 本活動のご紹介
14:20-14:50 武山政直教授による「システミックデザイン」に関するレクチャー
14:50-17:50 システミックデザインの手法を体験するワークショップ
17:50-18:00 まとめ
18:00-18:30 懇親会
※最大19時程度まで延長する場合があります。
イベント紹介ページはこちら
講師:
武山政直(たけやま・まさなお)
慶應義塾大学経済学部教授/デザインストラテジスト。慶應義塾大学経済学部卒業。
Ph.D.(カリフォルニア大学)。慶應義塾大学環境情報学部助手、東京都市大学准教授を経て、慶應義塾大学経済学部准教授(2003)、同教授就任(2008)。経済地理学、マーケティング論、行動科学を応用したサービスデザイン手法の研究や産学共同プロジェクトを推進中。
Service Design Network 日本支部共同代表。ACTANT 共同創業者。
ファシリテーター:
津久井かほる(つくい・かほる)
慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュート(KGRI)客員所員。
ACTANT 共同創業者、デザインリサーチャー。慶應義塾大学経済学部卒業、イタリア
Domus Academy大学院サービスデザイン修士課程修了。2013年ACTANTを共同設立。様々な領域のプロジェクトにてリサーチ/デザインディレクションを担当。慶應義塾大学では研究員として、サービスデザインや行動デザイン手法の開発にも従事し、研究と実践を繋ぐ。
岡田弘太郎(おかだ・こうたろう)
一般社団法人デサイロ代表理事。2022年、人文・社会科学分野の研究者を中心としたシンクタンクである一般社団法人デサイロを設立し、産官学の多様なステークホルダーとの連携によるプロジェクト創出や知の拠点づくり、企業向けのコンサルティングサービスの提供などを行なう。「Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2023」選出。慶應義塾大学在学中は武山政直研究会に所属し、サービスデザインを専攻。
■主催(本件に関するお問い合わせ先):
慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュート(KGRI)
課題ワンストップ受入解決ユニット事務局
kgri-ianda@adst.keio.ac.jp
■運営サポート:一般社団法人デサイロ
人文・社会科学分野の研究者とともに次なる社会を形づくる思想やアイデアを生み出すシンクタンクです。学術知を起点としたプロジェクト創出などを通じて、「知の創造と流通」を支えていきます。本プロジェクトでは、企画・運営パートナーを務めます。
contact@de-silo.xyz
■協力:一般社団法人Famiee
Famieeは2019年の設立以来、約100の賛同企業・自治体と連携し、パートナーシップ証明書の発行を通じて、法律婚が認められないカップルの社会的認知と家族向けサービスにアクセスできる環境を整備しています。Famieeの取り組みは、公的制度の整備を待たず、民間主導で社会を変える先進事例として注目されています。今後も、多様な家族が安心して暮らせる社会的インフラを構築し、包括的な社会の実現を目指します。
https://famiee.org/
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