インド仏教徒1億人を率い、インドを変えた日本人、佐々井秀嶺師。半生をつづる初の単行『闘う菩薩道:我が使命いまだ尽きず』がサンガ新社より刊行されました。
インドの地で半世紀以上にわたりカースト差別と闘い、インド仏教を復興する日本人として知られる佐々井秀嶺師の、自らの言葉で半生を語った初の単行本。年表、全国ゆかりのお寺地図収録した決定版の一冊。

仏教書を中心に人文書を刊行する出版社・株式会社サンガ新社(本社:宮城県仙台市、代表:佐藤由樹)は、インドにおいて半世紀以上にわたりカースト差別と闘い、インド仏教を復興する日本人としてれ知られる佐々井秀嶺師の、初の単行本となる『闘う菩薩道:我が使命いまだ尽きず』(2025年12月30日初版発行)を2025年12月5日(金)に刊行しました。本書は長らく絶版になっていた佐々井秀嶺師の2冊の自著、『必生 闘う仏教』(集英社新書、2010年)と『求道者:愛と憎しみのインド』(サンガ新書、2014年)を合わせ、新たに書下ろしを加え、さらに著者にゆかりの全国のお寺を紹介する日本地図を収録したものです。折に触れ各メディアで注目を集める佐々井秀嶺師の半生を自らの言葉でつづった決定版の一冊です。
インド仏教復興と佐々井秀嶺
■根深いインドのカースト差別と不可触民
インドには紀元前16世紀ごろ、中央アジアから南下したアーリア人の侵入によって生まれた、カースト制度という差別がある。イギリス植民地時代には制度的に利用され、独立後、1950年に制定されたインド共和国憲法で「カーストによる不可触民に対する差別は禁止する」とされたにもかかわらず、その差別は今なお根深い。そして四種の姓のカーストの下に「不浄」される不可触民(ダリト)があり、職業、食事、結婚などあらゆる分野にわたる差別の構造がある。不可触民は現在、全インド人口の16.6%を占める約2億138万人である(2011年国勢調査)。
■不可触民を救済する仏教復興運動
不可触民を解放する運動は、インド共和国憲法を起草した、ビームラーオ・アンベードカル(1981―1956)によって起こされた。苦学の末、米英2つの大学院を出た法相アンベードカル自身が不可触民出身だった。彼は不可触民差別の根源はヒンドゥー教にあると考え、その解放のために各宗教を研究する中で初期仏教の伝えるパーリ経典に触れ、仏教こそが生れによる差別を否定して徹底した平等を説いていることを確信した。自らがヒンドゥー教徒から仏教徒に改宗する際に30万人とも50万人ともいわれる人々と一緒に、1956年10月14日にインド中部ナグプールで大改宗式を開催して、改宗した。以来、毎年10月に大改宗式が行われ、不可触民の差別から解放される仏教徒は増え続けている。
■不可触民解放の仏教復興運動を先導した佐々井秀嶺師
このアンベードカルが始めた大改宗式を受け継ぎ、カースト差別と闘い、不可触民の救済のためにインド仏教の復興を推し進めているのが、佐々井秀嶺師である。2003年にはインド政府マイノリティコミッションの仏教代表に就任し活動を政治の場にも広げる。その佐々井秀嶺師が日本で脚光を浴びたのは2004年12月28日フジテレビ深夜のドキュメンタリー枠「NONFIX」で放映された『男一代菩薩道』(演出:小林三旅)が話題になったことでした。タイの僧院に留学中だった1967年にインドに渡って以来、一度も日本に帰国することなくインドで仏教の復興に人生をささげている姿が映し出された。そして数万人のインド人を前に仏教の三帰依文を唱える姿は視聴者に強いインパクトを与えた。それは佐々井秀嶺師が活動するインド中央部のナグプールで開かれた大改宗式の様子だった。その後、2009年に44年ぶりに帰国して日本の地を踏んだ佐々井師は、以降毎年のように帰国するようになり、折に触れ週刊文春や週刊プレイボーイなど各種週刊誌やテレビにも取り上げられるようになる。近年でも『世界ふしぎ発見!』(2023年2月25日放送)でインドでの活動が紹介され話題になった。またIT起業家で年商100億を超えるIT企業のCEOを務め時の人だった小野裕史氏がインドで佐々井秀嶺氏に出会い私淑し、佐々井師のもとで出家得度をしたことが大きな話題となった。今、小野氏は法名「龍光」を佐々井師から授けられ、小野龍光として活動をしている。
■『闘う菩薩道』の意義
その生い立ちから、苦悩の青年時代、仏教との出会いと出家、インドに渡り、アンベードカルが仏教復興の狼煙を上げたナグプールに至る運命的なみちゆき、そして生涯をささげて取り組む大菩提寺管理権奪還闘争、龍樹の聖地である南天鉄塔を含む遺跡の発掘・復興・保護、インド仏教の復興への思いと現実を自らの言葉で綴ったのが『闘う菩薩道』である。仏教を現代のアクチュアルな宗教と捉えるとき、日本仏教に根をもちインドに展開し現実社会に影響を与え続ける佐々井秀嶺師の活動は注目されるべきものである。そしてインドを仏教の視点から、あるいは不可触民解放とアンベードカルの起こした運動の視点から語るとき、第一に参照すべき指導者の言葉がここに詰まっている。

闘う菩薩道
我が使命いまだ尽きず
佐々井秀嶺[著]
サンガ新社 刊
ISBN978-4-911416-19-8 C0015
定価[本体2,500円+税]
並製/四六判/392頁
2025年12月5日(金)アマゾン他ネット書店および全国書店発売
佐々井秀嶺師プロフィール
佐々井秀嶺(ささい・しゅうれい)
1935年、岡山県生まれ。インド仏教指導者。1988年インド国籍取得。ラージヴ・ガンディー(当時の首相)からインド名「アーリア・ナーガールジュナ」を授与される。1960年、25歳の時、高尾山薬王院(真言宗智山派)にて得度。1965年タイに留学し具足戒を受け、1967年インドに渡る。同年インド中央部のナグプールに入りB.R.アンベードカル博士が数十万人の不可触民とともに興したインド仏教復興運動に身を投じる。毎年10月に行なわれる大改宗式で導師を務め、およそ1億人とも言われるインド仏教徒の最高指導者となる。2003年より3年間、インド政府少数者委員会(マイノリティ・コミッション)の仏教代表に就任。仏教徒の社会的地位向上に尽力。2009年、44年ぶりに日本に帰国。以来、2025年までに10度の帰国を重ね、全国を行脚。インド仏教興隆の実情を広く伝えるとともに、日本仏教界を叱咤激励し続けている。
地域の宝である桜を守りたい
【目次抜粋】
★第一部 闘う仏教
●はじめに(高山龍智)
■第一章 仏教との出会い
発心/世紀の苦悩児/大菩薩峠/邂逅/新興仏教青年同盟/戦争/檻の中の仏道修行/獄中の『歎異抄』/乗鞍岳/渡印/不惜身命と慈悲の人/龍宮城への旅立ち/八木上人の墓参り
■第二章 大楽金剛
ナグプール/アンベードカル/不可触民の現実/断食断水一五日/夜行列車の窓に/大欲得清浄/脱皮/煩悩は生きる力
■第三章 闘う仏教
闘う仏教とは/インド国籍を取る/大菩提寺管理権奪還闘争/アヨーディヤ事件/マイノリティコミッション/命を狙われる/元が整えば末も整う/南天鉄塔/支援のあり方
■第四章 必生
四四年ぶりの帰国/高尾の緑/宗派根性/僧侶を避ける小学生/自殺大国日本/十界を巡れ/悩み無き人生は、無/必生/仏陀を背負いて社会の中へ/立ち上がる仏教
●おわりに
★第二部 求道者 愛と憎しみのインド
●はじめに
■第一章 差別の地―インドで仏教の地歩を築く
不可触民の渦中へ/インドの人々とともに生きる仏僧として/龍樹に導かれて/一九六八年ナグプールに来たる/一つのカーストに一つのお寺が……/毎日お勤めする読誦経典を編集する/寺に来る出家希望者/結婚式で稼ぐ坊主/志ある人々/信頼のおけるやつダンマボディ/坊主から市長になったシーラナンダ/次世代を担う仏教徒を育てる/三人の沙弥
■第二章 インドの宗教と政治に対峙する
潜在する差別/形式だけの政教分離/マイノリティコミッションメンバーへの誘い/アンベードカルの意志を継ぐ行動とは/マヤワティ首相という人物/盟友カンシ・ラムの謎の死/なぜ私がマイノリティコミッションメンバーに指名されたのか/マイノリティコミッションとしての私の目的―大菩提寺奪還
■第三章 龍樹菩薩の地を探して
龍樹菩薩の地マンセル/龍樹の伝説/マンセル遺跡の発掘/侵略に対して人を守るアンベードカルの不殺生戒/インド仏教に関心を持たないダライ・ラマ一四世/私に面会を求めてきたダライ・ラマ
■第四章 インド民衆とともに生きる
インドの食生活/インド人は酒癖が悪い/インドで病気になる/インドで毒を盛られる/断食で死にかける/断食を完遂した私を祝福してくれた仏教徒たち/「ジャイ・ビーム」を発した瞬間/私の説法術/改宗式を始める/仏教式の結婚式/異教徒間の結婚/インドの虚無、死の観念/煩悩強き女/法華経の祈祷水
■第五章 南天一乗の仏教を生きる
「空」にも命がある/命により成り立つ縁起の法/ブッダ入滅の年に至る/私は、のたれ死にたいのです/二〇一四年七月、病に倒れる/インドの悲しみ/インドは仏教国になる/私の中には信念の鉄塔が入っている
★第三部 この十年 あとがきにかえて
コロナ禍の騒動/日本のご恩あるゆかりの方々/インドでの私の使命のこの一〇年/私を支援してくださる方々/二〇一一年、東日本大震災で変化した私の気持ち/命ある限り
・佐々井秀嶺師ゆかりのお寺
・佐々井秀嶺師略年譜
・用語解説(志賀浄邦)
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以上、各媒体でお取り上げいただけましたら幸いです。
どうぞよろしくお願い致します。
株式会社サンガ新社
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