飼い主の8割が「獣医師に提案されれば利用検討」ペットのオンライン診療 、利用経験はまだ3.4% ― 普及のカギは動物病院からの一声
獣医師調査(2026年4月発表)に続く第2弾。全国の飼い主500名への意識調査で見えた、「知っている」と「使う」の段差と、それを埋める条件

日本獣医オンライン診療研究会(所在地:東京都中央区、会長:浅沼直之、以下「当研究会」)は、ペットのオンライン診療の「適正な普及」と「質の担保」を目的に、全国のペット飼育者500名を対象とした「ペットのオンライン診療に対する意識調査(飼い主向け)」を実施しました。本調査は、2026年4月に発表した獣医師向け調査に続く第2弾です。
調査の結果、オンライン診療を「よく知っている」「何となく知っている」「聞いたことはある」飼い主は81.2%に上る一方、実際に利用した経験がある飼い主は3.4%(17名)にとどまることが分かりました。また、自発的に「ぜひ利用したい」は10.0%でしたが、「獣医師に提案されたら利用したい・利用を検討する」を含めると80.2%が前向きで、オンライン診療の普及は飼い主の需要ではなく、動物病院側からの提案が起点になることが示されました。最大の不安は「診断が正確にできるのか」(84.6%)で、獣医師調査で最多だった「誤診リスク」への懸念と同じ構図が、飼い主側にも存在していました。
■ 認知は8割超、しかし利用経験は3.4%。「知っている」と「使う」の間に大きな段差
「オンライン診療(またはオンライン相談)をご存知でしたか」と尋ねたところ、「よく知っている」は6.0%にとどまり、「何となく知っている」41.4%、「聞いたことはある」33.8%と、言葉は知っていても内容までは知らない層が4分の3を占めました。「全く知らない」は18.8%でした。
一方、実際にオンライン診療・相談を利用したことがある飼い主は3.4%(500名中17名)で、「知っているが利用したことはない」41.6%、「全く利用したことがない」55.0%でした。認知率が8割を超えるのに対して利用経験は3.4%と、「知っている」と「使う」の間に大きな段差があることが分かります。

■ 利用意向のカギは「獣医師からの提案」。提案があれば8割が利用・検討
「今後オンライン診療・相談を利用してみたいと思いますか」という問いに対し、「ぜひ利用したい」は10.0%でした。しかし「獣医師に提案されたら利用したい」28.2%、「獣医師に提案されたら利用を検討する」42.0%を合わせると、全体の80.2%が前向きな回答でした。「あまり利用したくない」13.8%、「全く利用したくない」2.0%と、否定的な回答は合計15.8%にとどまりました。
飼い主が自らオンライン診療を求めるケースは少数ですが、かかりつけの獣医師から「この症例はオンラインでも対応できる」と提案されれば大半が受け入れる姿勢を示しており、オンライン診療の普及は飼い主側の需要待ちではなく、動物病院側からの働きかけが起点になることが示唆されます。世代別では若い世代ほど前向きで、「ぜひ利用したい」と「提案されたら利用したい」の合計は20代が48.1%、60代以上が25.0%でした。

■ 最大の不安は「診断が正確にできるのか」84.6%。獣医師調査と同じ構図に
オンライン診療を利用する際に気になること(複数回答)は、「診断が正確にできるのか」が84.6%で最多、次いで「ペットを見せるのが難しそう」58.0%、「料金が高いのではないか」33.0%と続きました。「操作が難しそう」11.6%、「個人情報・セキュリティが心配」8.0%と、ツールや操作に関する不安は1割前後にとどまりました。
さらに、「診断の正確性」を不安に挙げた飼い主の利用意向(「ぜひ」+「提案されたら利用」)は35.2%であるのに対し、挙げなかった飼い主は54.5%と、利用意向を最も押し下げている要因であることも分かりました。料金・操作・セキュリティを不安に挙げたかどうかでは利用意向にほとんど差がありませんでした。
2026年4月に発表した獣医師向け調査でも、オンライン診療で最も不安な点として「誤診リスク」が最多でした。診る側と診てもらう側の双方が「身体検査なしで正しく診断できるか」という同じ点を懸念しており、「オンラインで何ができ、何ができないか」を示すことが、普及の前提として求められています。

■ 求められるのは「かかりつけ獣医師と話せる」62.8%。新しい相手ではなく、いつもの先生との接点
「どのようなサービスがあれば利用したいと思うか」(複数回答)では、「かかりつけ獣医師と話せる」が62.8%で最多でした。次いで「24時間いつでも相談できる」56.6%、「写真・動画を送って診てもらえる」55.2%、「検査結果の説明や再診がオンラインでできる」52.4%、「迷う状態でもすぐ相談・処方してもらえる」52.2%と、いずれも半数を超えました。一方、「専門性の高い全国区の獣医師に相談できる」は25.0%、「月額制で気軽に相談できる」は5.2%にとどまりました。
飼い主が望んでいるのは、新しい相手に診てもらうことではなく、いつものかかりつけの先生とオンラインでもつながれることであり、診療時間外の相談窓口や、再診・検査結果説明のオンライン化といった「既存の診療関係の延長」に需要が集中しています。

■ 利用経験者は17名中16名が好意的。利用理由の1位は「ペットの来院ストレス」
オンライン診療・相談への印象は、全体では「とても良い」「どちらかといえば良い」が合計41.0%、「よくわからない」が35.2%でしたが、利用経験者(17名)に限ると「とても良い」3名・「どちらかといえば良い」13名の計16名(94.1%)が好意的で、「あまり利用したくない」は1名、「全く利用したくない」と回答した人はいませんでした。利用した理由(複数回答)は「ペットが来院を怖がる・ストレスになる」が17名中16名で最多、次いで「病院に行く時間がなかった」11名、「夜間・休日に相談したかった」9名、「再診・経過観察のため」7名でした。
費用については、来院による診療と比較して「オンラインの方が安い」と想定する飼い主が52.8%、「同じくらい」が26.8%で、来院と同等以下が約8割を占めました。オンライン相談(30分間)の妥当な料金は「1,000〜2,000円」が35.6%で最多でした。自由回答では「料金を事前に分かりやすく説明してほしい」「夜間や休日は多少高くても構わない」といった声があり、金額そのもの以上に「事前に分かること」が安心につながっています。

■ 2020年調査との比較:認知と経験は広がったが、不安の構造は変わらない
株式会社みるペットが2020年9月に実施した同様の調査(n=500)と比較すると、利用経験率は1.4%から3.4%へと増加し、利用の動機も「感染対策」から「ペットのストレス軽減や時間の制約」といった日常の負担軽減へと移っています。一方で、最大の不安が「診断の確実性」であること、2位が「症状やペットの状態をうまく伝えられるか」であること、そして相手として「かかりつけの獣医師」を望む傾向は5年間変わっていません。課題はツールや操作ではなく、「医療の質への納得」にあると言えます。
※ 2020年調査とは設問文・選択肢が異なるため、数値の差は傾向としてご覧ください。
■ 【当会のコメント・今後の展望】
日本獣医オンライン診療研究会 会長 浅沼直之(獣医師)
「今回の飼い主調査で最も印象的だったのは、認知が8割を超えているにもかかわらず利用経験が3.4%にとどまる一方で、獣医師からの提案があれば8割の飼い主が利用を前向きに考えると答えたことです。飼い主はオンライン診療を拒んでいるのではなく、「この子の場合はオンラインでも大丈夫」という信頼できる獣医師からの一言を待っています。
同時に、最大の不安が「診断が正確にできるのか」であったことは、本年4月に発表した獣医師調査で「誤診リスク」が最大の懸念だったことと重なります。診る側と診てもらう側が同じ点を心配しているということは、裏を返せば、「オンラインで何ができて、何は来院が必要か」を双方が納得できる形で示せれば、不安は大きく解消できるということです。実際に利用した飼い主のほぼ全員が好意的に評価していることも、その裏付けだと考えています。
飼い主が求めているのは、見知らぬ獣医師によるオンライン完結の診療ではなく、かかりつけの先生との関係の中で、再診や経過観察、夜間・休日の相談といった場面でオンラインを使えることです。当研究会は、今回の結果を会員病院と共有し、「提案は病院から」「適応範囲を事前に示す」といった実践的な運用の知見を広げていくとともに、飼い主が安心してオンライン診療を選べるよう、「動物病院におけるオンライン診療の認証制度」の構築を引き続き目指してまいります。」
■ 調査結果の詳細および入会のご案内
本調査の詳細レポート(世代別・地域別・通院環境別のクロス集計、自由回答の分類、実施病院への示唆を含む全約26ページ)は、当研究会の会員限定ページで公開しています。オンライン診療の導入・運用を検討されている獣医師・動物病院の皆様は、この機会にぜひご入会をご検討ください。
【入会案内URL】https://www.jvts.org/入会案内/
※ 獣医師向け調査(第1弾)のリリースはこちら:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000181393.html
■ 日本獣医オンライン診療研究会について
日本獣医オンライン診療研究会は、動物医療分野におけるオンライン診療およびICT活用に関する情報共有と、会員間の議論を目的とした団体です。オンライン診療の適正な普及と質の担保を目指し、以下の活動を行っています。
・動物病院におけるオンライン診療のガイドライン作成
・オンライン診療の症例検討会の実施
・オンライン診療の適正活用のための情報発信
・オンライン診療の普及活動
■ 調査概要
調査名:ペットのオンライン診療に対する意識調査(飼い主向け)
調査期間:2025年12月9日(火)〜12月11日(木)
調査対象:全国のペット飼育者(犬・猫を中心に小動物・鳥・爬虫類を含む)
調査方法:インターネット調査(株式会社みるペットに委託)
有効回答数:500名
設問数:17問(属性7問・意識/意向9問・自由回答1問)
※ 各設問の割合は小数点第2位を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります。
※ 本調査結果を引用・転載される際は、「日本獣医オンライン診療研究会調べ」と明記してください。
■ 団体概要
名称:日本獣医オンライン診療研究会
設立:2019年12月
代表者名:浅沼直之
所在地:東京都中央区銀座1丁目22番11号 銀座大竹ビジデンス2F 株式会社みるペット内
公式サイト:https://www.jvts.org/
■ 本件に関するお問い合わせ先
日本獣医オンライン診療研究会 事務局
E-mail:jvts2019.12@gmail.com
対応時間:平日10:00〜18:00
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