日本赤十字社によるハイチ大地震救援・復興支援に関するご報告
~2011年1月12日 ハイチ大地震から一年~
皆様からの救援金 約21億900万円が役立てられています
日本赤十字社(本社:東京都港区、社長:近衞 忠煇)は、2010年1月12日にハイチ共和国で発生した、ハイチ大地震の被災地において、国民の皆様から寄せられた救援金を元に、数々の支援活動を実施してきました。支援を通じて、被災者の方々が笑顔を取り戻しつつあることを、多くの日本の支援者の方々にお伝えするために、緊急・復興支援の取り組みについてご報告させて頂きます。
■ ハイチ大地震
2010年1月12日午後4時53分(日本時間13日午前6時53分)、ハイチ共和国の首都ポルトープランスの南西22キロを震源とする、マグニチュード7.0の強い地震が発生。人口の3分の1にあたる約300万人が暮らすポルトープランスとその周辺を直撃し、死者22万人、負傷者30万人以上という甚大な被害となりました。大統領府や政府省庁をはじめ、病院や学校など多くの建物が倒壊。約18万8,000戸の家屋が倒壊し、多くの人々が家を失いました。被災者は、国民全体の5分の1にあたる200万人におよび、ハイチ大地震から間もなく1年が経つ現在も100万人を超える人々が依然、避難民キャンプでの生活を送っています。なかなか復興が進まない中、10月にはコレラのまん延が始まり、2カ月で3,000人以上が亡くなるという、新たな試練にも見舞われました。
■ 日本赤十字社による救援活動
<緊急救援>
地震発生当日の1月13日に職員を現地に派遣、以後、6カ月間にわたり6班66人の医療チームが、震災で壊滅的な打撃を受けた現地の医療施設に代わり、医療サービスの提供を行いました。また、震災後には雨季、ハリケーン到来の季節が続いたため感染症の流行が懸念されていました。そこで、感染症を予防するために大規模な予防接種キャンペーンや、診療所を訪れた人々に対する衛生知識の普及も行いました。
<復興支援>
ハイチは、震災前から西半球でもっとも貧しい国であったため、復興支援にあたっては、地震の被害を再建するだけでは十分とはいえませんでした。震災前でも、安全な飲み水を得ることができたのは人口の6割、家にトイレがあるのは約2割。ハイチが国として自立し、発展していくためには、保健医療施設の整備や母子保健サービスの提供、感染症の予防、性暴力からの女性の保護など、より良い状況につなげるための支援が必要となってきます。そこで、日本赤十字社としては、現在、保健・給水衛生事業を行い復興に向けて支援を継続しています。
■ 日本赤十字社社長 近衞 忠煇のコメント
昨年2010年はハイチ大地震であけました。その復興が遅々として進まぬところコレラが大流行し、今も多くの人々が苦しい生活を強いられています。その後、異常気象による災害が各地を襲い、パキスタンでは史上空前の大洪水で2千万人が被災し、復興には数年かかるといわれます。いつも真先に傷つき、最後まで悩むのは、貧しかったり、頼りのない弱い人々です。ハイチ大地震においては、21億円以上の救援金を頂きました。多くの皆さまからお寄せいただいた善意を、まだまだ被災に苦しんでいる方々のために使わせていただきます。ありがとうございました。
■ 復興に向けての活動紹介:保健・給水衛生事業
<給水衛生>
トイレを使うことは、私たち日本人のなかではすごく簡単なこと、当たり前のことですが、ハイチでは違います。
コレラに感染した人が屋外で排泄し、その後、雨が降ると排泄物に含まれたコレラ菌が川に流れ、その水を飲んだ人たちが感染する。そんな悪循環を断ち切るために、まずトイレを正しく使うことの大切さを伝えることに取り組んでいます。また、地震の後、井戸水に異物が混入するようになったのですが、地下水はどこでつながっているかわからないため、汚染を防ぐためにもきちんとした衛生知識が必要です。
現在は、集落の人たちとともに「マッピング」という活動を行っています。自分たちが住んでいるコミュニティのなかで井戸や川、トイレなどの施設がどこにあるか、どれだけあるか、を「地域の地図」として地面に描くことで、自分たちの生活環境に気づき、これまでの衛生習慣を自らの意志で改善しようと思う「きっかけ」を作っています。
<衛生知識の普及>
現在、ハイチではコレラが流行しているので、子どもたちとコミュニケーションをとりながら、手洗いの必要性や正しい手洗い方法を伝える衛生教育活動を行っています。
私たちが活動することで、ハイチの人たちの生活が劇的に改善することはありません。国が抱える問題の大きさに対して自分たちの活動はあまりに小さく、人々の健康状態が改善されるには長い時間が必要だと思われます。
しかし、コレラの原因や予防方法など、私たちが持っている知識を伝えることで、ほんの少しでも良い方向へ進んでいくことができれば、と思っています。
<母子保健>
ハイチに住む母親と子どもたちの命を救うために必要なものは、高度医療よりもまず、妊婦検診や食事指導などのごく基礎的なことです。先進国ではあたり前のことでも、知らないというだけで命に関わることも少なくありません。私たち日本赤十字社は、そうした知識を伝えるお手伝いをすべく、ハイチ赤十字社に支えられながら、いくつかのキャンプで婦人会と一緒に活動しています。
これから始めようとしているのは、コミュニティに根ざした保健事業です。コミュニティの人たちが自分たちで問題を見つけ、対応策を考え、一つ一つ解決していける。
そんな、5年後、10年後も続いていく意識が、コミュニティに定着していくことを祈って、活動を行っています。
■ コレラ対応について
復興に向けて少しずつ動き始めた2010年10月中旬。地震の被害が少なかった中部地域で、コレラの感染が確認されました。その後、コレラは予想を上回るスピードで全国に拡大し、1月1時点で17万人を超える感染、3,5600人近い死者が報告されています。国連の推計によると、40万人以上が感染する可能性があるとも考えられています。ハイチでは、過去1世紀以上コレラが報告されておらず、住民はコレラに対する十分な知識を持っていません。
こうした深刻な状況に対して、日本赤十字社では、国際赤十字の対策活動に約1,650万円を支援したほか、11月15日より医療チームを派遣。国立刑務所での治療活動やコレラ治療センターの設置、現地医療スタッフの研修などの支援を行っています。また、レオガンで復興支援を行っているチームも、地域のボランティアとともに予防活動を行っています。
皆様からの救援金 約21億900万円が役立てられています
日本赤十字社(本社:東京都港区、社長:近衞 忠煇)は、2010年1月12日にハイチ共和国で発生した、ハイチ大地震の被災地において、国民の皆様から寄せられた救援金を元に、数々の支援活動を実施してきました。支援を通じて、被災者の方々が笑顔を取り戻しつつあることを、多くの日本の支援者の方々にお伝えするために、緊急・復興支援の取り組みについてご報告させて頂きます。
■ ハイチ大地震
2010年1月12日午後4時53分(日本時間13日午前6時53分)、ハイチ共和国の首都ポルトープランスの南西22キロを震源とする、マグニチュード7.0の強い地震が発生。人口の3分の1にあたる約300万人が暮らすポルトープランスとその周辺を直撃し、死者22万人、負傷者30万人以上という甚大な被害となりました。大統領府や政府省庁をはじめ、病院や学校など多くの建物が倒壊。約18万8,000戸の家屋が倒壊し、多くの人々が家を失いました。被災者は、国民全体の5分の1にあたる200万人におよび、ハイチ大地震から間もなく1年が経つ現在も100万人を超える人々が依然、避難民キャンプでの生活を送っています。なかなか復興が進まない中、10月にはコレラのまん延が始まり、2カ月で3,000人以上が亡くなるという、新たな試練にも見舞われました。
■ 日本赤十字社による救援活動
<緊急救援>
地震発生当日の1月13日に職員を現地に派遣、以後、6カ月間にわたり6班66人の医療チームが、震災で壊滅的な打撃を受けた現地の医療施設に代わり、医療サービスの提供を行いました。また、震災後には雨季、ハリケーン到来の季節が続いたため感染症の流行が懸念されていました。そこで、感染症を予防するために大規模な予防接種キャンペーンや、診療所を訪れた人々に対する衛生知識の普及も行いました。
<復興支援>
ハイチは、震災前から西半球でもっとも貧しい国であったため、復興支援にあたっては、地震の被害を再建するだけでは十分とはいえませんでした。震災前でも、安全な飲み水を得ることができたのは人口の6割、家にトイレがあるのは約2割。ハイチが国として自立し、発展していくためには、保健医療施設の整備や母子保健サービスの提供、感染症の予防、性暴力からの女性の保護など、より良い状況につなげるための支援が必要となってきます。そこで、日本赤十字社としては、現在、保健・給水衛生事業を行い復興に向けて支援を継続しています。
■ 日本赤十字社社長 近衞 忠煇のコメント
昨年2010年はハイチ大地震であけました。その復興が遅々として進まぬところコレラが大流行し、今も多くの人々が苦しい生活を強いられています。その後、異常気象による災害が各地を襲い、パキスタンでは史上空前の大洪水で2千万人が被災し、復興には数年かかるといわれます。いつも真先に傷つき、最後まで悩むのは、貧しかったり、頼りのない弱い人々です。ハイチ大地震においては、21億円以上の救援金を頂きました。多くの皆さまからお寄せいただいた善意を、まだまだ被災に苦しんでいる方々のために使わせていただきます。ありがとうございました。
■ 復興に向けての活動紹介:保健・給水衛生事業
<給水衛生>
トイレを使うことは、私たち日本人のなかではすごく簡単なこと、当たり前のことですが、ハイチでは違います。
コレラに感染した人が屋外で排泄し、その後、雨が降ると排泄物に含まれたコレラ菌が川に流れ、その水を飲んだ人たちが感染する。そんな悪循環を断ち切るために、まずトイレを正しく使うことの大切さを伝えることに取り組んでいます。また、地震の後、井戸水に異物が混入するようになったのですが、地下水はどこでつながっているかわからないため、汚染を防ぐためにもきちんとした衛生知識が必要です。
現在は、集落の人たちとともに「マッピング」という活動を行っています。自分たちが住んでいるコミュニティのなかで井戸や川、トイレなどの施設がどこにあるか、どれだけあるか、を「地域の地図」として地面に描くことで、自分たちの生活環境に気づき、これまでの衛生習慣を自らの意志で改善しようと思う「きっかけ」を作っています。
<衛生知識の普及>
現在、ハイチではコレラが流行しているので、子どもたちとコミュニケーションをとりながら、手洗いの必要性や正しい手洗い方法を伝える衛生教育活動を行っています。
私たちが活動することで、ハイチの人たちの生活が劇的に改善することはありません。国が抱える問題の大きさに対して自分たちの活動はあまりに小さく、人々の健康状態が改善されるには長い時間が必要だと思われます。
しかし、コレラの原因や予防方法など、私たちが持っている知識を伝えることで、ほんの少しでも良い方向へ進んでいくことができれば、と思っています。
<母子保健>
ハイチに住む母親と子どもたちの命を救うために必要なものは、高度医療よりもまず、妊婦検診や食事指導などのごく基礎的なことです。先進国ではあたり前のことでも、知らないというだけで命に関わることも少なくありません。私たち日本赤十字社は、そうした知識を伝えるお手伝いをすべく、ハイチ赤十字社に支えられながら、いくつかのキャンプで婦人会と一緒に活動しています。
これから始めようとしているのは、コミュニティに根ざした保健事業です。コミュニティの人たちが自分たちで問題を見つけ、対応策を考え、一つ一つ解決していける。
そんな、5年後、10年後も続いていく意識が、コミュニティに定着していくことを祈って、活動を行っています。
■ コレラ対応について
復興に向けて少しずつ動き始めた2010年10月中旬。地震の被害が少なかった中部地域で、コレラの感染が確認されました。その後、コレラは予想を上回るスピードで全国に拡大し、1月1時点で17万人を超える感染、3,5600人近い死者が報告されています。国連の推計によると、40万人以上が感染する可能性があるとも考えられています。ハイチでは、過去1世紀以上コレラが報告されておらず、住民はコレラに対する十分な知識を持っていません。
こうした深刻な状況に対して、日本赤十字社では、国際赤十字の対策活動に約1,650万円を支援したほか、11月15日より医療チームを派遣。国立刑務所での治療活動やコレラ治療センターの設置、現地医療スタッフの研修などの支援を行っています。また、レオガンで復興支援を行っているチームも、地域のボランティアとともに予防活動を行っています。
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