信頼できる確固とした法制度がビジネス拠点としての香港の強み 5月開催の「think GLOBAL, think HONG KONG」シンポジウムで制度インフラ(国際税務/法務)分科会への参加者募集中
中国をはじめアジア市場にビジネスチャンスを求める企業に、香港は優れたプラットフォームをいろいろと提供している。その中でも世界の多くの企業が注目しているものに、信頼できる法制度がある。香港では、長年の英国統治の影響により権利と義務の意識が強く、確固とした法制度が整備されている。司法の独立に支えられた法制度が、業務上の契約や知的財産権の保護を揺るぎないものにしているのだ。これが、香港を拠点にアジアでのビジネスを展開する外国企業を力強く支援している。
法制度という観点から見る時、香港の特徴は、中国本土(中華人民共和国)とは異なり英米法(コモン・ロー=慣習法)の体系が施行されていることである。弁護士など法律家約8300名を会員として抱えるザ・ロー・ソサイエティ・オブ・ホンコン(香港律師会)の何君堯(ジュニアス・ホー)会長はこう説明する。
「何よりも強調したいことは、1997年7月の主権移譲後も、香港の法体系は英国領だった時代と同じだということです。言い換えれば『香港特別行政区基本法』に基づいて主権移譲前の法制度を継承しているのです。これが『一国二制度』、つまり香港の資本主義を支える柱になっているわけです」。
例えば、香港における法律のプロフェッショナルは、2つのタイプに分けられる。1つは法廷を仕事の場としているバリスター(法廷弁護士)で、もう1つはビジネス上のさまざまな法的業務に関っているソリシター(事務弁護士)である。この制度も英国と同じである。
「圧倒的に数の多いソリシターは、法廷だけではなく、不動産関連をはじめ多くのビジネスに関与しています。香港のソリシターの特徴は、柔軟性に富み、駆け引きに長けていることで、実に多様な場で活躍しています。言わば、ビジネスにおける消防士のような存在です」と、ホー会長は表現する。
3月19日から22日まで香港で開催されたアジア最大の映画とエンタテインメントのイベントである「FILMART」には、30以上の国・地域から648社が出展した。これらの企業からは「香港におけるデジタルエンタテインメント製品に関る知的財産権の保護を高く評価しています」という声が聞かれた。
実際、香港政府はあらゆる種類の知的財産権の保護を約束している。具体的には、知的財産権は著作権法、商標法、取引表示法、特許法、登録意匠法といった法律で守られている。しかも注目したいのは、知的財産権の保護と法の執行について、香港・マカオ・中国本土の関連省庁との間で緊密な協力体制を築き、それを推進していることだ。
「香港がビジネスに対して優しい環境を用意している例としては、信頼できる法制度に加え、簡素で低率な税制も挙げられます」と、ホー会長は指摘する。例えば、法人税は16.5%で「世界で最も低い水準に抑えられています」と言う。課税の対象は、香港で行われた経済活動と貿易取引の収益であり、株式の配当、投機ではないキャピタル・ゲイン、認可銀行の預金利子は対象外なのだ。
さらに、事業所得税以外の主な直接税である給与所得税については、標準税率が15%で、2%から17%までの段階的な累進税率との選択性になっている。「小売り段階で課税する消費税や付加価値税(VAT)がないことも香港の魅力です」と、ホー会長は付け加える。
最近では、中国企業による米国アップル社のi Pad の商標訴訟に関するニュースなどによって、中国におけるビジネスの法制面でのリスクが大きな関心を呼んでいる。この問題について、ホー会長は「ポイントは契約のあり方です。リスクを避けるには“香港での保護”を受けられるような形で契約を締結することが、1つのカギになります」と強調する。
それは、「契約の一方の当事者が香港の企業であるか、あるいは契約の場所が香港であれば、香港の法律が適用されます」ということによる。例えば、中国に進出しようとする日本企業が香港に子会社を設立し、その香港企業が中国での業務に関る契約を結べば、香港の法制度の対象となり“香港での保護”を受けられる。しかも「最低出資金額が1香港ドルに象徴されるように、会社設立は非常に簡単」なことも見逃せないメリットである。
香港の弁護士は、中国本土でも活躍している。「香港には会社形態の弁護士事務所が780社ありますが、そのうち70社が中国に駐在員事務所を開設し、様々な業務を展開しています」と、ホー会長は中国への浸透ぶりを説明する。中国と香港は2003年に香港・中国経済貿易緊密化協定(CEPA)を締結し、香港製品に対する関税の免除、サービス業の開放、貿易と投資の効率化などを進めている。弁護士事務所もこの協定の対象であり、中国本土における業務が優遇される形になっているのだ。
成長する中国市場にビジネスチャンスを求める日本企業にとって、香港を活用することのメリットは、香港貿易発展局が5月に日本で開催する「think GLOBAL , think HONG KONG」シンポジウムの主要なテーマでもある。その分科会「香港を活用した対中ビジネスのリスクマネジメント」では、香港の法制度や税制が中国に進出する日本企業をどのような形でサポートするかが、具体的に検証される。中国市場での事業展開を目指す日本のビジネスリーダーにとって、このシンポジウムは、経営戦略策定のための、そして情報収集につながる交流のための、絶好の機会になることは間違いない。
申し込みはこちらまで(入場無料)
think GLOBAL, think HONG KONG Website:
http://www.thinkglobalthinkhk.com/jp/index_jp.htm
■香港貿易発展局について
香港貿易発展局(Hong Kong Trade Development Council)は、香港の対外貿易促進を目的に1966年に設立された準政府機関で、世界40以上の都市に事務所を開設しています。香港の企業やサービスを利用したビジネスや、中国・アジアへのビジネスの拠点としての香港活用を支援しています。
(写真)ロー・ソサイエティ・オブ・ホンコン(香港律師会)
何君堯(ジュニアス・ホー)会長
法制度という観点から見る時、香港の特徴は、中国本土(中華人民共和国)とは異なり英米法(コモン・ロー=慣習法)の体系が施行されていることである。弁護士など法律家約8300名を会員として抱えるザ・ロー・ソサイエティ・オブ・ホンコン(香港律師会)の何君堯(ジュニアス・ホー)会長はこう説明する。
「何よりも強調したいことは、1997年7月の主権移譲後も、香港の法体系は英国領だった時代と同じだということです。言い換えれば『香港特別行政区基本法』に基づいて主権移譲前の法制度を継承しているのです。これが『一国二制度』、つまり香港の資本主義を支える柱になっているわけです」。
例えば、香港における法律のプロフェッショナルは、2つのタイプに分けられる。1つは法廷を仕事の場としているバリスター(法廷弁護士)で、もう1つはビジネス上のさまざまな法的業務に関っているソリシター(事務弁護士)である。この制度も英国と同じである。
「圧倒的に数の多いソリシターは、法廷だけではなく、不動産関連をはじめ多くのビジネスに関与しています。香港のソリシターの特徴は、柔軟性に富み、駆け引きに長けていることで、実に多様な場で活躍しています。言わば、ビジネスにおける消防士のような存在です」と、ホー会長は表現する。
3月19日から22日まで香港で開催されたアジア最大の映画とエンタテインメントのイベントである「FILMART」には、30以上の国・地域から648社が出展した。これらの企業からは「香港におけるデジタルエンタテインメント製品に関る知的財産権の保護を高く評価しています」という声が聞かれた。
実際、香港政府はあらゆる種類の知的財産権の保護を約束している。具体的には、知的財産権は著作権法、商標法、取引表示法、特許法、登録意匠法といった法律で守られている。しかも注目したいのは、知的財産権の保護と法の執行について、香港・マカオ・中国本土の関連省庁との間で緊密な協力体制を築き、それを推進していることだ。
「香港がビジネスに対して優しい環境を用意している例としては、信頼できる法制度に加え、簡素で低率な税制も挙げられます」と、ホー会長は指摘する。例えば、法人税は16.5%で「世界で最も低い水準に抑えられています」と言う。課税の対象は、香港で行われた経済活動と貿易取引の収益であり、株式の配当、投機ではないキャピタル・ゲイン、認可銀行の預金利子は対象外なのだ。
さらに、事業所得税以外の主な直接税である給与所得税については、標準税率が15%で、2%から17%までの段階的な累進税率との選択性になっている。「小売り段階で課税する消費税や付加価値税(VAT)がないことも香港の魅力です」と、ホー会長は付け加える。
最近では、中国企業による米国アップル社のi Pad の商標訴訟に関するニュースなどによって、中国におけるビジネスの法制面でのリスクが大きな関心を呼んでいる。この問題について、ホー会長は「ポイントは契約のあり方です。リスクを避けるには“香港での保護”を受けられるような形で契約を締結することが、1つのカギになります」と強調する。
それは、「契約の一方の当事者が香港の企業であるか、あるいは契約の場所が香港であれば、香港の法律が適用されます」ということによる。例えば、中国に進出しようとする日本企業が香港に子会社を設立し、その香港企業が中国での業務に関る契約を結べば、香港の法制度の対象となり“香港での保護”を受けられる。しかも「最低出資金額が1香港ドルに象徴されるように、会社設立は非常に簡単」なことも見逃せないメリットである。
香港の弁護士は、中国本土でも活躍している。「香港には会社形態の弁護士事務所が780社ありますが、そのうち70社が中国に駐在員事務所を開設し、様々な業務を展開しています」と、ホー会長は中国への浸透ぶりを説明する。中国と香港は2003年に香港・中国経済貿易緊密化協定(CEPA)を締結し、香港製品に対する関税の免除、サービス業の開放、貿易と投資の効率化などを進めている。弁護士事務所もこの協定の対象であり、中国本土における業務が優遇される形になっているのだ。
成長する中国市場にビジネスチャンスを求める日本企業にとって、香港を活用することのメリットは、香港貿易発展局が5月に日本で開催する「think GLOBAL , think HONG KONG」シンポジウムの主要なテーマでもある。その分科会「香港を活用した対中ビジネスのリスクマネジメント」では、香港の法制度や税制が中国に進出する日本企業をどのような形でサポートするかが、具体的に検証される。中国市場での事業展開を目指す日本のビジネスリーダーにとって、このシンポジウムは、経営戦略策定のための、そして情報収集につながる交流のための、絶好の機会になることは間違いない。
申し込みはこちらまで(入場無料)
think GLOBAL, think HONG KONG Website:
http://www.thinkglobalthinkhk.com/jp/index_jp.htm
■香港貿易発展局について
香港貿易発展局(Hong Kong Trade Development Council)は、香港の対外貿易促進を目的に1966年に設立された準政府機関で、世界40以上の都市に事務所を開設しています。香港の企業やサービスを利用したビジネスや、中国・アジアへのビジネスの拠点としての香港活用を支援しています。
(写真)ロー・ソサイエティ・オブ・ホンコン(香港律師会)
何君堯(ジュニアス・ホー)会長
すべての画像
- 種類
- イベント
- ダウンロード