フォルテオ® と活性型ビタミンD3製剤併用時の血清カルシウム値への影響に関するデータを日本骨代謝学会にて発表
フォルテオ® と活性型ビタミンD3製剤併用時の血清カルシウム値への影響
に関するデータを日本骨代謝学会にて発表。
日本の治療環境に配慮した血清カルシウム値への影響に関するデータ
いずれの観察時点でも、補正後血清カルシウム濃度が事前に定めた上限を超える患者は認めらなかった。
日本イーライリリー株式会社(本社:神戸市、代表執行役社長:アルフォンゾ・G・ズルエッタ)は、骨形成促進剤に分類される骨粗鬆症治療薬「フォルテオ® (一般名:テリパラチド)」と、日本では骨粗鬆症患者の治療に汎用されている活性型ビタミンD3製剤の併用時の血清カルシウム値への影響を調査した「FPAD (Forteo Plus Active vitamin D3) 試験」を第30回日本骨代謝学会学術集会(7月19~21日、開催地:東京)で発表しました。
試験の目的:
フォルテオ®、カルシウムおよび活性型ビタミンD3製剤(アルファカルシドール)を併用した場合に、血清カルシウム濃度が事前に定めた上限を超える患者の割合について検討を行いました。対象患者は55歳以上の骨粗鬆症患者とし、併用投与後、16~24時間後の血清補正カルシウム濃度*が事前に定めた上限(11.0 mg/dl)を超える患者の割合を併用投与28日目に検討しました。 * 血清補正カルシウム濃度 = アルブミン濃度により補正したカルシウム濃度
試験の結果:
併用投与28日後まで検討した結果、28日目の投薬16~24時間後を含めたいずれの観察時点でも、血清補正カルシウム濃度が事前に定めた上限を超える患者は認められませんでした。投与2、4、6時間後に認められた血清カルシウム値の上昇は、16~24時間後には投与前値に復していました。これはカルシウムおよび天然型ビタミンDを併用した場合に得られているこれまでの臨床試験の結果と同様でした。また、血圧、脈拍数、体温などのバイタルサインの安全性データにも、臨床的に重大な変化はみられず、有害事象報告においても本剤と因果関係があると判断された有害事象は認められませんでした。
試験実施の背景:
欧米では、日常診療における骨粗鬆症治療を実施する上で、カルシウムとビタミンDが体内に充足していることが義務付けられており、カルシウムと天然型ビタミンD製剤が標準補給剤として汎用されています。そのため、骨粗鬆症治療薬の臨床試験は、国内外を問わず、この両剤をプラセボ群および実薬群のいずれにおいても補給剤として使用することが標準になっています。
日本においては、ビタミンDの補給に活性型ビタミンD3製剤が保険診療上汎用されているという独自の治療環境にあります。活性型ビタミンD3製剤は、ビタミンD活性を上昇させることで、腸管からのカルシウム取り込みを促進する等、さまざまな骨代謝改善作用を備えていることが知られていますが、一方で高カルシウム血症のリスクを伴います。
また、PTH製剤には用法用量による違いはあるものの、PTH製剤単剤投与において、投与直後に血清カルシウム濃度の上昇が認められる場合があり、添付文書の重要な基本的注意の項に注意喚起されています。また、活性型ビタミンD3製剤との併用においても相加的に血清カルシウム値が増加するおそれがあり、添付文書上の併用注意の項にて注意喚起されています。
しかしながら、骨粗鬆症治療において、カルシウムと天然型ビタミンD製剤では十分なビタミンDが体内に充足されない場合に、PTH製剤に活性型ビタミンD3製剤を併用されることもあるため、併用時の血中カルシウム濃度の推移を検討したものです。
日本イーライリリーは、日本独自の治療環境に則したアンメットニーズを追求し、科学的なデータを蓄積していくことで、日本の骨粗鬆症患者さんの治療環境向上のお役にたてるよう努めてまいります。
【参考資料】
■FPAD(エフパッド: Forteo Plus Active vitamin D3)試験について
本試験は製造販売後臨床薬理試験であり、フォルテオ®投与群のみのオープン試験となっております。アスパラカルシウム(600 mg/日)、アルファロール(1μg/日)を14日間投与した後に、これらに上乗せしてフォルテオ(20μg/日)を28日間投与し、投与開始1日前、投与開始1,7,14,28日目の各観察日において、採血(0,2,4,6,16,24時間後)および採尿(24時間蓄尿)を行いました。
評価対象は日本人骨粗鬆症患者29名(平均年齢70歳、女性のみ登録された)で、フォルテオ投与開始後、全ての観察時期において血清補正カルシウム濃度の中央値は10mg/dl未満、最高値も10.3mg/dlと、いずれも事前に定めた上限未満でした。また、一日尿中カルシウム排泄量についても、基準値上限(0.3g/日)を超える症例は認められませんでした。
安全性については、試験期間を通じて軽度6例、中等度1例の有害事象が認められましたが、いずれも治験担当医師によって因果関係が否定され、企業としても否定できると判断致しました。
■ビタミンDについて
ビタミンDは脂溶性ビタミンの一種です。ビタミンDは食物等から摂取したり、日光を受けて皮膚で生合成されます。ヒトにおいては活性化されたビタミンD3が生理機能に深く関係しており、腎臓における活性化を経て、天然型ビタミンDは活性型ビタミンDとなります。活性化ビタミンDは、腸管からのカルシウム取り込み促進によって血清カルシウム濃度を上昇させることで、骨量増加効果をもたらします。
活性型ビタミンD3製剤は、活性体をはじめから投与することで、高齢者に多くみられる腎機能低下患者においても生理機能発現が期待できる一方で、ビタミンD活性化の体内調節機構を経ないため、過剰なビタミンD活性に伴う、高カルシウム血症に注意する必要があります。
■フォルテオ®について
フォルテオ®は日本初の骨形成促進剤に分類される自己注射による骨粗鬆症治療剤です。従来の骨吸収抑制剤とは異なり、新しい骨の形成を促進することにより、骨微細構造を再構築し、骨強度を高めて、新たな骨折を起こすリスクを軽減します。フォルテオを1日1回、20μgを皮下に投与すると、骨芽細胞の分化の促進とアポトーシスを抑制することにより、骨形成に直接関与する骨芽細胞が破骨細胞を上回って活性化され、骨形成を促進します。
フォルテオ®は2002年11月に米国で最初に承認を受けました。現在、日本を含む世界86カ国で承認され、100万人以上の患者さんに使用されています。日本では2010年7月に承認を受けました。
■骨粗鬆症について
骨粗鬆症は、骨がすかすかになり、骨折が起こりやすくなる病気です。2011年度版の「骨粗鬆症の予防と治療のガイドライン」によると、日本の推定患者数は約1,280万人とされています。
骨粗鬆症は、自覚症状がない状態で進行することが多い病気ですが、骨量の低下とともに微小骨折が進行し、身長低下や腰背部痛などの症状が現れ、転倒などのわずかな外力によって骨折を生じるリスクが高まります。また、一度骨折をすると、次の骨折のリスクが高まることから、大腿骨近位部骨折による寝たきりなどの重症化を避けるため、早期に専門医の診断を受けることが重要です。平成22年の国民生活基礎調査によると、「転倒・骨折」による要介護者は10人に1人でした。詳細はホームページでご覧下さい。http://itamiru.jp
に関するデータを日本骨代謝学会にて発表。
日本の治療環境に配慮した血清カルシウム値への影響に関するデータ
いずれの観察時点でも、補正後血清カルシウム濃度が事前に定めた上限を超える患者は認めらなかった。
日本イーライリリー株式会社(本社:神戸市、代表執行役社長:アルフォンゾ・G・ズルエッタ)は、骨形成促進剤に分類される骨粗鬆症治療薬「フォルテオ® (一般名:テリパラチド)」と、日本では骨粗鬆症患者の治療に汎用されている活性型ビタミンD3製剤の併用時の血清カルシウム値への影響を調査した「FPAD (Forteo Plus Active vitamin D3) 試験」を第30回日本骨代謝学会学術集会(7月19~21日、開催地:東京)で発表しました。
試験の目的:
フォルテオ®、カルシウムおよび活性型ビタミンD3製剤(アルファカルシドール)を併用した場合に、血清カルシウム濃度が事前に定めた上限を超える患者の割合について検討を行いました。対象患者は55歳以上の骨粗鬆症患者とし、併用投与後、16~24時間後の血清補正カルシウム濃度*が事前に定めた上限(11.0 mg/dl)を超える患者の割合を併用投与28日目に検討しました。 * 血清補正カルシウム濃度 = アルブミン濃度により補正したカルシウム濃度
試験の結果:
併用投与28日後まで検討した結果、28日目の投薬16~24時間後を含めたいずれの観察時点でも、血清補正カルシウム濃度が事前に定めた上限を超える患者は認められませんでした。投与2、4、6時間後に認められた血清カルシウム値の上昇は、16~24時間後には投与前値に復していました。これはカルシウムおよび天然型ビタミンDを併用した場合に得られているこれまでの臨床試験の結果と同様でした。また、血圧、脈拍数、体温などのバイタルサインの安全性データにも、臨床的に重大な変化はみられず、有害事象報告においても本剤と因果関係があると判断された有害事象は認められませんでした。
試験実施の背景:
欧米では、日常診療における骨粗鬆症治療を実施する上で、カルシウムとビタミンDが体内に充足していることが義務付けられており、カルシウムと天然型ビタミンD製剤が標準補給剤として汎用されています。そのため、骨粗鬆症治療薬の臨床試験は、国内外を問わず、この両剤をプラセボ群および実薬群のいずれにおいても補給剤として使用することが標準になっています。
日本においては、ビタミンDの補給に活性型ビタミンD3製剤が保険診療上汎用されているという独自の治療環境にあります。活性型ビタミンD3製剤は、ビタミンD活性を上昇させることで、腸管からのカルシウム取り込みを促進する等、さまざまな骨代謝改善作用を備えていることが知られていますが、一方で高カルシウム血症のリスクを伴います。
また、PTH製剤には用法用量による違いはあるものの、PTH製剤単剤投与において、投与直後に血清カルシウム濃度の上昇が認められる場合があり、添付文書の重要な基本的注意の項に注意喚起されています。また、活性型ビタミンD3製剤との併用においても相加的に血清カルシウム値が増加するおそれがあり、添付文書上の併用注意の項にて注意喚起されています。
しかしながら、骨粗鬆症治療において、カルシウムと天然型ビタミンD製剤では十分なビタミンDが体内に充足されない場合に、PTH製剤に活性型ビタミンD3製剤を併用されることもあるため、併用時の血中カルシウム濃度の推移を検討したものです。
日本イーライリリーは、日本独自の治療環境に則したアンメットニーズを追求し、科学的なデータを蓄積していくことで、日本の骨粗鬆症患者さんの治療環境向上のお役にたてるよう努めてまいります。
【参考資料】
■FPAD(エフパッド: Forteo Plus Active vitamin D3)試験について
本試験は製造販売後臨床薬理試験であり、フォルテオ®投与群のみのオープン試験となっております。アスパラカルシウム(600 mg/日)、アルファロール(1μg/日)を14日間投与した後に、これらに上乗せしてフォルテオ(20μg/日)を28日間投与し、投与開始1日前、投与開始1,7,14,28日目の各観察日において、採血(0,2,4,6,16,24時間後)および採尿(24時間蓄尿)を行いました。
評価対象は日本人骨粗鬆症患者29名(平均年齢70歳、女性のみ登録された)で、フォルテオ投与開始後、全ての観察時期において血清補正カルシウム濃度の中央値は10mg/dl未満、最高値も10.3mg/dlと、いずれも事前に定めた上限未満でした。また、一日尿中カルシウム排泄量についても、基準値上限(0.3g/日)を超える症例は認められませんでした。
安全性については、試験期間を通じて軽度6例、中等度1例の有害事象が認められましたが、いずれも治験担当医師によって因果関係が否定され、企業としても否定できると判断致しました。
■ビタミンDについて
ビタミンDは脂溶性ビタミンの一種です。ビタミンDは食物等から摂取したり、日光を受けて皮膚で生合成されます。ヒトにおいては活性化されたビタミンD3が生理機能に深く関係しており、腎臓における活性化を経て、天然型ビタミンDは活性型ビタミンDとなります。活性化ビタミンDは、腸管からのカルシウム取り込み促進によって血清カルシウム濃度を上昇させることで、骨量増加効果をもたらします。
活性型ビタミンD3製剤は、活性体をはじめから投与することで、高齢者に多くみられる腎機能低下患者においても生理機能発現が期待できる一方で、ビタミンD活性化の体内調節機構を経ないため、過剰なビタミンD活性に伴う、高カルシウム血症に注意する必要があります。
■フォルテオ®について
フォルテオ®は日本初の骨形成促進剤に分類される自己注射による骨粗鬆症治療剤です。従来の骨吸収抑制剤とは異なり、新しい骨の形成を促進することにより、骨微細構造を再構築し、骨強度を高めて、新たな骨折を起こすリスクを軽減します。フォルテオを1日1回、20μgを皮下に投与すると、骨芽細胞の分化の促進とアポトーシスを抑制することにより、骨形成に直接関与する骨芽細胞が破骨細胞を上回って活性化され、骨形成を促進します。
フォルテオ®は2002年11月に米国で最初に承認を受けました。現在、日本を含む世界86カ国で承認され、100万人以上の患者さんに使用されています。日本では2010年7月に承認を受けました。
■骨粗鬆症について
骨粗鬆症は、骨がすかすかになり、骨折が起こりやすくなる病気です。2011年度版の「骨粗鬆症の予防と治療のガイドライン」によると、日本の推定患者数は約1,280万人とされています。
骨粗鬆症は、自覚症状がない状態で進行することが多い病気ですが、骨量の低下とともに微小骨折が進行し、身長低下や腰背部痛などの症状が現れ、転倒などのわずかな外力によって骨折を生じるリスクが高まります。また、一度骨折をすると、次の骨折のリスクが高まることから、大腿骨近位部骨折による寝たきりなどの重症化を避けるため、早期に専門医の診断を受けることが重要です。平成22年の国民生活基礎調査によると、「転倒・骨折」による要介護者は10人に1人でした。詳細はホームページでご覧下さい。http://itamiru.jp
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザーログイン既に登録済みの方はこちら
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像