絵本作家・かこさとし、創作の源流となる80年前の絵日記が1冊の本になりました。
「だるまちゃん」シリーズや『からすのパンやさん』『どろぼうがっこう』などで知られる絵本作家・かこさとしの絵日記を書籍化
株式会社 偕成社(出版社 本社:東京都新宿区 代表取締役社長:今村正樹)は、『過去六年間を顧みて かこさとし 小学校卒業のときの絵日記』(かこさとし:作)を3月に刊行します。
絵本作家として長年活躍し、現在91歳のかこさとしさん。
これまでに500点以上の作品を描いてきたかこさんが、小学校6年生の時に綴った絵日記が本になりました。
下はかこさんが部屋を整理していて、何十年ぶりかでこの日記を見つけた日の写真。2015年のことです。ご家族も日記の存在は、ご存知なかったそうです。
福井県武生市(現在の越前市)で生まれ、小学校2年生で東京府東京市板橋(現在の板橋区)に越してきたかこさんは、さらに4年生のとき同じ板橋で3つめの小学校に転校して6年間を修了します。
卒業が近づいた1938年、担任の先生に「それまでの小学校時代をまとめるように」と言われます。数枚の原稿用紙にまとめる子がほとんどだった中で、かこさんは、「何枚でも思い通りにかけ」という先生からの言葉と、教卓にどっさり積まれた原稿用紙がうれしくて一生懸命描いたといいます。
ある日、かこさんのアトリエにうかがった担当編集者は、この手作りの絵日記に出会い「ぜひ本にしたい!」と思ったそうです。何十枚もの原稿用紙を手作りで製本し、表紙にはレタリングでタイトルを描き、「もくじ」までつけるという手のいれようでした。
紙がボロボロで今にも壊れそうなこの絵日記は大変貴重なものでアトリエから持ち出すことができず、かこさんのアトリエで撮影させていただきながら編集作業を進めたといいます。
文字部分は読みやすいように、活字にしてありますが、本の最後に全見開き写真を掲載しています。
この絵日記をめくっていくと、今のかこさんの絵に通じるものがすでに確立されているのがわかります。
この日記を読んでいると、かこさんの豊かな感受性と好奇心と、考える力、学ぼうとする思い、あわせて表現しようとする力を感ぜずにはいられません。80年前は小学生だった中島哲(かこさんの本名)くんは、すでに「かこさとし」さんであり、この日記にはかこさんのかこさんたるゆえんの原石がたくさんつまっています。
出版するにあたり、この絵日記を改めてかこさん読んでいただき、小学校時代のことを思い出しながら話してくださった聞き書きのエッセイとコメントを掲載しています。
あとがきには、「私の知らぬ間に、賞状やスケッチ大会のメダルなど、苦々しく思っていたと考えていた父が、きちんと全部写真として整理、残した配慮を知って胸がつまった。」とあります。当時は、絵描きなんかでは生活できないぞと、反対されていたお父さんでした。戦火を逃れ、家族の愛情に守られた未来の絵本作家の貴重な絵日記、一つの時代を知る上でも貴重なものでしょう。ぜひお手に取ってご覧ください。
【著者紹介】
かこさとし(加古里子)
1926年福井県武生市(現在の越前市)に生まれる。
1948年東京大学工学部応用化学科卒業。工学博士。技術士(化学)。
民間化学会社研究所勤務のかたわら、セツルメント運動、児童会活動に従事。
1973年会社を退社した後は、子どもの本の執筆に携わる。また児童文化の研究者でもある。
作品は、物語絵本、科学・天体・社会関係の知識絵本、童話、紙芝居など多岐にわたり、500点以上。
主な作品に「かこさとし おはなしのほん」シリーズ、『ピラミッド』『うつくしい絵』(偕成社)、
「だるまちゃん」シリーズ、『かわ』『海』『万里の長城』(福音館書店)、「かこさとし からだの本」シリーズ
(童心社)、『伝承遊び考』「こどもの行事 しぜんと生活」シリーズ(小峰書店)などがある。
1963年サンケイ児童出版文化賞大賞、2008年菊池寛賞、2009年日本化学会特別功労賞、2012年東燃ゼネラル児童文化賞、2017年巌谷小波賞などを受賞する。福井県越前市に「かこさとし ふるさと絵本館 砳(らく)」と、かこさとし監修による絵本の要素がいっぱいつまった「武生中央公園」がある。
【書籍紹介】
|サイズ|20cm×14cm
|ページ数|151 ページ
|ISBN コード|978-4-03-808260-3
|対象|中学生から
|定価|1600 円+ 税
|発売日|2018 年3月13 日配本予定
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザーログイン既に登録済みの方はこちら
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像