未来機械のソーラーパネル清掃ロボットが、ドバイの400メガワットの太陽光発電所に大規模導入され、2,500時間以上の稼働を達成
株式会社未来機械(以下、当社)が開発・製造した「ソーラーパネル清掃ロボットType4」が、ドバイにおける400メガワットの大規模太陽光発電所(以下、当発電所)に60台以上導入され、1台あたり2,500時間以上の長期稼働を達成いたしました。
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■太陽光発電所の課題
(1) 導入先概要
- 発電所名称:ムハンマド・ビン・ラーシド・アル・マクトゥーム・ソーラーパーク(MBRソーラーパーク)
- 発電事業者:ドバイ電力・水庁(DEWA)による合弁事業
- 所在地:ドバイ、アラブ首長国連邦
- 発電容量:400 メガワット(*1 約13万世帯の電力をまかなえる規模)
- 発電所面積:6,765,000 m2(*2 東京ドーム145個分に相当)
(2) 砂漠・乾燥地域の太陽光発電所の現状
今回導入に至ったドバイやその近隣エリアは、日本の約2倍の年間日射量があり、太陽光発電に適した地域として大規模太陽光発電所の建設が進められています。一方で、降水量がほとんどないためソーラーパネルに砂塵が堆積しやすく、放置すると1ヶ月間で約15%も発電効率が低下してしまうという課題を抱えています。砂漠・乾燥地域で太陽光発電所を運用するためには、定期的な清掃が必須となっており、より安く効率的な清掃ソリューションが求められています。
従来は作業員がパネルを清掃していましたが、人件費が高いうえに、清掃の作業品質がばらつくという課題がありました。そこで、清掃コストの削減と作業品質の統一を実現するために、当社をはじめ、複数のメーカーによって清掃ロボットの開発が進められてきました。
(3) トラッカー方式における課題
当発電所ではトラッカー(太陽光追尾型架台)を採用しています。トラッカーとは、日の出から日没まで、太陽の動きに合わせてパネルの角度を自動的に変えることができる可動式の太陽光発電架台です。従来の固定式の架台と比べて発電量を格段に増やすことができるため、世界的に主流となりつつあります。一方で、トラッカーはパネルがたわみやすい構造となっており、従来の固定式架台と同じ清掃方法ではパネルの損傷が避けられません。
(4) 従来の清掃ロボットの課題
複数のメーカーによりソーラーパネル清掃ロボットが開発されてきましたが、従来の清掃ロボットは壊れやすく、高気温かつ砂塵の多い過酷な環境では長期間の稼働に耐えられないものがほとんどでした。丈夫なロボットが導入されたケースもありましたが、これは1台あたり50kg以上と重く、4人で持ち運ぶという作業性の悪さと、高い人件費が課題となっていました。また、重いロボットをトラッカーに載せることでパネルがたわみ、損傷する恐れもありました。このように従来品は実用性が低く、ひとたび導入された場合であっても、現場では次第に使われなくなっている状況でした。
■当社のソリューション
(1) 製品概要
- 製品名:ソーラーパネル清掃ロボットType4
- 清掃対象:砂漠・乾燥地域の砂塵など
- 清掃方法:回転ブラシ
- 電源:充電式バッテリー(Li-ion バッテリー)
- 寸法:W2409×L876×H425 mm
- 重量:36 kg
- 取扱人数:2名
- 清掃速度:1時間あたりソーラーパネル700枚分
- 製品特徴:自律制御、ポータブル式、水を使わない清掃方式
(2) 従来品との比較
当社では、ロボットの機構や材質を抜本的に見直すことで、ロボット重量を36kgまで軽量化し、2人で持ち運ぶことができるようになりました。パネルがたわみやすく清掃が困難なトラッカーでも使用できるよう、パネルにロボットの重量負荷がかかりにくい機構を採用しています。
さらに本技術は、第三者機関にて実施した30年間のロボット継続使用を想定した加速試験において、パネルの発電性能が低下しないこと、太陽電池セルのひび割れが発生しないこと、パネル表面のコーティングが影響を受けないことが確認されました。この試験結果をもって、当社のロボットは主要ソーラーパネルメーカーから認証を取得いたしました。また、本技術は現在特許を出願中です。
(3) 正式導入までの経緯
当発電所は2020年4月より運転開始されており、週に1回の頻度で400メガワット(ソーラーパネル約100万枚相当)を清掃するために、60台以上のType4が導入されました。その後、試験運用期間を経て2021年8月には正式運用を開始し、現在まで1年8ヶ月にわたって清掃に使用され続けています。2021年11月時点の1台あたりの稼働実績は2,500時間以上を誇ります。この間、当発電所のパネルに損傷は見られず、今後も継続的な稼働が見込まれています。
■今後のビジョン
(1) 中東向けソーラーパネル清掃ロボット
今後も中東地域では、アラブ首長国連邦以外にもサウジアラビアやオマーン、カタールなどにおいて、太陽光発電の大幅な導入・拡大が予定されています。中東湾岸6カ国におけるソーラーパネル清掃ロボットの市場規模は、2030年までに200億円を超える見込みです(国際再生可能エネルギー機関(IRENA)および各国発表をもとに当社で推計)。発電量の増加や建設コストの低減に向けて、両面とも発電できるタイプのソーラーパネルや、縦置き2段のトラッカーといった新技術の導入が進むと見込まれています。
当社は、こうした成長市場において高効率な清掃技術を提供してまいります。
(2) 国内向けソーラーパネル清掃ロボット
日本においても、ソーラーパネルの汚れによる発電量の低下が課題になっています。日本の場合、雨で日常的な汚れの大部分は落ちる一方、落ちきらない汚れが蓄積して発電効率を低下させます。特にパネルの端部は雨水がたまるため汚れが固着しやすいなど、中東とは異なる課題があります。
当社ではこの課題を解決するべく、日本国内における地上設置型の大規模太陽光発電所向けに、新型のソーラーパネル清掃ロボットType2Wを開発中です。ロボットの大きさは3~5mで、日本国内の大半の太陽光発電所で使用できます。水と特殊なブラシを使ってパネル端部まで清掃することができるもので、2022年からの販売開始を予定しています。
当社はソーラーパネル清掃ロボットType4の開発・製造・販売で培ったノウハウを活かして、さらなるソーラーパネル清掃ロボットを日本や世界に送り出していきます。より高効率な太陽光発電を実現させることで、再生可能エネルギーの普及を推し進め、世界のカーボンニュートラルの実現に貢献してまいります。
■代表者コメント
株式会社未来機械 代表取締役社長 三宅 徹
2004年の設立以来、当社は “テクノロジーでロボットを当たり前の存在にし、人々を苦役から解放する” をミッションとして取り組んでまいりました。今回、当社が構想し、設計、製造から販売まで手掛けた、ソーラーパネル清掃ロボットType4が世界最大級の太陽光発電所において、25年という長期間の発電業務を支える不可欠な設備の一つとして大規模に導入されたことは、当社のソーラーパネル清掃ロボット技術が評価され、社会実装できただけでなく、このビジョンの実現にむけ大きな一歩を踏み出せたと考えています。今後も、中東をはじめとする乾燥地域での太陽光発電における不可欠な存在としてソーラーパネル清掃ロボットを提供するとともに、2022年からは、日本国内からのニーズに応える、日本国内向けのソーラーパネル清掃ロボットType2Wの提供を開始します。
これらのソーラーパネル清掃ロボット製品群を通じ、太陽光発電の安定的かつ経済合理性に適う長期間の運用を支援し、全人類の課題である、カーボンニュートラルの実現にむけて尽力いたします。
■未来機械について
「テクノロジーでロボットを当たり前の存在にし、人々を苦役から解放する」をミッションに掲げる、香川大学発のベンチャー企業です。
- 社名:株式会社未来機械
- 所在地:香川県高松市上林町584-1
- 代表者:代表取締役社長 三宅 徹
- 設立:2004年3月24日
- 資本金等:約8億円
- 事業内容:ロボット・メカトロニクス機器およびレーザー三次元センサーの研究開発、製造、販売、受託研究開発
未来機械の歩み
- 2004年3月:三宅徹が、香川大学在学中に学生ベンチャー企業として設立、香川大学内にて窓拭きロボットの研究開発を開始
- 2007年10月:窓拭きロボット WallWalkerがグッドデザイン賞を受賞
- 2009年1月:香川県新規産業創出支援センター(ネクスト香川)に移転
- 2013年3月:世界初・水を使わず自律走行可能なソーラーパネル清掃ロボットのサウジアラビアでの実証試験の成功を発表
- 2015年8月:第三者割当増資により、リアルテックファンドより約1億円を調達
- 2017年11月:ソーラーパネル清掃ロボット Type1がグッドデザイン賞を受賞
- 2018年8月:第三者割当増資により、四国電力、リアルテックファンドほか7者から約7億円を調達
- 2020年4月:ソーラーパネル清掃ロボット Type4をドバイへ大規模導入
- 2020年8月:国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)2020年度「新エネルギー等のシーズ発掘・事業化に向けた技術研究開発事業」フェーズDに採択
- 2021年8月:事業拡大のため、高松本社を香川県高松市上林町に移転
◾️お問合せ先
株式会社未来機械(担当:岩澤)
Tel. 050-3698-5112
Email info@miraikikai.jp
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