おんせん県大分の温泉都市別府で約 60 年ぶりの再発見! 温泉に生きる淡水巻貝が別府八湯「亀川」で密かに生き伸びる 世界中で唯一大分県に生息する「オンセンゴマツボ」!!

魚部


「オンセンゴマツボ(オンセンミズゴマツボ)」は 1962 年に大分県九重町の宝 泉寺温泉をタイプ(模式)産地として新種記載された淡水性巻貝類の一種で、大分 県の固有種として知られている。本種はこれまでにタイプ産地である九重町のほ か、別府市、由布市の 3 市町のみでの生息が報告されており、環境省レッドデータ ブックでは絶滅危惧 I 類に、大分県レッドデータブックでは絶滅危惧 IA 類に選定さ れている。また、本種は大分県希少野生動植物保護に関する条例に基づく、指定希 少野生動植物に指定され厳重に保護されている。現在のところ、本種の生息地は九 重町及び由布市のみとされている。
今回、NPO 法人北九州・魚部では絶滅したと考えられてきた別府市において、本 種と思われる個体群を発見した。「温泉」で知られる県、中でも代表的な別府市で、 温泉と関係の深い生物の再発見は、話題性にも富み、独特な自然環境や生物多様性 の重要性など地域のサスティナビリティを考える上でも重要だと考えている。
 つきましては、この話題を是非とも取材くださいますようお願いいたします。
【詳細】
1.オンセンゴマツボとは?
・殻長 4 mmほどの微小な淡水性巻貝類。ミズゴマツボ類は日本に約 7 種(うち 1 種は未記載種、もう 1 種は移入種)生息。
・世界的にも珍しい 35°C前後~約 45°Cの温泉水が流れる水路などに生息。 ・1962 年に九重町の宝泉寺温泉産をもとに新種記載。 ・その後、由布市や別府市亀川(1965 年頃)でも確認された。 ・しかし、別府市亀川では 1967 年 6 月には姿を消していたといわれる。
 

 

 

別府市亀川で約 60 年ぶりに再発見された オンセンゴマツボの生体別府市亀川で約 60 年ぶりに再発見された オンセンゴマツボの生体


2.従来の状況

現在、生息地は世界中で大分県九重町と由布市のみとされている。環境省レッドデ ータブックでは絶滅危惧 I 類に、大分県レッドデータブックでは絶滅危惧 IA 類に選 定されている。また、本種は大分県希少野生動植物保護に関する条例に基づく、指定 希少野生動植物に指定され厳重に保護されている。

3.今回の再発見について 1)経緯

NPO 法人北九州・魚部は 2022 年春から別府市亀川を拠点の一つにし、亀川ならで はの自然・生き物と人の暮らしのかかわりの調査・取材に着手。一連の活動において 温泉水中に生息する水生昆虫類などを観察する中で、5 月に本種らしきものを初確認 した。大分県(生活環境部自然保護推進室自然保護班)と連携協働し、6 月 25 日に現 地調査(NPO 法人北九州・魚部・大分県・専門家の三者)を行い、本種の生息を確認 した。

2)意義

・1967 年 6 月には市街地化により消失したとされていた。同所かどうかは不明だが、 今回の発見地では水路の暗渠化という恐らく往時の面影のない環境激変の中で、ひっ そり、したたかに生き残っていた。温泉とともに生きる亀川の人々の暮らしと、温泉 に依存して生きるオンセンゴマツボが偶然かもしれないが共存してきたこと。 ・由布市や宝泉寺温泉と異なる、平地での(場所によっては感潮域)生息地が残存し ていたこと。今後、生態や生活史を調べていく上でも興味深い。 ・「日本一のおんせん県」をうたう大分県、そして世界有数の温泉都市である別府に おいて、「温泉と非常に縁の深い生物」が生き残っていたこと。

4.今後の展開

調査・研究と啓発活動を二本柱にし、オンセンゴマツボを学術的に解明評価し、同 時に地域固有の貴重な自然財産だと思えるような市民の雰囲気を醸成したい。

1)調査・研究

許可を得た上で、大分県や関係自治体などと連携・協働して別府市や九重町、由 布市で分布調査を行う。同時に遺伝子解析や各生息地および飼育による観察なども 実施して未知な面の多い生態的分類的な研究を進めていく。

2)啓発活動

まずは、市街地化され絶滅したと思われつつも密かに約 60 年間もの長い時間共 存し、今後も別府八湯「亀川温泉」で本種とともに暮らしていく地域住民の皆さん と再発見を共有したい。微小でも地域性のある独特の興味深い存在から、生物多様 性の面白さや大切さを知る契機にしたい。そして地域の誇る生き物と何気なく一緒 に暮らす生活の豊かさに思いを巡らせたい。手始めに地元の自然環境団体(亀川の 自然環境を守る会)と連携・協働し、お話会や生体展示をおこなっていきたい。さ らには「生き物の面白さ」や「生物多様性の保全」という観点から別府市民、大分 県民、観光客や留学生、全国的にも知ってもらう活動につなげていく。

※オンセンゴマツボについて、過去の資料はじめ岡山大学学術研究院環境生命科学学域(農学系)水系保全学研究室の福田宏准教授にご教授いただいた。

※オンセンゴマツボ(オンセンミズゴマツボ)の種名は、環境省レッドリスト 2020 に準拠しています。
 

 

 

写真 1市街地を流れる暗渠の間の溜枡に生息する多数のオンセン(ミズ)ゴマツボ写真 1市街地を流れる暗渠の間の溜枡に生息する多数のオンセン(ミズ)ゴマツボ

写真 2~4写真 1 の生息地の様子。現在は住宅地の中の「溝」。そこに亀川の温泉 が流れている。写真 2~4写真 1 の生息地の様子。現在は住宅地の中の「溝」。そこに亀川の温泉 が流れている。

写真 5感潮域となる水路にも生息写真 5感潮域となる水路にも生息

 

別府市亀川で約 60 年ぶりに再発見された オンセンゴマツボの生体別府市亀川で約 60 年ぶりに再発見された オンセンゴマツボの生体

 

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会社概要

NPO法人北九州・魚部

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URL
https://gyobu.or.jp/
業種
財団法人・社団法人・宗教法人
本社所在地
福岡県北九州市小倉北区大手町2-12 2F
電話番号
093-287-0517
代表者名
井上大輔
上場
未上場
資本金
-
設立
2018年05月