【キャッシュレスQ&A】事業者の悩みに中小企業診断士が回答

「9ヶ月間だけの還元支援のために導入するのはリスク?」「売上金の資金繰りが不安」ー事業者のリアルな声に専門家が答えました

株式会社GV

株式会社GV(本社:東京都港区/代表取締役社長:肥田木和弘)が運営するお金の情報サイト「まねーぶ」は、全国の中小・小規模事業者を対象にキャッシュレス・消費者還元事業について意見を募集し、寄せられた悩みや疑問に対して、中小企業診断士の㈱にぎわい研究所 代表取締役 村上知也氏に回答していただきました。

 

<中小企業診断士紹介>

株式会社にぎわい研究所

代表取締役      村上知也

大手システムインテグレータに13年間勤務し、ITコンサルタントとして活躍後、2008年に中小企業診断士登録。小規模事業者を対象になるべくコストをかけずに行う集客やIT化の支援に取り組んでいる。
 



Q1:製造業や卸売業で決済相手が会社の場合もキャッシュレス決済を導入するべき?

事業者の声(京都府 製造業その他/20代 男性)
「私の会社は製造業で、お客様は会社なのでキャッシュレス決済システムを導入していません。
世の中に出遅れないためにもキャッシュレス化は導入するべきだと感じています。」

A1:キャッシュレス化を導入するという意見に私も賛成です。製造業を含めた会社間取引(BtoB取引)では銀行振込によるキャッシュレス化がすでに進んでいます。銀行振込も立派なキャッシュレス手段の一つです。

さらにクレジットカードやスマホ決済をBtoB取引で活用するのも有効ですが、支払限度額や還元上限額が1.5万円などと設定されているため、常に取引額の5%が還元されるわけではなく、思ったよりも還元の恩恵が受けられない可能性が高いです。

ただし、会社で少額の現金支払いを多数行っている場合はキャッシュレス化をすると効果が大きいでしょう。現金管理の手間が減り、経理処理も効率化されます。もちろん要件を満たせば、ポイント還元の対象となります。会社間取引でも現金を使っているところは積極的にキャッシュレス化を進めて欲しいと思います。


▼キャッシュレス・消費者還元事業の全体像


Q2:9ヶ月間だけの還元支援のために導入するのはリスク?

事業者の声(大阪府 卸売業/30代 男性)
「還元支援が9ヶ月間のみで、そのために投資はしたくない。消費税増税に託けて、キャッシュレスビジネスを拡大したいプラットフォーマーのいいようにされている感が否めない。」


A2:還元支援期間の9ヶ月は短いですね。10月に入って導入を検討される事業者(お店)がいることを考えるともう少し長いほうが良かったかと思います。キャッシュレス決済を事業者が導入すると導入費用や手数料など負担がかかります。今回の還元期間中は手数料が減免されますが、いずれにしても事業者の負担増は免れません。そのため、十分に集客できている店舗が、わざわざプラットフォーマーである決済事業者に手数料を払うのは納得いかないのも当然だと思います。

ただ、この機会に考えていただきたいのは消費者側の動向の変化です。キャッシュレス化比率は徐々に上昇しています。政府目標でも2025年に40%、そして将来は80%としています。キャッシュレスで支払う消費者が増えると、どうしてもキャッシュレス非対応の店舗はお客様から選択されなくなる恐れがあります。例えば交通系ICカード(Suica等)は一度使い始めた人は便利さに慣れてしまい、紙の切符を買うことはない状態です。同じように買い物時のキャッシュレス化が進めば、キャッシュレス対応していない店舗には選んでもらえず、気付けばお客様が減っていたということになりかねません。そのため、今回の還元支援を活用してキャッシュレス化の準備だけは進めておいて欲しいです。

Q3:売上金の資金繰りが不安・・・入金サイクルは早いの?

事業者の声(山口県 サービス業/20代 男性)
「これまでの(現金)管理と変わることに抵抗がある。
キャッシュレスを導入したところで、売上金が翌月まで入金されないのでは資金繰りが不安。」


A3:資金繰りは不安ですね。早い時期からキャッシュレス化を導入した事業者にとってキャッシュレス売上金の入金が翌月末というイメージがありましたが、最近ではこの入金サイクルが短くなっています。
スマホのコード決済だけではなく、クレジットカードも以前に比べてサイクルは短縮化しています。

▼キャッシュレス売上金の入金サイクル一例

(※2019年9月末調べ)

このように、キャッシュレス売上金の入金サイクルは短縮化傾向にありますので、以前ほどは資金繰りへの影響が低下しています。ただし、対応する金融機関によってサイクルが異なったり、最低入金額が設定されていますので、キャッシュレス決済を契約するときには手数料と入金サイクルは必ず確認してください。

総括:中小・小規模事業者に向けた今後のキャッシュレス化について
キャッシュレス決済導入のような新しい取り組みにはメリット・デメリットがあります。そして、その捉え方は消費者と事業者で変わってくると思います。

▼キャッシュレス決済のメリット・デメリット(普及への課題)

事業者(お店)としては消費者のことを考えるとキャッシュレス決済への対応を検討せざるをえない時期が来ています。政府主導のキャッシュレス・消費者還元事業により、決済端末の導入費用無料・手数料の減免などの優遇で今が導入しやすいタイミングでもあります。さらに消費者への還元も大きく、事業者にとってはこの1年は新規顧客を獲得するチャンスです。

しかし還元などの金銭的メリットで獲得したお客様は、そのメリットがなくなると来店されなくなります。
事業者は、キャッシュレス・消費者還元事業等で新規顧客開拓をしたお客様にいかにして自店のファンになってもらえるかが勝負です。キャッシュレスで新規集客、業務効率アップを図りながら、接客やサービス向上などで本質的な価値を提供することに注力していく1年にして欲しいと思います。


*その他の質問・解説は以下から閲覧できます。
URL:https://www.money-book.jp/cashless-qa1

◆会社概要

  • 会社名:株式会社GV(https://www.money-book.jp/company/
  • 代表者:肥田木和弘
  • 所在地:108-0071 東京都港区白金台5-11-3
  • 設立日:2008年3月17日

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業種
情報通信
本社所在地
東京都港区白金台5-11-3
電話番号
03-6303-2428
代表者名
肥田木和弘
上場
未上場
資本金
-
設立
2008年03月