[花粉症対策の新常識は“室内”から]アレルギー対策の盲点は、床に潜む「隠れダスト」と判明

7割の人が花粉症で集中力の低下など仕事への影響を実感 / オフィスの「隠れダスト」から花粉やカビ、化学物質などを検出 / しかし、床の花粉について認識している人はわずか1.6% / 人の掃除では、”掃除ムラ”により約60%しか清掃できていない結果に

 

「隠れダスト」とは
チリや花粉、カビ、細菌など、床に存在し、空気中に舞い上がりやすいが、肉眼では見えにくいため、人の手では取り残してしまうごみを総称。隠れダストとは、ソフトバンクロボティクス株式会社(以下、ソフトバンクロボティクス)が環境アレルゲンinfo and care株式会社との共同調査を元に独自に定義したものです。

 ソフトバンクロボティクスは、オフィス環境が働く人に与える影響を明らかにするため、オフィスで働く全国の男女516人を対象に「オフィスの“隠れダスト”に関する意識調査」を実施しました。また、NPO法人東京アレルギー・呼吸器疾患研究所の白井秀治氏監修の下、都内6カ所のオフィスを対象に「隠れダスト」を分析する実態調査を行いました。このリリースでは、実施した意識調査の結果を、実態調査の結果と併せてお知らせいたします。さらに、調査の結果を受けて、実態調査を実施・監修した白井氏と、耳鼻咽喉科専門医である日本医科大学医学部耳鼻咽喉科学教授の松根彰志氏のコメントも併せて公表いたします。
 

  • 意識調査 結果概要
■花粉症患者の約7割が「オフィスでも花粉症の症状を実感」
集中力の低下や眠気など、仕事に影響が出ていると感じるオフィスワーカーは約7割
■「隠れダスト」対策は「床掃除」が盲点
オフィスで花粉が多く存在する場所について、「空気中」と回答したのは約50%だったことに対し、「床」と回答したのはわずか1.6%だった。また、実施している花粉対策として、マスクの着用や空気洗浄機の運転を行っているなど、同様に空気中のものへの対策が多かった。さらに、70%以上のオフィスワーカーが自社の隠れダストの対策は不十分と回答。床の「隠れダスト」への対策まで及んでいないことが判明した。
■「隠れダスト」対策で、約8割のオフィスワーカーが仕事への集中度や効率を上げられると回答

 
  • 専門家コメント
<NPO法人東京アレルギー・呼吸器疾患研究所 白井秀治氏>
■オフィスの「隠れダスト」からカビやダニ、花粉などを検出
 全てのオフィスから健康被害が出るカビも検出
■人の掃除は、”清掃ムラ”が多く、約60%しか清掃できていない結果に

<日本医科大学医学部 耳鼻咽喉科学 教授 松根彰志氏>
■花粉による経済損失は約2,860億円というデータも。
「隠れダスト」への対策が仕事の効率を上げる可能性

オフィスの隠れダストから検出されたカビを培養したものオフィスの隠れダストから検出されたカビを培養したもの

 

 

人(左)とWhiz(右)の掃除後の比較人(左)とWhiz(右)の掃除後の比較

  • オフィスの“隠れダスト”に関する意識調査
調査名:「オフィスの“隠れダスト”に関する意識調査」
調査期間:2019年12月26日(木)
調査対象:全国の20~50代のオフィスで働く男女516人
調査方法:WEB定量調査
 
  • 花粉症患者の約7割が「オフィス内でも花粉症を自覚」
    集中力低下や眠気など、仕事に影響が出ていると感じるオフィスワーカーは約7割
 オフィスでの花粉症の感じ方について聞いたところ、「オフィスで花粉症をよく感じる(17.0%)」「やや症状を感じる(48.9%)」と回答があり、花粉症患者の約7割がオフィスで花粉症の症状を感じていることが分かりました。また、花粉症の症状の一つである集中力の低下や眠気など、仕事に対する影響について聞いたところ、「仕事に対する影響がある(19.6%)」「仕事に対する影響がややある(46.3%)」と答えた花粉症患者も約7割となりました。
 これらの結果から、オフィスの花粉が働く人に影響を与えていることが分かります。

  • オフィスの「隠れダスト」からダニ、花粉などを検出。健康被害が出るカビも

NPO法人東京アレルギー・呼吸器疾患研究所 環境アレルゲン班 班長 白井秀治(しらい・ひではる)
 オフィスの床に潜む「隠れダスト」を明らかにするため、都内6カ所のオフィスを対象に、「隠れダスト」を分析する実態調査を行いました。併せて、住居のダストについても調査し、オフィスとの比較を行いました。
・住居よりも高い数値で準揮発性有機化合物(SVOC)が検出
 SVOCは全てのオフィスからフタル酸ジ-2-エチルヘキシルが検出され、住居に比べて高い値が検出されました。最も高いオフィスではホコリ1gあたり3,203 μg*となり、住居の平均である111 μg*の約29倍という結果が出ました。*μは1/100万
・住居に比べてオフィスはカビの量が多い傾向。健康被害が出るカビも検出

オフィスの隠れダストから検出されたカビを培養したものオフィスの隠れダストから検出されたカビを培養したもの

 オフィスのカビは住居に比べて平均的に多い傾向でした。また、特に注視することとして全てのオフィスから、呼吸器に関わる健康被害が報告される「コウジカビ(アスペルギルス属)」が多種類検出されました。その他、住居に多いとされるアオカビも全てのオフィスで検出され、その数は今回調査した住宅に比べ最大で10倍以上も多い結果となりました。
・花粉、ネコアレルゲン、ダニなどのアレルギーに関わる物質も検出
 2~3月の花粉シーズンは「隠れダスト」の花粉量が増える可能性

 実験を行った12月は、スギ花粉がまだ飛散していないと考えられる時期ですが、オフィスの1カ所から検出されました。本格的な花粉シーズンには、花粉がオフィス内に侵入し、「隠れダスト」として床に残留する可能性が考えられます。また、全てのオフィスがネコを飼育していないにもかかわらず、全てのオフィスからネコアレルゲンが検出されました。一方、ネコを飼育していない住居では全住居でネコアレルゲンは検出されませんでした。ネコを飼育している人などからネコアレルゲンがオフィスへ持ち込まれている可能性が考えられます。その他、細菌とダニは住居に比べ平均的に少ない傾向でしたが、オフィス内に存在することが明らかになりました。
  • 隠れダスト対策は「床掃除」が盲点
    オフィスで花粉が存在するのは、「空気中」と約50%が回答したことに対し、
    「床」と回答したのはわずか1.6%
    また、7割以上のオフィスワーカーが自社の「隠れダスト」対策が不十分と感じている
「(オフィスの)どの場所に花粉が多くあると思いますか?」という質問では、約50%のオフィスワーカーが「空気中(53.5%)」と回答したものの、「執務室の床(1.4%)」「応接室/会議室の床(0.2%)」と床に花粉が多く存在すると回答した人はわずかであるという結果になりました。さらに、花粉症対策として具体的に実施しているのは、マスクや空気洗浄機という回答が多く、床の対策にまでは及んでいないことが分かりました。これらの結果から、オフィスの花粉症対策では「床掃除」が盲点となっていることが分かりました。
 さらに、自社のオフィスの「隠れダスト」対策について、オフィスワーカーに聞いたところ、「あまり対策はしていない(34.5%)」「まったく対策していない(41.1%)」と7割以上が不十分と回答しました。前述の通り、花粉症患者の多くがオフィスで花粉症の症状を感じており、仕事に影響すると回答する一方で、多くのオフィスワーカーが自社の「隠れダスト」対策を不十分だと感じていることが分かりました。

  • 「隠れダスト」対策で、約8割の人が仕事への集中度や効率を上げられると回答
 これらオフィスでの花粉症の症状の対策について、「オフィス内の隠れダストをキレイに清掃することによって、あなたの仕事への集中度や効率はどの程度変わると思いますか?」と聞いたところ、「仕事への集中度や効率がとても上がると思う」「やや上がると思う」と答えた人は77.5%でした。
 オフィスの「隠れダスト対策」をすることで、多くの人にとって働きやすい環境になり、仕事の生産性を向上させられる可能性があることが分かりました。

  • 人の掃除では、清掃ムラにより約60%しか清掃できていない結果に

「隠れダスト」を模した蛍光粉体を、カーペット上に目視で確認できない微量散布し、人が掃除を行った場合と、ロボット掃除機「Whiz」が掃除した場合を比較する実験を行いました。実験の結果、右の画像のように、人が掃除した場合は、掃除の仕方が目に見えるごみに集中しがちになるなど、“清掃ムラ”が発生してしまい、「隠れダスト」の取り残しがあることが分かりました。掃除前と比較すると、人の掃除の場合は約60%しか清掃できていない結果となりました。一方、「Whiz」は、記憶した清掃ルートをくまなく掃除できるため、全ての場所で一定の掃除効果が確認されました。そのため、「Whiz」は人の掃除では取り残しやすい「床」の隠れダストにもムラなく対応できることが分かります。
  • 人が掃除する時はダスト粒子が舞い上がりやすい傾向。8倍以上の差も。

 人が掃除した場合と「Whiz」が掃除した場合の、掃除時の空中浮遊粉塵の粒子数を測定する実験を行いました。測定の結果、人は掃除開始直後から粒子濃度が上昇したのに対して、「Whiz」では粒子濃度の大幅な上昇はみられませんでした。掃除終了にかけてのピーク時の粒子濃度の比較では人の掃除行為はロボット掃除機の約8倍もの大きな差があることが分かりました。人の掃除は動作が大きく、また床を歩く際の舞い上がりにより大きい粒子でも舞上げてしまうことが考えられます。「隠れダスト」対策には、こうした舞い上がりへの対策も必要です。

 

環境制御型チャンバー内にタイルカーペットを敷き詰め、タイルカーペット上に室内塵を散布し、人とロボット掃除機による清掃行為を行い、空中に浮遊した粒子をレーザーで可視化(左)。清掃時の浮遊粒子量の推移(中央)。清掃時の粒子浮遊量のピーク値の比較(右)。環境制御型チャンバー内にタイルカーペットを敷き詰め、タイルカーペット上に室内塵を散布し、人とロボット掃除機による清掃行為を行い、空中に浮遊した粒子をレーザーで可視化(左)。清掃時の浮遊粒子量の推移(中央)。清掃時の粒子浮遊量のピーク値の比較(右)。

 

  • 花粉による経済損失は約2,860億円というデータも
    「隠れダスト」への対策が仕事の効率を上げる可能性

日本医科大学医学部 耳鼻咽喉科学 松根彰志(まつね・しょうじ)教授
 隠れダストに含まれる、チリや、花粉、カビ、細菌、化学物質はさまざまなアレルギーなどの症状を引き起こす可能性があります。
 今回の意識調査では、花粉症患者の約7割がオフィスでも花粉症の症状を体感していることが分かりました。花粉などのアレルゲンは、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、ドライアイなどの症状を引き起こすため、オフィスで働く人にとって、集中力の低下や疲れやすくなるなど、仕事の効率低下につながります。過去の論文では、花粉症による経済損失は2,860億円*1というデータもあります。床にある花粉は舞い上がることで、仕事中の人に影響があると考えられます。
 今回の調査ではわずか1.6%の人しか床にも花粉が多いと回答していませんでしたが、窓や玄関、衣服についた服がオフィス内に入ると、空気中から床に落ちて「隠れダスト」になります。「隠れダスト」は、定期的な床の掃除をすることで、ある程度の対策は可能です。「隠れダスト」は目に見えにくいため、一見きれいに見える床でも掃除を行う必要があり、さらにムラなく掃除をすることが重要になります。さらに、「隠れダスト」は空気中に舞い上がりやすいので、それを予防するため、マスクや空気洗浄機なども有効になるでしょう。これらの「隠れダスト」対策をすることで、オフィスワーカーの体への負担が減り、仕事の効率が上がる可能性があります。
*1 科学技術庁(2000年)
医療費や労働効率の低下による経済的損失は約2,860億円というデータも。
現在、2000年当時よりも患者が増えていることを考慮すると、3,000億円を超えている可能性もある。
  • ロボット掃除機「Whiz」について

©SoftBank Robotics©SoftBank Robotics

ソフトバンクロボティクスが提供するロボット掃除機「Whiz」は、主にカーペットなどの床の清掃を目的とする、自律走行が可能な乾式バキュームクリーナーのロボット掃除機です。
最初に「Whiz」を手押しして清掃エリアの地図データを作成し、記憶させることで、スタートボタンを押すと記憶した地図データを基に清掃ルートを自律走行するため、清掃時の品質を一定に保つことができます。また、清掃ルート上に人や障害物が出現しても、「Whiz」に搭載された複数のセンサーが検知することで、回避しながら走行することが可能です。
詳細はこちら
https://www.softbankrobotics.com/jp/product/whiz/

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会社概要

URL
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業種
情報通信
本社所在地
東京都港区東新橋1-9-2 汐留住友ビル14階
電話番号
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代表者名
冨澤文秀
上場
未上場
資本金
-
設立
2014年07月