日本在宅介護協会 東京・北関東支部が、在宅介護事業者の新型コロナウィルスの影響について緊急アンケートを実施

一般社団法人日本在宅介護協会 東京・北関東支部(香取幹支部長)が、新型コロナウィルスの在宅介護事業者における影響について、会員事業者を対象に緊急アンケートを実施した。アンケートの結果から、在宅介護の現場において、様々な影響が発生しており、要介護高齢者の在宅生活継続のために、多くの課題がある事が明らかとなった。

 

1. 緊急アンケート実施概要

日本在宅介護協会東京・北関東支部に所属する在宅介護事業者を対象にWebアンケートを実施。アンケート実施期間は2020年4月26日から4月30日で、108名の会員事業者から回答を得る事ができた。

アンケートは、質問に対して「あてはまる」「ややあてはまる」「どちらともいえない」「ややあてはまらない」「あてはまらない」の5段階で回答する形式の他、現在困っている事や国の施策に反映して欲しいと考える内容を自由記載として意見を求めた。

2. アンケート集計結果

(1)回答者の属性
経営管理34%、介護支援専門員22%、事業所管理者20%、事務8%、サービス提供責任者5%と、実際に事業の管理や運営を行っている経営層からの回答をはじめ、現場の介護支援専門員(ケアマネジャー)からも多くの回答を得る事ができた。

(2)回答者が提供しているサービス
居宅介護支援34名、訪問介護31名、住宅型有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅11名、通所介護・療養通所6名等、主要な在宅介護サービスの他、訪問看護、福祉用具貸与、短期入所生活介護・短期入所療養介護、看護小規模多機能型居宅介護等、多様な在宅介護サービスから幅広く回答を得る事ができた。

(3)居宅介護支援事業所の状況
在宅介護サービスの要ともいえる居宅介護支援事業所の状況について、得られた回答は以下の通りである。

 ■現在の運営状況について
「大きな影響なく運営している」との項目に対し、「あてはまる」「ややあてはまる」との回答が43%と多数を占める反面、「ややあてはまらない」「あてはまらない」との回答が24%と、少なからず影響を受けている居宅介護支援事業者が存在している事がわかった。
また、「事業所としてなるべく在宅勤務を行うようにしている」との項目に対し、「あてはまる」「ややあてはまる」との回答が39%、また「定期面談等は居宅に訪問せず電話等で対応している」との項目に対し、「あてはまる」「ややあてはまる」との回答が53%と、感染拡大防止のため、各居宅介護支援事業所において運営の工夫をしている事がわかった。

■居宅介護支援事業所の利用状況について
「例年よりも居宅介護支援の新規利用者が少ない」との項目に対し、「あてはまる」「ややあてはまる」との回答が46%、「地域の要介護認定等の要望が減っている」との項目に対し、「あてはまる」「ややあてはまる」との回答が44%と、本来必要である介護サービスが高齢者に届いていない可能性がある事がわかった。

■居宅介護支援事業所におけるサービス利用調整について
「発熱者・疑感染者への訪問サービス提供調整を行っている」との項目に対し、「あてはまる」「ややあてはまる」との回答が61%、「発熱者・疑感染者への医療機関の診察調整を行っている」との項目に対し、「あてはまる」「ややあてはまる」との回答が54%と、多くのケアマネジャーが、在宅でのサービス提供が継続できるよう調整している事がわかった。

(4)在宅介護サービスの状況
在宅介護サービス(居宅介護支援事業所含む)を行う上で困っている点について得られた回答は以下の通りである。

■行政の対応について
「発熱者・疑感染者に対して必要なPCR検査を受検できない」との項目に対し、「あてはまる」「ややあてはまる」との回答が55%、「発熱者・疑感染者発生時に、保健所に連絡がつかない」との項目に対し、「あてはまる」「ややあてはまる」との回答が39%と、実際に発熱者や疑感染者が発生した際の保健所の対応について困っている事業者が多い事がわかった。

 ■地域や医療機関の対応について
「利用者からのサービスキャンセルが多い」との項目に対し、「あてはまる」「ややあてはまる」との回答が66%と多数を占めており、経営状況の悪化だけでなく、利用者の在宅生活継続や身体機能の低下等の可能性も否定できない事がわかった。
また、「感染者・疑感染者・接触者発生時、区分して対応する方法がわからない」との項目に対し、「あてはまる」「ややあてはまる」との回答が36%、「感染者・疑感染者・接触者・発熱者の診察拒否がある」との項目に対し、「あてはまる」「ややあてはまる」との回答が23%と、不安な思いを抱えながら在宅介護サービスを提供している実態がわかった。

■事業所内での状況について
「発熱者・疑感染者発生時の会社からの指示がないまたは不明瞭」との項目に対し、「ややあてはまらない」「あてはまらない」との回答が73%、「発熱者・疑感染者発生時の会社のマニュアルがない」との項目に対し、「ややあてはまらない」「あてはまらない」との回答が72%と、在宅介護サービス事業者において、感染拡大防止に向けた取り組みを実施している事がわかった。

■衛生用品の不足状況について
「マスクが不足している」との項目に対し、「あてはまる」「ややあてはまる」との回答が74%、同様に「予防衣や防護服が不足している」は80%、「ディスポーザルグルーブが不足している」は76%、「アルコール消毒液が不足している」は73%と、大多数の在宅介護事業者が依然として衛生用品が不足している状況である事がわかった。

(5)PCR検査の適切な実施による効果
要介護者、自宅療養者にPCR検査を適切に行う事でどのような効果が期待されると考えるかとの質問について、「発熱者・疑感染者・接触者と非感染・非接触との区分が明確になる」との項目に対し、「あてはまる」「ややあてはまる」との回答が96%、「職員が安心してサービスを提供できる」との項目に対し、「あてはまる」「ややあてはまる」との回答が91%と、大多数の在宅介護事業者が、適正なPCR検査が行われる事で、利用者へのサービス提供がしやすくなり、今後の感染拡大を最小限に抑える事ができると考えている事がわかった。

 (6)国の政策に反映して欲しい内容
その他、各事業所にて現在困っている事や、国の施策に反映して欲しいと考える内容を自由記載として意見を求めた所、以下の意見が多く寄せられた。

■PCR検査体制を拡充し、適正に受検できるようにする事で、要介護高齢者が安心して在宅介護サービスの提供を受け、またサービス提供を行う介護職員も安心して在宅介護サービスを提供する事ができるのではないか。

■医療現場や介護施設同様、在宅介護の現場においても、衛生物品が不足しており、限界に近づいている。

■介護職員自身が感染のリスクを負い、また自身が媒介者とならないよう不安な気持ちでサービス提供を行っており、一定の介護報酬上の評価が必要ではないか。

3.総括

 今回、大変短い期間でのアンケート実施であったが、在宅介護事業者が、要介護高齢者に対して、様々な工夫をして、在宅生活継続のために努力をしている現状が明らかとなった。

一方、サービス継続にあたっての課題も多く、以下の対応を早急に行っていく事が、今後の在宅で生活する要介護高齢者にとって、また感染拡大を回避するためには必要であると考える。

(1)在宅介護利用者や介護職員へのPCR検査体制の拡充
PCR検査体制を拡充し、適正に実施される事で、感染者と非感染者の区分が明確となり、在宅介護サービスの提供を継続し、また感染拡大を最小限に抑える事ができると考える。速やかにPCR検査体制の拡充が必要。

(2)在宅介護の現場への衛生物品の支給
在宅介護の現場では必要な衛生物品が枯渇している状況。在宅においても非常に多くの要介護高齢者が生活しており、また非常に多くの介護職員が在宅介護に関わっている。マスクをはじめ、予防着、ディスポーザルグローブ、アルコール消毒液等衛生物品の在宅介護の現場への優先的支給が必要。

(3)在宅介護に関わる介護報酬上の評価
医療機関同様、在宅介護の現場においても、要介護高齢者の命を守り、在宅での生活を継続できるよう取り組んでいる。また医療機関の外来や入院が制限される中、感染者や疑感染者等に対する在宅介護サービスの提供を行っている。この点について介護報酬上の評価が必要。

現在、国や地方自治体において、感染者等への対応や、感染拡大防止について、大変尽力いただいており、諸外国のような最悪の状況を回避できている事は感謝に堪えない。

今後、当協会においては、要介護高齢者の在宅生活を更に継続していくため、また介護職員が安心して在宅介護サービスを提供できる環境整備を更に進めていくため、今回実施した緊急アンケートの結果を各関係機関に発信していきたいと考えている。
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