有限会社言問学舎は、「真の国語を教える塾」として好評です。舎主(塾長)の著書で高校生が勉強しました。
3月17日、高校2年生の国語の授業で、6名の生徒全員が、小田原漂情著の最新刊『たまきはる海のいのちを-三陸の鉄路よ永遠に』を読んで来て、オリジナルの「読解シート」に基づいて、同書について考察しました。
「真の国語の勉強」とは、「知識」や「解き方(答えの見つけ方)」を覚えることではなく、文章を読み、そこから「表面に書かれている以上のこと」をくみ取る力を育むことです。東日本大震災の時に小学1年生だった現高校2年の生徒たちが、それぞれに『たまきはる海のいのちを-三陸の鉄路よ永遠に』を読み解きました。彼らが東日本大震災とのかかわりをどのようにとらえたかは、今回の学習の仕上げである1000字指定の感想文の提出を待つところですが、皆みずみずしい感性で、小説の主人公英介と恋人の早希子について、感じたところを書いてくれました。
『たまきはる海のいのちを‐三陸の鉄路よ永遠に』は、6つの章により構成されています。はじめに「どの章がもっとも心に残ったか」を、「読解シート(読解の手がかり)」の問いかけで聞いてみました。
一.時きざむ海
二.ゆくりなき会い
三.山の果てに海ありて‐釜石
四.春を呼ぶ風
五.真直ぐなる意志
六.志津川の海
当日その項目に答えを書いていなかった1名をのぞく5名の答えは、2名が「二.ゆくりなき会い」、1名が「四.春を呼ぶ風」、そして2名が「六.志津川の海」となりました。
「表面に書かれている以上のこと」を読みとっている例として挙げられるのは、それらの章を選んだ理由を述べている中の、次の2名の記述です。
「二.ゆくりなき会い」を選んだ1名
-「一.時きざむ海」を読んだ時点での自分の印象として、主人公英介が早希子のことをあきらめる物語だと思っていたので、それが大きく展開したこの章が印象的だった。
「四.春を呼ぶ風」を選んだ1名
-それまで英介は早希子に対してただ「会いたい」という気持ちが強かったが、この章では「会いにいく」と決意を固めていて、前よりも成長しているであろう英介を感じることができたから。
また、「早希子のために志津川へ行くことを決めた英介の思いを、どう感じますか」という問いかけでは、次の解答が印象的でした。
-英介は早希子にとても強い愛を持っているのだと感じ、三陸の海はどれほどの美しさを持っているのだろうと思いました。
さらに「英介と早希子の心が通い合うラストシーンから、どんなことを感じましたか」という最後の問いに対しては、次のような記述がみられました。
-十年近く会っていないでお互い以前とは変わっている中、また心を通わせることができて、それだけお互いを思う気持ちが強かったのだろうと思うと、本当に幸せなことだと感じた。
この授業を実施した3月17日は、9年前、2012年に仙石線の陸前小野駅-矢本駅間および石巻線石巻駅-渡波駅間で運転が再開された日です。以後毎年、この3月中旬から4月上旬にかけて、津波の被害を受けて運休となっていた三陸沿岸の鉄道各線が、逐次運転再開を果たして行きました。復旧順に記すと、次の通りです(2011年当年度の復旧は割愛します)。
2012年3月17日 仙石線 陸前小野駅 - 矢本駅間
石巻線 石巻駅 - 渡波駅間
4月1日 三陸鉄道北リアス線 田野畑‐陸中野田間
2013年3月16日 石巻線渡波-浦宿間
4月3日 三陸鉄道南リアス線盛‐吉浜間
2014年4月5日 三陸鉄道南リアス線 吉浜‐釜石間 南リアス線全線運転再開
4月6日 三陸鉄道北リアス線 小本‐田野畑間 北リアス線全線運転再開
2015年4月6日 石巻線浦宿-女川間 石巻線全線運転再開
5月30日 仙石線高城町‐陸前小野間 仙石線全線運転再開
および仙石東北ライン開業
『たまきはる海のいのちを‐三陸の鉄路よ永遠に』は執筆期間が2012年9月~2015年4月でしたから、2013年、14年、15年の春には、毎年執筆中や脱稿時にいずれかの線区が運転再開を果たしており、まさに三陸沿岸の鉄道各線の運転再開と同時進行で書きすすめた小説です。このことは本文に添えて、「発表時付記一覧」として掲載してあります。
二.ゆくりなき会い 『Web頌』第3号(2013年4月6日)に掲載
付記二. 東日本大震災で大きな被害を受けた仙石線、石巻線ですが、本年3月16日より、石巻線渡波‐浦宿(うらしゅく)(女川のひとつ手前、万石浦の北東端に臨む駅)間の運転が再開されました。また三陸鉄道南リアス線盛‐吉浜間も、4月3日に運転再開が成りました。
四.春を呼ぶ風 『Web頌』第5号(2014年4月7日)に掲載
付記(抜粋) 奇しくも脱稿の日(4月6日)に、三陸鉄道北リアス線が全線復旧し、前日の南リアス線とあわせて、同鉄道の全線復旧が成りました。関係各位の筆舌に尽くしがたいご努力に、敬意を表します。そして改めて幾重にも、犠牲となられた方々のご冥福を、お祈り致します。
六.志津川の海 『Web頌』第7号(2015年4月6日)に掲載
付記(抜粋) 三陸沿岸の鉄道線の復旧ということで言えば、ちょうど小牛田から志津川へ向かうくだりを書いている3月21日に(当時記載)、石巻線が終点の女川まで全線開通し、また第一作、第二作で描いた仙石線も、間もなくの全線運転再開が、決まっています。今年復旧の両区間は、いずれも地盤のかさ上げがなされ、移設のための新駅・新線建設が行なわれました。(後略)
本の中には、2011年3月11日の3353S列車が4月に入ってから移動、留置された希少な写真も掲載してあります。
有限会社言問学舎では、ほかにも舎主がみずから書き下ろした文章で生徒たちが国語を勉強できるよう、長年組み上げられた「真の国語の学習」の提供体制が整っており、小学生対象の専用テキストも出版しています。AI時代、グローバル化の時代だからこそ重要な<国語力>を重視して、子どもたちに真の国語の力をはぐくむ取り組みを重ねています。 3月26日開講の春期講習、4月6日開講の2021年度新学期生について、3月6日からの拡大説明会期間として募集しています。
※『たまきはる海のいのちを‐三陸の鉄路よ永遠に』は、全国各書店からご注文いただけます。書店様は日販・トーハン等各取次から発注可能です(有限会社言問学舎は㈱地方・小出版流通センター帳合です)。アマゾンでもご購入いただけます。下記よりご確認下さい。
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